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第65回ニッポンクラウドワーキンググループ会合報告

『クラウドケイパビリティをアップさせてビジネス機会の損失をなくす!』をテーマにニッポンクラウドワーキンググループ第65回会合をオンラインにて開催いたしました。

テーマ:『クラウドケイパビリティをアップさせてビジネス機会の損失をなくす!』
日 時:2021年9月24日(金)17:00~18:00
懇親会 18:15~19:30
場 所:オンライン(ZOOMミーティング利用)

【司会者のご紹介】
司会 副会長 藤田 浩之

1.開会のご挨拶
副会長 藤田 浩之

今回はアルティネットさん、ユニリタさん、プロキューブさんのメンバー3社にそれぞれの視点で各社のクラウドケイパビリティのアップへつながる取り組みなどのお話をいただきます。
ご参加いただいた皆さんのクラウドケイパビリティ(クラウド提供能力/クラウド活用能力)をアップさせて、ビジネス機会損失防止に繋げる切っ掛けの場にできればと思いますのでよろしくお願いいたします。

2.部会報告

サムライクラウド部会
部会長 野元 恒志

SAMLやOauth、対要素認証などの認証技術、アプリケーションマッシュアップするための基盤技術、APIなど先進的な技術について議論・発表を行っています。
・話題の中心としてはゼロトラスト・アーキテクチャ
今年は、具体的にユーザー企業への提言をまとめて公開する予定です。
・2層(多層)フェデレーション

前回は Office 365 監査ログの取得方法や、トークンレスワンタイムパスワードの注意点、Webサイトの複数IdP SAML化におけるWAYF(=Where are you from)問題などについて議論を行いました。
この後、プロキューブの中川路さんに発表頂きますが、これまで参加していない方向けに、SAMLについてのおさらいのような内容も冒頭に含めて頂けます。
シングルサインオン等技術としてビジネスで使用するケースも増えているので、興味のある方はご参加ください。次回は10月下旬ごろに開催を予定しておりますので、ご参加よろしくお願いいたします。

クラウドアプリケーション部会
部会長 尾鷲 彰一

テーマは「IoTを本気で使ってみる!パート2」
活動内容は実際にIoTをフィールドに設置し、雨量センサーと雷センサーでゲリラ豪富を発見するとなっております。
・コロナで作業が進んでいなかったので、5月14日に部会を開いて自社屋上に雨量センサーを設置しました。
センサーは15分に何回電流がON/OFFしたかをカウントし、結果をダッシュボードに表示しています。
ただし、ノードの電池消費が早く、2日程度で切れてしまうという問題点がみつかっています。
今後、常時通電しているクローズオープン回路を、アナログ出力にしてより省電力で動作できるように改善を検証中です。

クラウドビジネス推進部会
部会長 藤田 浩之

今期はオンラインで「クラウドビジネスサロン」を開催しています。
趣旨としては、
1.今だからこそNCWGがメンバー相互交流の機会を積極的に提供する
2.NCWGメンバー誰もが気軽に参加できる場を提供し、クラウドビジネスについての知の共有により、各社のクラウドビジネスを活発化させるです。
コロナ禍を鑑みて、その時々のクラウド関連の話題について集まり、議論よりは少し緩い雰囲気でサロンを開催しています。
これまでに「私のおすすめクラウドサービス!」、「RPAでクラウドビジネスを効率化」、「サブスクリプションビジネスへの挑戦」、「未来のクラウドビジネスにつながるテクノロジー」といった様々な切り口でディスカッション行っています。
次回は「クラウドシフト ~最後に残る/残すシステム~」と題し、11月25日(木)18:30から第5回の開催を予定しています。
ぜひご参加のうえ、みなさんのクラウドケイパビリティを高めていただければと思います。

3.メンバー発表
『アルティネットの新たな取り組み~地方創生とパン屋さんDX』
株式会社アルティネット
代表取締役社長 宮原 哲也 氏

皆さん、こんにちは。アルティネットの宮原と申します。
本日はアルティネットの新たな取り組みをテーマにお話しさせていただきますが、なぜ新たな取り組みを始めたのか、というお話に先立ち、初めに簡単な自己紹介させていただきます。
アルティネット1999年に創業、システム開発や自社運営データセンタにおけるシステムの保守・運用を中心に20年やってまいりました。Ultinet(アルティネット)という社名に込めたのは、Ultimate(究極の) Internet価値創造者になるという私達の決意です。
インターネットという素晴らしいテクノロジーを活用して、一人でも多くの人を幸せにしたいという青臭い思いは、今もアルティネットの経営理念として受け継がれています。
目の前のお客様に向き合って、そのご要望に応えることに一心に取り組んできた20年でしたが、創業時はまだインターネットも一般コンシューマがやっと利用し始めたころでした。しかし現在では誰もが当たり前に使う世の中になっており、当時と比べて、現在の事業は顧客ニーズに合わなくなってきた部分があるのではないか、より現在の時流やニーズにあった何かができないだろうかという疑問が出発点になっています。
また、全く異なる新たなフィールドに自社の事業展開をを置くことで自分たちの新たなポテンシャルを再発見できないだろうか。
これまで培ってきた技術や不変の理念を礎にして、異なったアプローチができるのではないか。
このような考えを基に、新たなフィールドで視野を広げることで社会のために何ができるかを考えて、新しいものへ取り組んでいこうと考えました。
こうした取り組みの一つが、まず地方創生です。
アルティネットでは、その一環・足がかりとして2020年11月に富山県中新川郡上市町へサテライトオフィスを開設いたしました。オフィスを開設した物件は、以前はある布団屋さんがお店を構えていたんですが、数年前に閉められて以降、ここしばらくはずっとシャッター街の一角になっているような場所でした。
こうした店舗兼古民家をリノベーションして再利用する取り組みは行政でも行っておりまして、富山県では傘下の各自治体に地方創生予算を分配して自治体ごとに様々な取り組みが行われています。今回のサテライトオフィス開設については、こうして行われた誘致事業へ参加する形で実現しました。
従来のシステム開発を行うオフィスに併設して、地域の学生や住民の方へVRのような先端技術に気軽に触れられるスペースを設け、地域交流と発展に寄与しながら新しいオフィスの在り方を模索していきたいと考えています。
もう一つが、パン屋さんへのDXの取り組みと新サービスの提供があります。
2021年10月、パン屋さん向け「Bakery MIniOn(ベーカリーミニオン)」のサービス提供を開始いたします。日本には大手フランチャイズチェーンから家族で経営する小規模店舗まで、大小さまざまなパン屋さんがあり、そこでおいしいパン作りを支えている従業員の方も様々です。
パン作りはレシピから、店頭に並ぶまでの製造工程など、あらゆる部分に多分にこれまで連綿と受け継がれ、積み重ねられてきたパン職人の方々の技術が存在します。しかし、お店はパン職人一人で成り立っているわけではありませんので、製造や販売の補助をおこなうパートタイマーを含めて、多様な従業員の方がおり、場合によっては作る人によって仕上がり具合にムラが出てしまうといったこともあります。
また、職人さんが持つ知識・技術は口伝や、実際の工程を見て、実践して学ぶ形式が多く、多様なスキルを習得する必要のあるパン職人の育成には大変なコストがかかります。
こうした点は特に小規模なパン屋さんに顕著ですが、Bakery MIniOn ではレシピや各職人の経験知をデータ化して管理・共有することで効率化を図ることができます。
さらに、焼成工程の管理や、材料の管理によって無駄を削減し、廃棄ロスを抑えることも期待できます。そのほか、実際の製造現場や販売店舗以外にも、製菓学校での利用展開により、教育面での貢献や職人の技を継承する上での基盤として役立っていければと考えています。
今、コロナ禍をはじめとした社会の大きな変化の中で、企業の利益追求への偏重や首都圏への一極集中といったこれまでの在り方が、SDGsに掲げられるような、よりよい生き方、働き方、自然環境への配慮、違いを個性として認め合う共生社会の創造といった方向へ私たちの在り方にも変化が求められています。
アルティネットでは、自身の課題と社会全体の課題は、実は根は同じものであると捉え、今、そしてこれからへ向けて自分たちに何ができるかを再発見し、パートナーの皆さんと一緒に力を合わせて、今後も様々な課題解決に向けて取り組んでまいります。
本日はご清聴ありがとうございました。

<質疑応答>
Q1:地方の元ふとん屋さんをサテライトオフィスに、素晴らしい取り組みだと思いますが、このような物件はどのようにして探されたのでしょうか?
A1:上市町の地方創生プロジェクトで選定されたいくつかの物件の中にあったひとつです。
こういったプロジェクトでは、関連するボランティアの方など、地方創生に熱意を持った様々な人が参加されており、サテライトオフィスの開設に加えて、そういった方々と出会えたことも収穫だったと思います。

Q2:パン屋さんDXについてですが、すべて人の手でパンを焼くことに比べて難しい点、苦労する点などを踏まえてポイントとしては具体的にはどんなことなんでしょうか。
A2:いろいろありますが、個人的に大きいと感じたのはやはり、後継者問題を抱える個人商店レベルの職人さんの技術継承には一定のニーズがあるとヒアリングしていて感じました。
また、ある程度規模のある事業者でも、人数が増えるにしたがって従業員間のスキルに差が出てきてしまい、場合によってはパートの方が一部のパン製造工程を担うこともあったりします。
そういった中でスキルにムラがあることで各工程の引継ぎがうまくいかず、例えば、大量のパンの発酵が済んでしまっているのに窯がいっぱいで次が焼けない、しかし発酵はどんどん進んでしまうので場合によっては廃棄ロスが発生、といったことも起き得る。
そういったことを工程管理や経験知などの共有サービスで解決していけると考えています。

『コロナ禍においてユニリタが取り組んできたこと』
株式会社ユニリタ
ITマネジメントイノベーション部 部長
真木 卓爾 氏

ユニリタの真木です。ユニリタの発表ですが、コロナ禍においてユニリタが取り組んできたこと。というテーマでお話しさせていただきます。起承転結でまとめてまして、その流れでお話しさせていただきます。

1.起:コロナ禍における取組み
2.承:考え方の変化
3.転:お客様と接して分かったこと
4.結:withコロナ時代のNew Normal

1.起:コロナ禍における取組み
ユニリタで2つの大きなプロジェクトを推進しています。
働き方を変えるプロジェクトと、働き方を変えるだけではだめなので、働きがいを変えるプロジェクトの2つです。
①働き方変革プロジェクト
「制度やルール」的なことを変えていく(働きやすさ)プロジェクトになります。
主な施策としては、在宅勤務、フレックス、副業解禁、各種援助金などです。
②文化創造プロジェクト
「文化≒雰囲気?」的なことを変えていく(働きがい)プロジェクトになります。
主な施策としては、「いいね!ニュース」、「Unipos」などです。

リモートワークの推進は現在、8割の社員がリモートで作業をしています。
在宅勤務、フレックス、Web勤怠打刻、アプデワーク(副業解禁)、在宅勤務援助金、BYOD援助金、Web懇親会援助金、各種ガイドラインの制定、オフィスのフリーアドレス化などを行いました。
この取り組みの中で監視をやめるというガイドラインを設け、①問題があったときに調べる②時間より期限内のアウトプット重視し、裁量労働制へ少しずつ変わっていくファーストステップになったと考えています。

コロナ禍における文化創造プロジェクトの取組みですが、様々な課題とそれぞれの原因があるが、根本的には「お互いがお互いを知らないこと」にあるのではか?が有力説となりました。
これを変えるために「いいね!ニュース」で、他の人の取り組みやお知らせをアピールできる掲示板の仕組みを作ったり、双方向でやり取りできる「Unipos」で誰かが誰かの役に立っていることを可視化できるようにしました。
この動きの中で、仮想の医療従事者への感謝やエールを集め、投稿されたポイントを金額換算して寄付または義援金としました。

2.承:考え方の変化
ここまでの話は取組みでしかないですが、では一体考え方がどう変わったかの話になります。
逆のことを考えられるようになったということが結論です。
●考え方の変化(「逆」のことを考える)
リモート(Web)だからこそできることは何か?
・リアルでできていたこを目指さなくてもいい、正解は分からないけどとにかくチャレンジ
●やりたくないことは何?やめることは何?
個人面談、部門面談でヒヤリングし、その代わりに何をするというのを重視した。
●会議は双方向に
報告会ではなく、役職、年代、役割にかかわらずチーム分けし、テーマを決めて議論する場にした。

3.転:お客様と接して分かったこと
お客様と話してきてわかったことが、働き方変えたいとか、リモートワークをやりたいという話はよく聞きますが、お客様が困っていることにも段階があるということです。
働き方改革やリモートワークで困っている中で、具体的に何に困っているかのステージをカテゴライズして、そこからお客様の現状を把握するようにしました。

4.結:withコロナ時代のNew Normal
結論ですが、これからはコロナなど、常識になってくるわけで、その中でどのように考えて進めていくかが大切だと考えています。
●新型コロナウィルスや自然環境との共存(afterではなくwith)
●それらによる大きな環境の変化をNew Normalとして捉える
3蜜のない地方の価値、消費活動がモノからコトへ、想像もしなかった新しいビジネスなど。

<質疑応答>
Q1:コミュニケーションツールを広めるのに社員の方に使ってもらうための工夫などはありますか?
A1:プロジェクトメンバーや上長が率先して使い、全体に対しては強制しないという雰囲気を作った。
Q2:働き方改革はコロナに関係なく取り組んできたのか?
A2:従来からも取り組んでいたが、コロナの影響でかなり加速した。
Q3:Uniposの導入や逆のことを考えるの導入は若手とベテラン社員で受取り方に違いはあったか?
A3:違いはなかった。
Q4:取り入れた施策で最も効果的だったものはどれだったか?
A4:どれも効果はあったが、本音で話ができるようになったという事が一番の効果だった。
Q5:やめること、やりたくない事を実践して業務に好悪影響はあったか?
A5:やめることややりたくない事は重要ではなく、本音で話せることが一番良い影響だった。

『多段フェデレーション DXにはビジネスパートナーとの連携が必須じゃない?』
株式会社プロキューブ
代表取締役社長
中川路 充氏


今日は、新しいネタで今年初めてお客様に導入することができた製品で、弊社でしかできない技術の多段フェデレーションについてお話させていただきます。
協力会社さんとかと一緒に仕事していこうとなるとシステムの認証が必要になってきますが、そういった課題を解決するための多段フェデレーションについてお話させていただきます。

SAMLとは
Security Assetion Markup Language
・SSOのプロトコルと思われがちであるが、本来は間接認証のプロトコル
・健康保険証を病院の受付で提示するの同じ
健康保険組合(Idp)→健康保険証(Assertion)→病院(SP)
このように本人の代わりに第3者経由して属性を担保することを間接認証(Indirect Authentication)と言い、そのメリットの一つがSSO(健康保険証1枚で日本中の病院で使える)。(診察券は直接認証)

健康保険証フェデレーション
・健康保険証は発行者対病院が多対多の対応になっている。
・病院側が保険証の発行者を信頼して患者が保険料を払っていることを確認できる。

SAMLフェデレーション
IdPをSPを多対多対応させることで組織間の垣根を越えてサービス共有すること。
→IdPが複数SPに対応することはSSOと呼ばれ、フェデレーションするというのはSPが複数のIdPに対応することと言い換えられる。

SAMLフェデレーションの課題
・SPがフェデレーション対応(複数IdP登録可能)のものでないといけない
・利用者はSPごとに自分のIdPを指定しなければならない
・SP×IdPの数だけ信頼関係設定、ACL設定、属性マッピングテーブルなどを設定する必要があり、構築コストが嵩みセキュリティリスクも高くなる。

SAML SP WAYF機能
SAML SPが複数のIdPに対応するためにはWAYF(Where Are You From)機能を実装する必要がある。
・学認型(ディスカバリーサービス):ドロップダウンリストから自分の大学を選択→二回目以降はCookieで記憶
・Azure AD型:ユーザIDを入力したところで、そのrelm(@より後ろ)からIdPを選択してリダイレクト
・URL指定型
https://xxxx/Shibboleth.sso/Login?entityID=YYYYというようなURLでIdPを指定する

問題が起きたフェデレーションの例
一つのアプリにグループ会社の人も入りたいという話があり、そのアプリにWAYFを付ければよいという事でWAYFを一つ実装する想定だったが、実際には、IDでいくつかのアプリを動かしており、これ全部に入れいるようにしたい事だったが、クラウドサービスにWAYFを付けられるのかという問題も起こった。
そこで「多段フェデレーション」を設定することを検討した。

多段フェデレーションとは、SAML認証のブリッジを間にいれることにより、SPをグループ化すること。
・SPから見ると、ブリッジのみがIdPとなるので、複数IdPに対応する必要がない。
・利用者はグループ単位でIdPを指定すればよく、IdPを指定する回数を減らすことができる。
・属性管理、認可管理をブリッジで行うことにより信頼関係設定、ACL設定、属性マッピングテーブルを集約できる。

実装
既存のIdPをブリッジに変化させ、社員はIdPでログインするが、外のIdPを使う方はAzure AD SSOにログインしていれば、会社のアプリを使う事ができた。更にユーザーはLDAPに登録のある社員しか入れないようにする必要があったので、認証をAzure ADで行うことにより、LDAPに登録されていても入れないようにすることができた。

その他応用
ワクチン接種済み証明やシステム保守業者証明など

<質疑応答>
Q1:WAYFをもう少し具体的に教えて欲しい。
A1:各SPにWAYFを置かなければならなかったが、ブリッジ設けてそこにWAYFを置くことで、そこからぶら下がるSPにWAYFを置かなくても済む。
Q2:ブリッジとはIdP自体がSPになるという意味合いで良いか?
A2:IdPを傘下に入れる仕組み。IdPから見るとSPに見え、SPからみるとIdPに見えるという繋ぎで、両方SAMLで喋っている。
Q3:ブリッジのID連携はどんなイメージになるのか?
A3:事前にユーザーをLDAPやリソースが必要なSPにプロビジョニングする必要がある。バラバラのLDAPやADからグループ会社の数分連携する必要がある。

4.会長からの総括
会長 小堀吉伸

皆さん、お疲れ様でした。

お話しいただいた宮原さん、真木さん、中川路さん、ありがとうございました。今期の最後の会合で、三名のメンバーの方々のお話がお聞き出来て大変ありがたかったです。

今回の第65回会合は、「クラウドケイパビリティをスパイラルアップさせて、新たな価値を創る」と言うテーマで開催させていただきました。

テーマにある「クラウドケイパビリティ」とは、ニッポンクラウドワーキングの造語ですが、意味としては「クラウドサービス提供能力」ということで昨年から会のテーマに挙げてきました。今期はさらに意味を広げ、従来の「クラウドサービスを利活用する能力」、クラウドを提供する視点だけでなく、クラウドサービスを利用者視点からの「クラウドを利活用する能力」と言う意味も含めて使うことになりました。

「クラウド提供能力」と「クラウドを利活用する能力」、この二つの能力は、サービスを提供する側とそれを使う側の二方向視点から「クラウドケイパビリティ」を捉えることで、クラウドケイパビリティの意味合いを深めるように考えています。

会の活動を進めて行く中で、クラウドを提供する能力である「クラウドケイパビリティ」を会のそれぞれの参加者がより高めながら、会の参加者が有しているクラウドサービスの提供能力やテクニカルな有効性を知らないことで起きる機会損失を少しでも防ぐためにも今回の会合でメンバーの方々のお話しを聞けて大変よかったと思っています。

今回のメンバーの方々のお話は、クラウドサービスを提供するだけでなく、クラウドサービスを利活用する視点からのお話が含まれていたので、今期の会のテーマの即していて、大変ありがたかったです。11月から11期目の活動がスタートしますが、来期も引き続き「クラウドケイパビリティ」という言葉を掲げて活動していきたいと考えています。

ちなみに余談ですが、「ケイパビリティ」については、どちらかと言えば、組織の有効な能力といった意味で捉えていますが、200年前にジョン・キーツというイギリスの詩人が、「ネガティブケイパビリティ」と言っていることをクラウドケイパビリティから思い出しました。彼の言う「ネガティブケイパビリティ」とは、「答えの出ない事態に耐える力」と言うことで、「不確実なものや未解決なものを受容する能力」をあらわした言葉なので、今回我々が直面している、コロナ禍でのNew Normalな生活の枠組みが進んでゆく中では、コロナ前の元の生活の平常化にはもう同じように戻ることはなく、今後はコロナ前とは異なった生活様式が平常化をしていくと考えた時に、「答えの出ない事態に耐える力」の「ネガティブケイパビリティ」この言葉を思いだし、我々が今期掲げている「クラウドケイパビリティ」にも何かつながるところがあるのではないかと感じています。

前期と今期は、これまで約一年半にわたりオンラインで活動しきました。オンラインでの活動は、我々の会の活動には、物足りなさを感じており、この厄介な新型ウイルスの感染状況が収束してリアルにお会いできる機会を少しで早く実現できるように望んでいます。そういった中でも皆様にオンラインでも参加いただき、力添えいただけたことは本当にありがたかったです。

DXの本質としてクラウドサービスをどうやって使うのか、クラウドサービスの利活用に向けて、今後もNCWGのクローズな環境の中で皆さんにいい意味で会を利用してもらえればと思っています。会長総括というよりは、この一年を振り返り皆さまへの感謝の言葉を申し上げます。

今期の会合は、今回が最後となります。来期も引き続き活動を続けてゆきますが、今まで通りクローズドで活動してゆきますので、メンバー・ご協賛の方々には、引き続き会への活動にご参加いただくことが、会の推進力になりますので、引き続き活動へのご参加をお願いします。

今期は、この会合が最後の会合となります。来期はリアルな場で皆さんと会合を開催できることを強く望んでいます。

本日は、お疲れさまでした。ありがとうございました。

5.懇親会

オンライン会合終了後に今回もオンライン懇親会を開催し、大いに盛り上がり、メンバー・ご協賛の方々との積極的な交流を図ることができました。
皆さん、お疲れ様でした。

【NCWG実行委員 報告書作成者】

実行委員 内田 龍(株式会社ブライエ)
実行委員 井口 和彦(株式会社ドヴァ)

第63回ニッポンクラウドワーキンググループ会合報告

『ゼロトラストを理解し、クラウドにフルトラストをもたらせ!』をテーマに
ニッポンクラウドワーキンググループ第63回会合をオンラインにて開催いたしました。

テーマ:『ゼロトラストを理解し、クラウドにフルトラストをもたらせ!』
日 時:2021年3月3日(水)17:00~18:00(オンライン会合)
    18:00~19:30(オンライン懇親会)
場 所:オンライン(ZOOMミーティング利用)

【司会者のご紹介】
司会 副会長 野元 恒志

1.開会のご挨拶
NCWG副会長 藤田 浩之

皆さん、本日はニッポンクラウドワーキンググループ第63回会合にお集まりいただきありがとうございます。2021年も、もう3月3日のひな祭りなのですが、今年最初の会合ということで、皆さん今年もよろしくお願いいたします。

緊急事態宣言がなかなか解除されないのでオンライン会合とさせていただいていますが、ニッポンクラウドワーキンググループは可能であればリアルな会合を開催したいと思っています。既に会場の準備など進めていまして、5月の会場はいくつか押さえている状況です。オンラインばかりだとメンタルがもたないので、オフラインに戻しますという会社もよく聞きますが、ニッポンクラウドワーキンググループも早くリアルで皆さんにお会いできるような状況になってほしいと思います。引き続き状況を見ながら、もちろんリアルに開催する場合はフェイスシールドを全員に配るなど感染対策をしっかりとして安全に開催をしていきたいと思っています。今後ともぜひ皆さんご参加ください。

今回の会合は『ゼロトラストを理解し、クラウドにフルトラストをもたらせ!』というテーマです。今回の講演はサムライクラウド部会発表ということで、サムライクラウド部会のメンバーである福原さんにお話しいただきます。ゼロトラストはワードとしてはかなり目にするようになってきて、皆さんも耳にしたことがあると思いますが、私は詳しいところまでは理解をしていなく、皆さんもおそらくそうなのではないかと思います。サムライクラウド部会はゼロトラストアーキテクチャーについて部会で議論を重ねていますので、今回はその内容を皆さんに知ってもらうために企画されました。結果として皆さんのクラウドケイパビリティ、クラウド提供能力をアップさせて新たな価値をつくるということにつながればと考えています。ということで今回の会合をはじめさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

2.部会報告

サムライクラウド部会
部会長 野元 恒志

サムライクラウド部会に関しては基本的にはブレません。元々SAML、シングルサインオンといったコアテクノロジーを中心に、特に今年度の活動はセキュリティ面(セキュリティと言う言い方をしてしまうと言葉が広くて難しいのですが)、その中でも特にゼロトラストアーキテクチャー(ZTA)をテーマにしています。

セロトラストは昨今のコロナ渦にあって特に突き詰めるべきテーマなのかなと思いますが、「信用できるところがない」というところから、企業のネットワークや利用するアプリケーションの環境を整えるというようなことをテーマの根幹に据えています。関わるテクノロジーに関してもすべて議論の対象にしていますので、SAML、0authなどの認証基盤や認証技術、または端末認証みたいなものまで踏み込んで議論をしているというのが活動になっています。

直近での議題では、昨年の11月の全体の年度報告会でサムライクラウド部会として、ゼロトラスト標準化の準備を行い提言の準備をすることを発表させてもらっていますが、2021年はこのゼロトラストをどういうふうに運用・実践すべきなのかというものをまとめた形で皆さんに提示、または世界に発信するということをやっていきたいと思っていますので、その議論を中心にしています。

あとは、プログラマブルネットワーク、端末認証などの話もしています。また、普通に使われているZIP暗号化(PPAP)も我々の部会ではあまりセキュリティ的な価値が高くないのでネガティブに捉えていまして、やめたほうがいいのではないかというような話もしています。

次回の部会は3月26日(金)を予定しています。せっかくゼロトラストの話がこの後にありますので、中身は福原さんにお任せしたいと思いますが、皆さんも気付きを得る機会にしていただければと思います。最近バズワード化(朝のメールマガジンの多くにゼロトラストというキーワードが書いてある)しているようなイメージもありますが、そのようなものとは一線を画すお話をいただけると思いますので、皆さん楽しみにしていただければと思います。

クラウドアプリケーション部会
部会長 尾鷲 彰一

クラウドアプリケーション部会では、本当は昨年雨量センサーで雨量を測ることをやろうとしていたのですが、コロナ渦でなかなか集まることが出来ずに実施できませんでしたので、今年度も引き続きゲリラ豪雨を雨量センサーで探すことを進めていきます。

課題が2つありまして、Arduinoの使い方と雨量計自体をどう設置するかということです。この辺を進めていかなければいけないのですが、コロナの影響でなかなか集まって実施することのメドが立たないので、私の方で環境を構築し採ったデータに対してオンラインで勉強会を行う予定でいます。4月、6月、8月、10月の4回を予定していまして、開催の前には皆さんにご連絡をしますので、その際にはご参加をよろしくお願いいたします。

クラウドビジネス推進部会
部会長 藤田 浩之

今期はコロナ渦で部会のあり方についてどのような形がいいかいろいろ悩んだのですが、いまだからこそメンバー相互の交流の機会を積極的に作りたいという思いがあります。従来ですとリアルに集まって勉強会という形をとって部会後に親睦会を開催していたのですが、オンラインでの勉強会は敷居が高いと思いますので、もっと気軽に参加していただけるように「クラウドビジネスサロン」という形でオンラインで開催することにしました。

内容としては予めクラウドビジネスに関するテーマを決めておいて飲みながら語り合うようなことをイメージしています。例えば「今、一押しのクラウドサービス」のようなものをテーマにして定期的に開催したいと思っています。開催日については決まり次第メールなどでご案内しますので、ぜひ皆さん集まっていただいてクラウドビジネスについて語り合いたいと思っています。ぜひご参加ください。よろしくお願いいたします。

3.サムライクラウド部会発表
テーマ:Zero Trust Architecture
    『クラウド利用にあたっての「ゼロトラスト」の現状と実質的な対応は?』
公立大学法人会津大学 客員上級准教授
株式会社コンピュート 取締役
三井物産セキュアディレクション株式会社 プリンシパル・コンサルタント
福原 英之 氏

<ゼロトラストとは?>
ゼロトラストとという言葉自体は、2010年に米国の調査会社フォレスター・リサーチのジョン・キンダーバグ氏が提唱した概念/造語です。“never trust, always verify”、すべてのデバイス、サーバー、ネットワークからのアクセスを「信頼できない」前提でセキュリティ対策を講じることを提唱しました。

その後、10年以上たってベンダー各社がいろいろ言い始めました。ベンダー各社が言い始めたおかげでNIST(National Institute of Standards and Technology、アメリカ国立標準技術研究所)がゼロトラストアーキテクチャーという名称で標準化のレポートを出しました。1stドラフトが2019年9月に出て、その後2ndドラフトが出て、昨年2020年8月11日にファイナルの正式版レポートが出されています。NISTが標準化のレポートを出すと、世の中はそれを元に議論が始まるので、各ベンダーがいろいろ言っていることはここに集約されているということを前提に、NISTが言うゼロトラストアーキテクチャーとはどういうものかを、まずは理解することが大切だと思います。レポートの中身はよくできていて、特に最初のコンセプト、背景は非常によくできています。後半に実装例が掲載されていますが、実装例はあくまで例で完璧なものではありません。その辺を絵を使っていろいろ言い始めているのが各ベンダーの状況だと思っていただいていいと思います。

ZTAの基本概念(SP800-207)のミニマムの絵にすべてが集約されています。絵は左と右にわかれていて、左側に端末の絵、真ん中にGatewayのような箱があり、右側にDBのような絵があります。ゼロトラストアーキテクチャーでは、左側の端末の部分を“Subject”、右側のDBのような部分を“Resource”と呼びます。Subjectには、端末だけではなく、人、ネットワークも含まれます。Resourceには、システム、サーバー、OS、アプリケーション、データのすべてが含まれます。真ん中の画像のGatewayが一番大事で、Policy Decision Point(PDP)というものとPolicy Enforcement Point(PEP)というもの2つが一緒になってGatewayを作っています。さらに、左側のZoneはUntrusted Zone(信用しないゾーン)、Gatewayの右側はImplicit Trust Zone((暗黙的に)信用するゾーン)という言い方をしています。要するに、Gatewayの左側は誰も信用しません、右側は全幅の信頼を置きますというセグメンテーションをされているのがゼロトラストアーキテクチャーのコアです。簡単に言うとこれだけですが、これを実現するためにどうするのかというのが実は難しいです。そこの内容を次からお話しします。

<ゼロトラストの背景>
その前に、なぜゼロトラストが出てきたのかの話をします。皆さんご存知の通り境界防御というのが、サイバーセキュリティのこれまでのトレンドでした。過去、インターネットが普及しはじめた2000年くらいから未だにそうです。ファイアウォール、IDS、IPSはここに含まれています。

但し、マルウェアが高度化し入り込んで内部から攻撃されてしまう、内部犯による攻撃、標的型攻撃の高度化(昨年、本田技研の工場が数日間止められたなどの事例がある)などがあり、境界防御ではない次の防御を考えなくてはいけないというのがまずあります。次は、SOA(Service-Oriented Architecture)の成熟があります。Web-APIやマイクロサービス化があってはじめて今回のようなPDP、PEPが使えます。それから認証(AAA)技術の普及です。PDP、PEPの中では人とデバイスの認証が大事になるので、ここも20年くらいかけてやっと普及してきたということがあります。そして何よりクラウドサービスの普及です。クラウドサービスのおかげで、「社内」というものが「社内」ではなくなったというのが一番大きいと思います。

<ZTAの実装>
現状を整理すると、最初に野元さんが言ってくれた通りZTAは言葉が先行する完全なバズワードです。バズワードを元に各ベンダーは自己主張をしています。「micro segmentationには次世代FW」「個人認証にはIDMサービス」「クラウドにも対応するにはCASB(Cloud Access Security Broker)」などですが、どれも実は片手落ちです、全部やらなくてはいけないので。こういうのには踊らされないようにしてください。それから、ZTAそのものは考え方、個々のテクノロジーもまったく新しいものはありません。すべてが新しい概念ではなく、組み合わせた総括するようなセキュリティの考え方だと思ってください。また、ZTAは1つの製品では実現できません。とはいえ、ZTA実装によって間違いなくセキュリティレベルの向上が期待できます。

どこをやるのか?ということですが先程紹介したZTAのモデルで言うと、ユーザーとデバイスは1つにまとまっていて(Subject)、アプリケーションサービスとその後ろのデータコンテンツは1つのResourceにまってまっています。現在議論しているのは真ん中のポイント(デバイスとアプリケーションサービスの境界)だけですが、実際には、場合によってはアプリケーションサービスとデータコンテンツの間にゼロトラストの境界があってもいいはずです。このように、いろんな場所にあってもいいんですよというのも、もう1つ考えていいのではないかと私は思います。

次にZTAに絶対必要な要素ですが、「リソースの閉域化」「PEPの配置」「PDPの配置」「アクセスポリシー」「アクセス可否を判断する情報」の5つをあげさせてもらいました。左にSubject、右にResourceがあった場合、何が必要か。リソースを完全に閉域化すること、PEPを通らないでこのリソースにアクセスできてはいけませんということです。さらに、PEPとリソースの間は絶対に信頼できる接続がないといけません。それと、PDPという脳も配置しなくてはいけません。次の2つが実は結構軽視されています。ここでアクセスさせていい/させていけないというポリシーがないことにはPDPはディシジョンできません。ポリシーがあるということが大前提です。その上でPDPでこういうポリシーでアクセスさせたいとしたところで、ポリシーを検証できる情報がないことにはディシジョンできません。なので、Subject側の人とかデバイスが今どうなっているという情報をリアルタイムに見れるとか、Resource側はデータの中身ごとにこの人に出していいかの判断ができるラベルがされているとかという情報がないことにはディシジョンできません。これをやるのが実は一番大切なことです。

先程言ったとおりにZTAは「アクセスポリシー」次第です。これをどう考えるかがすべてだと思っています。仮にアクセスポリシーが、Subjectの要件が「IPアドレスが社内」、Resourceの条件が「すべてにアクセス」というものを作ると、いままでの境界防御と同じセキュリティ環境がZTAで実現できます(このようなことをする人はいませんが)。ではどうするかですが、アクセスポリシーの要件が増えるほど、判断のための情報も増えます。Subject要件を「登録ユーザーである」とすると「リアルタイムのユーザー一覧」の情報が必要になり、「安全な端末である」とすると「リアルタイムの端末のバッチ情報、アンチウイルスの情報」が必要になり、「攻撃者のIPでない」とすると「Threat Inteligence(脅威情報)」が必要になります。Resource条件を「機密情報である」とすると「機密情報の一覧・ラベル」が必要になり、「時間制限」とすると「開示時間情報」がラベル単位で必要になり、「頻度制限」とすると「許容アクセス頻度情報(アクセス許容をする頻度を1分間に何度かなどを決め、それをメジャーメントできなくてはいけない)」が必要になります。このようなものが求められます。

ZTAは境界防御の崩壊といいながら、実は境界防御が必要になります(完全な閉域網を作らなくてはいけないので)。言葉だけだと矛盾しているように思えますが、「PEPの後ろ側は完全に無防備」「セキュリティコンポーネント間通信は絶対の信頼が必要」「Resourceへのバックドアがあると論外」などのことがあるためです。さらにクラウド間を跨いでシステムが作られている場合があるので、その際の物理セキュリティをどうすればいいのか、Software Define Perimeter(ソフトウェアで境界を作る)、Data Encryption(データの暗号化)など、いろいろと課題があります。この辺をクリアしなくてはいけません。

また、例えば完全な閉域の中のシステムがクラウドの向こうにクラウドサービスを利用していた場合、これをどう防御するのかという課題もあります。ベンダーはSoftware Define Perimeterでといいますが、心配ではあります。

厳格な個人認証は絶対に大事です。誰が使用しているのかということを間違いなく認証できないと何もできません。いままでサムライクラウド部会で議論してきたID管理、認証の仕方などがとても大事になってきますし、それができないとZTAの実現などは無理な話になります。もう1つは、いままで「認証」という言葉の中に隠れていましたが「権限の管理」も非常に大事になってくるというのが浮き彫りになってきます。IDを持っている人の属性に従って論理的に権限が決定できるのかどうか、例外をどういうふうに排除するビジネスモデルを作るのか(例外を必要とするのであれば自動的にディシジョンできなくなってしまうので)なども課題になってきます。

具体的にどのようにうすればZTAを実装できるかと言うと、例えばアクセスポリシーとして「二要素認証した正規ユーザー」「社給PC」「PCはウイルスチェック済」「PCはセキュリティパッチ適用済」「サービスへのアクセスのあるユーザー」「サービス内のデータはアクセス権による」というものを作ろうとすると、リクエストをする順番で言うと、まず「二要素認証のユーザー認証(検証)」をします。次に「リソースに対するアクセス」を要求します、要求の中にはユーザーの情報以外にも端末の情報とかアクセスする先のリソースの情報を含めてリクエストをします。それをPEP(後ろにPDPがいます)でリクエスト毎に、その権限を確認してリソースへのアクセスを許可し、リソースからのデータを端末側に表示させてあげますという流れが実装をするための1つの例です。ここで何を使うかというと、例えば認証システムにADFSを使うとか、Azure ADを使うのは構わないと思います。PEPのところにはリバースプロキシを使って、その後ろはマイクロセグメンテーションをしてアクセスをさせます、というような実装になると思います。

<今後の展望>
まず、「ZTAは必要か?」といことですけど、私の答えは「Yes!」です。必要以前にZTAは実はセキュリティ対策としてすでに始まっています。いままでやってきたことの延長線上にあるのがZTAだと思ってください。もう1つは、ZTAという考え方を1つのツールとして、これまでのセキュリティ対策やアーキテクチャを見直すことに使えるのだと思います。

ZTAの実現に向けたステップですが、順番で言うと「実装」は最終段階です。最終段階の前に「基礎的な準備」があり、「環境の整備」があり、実装があります。基礎的な準備は、既存システムが何であるかをまず知る、ID管理システムを作成する、認証システムを作成することです。その上で環境の整備として、アクセスポリシーを作る、アクセスポリシーに従って必要情報の集約ができるシステム・環境を作ることが必要です。それができて初めてPEP周辺の実装ができるようになります。まずは、「基礎的な準備」「環境の整備」の2つをきちんと固めて、フィロソフィー(哲学)を固めて進めることが大切です。理想論からのドルルダウンでは難しいので、いまあるものからどう進めるか、現状からの「順時移行」が一番良いと思っています。

まとめると、ZTAはテクノロジーではないし、新しいものでもありません。アクセスポリシーの策定が最重要です。アクセスポリシーの実現のためには情報集約強化やシステムアーキテクチャーの見直しが必要になります。このへんとことを考えて(ZTAの核心を捉えて)、ベンダーのバズワードに踊らされずに対応していくことが大事です。

※発表資料はこちら

■Q&A
Q1:ZTAを導入すると想定した場合に、絶対的な閉域というお話しがありましたが、どのような環境にするのが望ましいのでしょうか?
A1:いわゆるネットワーク的な閉域網です。そこの閉域の中には決められた場所からの通信しかこないということが保証されている場所です。物理的なネットワークを組むのであれば、そこに入れるのは目の前のファイアーウォール、もしくはIDSを通したところ1箇所だけ(他の線は通っていない)というような環境です。論理的なネットワークの話をしましたが、物理的な線も大事なので、ファシリティのセキュリティが保たれているという大前提があります。

Q2:自治体のZTA導入状況はどうでしょうか?
A2:大手企業でもZTAの概念を深堀りして実装しているところはまだ少ないと思います。自治体はまだだと思います。まず、自治体はID管理ができていません。GPKI(政府認証基盤)を見てもわかるとおり、個人ではなく役職に紐づくという考え方から脱却できないためです(本来は「個人の属性が役職」というようにできればいいのですが)。GPKIでは「知事」「副知事」という個人証明書を発行したりします。そういう考え方が抜けていません。

4.会長からの総括
会長 小堀 吉伸

福原さんありがとうございました。おつかれさまでした。もうすでに3月ではあるのですが、今年度2021年の初めての会合です。本来、早い段階でお会いすれば「おめでとうございます」という感じになると思うのですが、このような状況で去年11月にパーティーはできませんでしたが設立九周年の年度報告会・特別講演会を開催させていただき、今年に入って1月、2月といろいろなことが動きが取れない状況でしたので、3月開催が今年初めてとなりました。実は福原さんにはゼロトラストアーキテクチャーについて、以前からぜひお話しをしていただきたいということで進めてきたのですが、次のときにはぜひリアルの場で面と向かってお話しを聞かせていただきたいと思っています。もう3月なので、今年ももう三分の一が終了してしまいましたが、オンラインでもやれることはいっぱいあるなと思いながらももどかしい状況が続いています。世の中の状況を勘案すると当面は主戦場はオンラインになるという判断をせざるを得なく、10月までは10年目の活動になりますが、状況によって可能であればリアルの場でも活動していきたいと思っています。

今日お話しいただいたゼロトラストアーキテクチャーについては、福原さんよりサムライクラウド部会の中でいろいろお話しいただいていています。先程、お話しいただいたポイント制のZTAに関するテストなのですが、あのように数値化できるのは非常に興味深く、ビジネス化できるかなと思ったりしました。リモートワーク、それからクラウドコンピューティングの利活用が広まる中で、この15年のZTAについて語ることができきれば一番いいのですが、まずはZTAを知り、サービスに組み込んだりという視点があればいいなと思います。幸い福原さんはサムライクラウド部会のメンバーで近いところでお付き合いしていただいているので、皆さんも引き続きお付き合いをしながら知見を深めていただければと思います。福原さん、引き続きよろしくお願いいたします。

オンラインではありますが、ニッポンクラウドワーキンググループはクローズドで引き続き活動をしていきます。皆さんに参加していただくことが会の推進力につながるということは変わりませんので引き続きよろしくお願いします。福原さん、どうもありがとうございました。

5.懇親会

オンライン会合終了後に今回もオンライン懇親会を開催し、大いに盛り上がり、メンバー・ご協賛の方々との積極的な交流を図ることができました。
皆さん、お疲れ様でした。

【NCWG実行委員 報告書作成者】
実行委員 佐々木 泰(株式会社クオリティア)

NCWG設立九周年 年度報告会・特別講演会 開催報告

皆様のご支援、ご協力のもとにニッポンクラウドワーキンググループは、2020年11月1日より10年目の活動を開始しました。10年目の活動開始に伴い、9期の活動報告および10期の活動計画の報告会を2020年11月18日に開催しましたのでご報告いたします。

今回の「ニッポンクラウドワーキンググループ設立九周年報告会、特別講演会」開催にあたり、多方面の多くの方々の温かいご支援により盛況のうちに開催することが出来ました。さらに、みなさまから心のこもったお祝いの言葉をいただき、十年目の活動に向けて大変励みとなる周年イベントとなりました。重ねて深く御礼申し上げます。誠にありがとうございました。

また、今回も報告会開催に伴い特別講演会としてサムライクラウドサポーターで次世代宇宙システム技術研究組合代表理事の山口耕司氏に「ドローンとセンサー技術、その先に繋がるクラウドの有用性」のタイトルでご講演いただきましたので、ご講演内容の一部を本報告書に掲載させていただきまましたので、是非ご一読くださいますようお願いいたします。

今回の報告会は、リアルタイムでの動画配信は行いませんでしたが、ご参加いただけなかったニッポンクラウドワーキンググループの関係者の方々向けにFacebookのグループ内にて動画の公開を行っていますので、関係者の方は、是非ご視聴いただければ幸いです。

『ニッポンクラウドワーキンググループ設立九周年報告会及び特別講演会』
【テーマ】「ドローンとセンサー技術、その先に繋がるクラウドの有用性」
【日 時】2020年11月18日(水)17:00~19:00(受付:16:30~)
【会 場】市ケ谷健保会館 F会議室(2階)
【参加者】メンバーおよびご協賛各社
新型ウイルス感染拡大防止のため参加者を極端に絞り、会場内ではフェイスシールド着用、極端な消毒作業等のもとで開催したため、ご参加された方々には、かなりのご不便をおかけしました。ご協力ありがとうございました。

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【司会者のご紹介】
NCWG理事 尾鷲 彰一 

 

<設立九周年 年度報告会・特別講演会>

<第一部> NCWG活動報告及び本年度の活動計画
【NCWG 2020年度活動報告および2021年度活動計画】
会長 小堀 吉伸

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小堀会長から、2020年度の活動報告、および2021年度の活動計画の報告をいただきました。

2020年度の活動スローガンが、
『Beyond the Clouds!「強みをシナジーにクラウドビジネスを昇華させる!」』のテーマで、活動を行ってきました。
ニッポンクラウドワーキンググループがシナジーの場となり、参加者個々の強みを掛け合わせることによる相乗効果で、クラウドの利便性の向上と日本のクラウドビジネスのマーケットの拡大、そこから新たな価値を創出し、成果が出せるような活動を行ってきました。

今期、2021年度の活動スローガンとしては、
『Beyond the Clouds!「クラウドケイパビリティをスパイラルアップさせて、新たな価値を創る!」』のテーマで活動を行ってゆくことになりました。
新型ウイルス感染の負の影響が重くのしかかる今だからこそ、ニッポンクラウドワーキンググループが、新しい日常での新たな価値を生み出す気づき誘発のコミュニケーションHUB(ハブ)となり、参加者相互が、各社の強みをより深く知り合い、各社の強みを掛け合わせることで、各社それぞれが持つ「クラウドケイパビリティ」をスパイラルアップ(強相乗効果)させることを目的とする。結果としてクラウドサービスの利便性の向上と日本のクラウドビジネスのマーケット拡大に繋げ(結)、日本から発出するクラウドビジネスモデル=サムライクラウドの質(実)を高め、スパイラルアップさせることで新たな価値創出(結実)を目指す。と言うことで、10年目の活動を行ってゆきます。

また、サムライクラウド部会(部会長 野元 恒志)、クラウドアプリケーション部会(部会長 尾鷲 彰一)、クラウドビジネス部会(部会長 藤田 浩之)、宇宙クラウドサービス部会(部会長 小堀 吉伸)の4部会の2020年度の活動報告、2021年度の活動計画の報告をいただきました。

サムライクラウド部会 部会長 野元 恒志
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クラウドアプリケーション部会 部会長 尾鷲 彰一
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クラウドビジネス部会 部会長 藤田 浩之
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宇宙クラウドサービス部会 部会長 小堀 吉伸
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詳細は、こちらの資料をご覧ください。
2020年度NCWG報告会資料

また、ニッポンクラウド関係者のみ視聴可能な報告会の動画を配信しています。
是非ご覧ください。
第一部動画はこちら

<第二部> 設立九周年 特別講演会
『ドローンとセンサー技術とクラウドの有用性』
サムライクラウドサポーター
次世代宇宙システム技術研究組合
代表理事 山口 耕司氏

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ドローンに関する市場は、今や約4.65兆円規模になっており、2018年ころでは1.6兆円程度だったので世界規模で相当な市場の成長がうかがえます。
ドローンのイメージといえば、プロペラが4つほどついた姿がメディアなどでも取り上げられますのでご想像されると思います。最近では空飛ぶ自動車なんていうものもかなり実用段階に入ったようで、あれも実はドローンの技術が発展したものなんです。
本日は、登場から数年たってドローンとその周辺の展開や今後についてお話ししようと思います。

私個人の活動としては、初めはラジコン飛行機の延長のような感覚で趣味半分で始めたようなものですが、ドローンの他にも無人航空機(UAV)や、係留バルーンを作ったりなんてこともしております。
こういうものは例えば米国の国防企業が作っていたりしますが、防災無線(5GHZ帯)の中継器として利用が見込まれています。
そのほか、モンゴルへ行って気球を飛ばすなんてこともやっていたりするんですが、そこでもドローンの活躍できるシーンがありました。
モンゴルでは広大な土地の中で山火事が発生すると、発見・対応が困難です。
旧ソ連時代に比べ航空機などの設備も少なく、対応に苦慮されているという点がありましたが、ドローン技術の発展によってそれに廉価な設備で素早く対応ができる可能性があり、現地の協力を得て実証実験などを行っております。

さて今後、具体的な市場としてドローンの活躍が大きく見込まれるのはやはりまずは輸送分野でしょう。法制上、国内では25キロ以上積載したドローンを飛ばすのが難しいのですが、Amazonがドローンでの配達に手を付けたニュースを聞いてから久しいですね。
欧州ではすでに500キロも積載できるドローンが市場に登場してきています。
サービスとしての輸送以外にも、100キロ程度運べるだけでこれは大抵の人間が持ち上がるという事になりますので、実は災害救助にも役立つことが見込まれます。
その他、個人的に挑戦したいと考えているのは成層圏ドローンというものです。
高度20~30キロ程度の成層圏にドローンを飛ばして利用するということなのですが、この高度まで上がると数百キロ範囲の見通しがきくため、理論上は3,4台程度のドローンで国内の通信網をカバーできる可能性があり、通信中継やリモートセンシング等の様々な用途が見込めると考えています。

ドローンに関する現在の技術的課題として、通信のボトルネックというものがあります。
ドローンで画像取ったりデータを集めるのはいいのですが、これを送信するというのが問題になっています。使用する電波帯域によって法制上のハードルもあって問題が多い点です。
最近はこれについて、取得したデータそのもの常に送付する必要はなく、ドローンの機上で解析や判定を行い結果のみ送信すればいいじゃないか、という発想での開発が進んでいます。
やはり近年のマイクロ化されたボードコンピュータ等の技術や、そこで動作するAI、機械学習の技術が進歩したことが大きく寄与していると思います。

ドローンの生産に関してはやはり現状、中国が圧倒的なシェアを誇っており、国産の部品がなかなかないという状況です。
国内で有力なメーカと言えるものはでてきていません。
しかし、現状まだまだホビー用途で流通しているドローンが多いことから考えると、国内生産の部品に対する一定の需要はあるものと考えています。
加えて、特に国防方面の公官庁などではやはり国内生産のものが好まれる傾向があるため、そういったところも大きな需要があるでしょう。
現在、中国を主要な生産地としているドローン用モータのコイルは手巻きで作られていることが多いのですが、国内のモーターメーカでコイルを機械生産していないところはありません。
国産品はやはり信頼性は高く、特に趣味で購入するような層からするとその点は大きな魅力になるでしょうし、生産体制という意味でも優位な点はありますのでそこへ国内メーカが参入する余地は大いにあるのではないでしょうか。
その他、ドローンのような移動体が光通信で通信できるようになると、現在の法制度など電波方式のしがらみから解放されることになります。
その為、これに寄与するドローンに乗せられる高性能なジンバルなどのパーツが開発されるとマーケットとして非常に期待できることから、そういった技術の面でもアプローチの余地があると思います。

ソフト面に目を向けると、ドローン制御ソフトは、実はもともとOSSに端を発するもので、ありとあらゆるセンサー向けのライブラリを含め、いつどのセンサーからの信号が来ても適切な処理を行えるように開発が進められてきました。
現在主流なものにスイスで作られた制御プログラムがありますが、様々なセンサー類のライブラリとそれらをどのように適切に処理するか、一見すると辞典のようにも見えるそうで、教科書のようなプログラムなどと呼ばれたりしているそうです。
ただ、個人的にはソフト面にはあまり詳しくないのですが、このあたりもやはり海外でのビルドがメインになっているようで、それらがすでにデファクトスタンダードになっている状況のため、国内の発展は難しい分野かもしれません。

サービス面では、クラウドと連携したサービスというものがいろいろ出てきているようです。
先日、某公官庁の案件で自動飛行ドローンのログデータをとって、それをクラウドサーバで解析、可視化して利用について検討するというようなことをやりました。
姿勢や位置データ、速度、機体内部のCPU温度やクロック状況なども、送信したデータを基にグラフィカルに可視化することが出来るクラウドサービスが最近では公開されています。
実際に飛行した経路などを3Dモデリングして映像化することもできました。
近年では、このようにクラウドサービスとして、ノードとなるドローンのデータを加工したり分析するサービスが提供されています。
今後、通信方式の改善によるリアルタイム性や搭載機器の進歩によって、扱うことのできるデータやノード上での処理性能が上がれば、より幅広い展開が期待できるのではないでしょうか。

今回はドローンをテーマにいろいろとお話しさせていただきましたが、関連市場は今まさに大きな成長をしているところに間違いありません。
まだまだコロナ禍も先が見えない状況の中、人の代わりにいろんなところに出向いたりそこで何かができる、情報収集する、中継する、というような役割が考えられるドローンにはクラウドやその他の技術、サービスとのシナジーを含めて無数の可能性があると思っています。

ニッポンクラウド関係者のみ視聴可能な特別講演会の動画を配信しています。
是非ご覧ください。
第二部動画はこちら

[質疑応答]
Q.国内で海外に比べて先行している分野と呼べるようなものはあるのでしょうか。

A.思いつかないです。既に世界が土俵に上がっている状況なので、ベンチャー支援などが比較的薄い日本では伸びにくい部分があるのでしょう。
国内ではサービス観点などでは優位性がある部分があると思うのでそういう視点で新しいものがあると、今後デファクトスタンダードになれるような部分が出てくるかもしれないですね。

Q.国内ではやはり規制がハードルになっているという部分があるのでしょうか。

A.アメリカの方が実は規制が厳しいです。
日本は重量制限の部分は結構厳しいですが、そういう点よりもやはり様々な企業がいろいろ考えて挑戦していくような風土や促進を行うという方が大事ではないかと思います。

設立九周年特別講演会 締めのご挨拶
副会長 野元 恒志

山口さん、ありがとうございました。みなさんお疲れ様でした。
みなさんにこのように集まっていただいたのは、2月以来、9カ月ぶりということで、非常に去年の8周年のタイミングでも一部前半部分締めのご挨拶をさせていただきましたが、こういう状況になるとはまったく思っておりませんでした。
2012年には、NCWGで震災後の石巻市に伺わさせてもらい、いろいろ拝見させてもらいましたが、震災の場合は、瞬時にいろいろと失ってしまいますが、コロナ、ウィルスというものは真綿で首を絞めるように、じわじわと影響していくものだと感じました。
アフターコロナということですが、きれいにコロナが無くなることはないですし、さらっと終わることもなく、テレワークやオンライン会議など、今後は、クラウドとネットワークを切り離して生きていくことは難しいのかと思います。
本日、山口さんにドローンのお話しをいただきましたが、リモートの文化の中では、自動操縦であったり、クラウドの先のビジネスも今後発展していくのかと思いました。
新たにみなさんと、クラウドの上でのビジネスをしていかないといけないと切に感じました。
また、みなさんと次いつこういった形で集まれるかわかりませんが、顔を合わせてというのと、オンラインというのはやはり違うので、なるべく会えるようにしていきたいと思いますし、顔を合わせて、新たなクラウドビジネスの話をみなさんと議論させていただきたいと思います。
本日はありがとうございました。

【報告書作成者】
実行委員 内田 龍(株式会社クリエイトラボ)

第60回ニッポンクラウドワーキンググループ会合報告

『IoTの利活用を強みにクラウドビジネスを昇華させる!』をテーマに、ニッポンクラウドワーキンググループ第60回会合を開催いたしました。
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(写真:上段左から株式会社ニッコム 小島氏、アールエスコンポーネンツ株式会社 宮原氏、さくらインターネット株式会社 吉村氏、下段、理事一同)

テーマ:『IoTの利活用を強みにクラウドビジネスを昇華させる!』
日 時:2020年2月20日(木)17:00~19:00
場 所:さくらインターネット株式会社 セミナールーム

会合開催にあたり、
新型コロナウィルス感染防止対策として、
・参加者のマスク着用
・入室時受付でのアルコール消毒の実施
・参加者の十分な距離の確保のための参加人数制限 
等の感染症対策を実施しました。
参加された方々には、ご不便をおかけして誠に申し訳ありませんでした。

【司会者のご紹介】
実行委員 尾鷲 彰一(株式会社オープンウェーブ)

1.開催のご挨拶
NCWG副会長 藤田 浩之

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みなさん本日は第60回会合にお集まりいただきありがとうござます。
本年度最初の会合となります。

みなさんご存じのように、新型コロナウィルスの影響が色々なところに及んでおり、ここ数日色々なイベントのキャンセルも相次いでいます。
そのためニッポンクラウドワーキンググループの活動開始以来続けてきました
懇親会を今回は、急遽取りやめさせていただきました。
楽しみにされていた方、誠に申し訳ございません。

NCWGでは、懇親会も会合と同じだけ重要な『場』としてとらえているので、
できるならば中止したくなかったのですが、皆さんの安全を考慮し中止とさせていただきました。
状況が落ち着きましたらまた懇親会も含めて会合を開催しますので、その際は是非懇親会までご参加ください。

このような状況の中、会場を提供いただいたさくらインターネットさんありがとうございます。
リアルな情報を得る機会というのは非常に重要だと思います。
今期スローガンはみなさんご存じのように「強みをシナジーにクラウドビジネスを昇華させる!」ですが、他にも今期の活動計画の中に、会の在り方として「会員各社の“知らないこと”による機会損失の防止に努める」というのも挙げています。
このような状況の中で、今日会合を開催する意義というのは、まさに、本日参加されているみなさんが『知らないことを知る』ことによって、ビジネスチャンスを得ることだと思います。

今回ゲスト講演では、アールエスコンポーネンツの宮原さんに、「IoTイノベーションに向けた電子部品商社の挑戦!」ということで語っていただきます。
また、今期はテーマに沿った内容で、メンバー発表も行っていくということで、今回はニッコムの小島さんに、センサーやクラウドを連携させた、ロボット系の取り組みについてお話いただきます。

今日は会合しかございませんが、講演を聞いて、是非“知らないこと”がなくなるぐらい質問を浴びせてください!

2.各部会報告
サムライクラウド部会
部会長 野元 恒志
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サムライクラウド部会では、SAMLシングルサインオンをベースとしてマイクロサービスとの関わり、アプリケーション基盤全般に関して議論をしております。最近では、技術議論に加えて、ソフトウェア開発生産性の議論も行っております。前回は、ActiveDirectoryに使用するドメインに関しての議論及び、プログラマブルネットワークに関する議論を行いました。次回は、3月中旬に開催予定です。是非ご参加ください。

クラウドアプリケーション部会
部会長 尾鷲 彰一
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一昨年前は、IoTでデータ収集、昨年度は、AIでデータ解析についての内容で部会を開催してきましたが、机上での活動でした。
今期は、実際にフィールド(屋外)での実証実験を目的に、雨量計と雷センサーでのデータ収集をLoRaWANを利用して開発しております。
前回、2月25日に開催しました。
次回部下開催は、4月末を予定しております。是非ご参加ください。

宇宙クラウドサービス部会
部会長 小堀 吉伸
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宇宙クラウドサービス部会では、従来部会で展開してきたホールプロダクトのコンセプトを軸としたクラウドサービスの考え方に新ビジネスの分野である「宇宙ビジネス」へ片足を乗せて「宇宙クラウドビジネス」という新たなクラウドビジネス分野の創造に取り組んでいます。

その足掛かりとして宇宙ビジネスに関わっている方々との交流を行ことで、宇宙クラウドサービスの創造と実ビジネス化に向けて活動を行っています。我々自身が宇宙ビジネスについては、未知数以上にイメージをつかみづらいため、すでに宇宙ビジネスに関わっている方々との交流は、かなり有効だと実感しています。

ほぼ毎月、部会を開催しながら、宇宙ビジネスの方々との交流会を併設しているので、是非ご参加ください。よろしくお願いします。

3. メンバー発表
テーマ:「ハードとソフトにクラウド、コンテンツ」
株式会社ニッコム 代表取締役 小島 秀登
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本日は組み込み、IoTについて当社の取り組みをお話させていただきます。

ニッコム紹介
・ソフトウェアの受託開発をやっている
・委託先の見つかり難かった案件が多く、内容的には組込み的な案件が多数
・エンドのお客様は研究機関や、研究開発部門が主
・ハードウェアもデバック調査や修正など対応、ハード開発が必要な場合はEMSのパートナー会社を紹介
・生産管理システムや自動動画配信サービス(今はやっていない)など、クラウドっぽいこともやっている

最近関わりの多い、ロボット
・ロボット会社(スピーシーズ)のお手伝い
・建設機械:アームの自動制御による工程自動化
・ET2019(パシフィコ横浜)、アックスのAIごまめとの連携デモ など

センサー類は簡単に思えるものでも意外に難しい
マイク、タッチセンサー、カメラ、温湿度センサー、レーザー測距センサー、照度センサー、赤外線受光素子、赤外線LED、液晶タッチパネル、2軸ジョイスティック、焦電型人感センサー、スピーカー など

コンセプトと新しい取り組み
・ロボットは人とのインターフェイスや表現媒体
・全体制御はクラウドから、音声認識もクラウド
・ロボットの動きはコンテンツ
→情感を込める動作はMikuMikuDanceでオーサリング

※部品の低価格化や3Dプリンターでハードは作りやすくなったが、ハードはサービスのプラットフォームなので、新しい体験を提供できるかがKeyになる = コンテンツ次第

最後に、IoT、IoTとは言うけれど・・・
・産業界には普及し始めているのでしょう(インダストリー4.0など)
・一般社会にはボチボチ?(トイレの空き状況など)
・家庭への浸透にはまだまだ
– 費用に対するメリット(体験)が小さい?
– 使いやすさ(設置の容易さ、ユーザービリティ)の問題?
– キラーコンツは何?

などなど考えながら、色々と施策・思索しています。

■FAQ
Q1. お話の中で「音声認識はクラウドだ」ということをおっしゃっていましたが、今後5Gなどでネットワークの転送速度はどんどん進んでいくと思いますが、それがロボットに与える影響とか、クラウドはこのようになるというようなものがあればお聞かせください。
A1. 音声認識だとやはり「遅延」が気になります。音声だけでは気にならなくても、ロボットの動きなどと連動すると
間が気になったりします。そういう意味では、5Gは遅延がかなり短縮されると聞いているので期待しています。

Q2. ロボットは話ができるということですが、YouTubeでロボット同士が話をし話の内容がだんだんおかしくなってくるとうい動画があります。本日ご紹介いただいたロボットのケースでは、そのようなことを試されたりしているのでしょうか?
A2. 本日紹介した私たちが絡んでいるロボットはどちらかというとボディというか機体側です。コミュニケーションロボットという意味では、紹介した会社のクラウドを実装して何台かロボットを並べ、連動させてロボット大喜利ということはやっています。結局は会話のエンジンの作り込み方次第だと思います。いま、Googleなどを使ってどこまでできるかは不明ですが。

4.ゲスト講演
テーマ:「IoTイノベーションに向けた電子部品商社の挑戦」
アールエスコンポーネンツ株式会社
イノベーション事業部 宮原 裕人 氏

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本日は講演の機会ありがとうございました。
話す機会がなかなかないので貴重な機会でした。
まずは自己紹介からですが、私は、RSコンポーネンツに所属しております。
RSコンポーネンツは、電子、電器、産業部品をアマゾンのように販売している会社でそこに所属しています。
以前は半導体メーカーで携帯電話の着メロのLSIのビジネスをおこなっていましたが2011年からRSで今の業務を行っています。

今日のテーマがIoTイノベーションでRSでやっていることをお話しいたします。
結論から申しますと開発のプロセスが変化しています。
IoTイノベーションと言うと大きな技術発展のことを示しますが、それを軸にではなく開発事態が大きく変わってきているということをお話しします。

今までの開発はハードウェアの開発からでPCを例にすると、マザーボードを設計してからケース、ソフトウェア、ミドルウェア、ドライバその上にシステムでそれをどのようにサービスにするかを考えていたのですが、昨今はそれをひっくるめて同時並行で進めて、サービスを提起してからそのサービスのハードやソフトを作るようになっています。
電子的なハードの会社なのでそこが焦点になっています。

大前提としてハードのプロセスは2つで、フェーズ1はハードの設計、デザイン、フェーズ2は製造でマニファクチャリングされた工場のラインで物をつくることです。
昨今の物づくりで世界に負けていると言うのは製造での話で、設計については、日本は世界をリードしています。グーグルやアップルが海外でデザインセンターを置いているのは、世界でも日本だけです。大きな会社ではデザインは日本でおこなっていますが、ビジネス的には製造の方が大きいのでその分負けているわけです。

物づくりの話をするときは設計と製造を分けて話さないとだめで、これは設計の話ですか?製造の話ですか?という点に注目してください。
製造は海外ですが設計は日本がリードしていて、その設計の行程がかわってきました。

設計の前フェーズでラピットプロトタイピングが行われるようになりました。
通常物づくりは、商品企画があって企画が通って予算が承認されて、作り始めるのが一般的でしたが今は商品企画の前に物を作ることが増えてきました。

ラピットプロトタイピングとはどんなものか?

パッと手早く作る、たくさん作る、たくさん作ったものを検証する、数十、数百のプロトタイプから物になりそうなプロトタイプを商品企画へ上げています。
またサービス全体を見渡してフィットする商品を検証するのがラピットプロトタイピングのプロセスです。
細かい視点として25年前の新商品の開発フェーズは、1つの会社やそのグループ会社全体で研究開発、コンセプトデザインを行い、それを商品企画会議に承認されて製造がはじまります。
設計、試作、評価は1回では終わらないので、第2、第3試作を行い設計データがフィックスして製造ラインとなり、世界中の販売ネットワークを利用して販売していくのが25年前の状況でした。
コスト面でみると、商品企画の承認が下りるまでは予算がつかないので、予算が使えませんでした。
良い製品を作るには、試作を2回、3回と試作回数を増やして精度を上げた商品を販売したいのですが、試作回数を増やすとコストもかかります。
製造業の会社では、なるべく試作回数を減らしたい、4~5回の試作を3回で終わらせたいから、CADやシミュレーションソフトに莫大な投資をして試作回数を減らすことが25年前経営課題の状況でした。

2000年以降はそれらが変わってきました。
まずは設計、試作、評価、製造を外部の会社に委託するようになりました。
例えばデジカメですがデジカメの設計をA、B、C社にだいたいの設計を依頼しますが、それらの会社が複数の設計を同時に受けることで、低コストでハイレベルな設計を受けることができるようになりました。

それから製造を中国や台湾の会社へ委託するようになる。
デジカメだけでなく、パソコンだとか携帯オーディオとか、そうゆう物を全部生産するラインをもっており、部材の手配も沢山注文した方が低コストになるので、百個注文するより1万個注文する方が低コストになるので、こういった会社に委託して低コスト化できるようになりました。

携帯とかパソコンとかのビジネスとやっている方なら聞いたことあると思いますが、設計とか製造とかをまとめてやる会社をODMと言いまして、製造だけではなくOEMなんかもできるようになりました。
これがここ20年~15年前くらいから、「ODMやOEMを利用して自社では作らず低コスト化しましょうよ」という流れになり、ここ十数年の動向なのかなと思います。

まとめますと、設計、製造を分業することでコスト削減を実現することができました。

低コスト化は成功したのですが、これはネガティブなこともありまして、商品的な魅力が低下しました。
何故かと言うと、一つの会社がいろいろな会社の製造を受けるので似たような製品になってしまい、特徴的なおもしろい商品が出にくくなります。
それから、通常試作開発をするとそこで溜まったノウハウを次の製品開発に利用することが一般的にあるのですが、同じグループ会社であればこのようなフィードバックの話もありましたが、別会社になったことで、このようなノウハウが生かされなくなってきた、ここで商品力が低下してしまった。

あとは複数の会社、一つの製品開発で3つ4つの会社がかかわることによって、それぞれの会社での設計基準に当てはめることによって、非常に尖がっていた製品がノーマルになると言うか、面白みのない商品に変わってしまった、と言うこともありまして、全体としては面白い商品が無くなってきましたよとなりまして、ここ10年の低コスト化の限界がきています。

さらにOEM、ODMで受けていた韓国や中国の会社が自社ブランドで日本市場に参入するケースが増えてきまして、そうなると低コスト化ではこちら側では勝てませんので今、困ってますと言う状況です。
ですのでもう低コスト化はあきらめて、高くても買ってくれるような斬新な機能、高価格な商品にシフトしようと国内の企業が製造業の考え方になっています。

そこでみなさんが始めたのがコンセプトデザインを見直そうという動きです。コンセプトデザインと言うのは基本的にどうゆう問題が、どうゆう風に解決されるかということで、それにより全体のコスト感がどのくらいになるのか見積もる重要な工程であるにも関わらず結構軽視されていました。

例えば、エレクトロニクス企業様でコンセプトデザインといったらパワポ1枚2枚で箇条書きで、これくらいの製品でこれくらいの機能ですで終わっていた企業も多いです。
でも、高付加価値な市場を狙って、今までなかったような製品を出す、となったらこれではちょっと新しいものができない。
ということで、そこを見直そうとラピッドプロトタイピングをやろうという動きになりつつあります。

ラピッドプロトタイピングの言葉についてですが、ラピッドプロトタイピングって聞いたことありますか?
これは、結構あいまいな言葉でして、自動車業界やメカ系の業界では積層造形3Dプリンタイズムをラピッドプロトタイピングと呼んでいます。

現在製造業で使っているラピッドプロトタイピングはこれとはちょっと違います。
外資系企業は直訳で迅速な試作と呼んでいますがこれもちょっとピンとこないので
私が伝えたいのはプロトタイプ開発の時短と定義したと思います。
つまり商品企画に入る前にプロトタイプを作りますよ。
しかも短期間でいっぱい作ります。と定義するのがラピッドプロトタイピングなのかなと思います。
ラピッドプロトタイピングが昨今50年くらいでそのような工程になったのは
3Dプリンタの普及、無料のCADが出てきたり、ソフトウェアもオープンソースになってライブラリが作りやすくなったということが挙げられます。
開発ボードも後ほど紹介しますがラズパイのように安価で高機能なボードがたくさん出てきました。
それからいままで不可能とされていた少量の物の物づくり、ハードウェア開発ができるようになったため、新しい工程としてラピッドプロトタイピングをここ数年やろうとなってきました。

ラピッドプロトタイピングをすると何が良いかと言うと
例えば商品企画を考えていただくと通常商品の担当者は「こういった方々にこういった商品を提案しましょう」と説明して、「ついては開発費3千万円下さい」と企画を上げますが、こうゆうやりとりを企画書3枚でできるのでしょうか?できないですね。
なので実際に物を作る。物を作ることによってこういった人たちに技術がわからない人たちにもこれがこのくらいビジネスになるかなと言うのがだいたいあたりがつくようになると思います。
あと昨今は投資金額をネット上から集めるサービスも出てきていますので
そこでも実際にプロトタイプも作ってネット上で動画にアップすることによって
たくさん資金を集められる、出資してくれる人がより多く現れるということもあって
プロトタイプが重要視されているのかなと思います。

IoTシステムも同じでプレゼン資料だけではなくプロトタイプで説得力がアップする
簡単なPoCを行って実際にこうゆう効果がありますよということを納得いただいて受注いただくというプロセスが一般的になっています。
最近は予算を承認する前にプロトタイプなりなにかしらの製品を作ります。
例えばエレクトロニック製品でしたら最終製品を週に2~3個のペースでプロトタイプを作ります。
そうすると1年間に100~150個の新商品のプロトタイプができるわけです。
商品企画者はその150個を使ってみたり、もしくはターゲットユーザーに使ってもらったりでそのフィードバックを得て
よりブラッシュアップした良い製品に磨き上げる
磨き上げたうえで最後に商品企画に入るというプロセスになります。
このプロセスはアップルでもグーグルでも手段をもっていまして海外の企業は結構ラピッドプロトタイピングに予算をかけています。
残念ながら国内の企業は昔からの慣習で商品企画前に予算をかけることが難しくて
研究開発費を削って削ってなんとか作っているという実状になっています。
なのでそう言った海外の企業と勝負できるいいものを作ろうとしたら、もっとラピッドプロトタイピングに予算を投じるべきだと思います。

ラピッドプロトタイピングをして商品企画をし、商品企画が通ったら海外の設計会社に委託し、製造も製造実績のあるちゃんとした会社に委託をして販売もネット通販を利用すると現地の営業のケアをすることはなく、国内のアセットメーカーはここだけを行うということになっています。

このビジネスモデルは個人の製造業もこのような形になっていて、
個人の製造業もプロトタイプを作成してクラウドファンディングで資金を集め、集まった資金をもとに外部の実力のある会社に設計委託をして、製造委託をして、ネットを通じて世界へ販売する。
これが個人で最近成功している個人製造業の流れになります。

かつてハードウェアはセットメーカーしかできない業種といわれていました。
ソニーさんとかパナソニックさんとか製造設備をもっている会社しかできなかったのですが、それが昨今では個人が物を作ったり異業種が新規に参入してきていたりいうところがあります。
セットメーカーからすると莫大な設備投資をしないと入ってこれず、そこが新規参入の産業障壁になっていたのですが、最近は個人でこつこつ物を作るというところが増えてきました。

あと他業種の新規参入という意味ではIT企業が自社のサービスと垂直統合するという意味で製造業へ入ってくるということがございます。

例えばグーグルなんかがスマートフォンをやろうとした場合にはHTCというスマートフォン会社を買収しまして製造も台湾でiPhoneなんかを作っている会社に委託して
一気にハードウェア事業に参入したということがございました。
彼らは自社のサービスの延長としてそのサービスを統合する形でハードウェアに進出してきているという流れになります。
彼らIT企業がやろうとしているのは自社の持っているクラウドオンラインサービスと末端のデバイスとを統合したサービスでハードウェアに参入しています。

ここで1点注意いただきたいのは最近エッジコンピューティングとかエッジとかの言い方をするかと思いますがこのエッジが業界によって呼ぶ場所が違います。IT系の方はですねエッジと言うとインターネットに入るゲートウェイとかをエッジと指しますが組み込み系のエンジニアではその先のデバイス側をエッジと呼ぶケースがあります。
なのでちゃんと区分けを認識していないと業界によってエッジの意思が疎通できないのでそこは整理したほうが良いのかなと最近は末端のデバイスのことをエンドポイントとかエンドデバイスとか呼ぶようになっています。
なのでエッジAIとか言ったときに基地局でするAIなのか?エンドポイントでやるAIなのかそれによって開発もかわるのでここはお客様によって呼び方が変わるので呼び方を注意いただいた方がよいのかなと思います。
異業種の新規参入はエンドポイントまでを組み込んだサービスでハードウェア事業に参入しています。

一般的に製造業に参入する産業障壁と言いますと巨額な設備投資が参入障壁だったのですが、それがすんなりいくようになりました。
他に参入障壁もあるのですが例えばブランド力であればITの事業での高いブランド力があればそれを使ってハードウェアに展開するとかできます。

流通チャンネルについてもかつては商社しか持っていなかったのが、オンラインでどんどんできるようになりここのハードルも低くなりました。
そんなこともあって新規参入のハードルが低くなって新規参入しやすくなっています。

電子機器革新のキーポイントを整理しますとプロトタイピングが大事です。
ですが日本のエンジニアにプロトタイピングをさせるとこだわって作るのですよ。
愛情をもって大事に。
これはよろしくなくて、もう金つくり、資金つくりと割り切ってプロトタイピングしましょうねと言いたい。10回に2~3回止まってもいいと思うんですよ。1回すごくいい動きをしてくれる、それを動画で撮って資金つくりすればよいのですよ。
それくらい割り切ってプロトタイピングするのが大事かなと思います。

せっかくプロトタイプを作ったのですからわかりやすさとインパクトが大事かなと、プロトタイピングをやるのに1個こだわってやるのではなく、ざっと2週間に2~3個
急ペースで早くたくさんつくることがポイントになるのかと思います。

こういったプロセスをやろうとした時の注意点ですが、大規模セットメーカーの場合かつてこれまで本設計をやってきたエンジニアがいますので、その本設計でやっているカルチャーをプロトタイピングに持ち込まないことが重要です。
例えばこれやると歩留まりが悪くなるとかですね、メンテナンスが落ちるとかですね、そういった本設計のやり方をプロトタイピングに持ち込もうとします。
そんなのは無視し機能だけに特化してやりましょうということが大事かなと思います。

クラウドをどう活用するか、今後IT企業がハードウェアに参入することもありますが、セットメーカーとしてはもともとのハードウェアのプロフェッショナルとしてそこに対してクラウドをどう活用するのか、もしくはクラウドを活用しなくても良いどのような差別化をするのか、十分に考えるのが大事なのかなと思っています。

個人で製造業をするための注意点は、なんでもかんでも自分でやらないことです。
プロトタイピングをして予算とり、そのあと本設計も自分でやろうとする方が非常に多いのですが、本設計はとてもとてもそんな簡単にできるものではありません。
これは専門家にお金をかけてまかせる。自分でやらないと言うのが大事かと思います。
その浮いた時間をマーケティングだったり販売戦略だったりシステムの構築だったりそうゆうところに時間を割くのがキーポイントです。

今の成功するハードウェアのプロセスがこのようなプロセスになります。

私どもRSコンポーネンツ、デザインスパークはここのラピッドプロトタイピングに最適なサービスを提供しようと考えています。

遅くなりましたが会社の紹介となりますが、RSコンポーネンツはネットで注文できる工業部品、産業部品を販売している会社です。
2500ブランドと取引をしていましてSDマイクロ、マイクロチップ、マイクロソフトもインテルも、幅広いブランドの商品、部品を販売しています。
特に一番強いのは国内に大きな倉庫をもっていまして、本日6時まで注文していただければ明日日本全国にどこでも届けますというビジネスをやらせていただいています。
なのでプロトタイプを週に2~3個作らないといけない時に来週届きますではなく、「明日届きますよ」にフォーカスして大きな倉庫をもってそのようなビジネスに注力しています。

取り扱いも様々な部品があって消耗品なんかもあったりしまして、工具なんかも置いています。電気工事用の工具なんかも取り揃えています。
こういった製品を横浜の倉庫からお届けします。

あとデザインスパークと言うサブブランドをもっていまして、そこで無料でつかえるCADソフトなんかも提供してます。

三次元CADソフトなのですが、これが無料で使えます。
二次元図面に図を描いていただき持ち上げて三次元にできます。
このようなソフトは商用利用の場合は別途費用がかかるというのが多いですが、このソフトは商用でも無料で使えます。

あと3次元プリント基板を設計するためのCADソフトや、そのCADを使ったリファレンスデータを利用した設計の参考データを提供していて、プログラムでいうところのサンプルプログラムと呼んでいて、ユーザーはこれをダウンロードしてCAD上でちょっといじれば試作でき、それをビジネスに使っても良いと言った物を提供しています。

我々はこういった取り組みを世界中でやっていますので、80万人の先進的な取り組みをしている方へリーチできるというビジネスもやっています。
あと特徴としてラズベリーパイの総代理店をやっています。

電子部品の業界もちょっと特殊で電子部品メーカーもいくつかありましてそこからセットメーカーに注文された部品を納入するのですが、通常ここは直接取引ぜず、部品商社に委託しています。
その部品商社のFAE技術営業が部品メーカーの他の様々な部品をセットメーカーへ売り込みを行うということをやっています。
セットメーカーの方は携帯電話を作っているような会社ですと、何十件、何百件の製造をやりますのでそこに向けて部品を降ろすと降ろすがてらに次の製品の開発者を紹介してくださいというわけです。
その人が次のモデルの開発者にリーチして今度部品メーカーから新しいチップが入りますよ。何かつくりませんか?とアイデア出すわけです。
それを徹底的にサポートしてプロジェクトを成功まで導くことをやっています。
一方でこのFAEが部品メーカーにセットメーカーAさんに品川の次のプロジェクトがいつまでにこんだけのプロジェクトがありそうですよと、需要のところをメーカーさんに提供すると言うのが部品ビジネスの一般的な形でした。

ところがこのFAEは本設計部隊にアプローチしていたのですが、本設計が海外にいってしまいました。
部品選定はラピッドプロトタイピングに移行していますが、この技術営業はラピッドプロトタイピングのチームにアクセスできないのです。
なぜなら大量に買ってくれるお客様ではないので購買も相手にしてくれないという状況になりつつあります。
なのでこのようなモデルにかわってきて、RSが直接部品やソリューションを提供しますよというビジネスで、ここから得たいろんなノウハウをビッグデータをメーカー様にフィードバックしてますよ。というようなことをやっています。

ラズベリーパイご存じですか?
このようなマイコンボードがありまして手のひらサイズのマイコンボードです。
2012年にリリースされまして全世界に3000万台累計販売してます。
マイコンボードとしては異例です。
もともとイギリスのチャリティ財団が教育向けで開発しましたが、このコストパフォーマンスが受けてビジネス用にも使いたいとかいろいろな用途に広がっています。

例えば書籍を見ても本屋にもラズベリーパイ専用コーナーがあって他のマイコン系の書籍よりはるかに多いです。
有名なIT企業がどんどんコラボレーション発表していましてIT系の会社との連携が柔軟に進んでいます。
このラズベリーパイですがIoTの取り組みで結構取り上げられることが多くなり、どういったことかと言うとIoTで屋外の何かをセンシングしたいとか、ビルのメンテナンスとかそこのセンシングデータをインターネットに転送するという基地局としてラズベリーパイを使う場合が増えています。
最終的に集めたデータをクラウド系にもっていってそこでIT系のシステムと連動するのですが、そこの中間を担う役割としてラズベリーパイを用いるケースが多いのかなと思います。

IoTを実現するスマートシティとかあるのですがシティでセンシングしたデータを可視化して今何が問題なのか、予測されるリスクは何なのか、データをもとにAIでどういった問題があるのか、センサーノードがあってそこから無線通信でゲートウェイに集めてそこからインターネットを介してIoTプラットフォームのクラウドにデータを送るような形になります。
ここのゲートウェイとしてラズベリーパイに関心をもたれている状況です。
弊社ではこのようなニーズに対し、LoRa通信モジュールを提供しています。
他にも拡張ボードも販売しています。

IoTまわり特に製造業でプロセスが大きく変わってきています。
プロトタイプが重要ですよ。プロトタイピングに力を入れてRSのサービスを使うことによって柔軟にやることができますよとなりますので、RSのサービスご利用いただきたいです。
われわれが感じているのは今までの縦割りでエレクトロニクスはエレクトロニクス、メカはメカ、ITはIT、コンテンツはコンテンツ、通信は通信だけやっていれば良いという構造が壊れてしまって、おそらく一つの企業で全部を見なくてはならなくなってきているのかなとその時に一つをまとめてプロトタイピングできる強力なパートナーが必要なのですが、その際にRSと一緒にやっていただければと思います。

■FAQ
Q1.ラピッドプロトタイピングのお話しでしたが、私どもソフトウェアの会社ですがラピッドプロトタイピングをする部隊をもっていますが、試作した作ったものを新製品として売り出そうとか既存の製品サービスに組み込もうとかの試みをしているのですが、いかんせん文化が違うというかラピッドプロトタイピングするチームと本製造するコーディングをする部隊と、きれいなスキームができていないのが今の状況なのですがそこの流れをうまくするコツはありますか?
本設計からするとラピッドプロトタイピングのチームは派手なものがおおかったりとか、文化の違いが社内であるのですがプロトタイピングで作ったものを、本製品としてきれいにだすとかのスキームがうまくまわっていません。

A1.プロトタイプの部隊と本設計の部隊のカルチャーの違いは結構大きくて、そこを別物だろ割り切るのがいいのかと思います。
日本のプロトタイプの部隊は本設計の思想だとか向いてる方向性を引きずってプロトタイプにきている方が多いので、プロトタイプは金を作るための手段として割り切って作ると、本設計は全くのゼロから作るのでソフトウェアのアジャイルとは違うのかなと。
アジャイルはちょっと作って肉付けするイメージですが、そうではなくてまったくの別プロジェクトなのでそこが重要じゃないかなと。
それを引きづってバトルになるので割り切ってやるしかないかと、そうゆうことで躓いているのかなと思います。

Q2.御社のサービスで3Dプリントのサービスに結構需要があるのかなと思いますが、そういったサービスはありますか?

A2.いまはないのですが提供している3DCADのソフトのバージョンアップで、3Dプリントで制作した場合と切削でやった場合のコストがでるので、そこから発注もできるようになります。
うちの売り上げにはなりませんがお客様からは一貫してできるようになり、お客様にはメリットになるのかなと思います。

5. さくらインターネット社からのご紹介
テーマ:「さくらのクラウドとIoT」
さくらインターネット株式会社 技術本部 ビジネス推進グループ クラウドチーム 吉村 卓也 氏
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本日はIoTがテーマということで、新機能を話そうとも思ったのですが、さくらのクラウドでも昨今IoT用途の製品群を提供しているので、そちらの紹介をさせていただきます。

さくらインターネットのサービス
・レンタルサーバー
・VPS
・クラウド
・専用サーバー
・データセンター
・新サービス(sakura.io、高火力コンピューティング)

石狩データセンター
・現在3,000ラック規模、最終的には6,800ラック規模を予定

さくらのクラウド
・「開発者志向のシンプルなクラウド」「高い自由度」「仮想データセンターを操作」がコンセプト

さくらのセキュアモバイルコネクト

・コンセプト
 - SIMからさくらのクラウドへLTE閉鎖網で直結
 - モバイルゲートウェイを経由し、さくらの他のサービスとも接続
 - 安全で安価なSIMが月額12円から

・特長
 - 強固なセキュリティ
 - 通信速度制限なし
 - 低コストを実現

・さくらが提供するIoT用途製品群
 -[新規製造製品向け]sakura.io:プラットフォームの提供(基本機能)
 -[既存製品向け]セキュアモバイルコネクト:IoT向けSIMの提供(通信機能)

・活用シーン
 - 監視カメラ
 - ドライブレコーダー
 - 自動販売機

・構成(接続は3パターン)
 - プライベート専用
 - インターネットにもアクセス可
 - マルチリソース構成

・料金
 <初期費用(税込み)>
 - SIM本体価格:2,200円/枚
 - 基本使用料:SIM 1枚あたり 13円/月
 <月額費用(税込み)>
 - モバイルゲートウェイ:4,400円/月(SIMカード最大1万枚まで登録可能)
 - データ通信料:SoftBank 6円/MB、 KDDI 6円/MB、NTT DOCOMO 40円/MB

・SIMについて
 - 提供するSIMは2サイズ
  マルチサイズSIM:デバイスの大きさにあわせてカットできる
  チップ型SIM(MFF2):最小ロット500枚から購入可能
 - 基本機能
 ・LTE通信専用
 ・データ通信専用
 ・SMS送受信機能なし
 ・IMEIロック可能
 ・アクティブ、非アクティブ切り替え可
 ・ログ確認

■FAQ
Q1. 閉域網は日本の会社には比較的好まれると思いますが、閉域網にしたのはそのような狙いがあるのでしょうか?
A1. そうですね国内の事業者をターゲットにしたり、最近ですとDX化(デジタルトランスフォーメーション)だったり、製造業だったり、インターを提供しているような会社で通信網を確保したい、重要なデータで外部からはアクセスできないようにしたいという需要があり、そういったところに完全閉域で提供しています。

Q2. SIMは形的にはスマホに挿さると思いますが、SIMをアンドロイドのスマホに挿して使う場合、できる範囲とできないことを教えていただけますでしょうか?
A2. 通常のスマホに挿して使うこともできます。APN(通信するための設定情報)を入れると、アンドロイドとiPhoneもつながるのは社内では検証ができています。データ通信専用になりますが、スマホでも利用することができます。ただ、先程ご紹介した通りMB単価が高いので、スマホで使うと請求が凄いことになります。

Q3. セキュアモバイルコネクトはSIMだけではなくソリューションとしても提供しているのでしょうか?
A3. 基本はSIMだけですが、ソリューション提供の場合は間にSIerに入ってもらうことになります。パートナーチームがありますので、NCWGメンバーの方ももちろん参加していただくことが可能です。

Q4. ローカル5Gについての取り組みはどのようになっていますか?
A4. セキュアモバイルコネクト、さくらのIoTを含めて検討はしています。直接の担当者ではないのでどこまで言っていいのかという部分もあり、検討しているということで回答にさせてください。

Q5. セキュアモバイルコネクトはIPアドレスが自由に設定できるということですが、そのIPアドレスにアクセスするには、例えばVPSだったりとかクラウドのほうから入っていけば閉域網がつながっているから接続できるという理解でいいでしょうか?
A5. まさしくそのとおりです。さくらのVPSとかクラウドに同じセグメントのIPアドレスを割り振れば、そのデバイスに直接アクセスができます。あとは、SIM間通信もできるので、例えばAというデバイスとBというデバイスがあって、そこに192.168.100の1と2というように振り分ければ、100の1から100の2に通信できるようになります、これが意外と他の事業者はできないようなのでアドバンテージになっています。

7. 会長からの総括
会長 小堀 吉伸
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みなさんおつかれさまでした。ニッポンクラウドワーキンググループは「Beyonnd the Clouds」ということで取り組んでいますが、先程、宮原さんにお話いただいたエッジの部分、またその先の末端のエッジの部分のことなども考えていますので、今日は有意義なお話をありがとうございました。

本日の会場を提供いただきましたさくらインターネットさん、ありがとうございました。毎年会場を提供していただいて、もう7年お借りしています。このように会場を提供いただけるので会合が開けます。いつも感謝しています。ありがとうございました。

このあと、尾鷲理事のほうから今年度夏までの予定をお話させていただきますが、コロナウイルスの影響がどのようになるかわからない部分もありますが、直近には3月の支援セミナ、4月の会合、6月には大阪での会合を予定しています。それ以外にも5月にはリンクさんでセミナーなどの予定があります。ありがたいことに「これもやりたい、あれもやりたい」との声が多く上がり、1年が16カ月位あればいいなと思うような状況です。皆さんも、まずは健康管理にご留意いただき、参加いただければと思います。

先程のさくらインターネット 吉村さんのお話のなかでもパートナーに関する話がありましたが、例えばGMOクラウドさんなど、いろいろパートナー会に参加する機会があります。しかしながら、パートナー会の場でNCWGのメンバーと会うことはあまりありません。メンバーさん、協賛さんの中でこのパートナーと付き合いたいとかがあれば、理事や実行委員に言っていただければHUBになるのでコネクトしたいと思います。

NCWGは今年で9年目、来年で10年になります、冒頭に尾鷲理事からもお話がありましたが、KDDIさんが協賛に手を挙げていただきました。毎回、協賛に手を挙げていただくと、我々がやってきたことをきちんと見ていただけているのかなとありがたく思います。ずっとコンスタントに20社の協賛さんにご支援をいただき、こうやって活動ができています。

ご参加いただいている方はご存知だと思いますが、NCWGは9年間変わらずクローズでやっています。この会合も告知はしていますが、一般の方は参加できない形になっています。メンバーさん、協賛さんともにクラウドビジネスにつないでいただいて、言い方は悪いですが稼いでいただければと思います。「こういうことをやりたいな」というときに、脇を見ると一緒に組める人がいるというような、いい意味での生簀にしておきたいと思います。会合もですけど、部会にもせひ加わっていただいて、テクニカルな部分もですが、ノウハウや人のつながりを身につけていただき、NCWGはそういう使い方をしていただければ存在意義もあると思います。

引き続きこのような形で活動をしていきますので、どうどよろしくお願いいたします。本日は誠にありがとうございました。

【NCWG実行委員 報告書作成者】
実行委員 佐々木 泰(株式会社クオリティア)
実行委員 井口 和彦(株式会社ドヴァ)

第58回ニッポンクラウドワーキンググループ会合報告

『衛星測位を利用した時空間情報でクラウドビジネスを活かす!』をテーマに、ニッポンクラウドワーキンググループ第58回会合を開催いたしました。

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【テーマ】『衛星測位を利用した時空間情報でクラウドビジネスを活かす!』
【日 時】2019年7月11日(木)17:00~19:00
【会 場】富士通株式会社 セミナールーム(浜松町 世界貿易センタービル)
【参加者】メンバー、協賛各社および関係者の方々を含めて50名

【司会者のご紹介】
実行委員 大澤 武史(株式会社クリエイトラボ)

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1.開催のご挨拶
NCWG副会長 藤田 浩之

みなさま、本日は第58回NCWG会合にお集まりいただき、ありがとうございます。

まず、本日会場をご提供いただきました富士通さん、ありがとうございます。
富士通さんでの開催はちょうど一年ぶりとなります。今年も富士通さんで開催させていただけることができ、改めて感謝いたします。今後ともどうぞ、よろしくお願いいたします。

そして今回の開催ですが、「衛星測位を利用した時空間情報でクラウドビジネスを活かす!」というテーマで、ゲスト講演では、衛星測位利用推進センターの三神さんにお話しいただきます。
今期のNCWGは主に宇宙ビジネスをテーマに会合を開催しており、リモートセンシングからLora(LPWA)を用いた衛星との通信、そして宇宙エレベーターまで色々な情報を得られたかと思いますが、今回はさらに、国産の衛星測位システム、準天頂衛星みちびきについてお話いただきます。
既にみなさん、クラウドのインフラを利活用するのは得意だと思いますが、宇宙のインフラを利活用するのはこれからだと思います。
これまでNCWGで得られてた宇宙の知見を活かし、この場を活かして、メンバー間で相互に価値を高め合って、サムライクラウド=日本から発出するクラウドビジネスモデルにつなげていっていただければと思います。

Beyond the Clouds! ~ムスビ(結)で、実を活かす!~

本日もよろしくお願いいたします。

2.新規メンバー・協賛のご紹介

<新規メンバー>
・株式会社ディーアイ・ネクスト
・富士ネットシステムズ株式会社
・有限会社シェルンコアテクノロジー

3.部会報告
サムライクラウド部会
部会長 野元 恒志
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サムライクラウド部会では、SAMLシングルサインオンをベースとしてマイクロサービスとの関わり、アプリケーション基盤全般に関して議論をしております。最近では、技術議論に加えて、ソフトウェア開発生産性の議論も行っております。6月の大阪会合では、部会メンバーのプロキューブ中川路さんから二要素認証について、わかりやすくお話頂きました、参加者からも好評で大変よかったです。次回は、9月末に開催予定です。是非ご参加ください。

クラウドアプリケーション部会
部会長 尾鷲 彰一
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一昨年前は、IoTでデータ収集、昨年度は、AIでデータ解析についての内容で部会を開催してきましたが、机上での活動でした。
今期は、実際にフィールド(屋外)で、雨量計や、照度計などのセンサーデータの収集などを行い、できればAIにつなげるところまでを実際にフィールドでやっていきたいと考え活動しております。
前回、8月29日に開催しまして、LoRaWANのサービスである、The Things Networkおよび、センサーノードのプログラムについて理解を深めました。
次回部下開催は、9月末を予定しております。是非ご参加ください。

クラウドビジネス推進部会
部会長 藤田 浩之
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クラウドビジネス推進部会は、クラウドサービス部会とともに、二部会共同で部会を定期開催をしております。

クラウドサービス部会では、セオドア・レベットの『ホールプロダクト』の概念を軸に、クラウドサービスを多くの顧客に利用してもらうために「備えるべ き機能や特徴とは何なのか」を、技術的な側面ではなく「サービス」と「クラウド(サムライクラウド)」の視点から考察し、また参加メンバーからサービス視点での発表を行っています。

クラウドビジネス推進部会では、今注目されつつある「シチズンデータサイエンス」をテーマに、ビジネス視点で『機械学習』に目を向け、様々なデータの利活用について議論し、また参加メンバーから発表を行っています。

是非部会にご参加ください!

4.ゲスト講演
テーマ:『準天頂衛星「みちびき」と世界の測位衛星が開拓する未来』
一般社団法人 衛星測位利用推進センター
専務理事 博士(工学)三神 泉 氏

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私は1978年に三菱電気に入社しまして、初めて手がけましたのは野辺山の直径45メートルの電波望遠鏡です。この時から富士通さんとは一緒に仕事をさせていただいており、「すばる望遠鏡」では全体システムの研究開発から最後はマネージャとして最初から最後までを担当しました。生い立ちから育ちまでがすべて宇宙に関係しておりますが、ついには宇宙に望遠鏡を打ち上げたいということでJAXAで太陽だけを観測する望遠鏡「ひので」を打ち上げまして、「ひので」は今でも活躍しております。
現在は衛星測位利用推進センター (SPAC)で準天頂衛星の利活用の推進などに携わっています。

<みちびきとは>
みちびきは昨年の11月1日に4機体制による本格的なサービスが開始されました。内閣府が作りましたPR映像では8の字を描く独特の軌道などが確認できます。現在この8の字の軌道に3機の衛星がまわっていますが、頂点の東京付近に8時間滞在し、必ず1機または2機が見えますので、見かけ上GPSの数が増えたようになります。
みちびきとGPS以外にも世界ではたくさんの測位衛星があり、規模だけであればGPSを超えているというような状況です。
ただし測位精度は様々で、GPSなどを使った普通の測位サービスでは数メータの精度しかでません。電磁層を通る時の屈折などで発生する誤差をできる限りなくし、センチメータ級の精度にしようというのがみちびきのCLAS(Centimeter Level Augmentation Service)です。
今実用サービスとして提供しているのが、サブメータクラスのSLASとセンチメータクラスのCLASです。

<実証実験>
CLASは全国と離島、および日本の海岸線から数十キロ程度まではカバーできるようになっています。このサービスを利用して、一例として下記実験が行われています。

・除雪作業の自動化
・ドローンによるラストワンマイルサービスの高度化
・農業におけるトラクターの自動化
など

<センチメートルクラス衛星測位の問題点>
SLASに対応した受信機はポケットに入れられるものが市販されており、値段も比較的手に入りやすいものです。一方高精度のCLASの受信機は現在数社からのみの提供で大きさは18センチ×9センチ、厚さ7センチ程度で、価格も1台が数十万円となっています。
メーカーとしては大量に安く作ることもできますが、その大量のユーザーが保証されないと動きにくく、一方ユーザー側では安くて小さい受信機がでないとサービスを始めることができない、といった板挟みの状況をどう解決していくかがポイントになります。

また、マルチパスという問題もあります。マルチパスは高層ビルなどに囲まれている場所で衛星から直接届いた電波とビルなどに反射して届いた電波がミックスされてしまい衛星までの距離の信号が誤差を起こしてしまう現象です。ただし、様々な工夫により、実測値でほとんど誤差がでないデータの取得に成功することができるようになってきました。

<みちびきを利用したサービスの今後>
みちびきが提供するサービスに未来・現在・過去のデータを合わせて、色々なサービスを行うIoT社会になっていくものと考えていますが、まだまだ思いもつかない新しいサービスや事業があるのだろうと思います。色々な適用分野に個人や個別の団体等のスケジュール・趣味・思考等の情報にAI、クラウドの技術ミックスされて事業が生まれていくのだろうと考えています。

■FAQ
Q1:紹介動画の中で倉庫内の自動運転が紹介されていたのですが、これも衛星測位ですか?
A1:建物の中は衛星測位ではなく専用の測位システムを使っているはずです。

Q2:災害に関する衛星測位の活用にはどのようなことが考えられるのでしょうか。
A2:電波の中に津波情報や竜巻情報などのメッセージが埋め込み、災害情報をいち早く受けることができます。ただ、災害情報を受けるだけではなくどこに逃げるかの誘導などもできるようになれば良いと考えています。また、避難所にみちびきと双方向で通信できる受信機を置き、災害救助センターと情報交換ができるとういことが数年で実現すると思います。

Q3:実用化が活発になってくる時期について見通しについて教えてください。
A3:非常に難しい質問です。先ほどの受信機の低コスト化との兼ね合いになります。思い切って大きな額を投資するような企業が現れると一気に波が来ると思いますが、現在は徐々にという状況です。もしかしたら東京オリンピックを契機に変わるかもしれません。

5.富士通社からの各種ご紹介

■「これからの日本とセキュリティ~No Security、No Digital~」
シニアエバンジェリスト 太田 大州 氏

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富士通でセキュリティ分野のシニアエバンジェリストである太田大州氏から、デジタル社会におけるサイバーセキュリティの動向、クラウドビジネスで必要となるセキュリティ対策についてお話をいただきました。

■「Developers Community Fujitsu Tech Talk」についてご紹介
グローバルマーケティング本部ポートフォリオ戦略統括部 シニアディレクター 宮沢健太 氏

クラウドをベースとしたシステムやサービス提供を行う開発者が、クラウドやAIなどのテクノロジーやビジネス活用について議論するコミュニティ「Fujitsu Tech Talk」について紹介がありました。9月12日にもイベントが開催される予定です。
詳細は、以下URLからご確認ください。
https://www.fujitsu.com/jp/metaarc/developer/fujitsutechtalk/

6.会長からの総括
会長 小堀 吉伸

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皆さん、お疲れ様でした。

ご講演いただいた衛星測位利用推進センターの三神さん、
かなり以前からご講演のお願いをしていたので、お話しをお聞きできて大変ありがたかったです。本当にありがとうございました。

あらためてお話しするのも変ですが、我々ニッポンクラウドワーキンググループは、名称にクラウドと付いているので、クラウドコンピューティングに関わる団体です。活動開始から会合では、多くの分野の方々にお話しいただき、ここ数年では、人工知能や衛星データ、宇宙ビジネスと言った方々にお話ししていただきましたが、ご講演者の方々とお話しすると、皆さん、「結局は、後ろは、クラウドだから」ってお話しをされることを思い出しながら、三神さんのお話をお聞きしていました。
お話をお聞きしながらセンチメータ級測位補強サービスは、誤差数cmで測位を行うことが可能とのことなので、間違い無く、あらゆる分野で出来ることの範囲が広がると考えれば、クラウドビジネス化には、創造力や独創性など見えないものが見える力が必要なのだと実感しています。

また、昨年同様に会場をご提供いただいた、富士通さんには、大変感謝しております。ありがとうございました。シニアエバンジェリストの太田さんのお話しは、サイバーセキュリティの動向をもとに、クラウドビジネスで必要なセキュリティ対策についてまで、きっちりした実例に基づいたお話しをお聞きできて大変ありがたかったです。ありがとうございました。

ニッポンクラウドワーキンググループとして、活動開始から八年が経ち今回の会合は、58回目となります。58回会合を行い、毎回、様々な色合いで会合開催してきましたが、今回のご講演者の三神さん、富士通の太田さんのお話しは、大変重みがあり、ニッポンクラウドワーキンググループは、クローズドの団体として活動してきましたが、なかなかお話しをお聴きできない方々のお話しが聴けて大変ありがたいことだと、ご講演をお聞きしながら感じていました。

ところで、今年度の会のテーマが、「Beyond the Clouds! ムスビ(結)で、実を活かす!」と言うことで、活動を行っています。クラウドを超えてってことなのですが、「クラウド」は、あくまでもビジネス実現のための道具なので、道具を目的にするのではなく、その先にあるものを目的にして、それを掴み取れ(実現する)ば、自然にクラウドは使われると言う意味合いで「Beyond the Clouds!」を掲げています。Beyond the Cloudsの視点からも、センチメータ級測位補強サービスのお話しは、大変有意義なお話をお聞きできました。
ニッポンクラウドワーキンググループの存在意義として、日本のクラウドビジネスのパイを少しでも広げることは、設立時から変わらないので、引き続きメンバー、ご協賛の皆さんには、会を使っていただきクラウドビジネスに繋げていただければ、活動している意味も強いものになるので、是非ともよろしくお願いします。
そのためには、シンボリックなことも大切なので、日本から発出するクラウドビジネスモデルとしての、サムライクラウドをご参加いただいている皆さんには、引き続き前面に掲げていただきながら会の活動にご参加いただければありがたいです。

引き続き有意義で活発な会にして行きたいと考えていますが、ただ、会の趣旨としては、これからもメンバー、ご協賛でのクローズドに活動を行って行きますので、ニッポンクラウドワーキンググループに関わられている方に参加いただけないと会の活動の推進力を失います。是非、積極的に部会含めて会の活動にご参加ください。
本日は、お疲れ様でした。ありがとうございました。

7.懇親会
懇親会についても大いに盛り上がり、メンバー・ご協賛の方々との積極的な交流を図ることができました。
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ご参加された皆さん、お疲れ様でした。

【NCWG実行委員 報告書作成者】
宮崎 秀人(エヌ・ティ・ティ・スマートコネクト株式会社)
横手 広樹(株式会社クリエイトラボ)

第57回ニッポンクラウドワーキンググループ会合[大阪開催]報告

『サムライクラウドと宇宙ビジネスで、日本のクラウドビジネスを活かす!』をテーマに、第57回ニッポンクラウドワーキンググループ会合を開催いたしました。
今回の大阪での会合は、GMOクラウド株式会社さんに会場をご提供いただき、多くの方々にご参加いただき活気ある会合となりました。

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【テーマ】『サムライクラウドと宇宙ビジネスで、日本のクラウドビジネスを活かす!』
【日 時】2019年6月7日(金)16:00~19:00
【会 場】GMOクラウド株式会社 大阪支社
【参加者】メンバー、協賛各社および関係者の方々を含めて50名程度

1.開催のご挨拶
NCWG副会長 藤田 浩之
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皆さん、本日は第57回NCWG会合大阪開催にお集まりいただきありがとうございます。
副会長の藤田です。

今年もここ大阪に戻ってきました。
我々普段は東京で会合を開催しているのですが、大阪では毎年6月に我々の会合を開催させていただいておりまして、2011年の設立以来、大阪では年1回ではありますが継続して開催しており回を重ねております。
普段の会合は会員限定で開催していますが、この大阪開催は会を広く知っていただくことを目的にオープン開催とし、一般の方々もご参加いただいております。
そんな中で今年も大阪での開催が実現でき1つ回を重ねるわけですが、これは例年のあたりまえということではなく、毎回毎回、みなさんをはじめ、会に関わっていただくいろいろな方の協力あってこそだと思います。

今回も色々な方にご協力いただいて開催できております。

まず初めに本日この会場をご提供いただきましたGMOクラウドさん、ありがとうございます。この会場は普段は社員さんの憩いのスペースとなっているとのことですが、今日は会合のためにまるまる空けていただいております。感謝いたします。さらにGMOさんからも新サービスのご紹介があるとのこと。ワクワクと期待でいっぱいです。よろしくお願いいたします。

今回の会合テーマですが「サムライクラウドと宇宙ビジネスで、日本のクラウドビジネスを活かす!」というテーマで、サムライクラウド部会から、プロキューブの中川路さんに二要素認証の標準仕様についてお話いただきます。そして、ゲスト講演として、和歌山大学 教授の秋山先生に「LoRaと衛星通信」についてお話いただきます。どちらも、興味深いテーマで、もうワクワクが止まりませんね。お引き受けいただき、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

続いて会の運営に協力いただいている実行委員の皆さん。今日も多くの実行委員がここ大阪に集まってくれました。ありがとう。最後までよろしく!

そして、最後に今日この場に集まっていただいたみなさん。今日はお集まりいただきありがとうございます。
我々ニッポンクラウドワーキンググループは、みなさんに場を提供するということを一つの使命としています。ある意味で、われわれは場を提供するまでで、この場をどのように活かすのかは皆さんの腕にかかっています。
ですので、是非この場を活かして、クラウドビジネスモデルを生み出し、日本から世界に発出していただきたいと思います。それが我々が“サムライクラウド”という言葉に込めた思いです。

『Beyond the clouds ~ムスビで、実を活かす!~』
今期の我々のスローガンでもありますので、是非われわれもふくめみなさんで今回の会合を盛り上げたいと思いますので、どうぞ最後までよろしくおねがいいたします。

2.会の活動紹介及び各種部会の活動紹介

<会の活動紹介>
会長 小堀 吉伸
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ニッポンクラウドワーキンググループは、日本国内のISV、クラウドサービス提供者が集まりニュートラルな立ち位置から「クラウド」上での各種の連携(サムライクラウド)のための技術的およびビジネス的な交流を積極的に行うために活動を開始し活動開始から8年が経ちます。

クラウドビジネスのマーケットを広げるためにも、ニュートラルな立ち位置だからこそできることがあり、さらに様々なクラウドサービスを繋げること(グランドクラウド)でクラウドの利便性の向上させることでクラウド利用のハードルを下げ、結果的にクラウドビジネスのマーケットが広がると考えています。

そのためには、日本から発信できるアプリケーションプラットフォーム(サムライクラウド)を作り上げ、それを推進力に日本のクラウドビジネスのマーケットを広げることを目的にしています。

現在、メンバー企業が90社、ご協賛が21社、アカデミアンの方々によるサムライクラウドサポーターが6名、総数としては、500名の方々に関わっていただき、基本的にはクローズドの形で会の活動を行っています。

会の活動としては、2ヶ月に1回のペースで定期的にこのような会合を開催しています。またこの後ご紹介する、4つの部会で技術的な活動からサービス的な視点に至るまで広く活動を行っています。

通常会合は、ニッポンクラウドの関係者のみクローズドで開催していますが、毎年この時期に行う大阪会合は、オープン開催にして会の活動を関西の方々にも知っていただきたいとの趣旨から開催しております。

また、会合や部会の運営につきましては、メンバー、ご協賛の方々16名に参加していただき、実行委員会と言う枠組みで会の運営を行っており、現在、12社16名の方に参加していただいています。

詳細については、こちらの資料をご覧ください。

<各部会の活動報告>

サムライクラウド部会
部会長 野元 恒志
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サムライクラウド部会では、SAML、OpenSocialガジェットによるアプリケーションの連携という軸をベースにアプリケーション認証基盤、MicroService化に必要な検証事項などを議題に月に一度の定例部会を実施しています。

この後、部会からの発表として中川路さんから発表頂きます。認証技術に関しては、私はこの方にすべてを習ったとも言えるほど見識のある方です。二要素認証、WebAuthenticationが、今後私達に何をもたらすか、皆さんに確認していただきたいと思います。

部会参加は随時募集しています。懇親会ででも声をかけてください。

クラウドアプリケーション部会
部会長 尾鷲 彰一
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一昨年前は、IoTでデータ収集、昨年度は、AIでデータ解析についての内容で部会を開催してきましたが、机上での活動でした。
今期は、実際にフィールド(屋外)で、雨量計や、照度計などのセンサーデータの収集などを行い、できればAIにつなげるところまでを実際にフィールドでやっていきたいと考え活動しております。
次回部下開催は、7月末を予定しております。是非ご参加ください。

クラウドビジネス推進部会
部会長 藤田 浩之
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クラウドビジネス推進部会では、クラウドを利活用してビジネスに繋げるための、リアルな情報で 語り合う場を提供し、様々な方法で、実際のクラウドビジネス創出を促進し、結果として“ニッポン”発のクラウドビジネスモデル(サムライクラウド)の発展に繋げることを活動指針として掲げています。

実際の活動としては定期的に部会を開催しており、部会ではクラウドビジネスに繋がる勉強会を開催しており、今期は「シチズンデータサイエンス」がテーマです。

「シチズンデータサイエンス」はガートナーの日本の先進技術のハイプサイクルでこれからトレンドとなるキーワードの一つです。

そもそものデータサイエンスとは、「情報学」「数学および統計学」「専門領域の知識」を束ね、データ処理、データ分析を行い、価値創造につなげることと定義されますが、データサイエンスを実施するデータサイエンティストには、数学および統計学に長け、情報学に長け、専門領域のある程度の知識を有し、専門領域にいるビジネスパーソンとの円滑なコミュニケーションスキルが求められます。

つまり、データサイエンスをビジネスに活用しようとすると、上述のとおり高度なスキルを有する人材が必要になります。

一方、「シチズンデータサイエンス」はデータサイエンティストの役割を、進化する技術に代替させ、専門領域の知識を有するビジネスパーソン自らデータサイエンスを実施することを示します。

技術の進化により、我々がデータサイエンスを利活用し、価値を創造する時代がもうすぐ到来します。
クラウドビジネス推進部会では、そのような将来に備えるため、参加メンバーでディスカッションを通じて、データサイエンスへの理解を深める場を提供しています。

是非部会にご参加ください。

クラウドサービス部会
部会長 小堀 吉伸
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クラウドサービス部会長の小堀です。

クラウドサービス部会は、クラウドを「テクノロジィ」の視点からではなく、「サービス」の視点から捉え、色々なクラウドサービスを検討しながら、その有用性を検討し参加者自身の「サービスプロダクト」創りに役立ててもらえるような部会を行っています。

部会を進めるに当たり、活動のセンターコンセプトに、セオドア・レベットの「ホールプロダクト」と言うサービス概念を使いながら、ホールプロダクトの概念を基にサービスやプロダクトを垂直的につなげて行く「メタサービス」やサービスのためのサービス「Service as a Service」などの、部会から発信できる実ビジネスへはめ込めるようなサービスの概念を構築できるように議論しています。

3.GMOクラウド社からの各種ご紹介
テーマ「GMOクラウド新サービスのご紹介」
GMOクラウド株式会社 IoT事業部 末枡 仁史 氏
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本日はGMOクラウドの新しい3つのサービスについて紹介します。IoT事業の「hakaru.ai」「Diversity Insight for Retail」、クラウド・ホスティング事業の「CloudCREW byGMO」です。GMOクラウドの事業としては、IoT事業、クラウド・ホスティング事業、セキュリティ事業、ソリューション事業があります。IoT事業としては、最初に2017年5月にIoTビジネスを構想段階から開発支援、サービス化までひとつの窓口で対応する「IoTの窓口」をリリースしました。

「hakaru.ai」
スマートフォンでメーターを撮影するだけで、AIが数値を読み取り、集計・台帳記録ができるサービスです。2019年5月8日からスタンダードプランをスタートしました。スマホで撮るだけで、AIでメーター点検業務を速く、ラクにします。「大量のメーター点検まで手が回らない…」「計測ミス、記載漏れ、データ改ざん、を無くしたい…」「エクセル等の入力業務を減らしたい…」「メーター数値の管理ができていない…」「異常値があった際は、管理者や作業者にすぐ知らせたい…」「スマートメーター交換等の大規模な設備投資は難しい…」「老朽化した設備機器の維持、機器刷新の時期は数年先…」などのお悩みを解決します。生産・製造工場、ビルメンテナンス会社、店舗などの目視と手書きで点検業務を行っている方に適したサービスです。

「Diversity Insifht for Retail」
小売・流通向け店舗分析AIサービスです。実店舗のカメラに映った来店客の年齢・性別、ファッションや店内の行動をAIが分析し、販促活動・収益アップを支援します。EC拡大で、リアル店舗にも変革が必要になってきており、国内の上場企業 3,558社のWebサイトのうち、Google Analyticsの利用率は83%以上になっています。来店人数計測、滞在時間計測、来客属性分析、共起ネットワーク解析、来訪元分析、ファッション属性分析、天気連携、クーポン連携、ウインドウショッピング数計測などが可能です。また、その関連性を可視化することができ、消費傾向などのライフスタイル分析も可能です。関西のスーパー「マツゲン」2店舗で導入いただいており、お花見シーズンの販促効果をAI分析で見える化などし、活用いただいています。また、SCビジネスフェア2019
(1/23-25@パシフィコ横浜)のパルコグループのイベントブースにも導入いただき、来場者分析にご利用いただきました。

「CloudCREW byGMO」
様々なクラウドのメリットを最大限に享受するには、最適化を繰り返すなど、効率的に利用し続ける取り組みが大切です、CloudCREWでは、クラウド活用を成功に導くことを目指して様々な支援を行います。会社、サービスの特性によってクラウドの使い方を分けているお客様が多いですが、20年以上クラウドの運用をしてきたGMOクラウドの技術やノウハウを活かし、ご提案をします。「マネージドクラウド」では、自動運用プラットフォームとプロフェッショナルSEによる次世代のマネージドサービスを提供します。カスタマーサポート、適正なクラウド利用のアドバイス、運用の効率化、コスト削減、業務スリム化などお客様により良いものを提供できればと思いリリースしたサービスです。

NCWGメンバー各位には今後いろいろな連携をお願いしたり、アライアンスにつながるケースもあると思いますので、引き続きお願いできればと思います。

[質疑応答]
Q1. クラウド、ホスティングとAIでは全くアプローチの仕方が違うと思いますが、苦労した点やアプローチのギャップなどあれば教えていただきたい。もうひとつは、社内の開発でやりたいことと、市場との違いを営業はどのようにキャッチアップしているのか教えていただきたい。
A1. いままで月額のクラウド、ホスティングサービスをしてきたので、まずお客様層が違います。AIビジネスのお客様は製造業、それもトップクラスの製造業のお客様とのお付き合いが多いです。展示会に多く出て、製造業のお客様やビル管理会社のお客様とそこからビジネスのつながるケースが多いです。悩みとしては、テスト期間を含め案件の検討期間が非常に長いことです。まだ市場がない、新しいサービスなのでお客様も判断基準がないということが原因でしょうか。もうひとつの質問については、お客様のご意見をいただいて開発に廻すというSI的な考え方ではなく、営業としてはなるべく標準的なニーズがあるということを確認していきます。その上で市場があるので、この機能を追加して欲しいなどの話を開発にしています。今後、お客様が増えてくると個別対応をどうするのかなどの問題は出てくるかもしれません。

Q2. クラウド事業者として新たなコンサルティングサービスを販売されたと思うが、コンサルティングができるような技術者をどう育てているのか、コツがあれば教えていただきたい。
A2. 現状は全員がコンサルティングができるわけではない。新しい教育体制を作って、そこで学んでいってもらうことを推進しています。国内の他社のクラウドを使ってみたり、市場を知るために海外のサービスを使ってみたりして学習しています。また、新しい人材登用を外部からだけではなく、内部から登用できるような人事制度を持っています。オープンポジションの仕組みを取り入れたり、募集自体を社内にしたり、また採用がない場合でも「あの部署のあの事業をやりたい」と言えるような仕組みを持っています。そのような人たちが新しいところに新しいことを覚えたいという気持ちで集まってきてくれるので、これからますます教育は進んでいくと考えています。

4. サムライクラウド部会発表

テーマ「二要素認証のベストプラクティスFIDO WebAuthn」
株式会社プロキューブ 代表取締役 中川路 充 氏
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弊社は認証基盤製品(ユーザーID管理、パスワード管理、プロキシサーバーなど)を取り扱っている会社です。その都合でいろいろと認証周りのことを研究しています。本日は、二要素認証とそれの標準化であるWeb Authenticationについて紹介します。クラウドサービスが一般的になってきていますが、サービスすべてのパスワードを覚えている人はいないと思います。もし覚えている人がいるとすれば、それは使い回しをしているということであり、パスワードが盗まれるとひとつのサイトに入れれば、他のサイトにも入られてしまうという危険性があります。サイトによってはパスワードを定期的変更させられたり、どんどんパスワードが覚えにくい時代になってきています。このような状況もあり、Googleなどの先進的な企業が二要素認証を進めています。

二要素認証とは、以下の要素のうちの複数、2つの要素を組み合わせて認証するもので、実質的にはSYHを主体としてSYAやSYKと組み合わせて使います。

利用者が知っていること(Something You Know:SYK):パスワードなど
利用者が持っているもの(Something You Have:SYH):ハードウェアトークン、ソフトウェアトークン、スマートカードなど
利用者の身体的特徴(Something You Are:SYA):指紋、虹彩、静脈、音声など

SYHには、ゴルフ場カードスキャン、プリペイドカード詐欺、キャッシングATM(日本固有の弱点)などの事件があり、磁気ストライプは簡単にコピーできるため、例えセコムの鍵(磁気)であっても持っていることが本人であることの証明にはなりません。ですので磁気はSYHには使えないということになります。SYH機器を利用するには、利用者1名で専有し他人への貸し借りを禁止する、機器は利用者が常に携帯することとし、携帯しない場合は他人が容易にアクセスできない場所に保管するなどのルールを定めた運用をしなければ意味がありません。スマートフォンはSYHになりえますが、ノートパソコンも常に持ち歩いており家に帰るときは鍵のかかるロッカーに入れておけばSYHになります。ノートパソコンをしまう癖をつけるのは1つの良い方法だと思います。

ここから、OTP(One Time Password)がどのような仕組みでSYHを実現するか解説します。一番メジャーなものだとGoogle認証システムがあります。これは私のスマートフォン(人には盗られていないという前提)に6桁の数字を表示させ、それを使用してログインします。スマートフォンの中にSeedと呼ばれる鍵が1つ入っており、これと同じものがサーバー側に入っています。このSeedが、特定の数式(ハッシュ関数)で6桁の数字を生成し、サーバー側の同じSeedが生成した6桁の数字と同期・認証をします(共有鍵方式)。

ICカード(磁気ストライプとは違うと言いましたが)はその中に秘密鍵と言われる鍵が入っています。サーバー側には公開鍵と言われる秘密鍵とペアになる鍵を持っています。サーバーからチャレンジと言われる大きな乱数を送り、ICカード側で乱数に対して電子署名をし、帰ってきた電子署名が正しいかどうかで認証をします(非対称鍵方式)。

OTPとICカードの共通点は流れている情報が鍵から生成された情報で、鍵そのものではないということです。ですので、仮に鍵が盗まれたとしても安全性が保たれます。何故ICカードが磁気ストライプより良いかというと、CPUが入っていて計算してレスポンスを作っており、鍵を出さずに鍵を持っていることを証明できるところです(ゼロ知識証明)。ICカードにチップは剥がそうとするとデータが飛ぶようになっているので、絶対にコピーすることができません。共有鍵の一番の欠点はサーバー側に秘密情報が漏れてしまうことです。非対称鍵のICカードであれば、ICカードの中に秘密情報があるのでサーバー側には漏れる心配がありません。非対称鍵を使うということが1つのキーになります。

サーバーから秘密情報が漏えいする問題については、パスワードが1つのサイトから漏えいすると、そのパスワードで他のサイトにログインされてしまうというものがあります。サイト側の対策としてはパスワードのハッシュ値を保存したり、公開鍵を保存したりして秘密情報の保存を避けるというものがあります(LDAO、SSL相互認証、FIDOではこの方式を採用。OTPなど認証時にパスワードを送らずにハッシュ値を生成する系では採用できません)。ユーザー側の対策としてはサイト毎に私用する鍵を変えるというものがあります(FIDO、OTPではこの方式を採用)。本日のFIDOの話からは少しずれますが、ブラウザーにパスワード(サイト毎に別々の)を覚えさせるというのはいい方法です。

生体認証は流行っていますが、生体情報をサーバーに集約せず、SYHのデバイスでローカルに生体認証を用いるのでない限り、以下のような問題点がありお勧めはできません。
・本人が秘密にするという意識がないので、鍵となる生体認証が簡単に盗まれる
・生体認証が使えなくなったときのバックアップ手段が必要
・一生変更できない→サーバーから漏えいすると…

以下のような「なんちゃって」にご注意
・なんちゃって二要素:SMBCや楽天カードの第2パスワードはSYK+SYK、つまり二要素ではない
・なんちゃってSYH:CPUの入っていないUSBキー →コピー可能なので、SYHとならない
・なんちゃってOTP:マトリックス認証はOTPであると宣伝しているが、通信上OTPを流すだけで認証要素としてはSYK、さらにパスワードより
エントロピーは極端に少ない

「FIDO2 WebAuthn」は以前の「FIDO UAF(ログインする端末自身がSYH)」と「FIDO U2F(PCでSYHを用いた二要素認証)」が統合して、Webブラウザ上のAPIとして共通化されたものです。ブラウザからJavascriptさえ組めればがWeb Authentication利用できる状態になっているのがFIDO WebAuthnです。

FIDO2 WebAuthnの認証は、SYHが基本でSYHのアクティベートにSYAやSYKを利用します。SYAやSYKはRP(Relying Party)が認証するのではなく、SYHのデバイスが認証します。ただし、二要素は必須ではありません。具体的にはパソコンの場合はUSBトークンがSYHになります。スマートフォンの場合は、それ自身がSYHなので別のデバイスは必要なくなります。これに指紋などの生体認証を入れることでスマートフォンの場合は認証が可能になります。非対称鍵で電子署名をして認証するというICカードと同じ仕組みです。初回はユーザーは公開鍵ペアを作り、秘密鍵を安全なところに保管、公開鍵をサーバー側に置くという登録の作業が必要になります。

FIDO2 WebAuthnの情報は「パスワードレス認証WebAuthnの勘所と対応状況」というサイトが詳しいです。
https://gihyo.jp/dev/column/newyear/2019/webauthn?page=2

デモサイトはMicrosoftのサイトが優秀です。
https://webauthntest.azurewebsites.net/

FIDOのAuthenticatorにRPを多数登録すると、紛失・盗難時に公開鍵を失効するのが大変になります。PRを減らすためにSAMLによる認証の
間接化は必要です(紛失・盗難時はSAML認証サーバーにだけ失効を申請すればよい)。

[質疑応答]
Q1. 生体認証は実はセキュアではない面があるというお話がありましたが、指紋などはコピーできるのは理解できますが静脈などもコピーできてしまうものなのでしょうか?
A1. 静脈は秘密にはしていませんが撮るには機械が必要なので指紋や顔よりは安全だとは思います。が、よくある“手”なのでこっそり盗られる可能性はあると思います。実際に静脈認証を開発した人は彫刻刀などで彫って自分の静脈を作って認証させることなどができるそうですので、盗られてしまったら終わりだと思います。他の要素と組み合わせることが大切だと思います。

Q2. 世の中にいわゆる「なんちゃって二要素認証」が多いのはなぜでしょうか?
A2. 素人を騙す商材的に捉えられている感じがします。例えば「OTPが流行っている」「OTPは安全」という言葉尻だけを捉えている。「USBキー」も中身の認証方式を考えずにすべて「USBキー」であれば安全というような、言葉尻だけを捉えた素人を騙す商売のような感じがします。モバイルバンキングの乱数カードはまだ安全なほうです(数字を見られたり、盗まれたりしたらだめですが)。10回くらい検証したら、ほとんど同じ数字ということはありましたが。

5.ゲスト講演
「LoRaと衛星通信」
   和歌山大学 協働教育センター 教授
千葉工業大学 惑星探査研究センター 主席研究員
内閣府宇宙開発戦略推進事務局 宇宙政策委員会専門委員
秋山 演亮(あきやま ひろあき) 先生

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1.ロケット開発について
現在世界の中で宇宙に自分の力で行ける国、ロケットをもっている国は10数カ国ですが、これらの国のロケットには、一つ共通点があります。
ロケットは、ドイツのフォン・ブラウンにより1945年頃の第二次大戦時にナチスドイツで作られたV2ロケットが最初です。このⅤ2ロケットが現在のロケット技術のベースになっています。音速で飛んでくるⅤ2ロケットは、第二次世界大戦の際に現在のポーランドからロンドンへ何万発も打ち込まれました。当時のドイツでは、核開発が進んでいなかったため核爆弾としてのロケット利用はされませんでしたが、何万発ものⅤ2ロケットによる爆撃でロンドンは焼け野原になりました。
その後フォン・ブラウンは、大戦が終了する前にアメリカに亡命しアメリカでロケット開発に携わることになりました。さらに同じ時期に当時のポーランドを抑えたソ連が、ロケット開発を始めたことで、その二国が世界のロケット開発の基となりました。

2.日本のロケット開発
ところが独自にロケットを作った国があります。それが日本です。糸川英夫先生によってニュー5型ロケットが開発されました。
このニュー5型ロケットの開発には、1955年4月12日に調布の飛行場から予行発射され、1955年8月6日には、秋田県の石川海岸から戦後初のリモートロケットを発射し、その後1962年までに石川海岸から70発のロケットの打ち上げが行われ、高度200Kmまでの飛行を可能としました。
さらに1970年には、日本は世界で4番目に人工衛星の打ち上げに成功し、世界有数の宇宙技術保有国となりました。独自でオリジナルロケットを作ったのは日本人とドイツ人だけです。その後、日本の宇宙技術は、小惑星探査機「はやぶさ」や地球から物資を運び軌道間遷移として宇宙ステーションに物資を届ける「こうのとり」など高度な宇宙技術を保有することになりました。
1980年代には、アメリカ・ソ連・ヨーロッパ・日本が、宇宙4強と呼ばれていましたが、現在ではそれらの国々に中国・インドを含めた6カ国が宇宙6強と呼ばれています。その中でも、特に中国は、既に有人ロケットの打上にも成功し、衛星総数でも日本を抜いて世界第三位となりました。

3.宇宙ビジネスについて
宇宙ビジネスって儲からないのですか?と聞かれることが有ります。日本での宇宙ビジネスは、正直なところほとんど伸びていないのが実状です。しかし世界的にみれば、宇宙ビジネス全体で、年14%で伸びているのが現実です。問題なのは、宇宙ビジネスのマーケットが科学や技術の進歩により伸びるマーケットなのに、日本では、なぜ宇宙ビジネスが伸びないのか?と言うことが大きな問題だと思います。
それは、日本人の「宇宙」のイメージがどうしても「ロケット」を連想しがちだからです。
一般的には、ロケットを開発から打ち上げまで自力で行うことは、かなりハードルが高く難しいことなので、宇宙ビジネスが与えるイメージをロケットと捉えられてしまうことが、日本で宇宙ビジネスが伸びない理由だと思っています。
ただ、今の宇宙ビジネス自体、正直なところ一種のバブルになっているように思われます。いま日本では、宇宙関係ベンチャーとしてお金を集めている会社は数社ありますが、それらの会社は、宇宙ビジネスと言いながらも宇宙で物を動かしたことはない、宇宙での実ビジネスをしていないのが実状なのです。正直なところ宇宙というものは、我々からすると特殊なところなのですが、「宇宙ビジネス」イコール「ロケット開発」のイメージを払拭することが重要なことだと考えています。それには、宇宙ビジネスについて色々と知ってもらえるような様々な活動を行なって行かないと駄目だと思います。

4.日本の宇宙ビジネスの現状
宇宙ビジネスの一例として、和歌山でロケットを打ち上げようとしている会社があります。私は役所の人間以外で、一番日本でロケットの射場を作っている人間なのですが、現実問題、和歌山のその場所は、上空を飛行機が一日100機以上飛んでいて、さらに海には船舶もあるので、私としては射場を作ってもロケット発射には、様々な問題を抱えていると思います。
既にビジネス的なプロジェクトとしてスタートしているので、来年の12月には、射場からロケットを発射しないとならないのでしょうが、なかなか難しい問題を抱えていると思います。
恐らく射場の許可が下りた後の周辺の状況調整だけでも大変です。具体的には、ロケットを打ち上げようとする際には、上空使用許可申請を交通局に出さなければならないのですが、交通局に申請を出す際には、「上空を飛ぶ飛行機とは個別に交渉してください。それぞれの交渉がまとまったらOKだします」と返答されると思われます。
しかし1日100機以上の飛行機、それも諸外国の飛行機も含めて上空を飛んでいるので、それぞれの航空会社と交渉することは、実際には不可能だと思います。
ただし彼らも後には引けないでしょうから、おそらく最初の一機目は、航空機が飛ばない夜中に発射すると思います。夜中だと飛行機もあまり飛んでいませんからね。それでも交渉は大変だと思いますが。
ただし、重要なことは、衛星を太陽と同期しようとするには、昼間に地球周回軌道に衛星を打ち上げないと衛星の利用意味がないので、採算に乗るビジネス化は、大変な諸問題を抱えていると思います。

現在の宇宙ビジネスは、ある種のバブル期にあるように思えます。そのため過去の歴史が物語っているようにバブルは、いつか弾けると想像することができますが、バブル状態での宇宙ビジネスが崩壊してもそれまでに培われた技術やノウハウなどで、生き残る人たちはいるわけです。これから宇宙ビジネスに携わろうと考えている方々には、そう言うことも想定しながら参入していただけると良いのではと思います。

5.日本のロケット事業
日本のロケット事業の政府予算として年間3000億円の研究開発予算をとっていますが、実運用が、全くされていない、さらにロケットの産業利用すら支えていないのが現実です。
これをどうするかと言うことで、政治的な動きとして2008年に自由・公明・民主3党で宇宙機構法人を作ったわけですが、2009年に自民党が崩壊し、良い方向に進まなかったのは現実です。その後、他の大学の先生方と声を挙げて、2012年に宇宙関連法案として法律を改正しました。その時の会合に参加して、私達が報告したのは、3つだけです。
1.日本は宇宙開発をやめない
2.そのために産官学が一体となった宇宙システムの社会インフラを作る
3.宇宙政策の透明化及び意思決定と予算執行の一元化の促進、仕組みを変える
と言うことです。それ以前は、ロケット産業は、文科省の管轄でしたが、内閣府(総理大臣)のミッションへと変わりました。重要なことは、政府のお金を使わないで民間主導で宇宙開発が出来るかと言うことでした。

そのきっかけとなったのが、17年前に和歌山での台風による集中豪雨で、当時の那智勝浦町長の奥さんと娘さんが亡くなるといういたましい事故がありました。国交省は、河川の水量を測定する測定装置の設置に1か所5000万円かけていたので、河川に必要な個所数の測定装置の設置が出来なかったのです。
あの時も那須勝浦の水流は大丈夫だったのですが、ある特定の地域でのみ集中して降った結果、一気に那智勝浦に流れ込み、痛ましい事故が起きてしまいました。このような事故が起きないように、宇宙技術を使って、なんらかの対応をしなければならないとの意見が持ち上がりました。

6.LPWAのIoT通信
宇宙利用といえば、衛星データ利用のリモートセンシングと考えられがちですが、私が提言したいのは、通信の重要性だと思いますと。どうしても通信といえば、電子基板という話になりがちですが、もっと簡単で低価格に電波を飛ばせる通信の時代が来るはずだと考えていました。それがLPWAのIoT通信だと思うのです。
日本では、大量のデータ画像を配信するのが、遠隔情報通信と考えがちですが、例えば、水量のデータなんて一送信あたり数Bitのデータで十分なので、低価格の測定装置を数万か所に設置しデータを取り込むことで、高精度な状況把握が可能となります。そのためのツールとしてLoRaを使うことが最適だと言えます。
さらに日本では、多方面で利活用が期待されていたドローンですが、一部の利用者が悪さしてくれたおかげで上空の規制が厳しくなり、利活用のハードルが上がっているのが現実です。また気球についても、日本では、成層圏まで気球を上げようとするとなかなか出来ないのですが、広大な土地のモンゴルでは、気球の打ち上げの障壁が少ないので、現在モンゴルで気球によるLPWA通信の実験をしています。成層圏は、地上から30~40キロなのですが、LPWA通信では、直線距離にすると100キロから200キロ離れたところとの通信が可能なことが実験から分かりました。
この双方向通信の実験から、地上だと10キロしか届かないものでも上空は電波の障害がないので100キロから110キロまで通信が可能なことが確認できました。

さらに2年前に世界最小のロケットで、3Uの人工衛星を打ち上げました。その人工衛星にLoRaの受信機を搭載し高度600キロで通信することが出来ました。
この衛星を使って何が出来るかと言うと、たとえば、紀伊半島の見通しの悪い発電所や地震とか台風で影響を受けそうな場所全てと通信することが出来るのです。
こうしたIoTデータを取得することにより、人の命を救うことができ、しかも世界的に見てもこのような災害対策を求められている場所はたくさんあります。
それには、携帯電話での通信を利用すればいいのではとの意見もありますが、基本的には、携帯電話は、人の住んでいない場所では、電波が届かないことが多いのです。それを補うためにもLoRaを使い電波の届く範囲を広げ、さらに通信のできないエリアのカバーには衛星を使えばいいと考えています。

現在の衛星の状況から既にLoRaを使った衛星が商業的に認められてきました。3Uタイプの衛星だと1機300万円程度で作ることができます。さらに打ち上げにかかる費用の700万円程度を加えてもトータル費用として一機1000万円程度で衛星を打ち上げることが可能となっています。
地球は、自転しているので衛星を複数上げる必要はありますが、1機1000万円程度で衛星が打ち上げられるなら、100機打ち上げても10億円です。今、通常の人口衛星は、打ち上げ費込で1機打ち上げるのに何百億もかかることを考えれば衛星のビジネス利用が、手の届くところに来ているのは事実です。そんな時代がもう来ているのです。

7.災害対策への利用
たとえば津波で大被害を受けたことのあるジャワ島で低価格な津波センサーと受信機を設置すれば、費用を押さえた津波監視網が出来ます。我々は、今後の活動で、そう言うことを仕掛けていきたいのです。こういうことを始めるきっかけになったのは、日本の311の震災の時からです。311の震災の際には、自衛隊や海外の救援隊は24時間以内に東北に到着していたのでが、被災者情報が入ってこないためどこに行っていいのかわからない状態でした。
みなさんご存知かと思いますが、埋まってしまった人や流された人の24時間以内の生存率は90%です。48時間以内では、50%しか生存出来ない、さらに72時間以内では、20%しか生き残れないのです。24時間以内に被災地に自衛隊が到着していれば、どれだけの被災者を救出できたかと言うことなのですが、311の震災の時には、ほとんど救出されなかったのです。なぜなら救出活動が出来たのは、72時間後だったのです。なぜ活動が出来なかったのかというと、地震、津波により通信網が壊滅され、情報が入らなかったため救助に行けなかったのです。

我々がLoRaを使ってやりたいのは、LoRaのような省電力で長距離届く通信、しかも衛星に送れる通信を利用しての災害対策なのです。
ただしLoRaでは、小さなデータしか送れませんが、小さなデータで出来ることはたくさんあります。たとえば、避難所に来た人たちの人数情報を把握することで、救出活動に役立てれたはずです。

ニッポンクラウドワーキンググループには、LoRaに精通された方もいるし、クラウドは、宇宙ビジネスの裏では、欠かせない存在なので、最終的には、こういった災害対策により人命救助につなげるところの活動を一緒にやっていけたら良いことではないかと考えております。

6.会長からの総括
会長 小堀 吉伸

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皆さん、お疲れ様でした。

秋山先生、ご講演、誠にありがとうございました。
さらにサムライクラウド部会からは、中川路さんに認証について大変濃いお話しをいただけてありがたかったです。ご苦労様でした。
また、今年も大阪会合の会場をご提供いただいた、GMOクラウドさんには大変感謝しています。本当にありがとうございました。

クラウドの先にあるモノを掴めば、自然にクラウドは使われると言った意味合いのBeyond the clouds!の視点から、今年は、衛星データの利活用から実際に既に行われている宇宙ビジネスなどの宇宙ビジネスに関わる方々にご講演いただいていますが、今回の秋山先生のご講演では、宇宙関連のビジネスについての足場となるお話しをいただけて大変有意義な会合を開催させていただきました。クラウド事業者が、宇宙ビジネスに関わることについてのハードルが低くなっているのだと実感することが来出ました。

ニッポンクラウドワーキンググループは、活動開始からほぼ毎年大阪会合を開催しています。会合は、本来クローズドなかたちで行っていますが、大阪での会合および11月の周年イベントにつきましては、オープンで開催し、会の活動を少しでも知っていただこうと考えています。

引き続き会の活動としては、会合開催及び各種部会の活動が中心となりますが、他団体さんへの後援や出展など、いろいろと行って行きますので、活動に共感される方は、是非一緒に活動していただければ、少しでもクラウドビジネスのマーケットを拡げられれば、活動自体の意味も出てきますし、私としても嬉しい限りです。

今回の会合も盛況に開催できました。皆さん、ありがとうございました。

 

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※NCWG実行委員およびお手伝いいただいた皆さん

懇親会についても大いに盛り上がり、メンバー・ご協賛の方々との積極的な交流を図ることができました。
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【NCWG実行委員 報告書作成者】
佐々木 泰(株式会社クオリティア)
木村 翠(株式会社DTS)

第56回ニッポンクラウドワーキンググループ会合報告

『宇宙ビジネスでクラウドビジネスを活かす!』をテーマに、ゲスト講演として一般財団法人 宇宙システム開発利用推進機構 宇宙産業本部 事業推進部 主任研究員(欧州担当)のクレイドン・サムさんにご講演いただき、ニッポンクラウドワーキンググループ第56回会合を開催いたしました。
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【テーマ】『宇宙ビジネスでクラウドビジネスを活かす!』
【日 時】2019年4月12日(金)17:00~19:00
【会 場】スリーハンズ株式会社
【参加者】メンバー、協賛各社および関係者の方々を含めて50名

1.開催のご挨拶

NCWG副会長 藤田 浩之
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みなさま、本日は第56回NCWG会合にお集まりいただきましてありがとうございます。
まず初めに今回会場をご提供いただきましたスリーハンズさん、ありがとうございます。
4月はスリーハンズさんでの開催ということで、設立当初から毎年4月にここ山王パークタワーの会場をご提供いただき、今回で合計8回開催させていただいおります。変わらぬご協力に感謝いたします。

平成最後となる今回の会合は、「宇宙ビジネスで、クラウドビジネスを活かす!」というテーマで、ゲスト講演では一般財団法人 宇宙システム開発利用推進機構 宇宙産業本部 事業推進部 主任研究員(欧州担当)クレイドン・サムさんに「欧州で進む宇宙ビジネス」について講演いただきます。
日本でも経済産業省が中心で進めている宇宙データプラットフォーム Tellus(テルース)プロジェクトが立ち上がっており、人工衛星の取得しているデータをオープン化してより多くの人に使ってもらおうという目的で公開されていますが、宇宙データ利用ということでは欧州が進んでおり、今回はクレイドンさんにその欧州の宇宙ビジネスの最新状況をお話いただきます。
本日参加されたみなさんも、会合でお話を聴くだけでなく是非積極的にアプローチして直接お話を聞いて、これからのクラウドビジネスに活かしてください。

Beyond the Clouds ムスビで実を活かす!

平成最後の会合を、皆さんとともに大いに盛り上がって締めくくりたいと思いますので、最後までどうぞよろしくお願いいたします。

2.部会報告
サムライクラウド部会
部会長 野元 恒志
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サムライクラウド部会では、SAMLシングルサインオンをベースとしてマイクロサービスとの関わり、アプリケーション基盤全般に関して議論をしております。最近では、技術議論に加えて、ソフトウェア開発生産性の議論も行っております。次回は、5月末となります。是非ご参加ください。

クラウドアプリケーション部会
部会長 尾鷲 彰一
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一昨年前は、IoTでデータ収集、昨年度は、AIでデータ解析についての内容で部会を開催してきましたが、机上での活動でした。
今期は、実際にフィールド(お外)で、IoTのデータ収集、できればAIにつなげるところまでを実際にフィールドでやっていきます。
フィールドは関東圏のどこかをいま探しているところです。
次回部下開催は、6月末を予定しております。
別途メーリングリストでご案内させていただきますので、是非ご参加ください。

クラウドビジネス推進部会
部会長 藤田 浩之
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クラウドビジネス推進部会は今期も引き続き、クラウドを利活用してビジネスに繋げるためのリアルな情報で 語り合う場を提供し、様々な方法で実際のクラウドビジネス創出を促進し、結果として“ニッポン”発のクラウドビジネス(サムライクラウド)の発展に繋げることを目指します。
今期のクラウドビジネス推進部会は『データサイエンスを自らの手に!』というテーマで部会を開催しています。
中でも「シチズンデータサイエンス」に着目し、部会では 「質の良いデータを大量に得て適切に分析することにより物事を予測可能とし、新しい価値を創造できる」ということを前提として、「誰もがデータサイエンスをより簡単に活用できる」という未来に備えるための勉強会を開催しております。
是非部会にご参加ください!

 

クラウドサービス部会
部会長 小堀 吉伸
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クラウドサービス部会長の小堀です。
ニッポンクラウドワーキンググループの主軸活動として、前の三部会の報告の通り、四つの部会で活動を行っています。

そのうちの一つの部会が、クラウドサービス部会です。
クラウドサービス部会は、クラウドを「テクノロジィ」の視点からではなく、「サービス」の視点から捉え、色々なクラウドサービスを検討しながら、その有用性だけでなく、なぜダメなサービスなのかなど置き彫りにしながら、参加者自身の「サービスプロダクト」創りに役立ててもらえるような部会を行っています。

部会を進めるに当たり、活動のセンターコンセプトに、セオドア・レベットの「ホールプロダクト」と言うサービス概念を使いながら、ホールプロダクトの概念を基にサービスやプロダクトを垂直的につなげて行く「メタサービス」やサービスのためのサービス「Service as a Service」などの、部会から発信できる実ビジネスへはめ込めるようなサービスの概念を構築できるように議論しています。

先日の3月29日に開催した部会では、スピーカーに株式会社データ変換研究所の畑中さんに『新規ビジネスと持続的サービス』と言うテーマで、畑中さんが直近で立ち上げた新規ビジネスの有効性や持続性への昇華度合いなどのお話しいただき、参加者で議論をさせていただきました。

サービス部会は、毎回、サービスに関するテーマは、一貫していますが、開催趣旨は、一回性のもとに部会を開催しているので、前回参加していなくても全然問題ありませんので、是非、ご参加ください。
よろしくお願いします。

 

 

3.ゲスト講演
『欧州で進む宇宙データビジネス』

一般財団法人 宇宙システム開発利用推進機構 宇宙産業本部 事業推進部
主任研究員(欧州担当) クレイドン・サム 氏
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 <プロフィール>
 日欧の産業界を代表する企業との国際会議運営経験により、多分野にわたる
 欧州企業との人的ネットワークを持つ。特に、コペルニックスサポートオフィ
 ス(ベルギー、ブリュッセル)、欧州DIAS事業者、欧州委員会(ベルギー、ブ
 リュッセル)との強いコネクションを有する。

今回のゲスト講演は、一般財団法人 宇宙システム開発利用推進機構 宇宙産業本部 事業推進部 主任研究員(欧州担当)のクレイドン・サムさんから『欧州で進む宇宙ビジネス』についてお話しいただきました。
日本でも経済産業省が中心で進めている宇宙データプラットフォームTellus(テルース)が立ち上がっていますが、宇宙データ利用する宇宙ビジネスということでは欧州が一歩先を進んでおります。

今回クレイドン・サムさんからは、そのような一歩先を行く欧州の宇宙プロジェクトの1つ「完全な無料オープン・データ・ポリシー」に基づくCopernicus(コペルニクス)プロジェクトについて、データ利活用のビジネスモデルを含めてお話いただきました。
また、多様なデータへのアクセスを一元化し、データの利活用を促すDIAS(Data Information Access Servic)プロジェクトについても詳しくお話しいただき、さらに欧州におけるデータ活用事例についてご紹介いただきました。

4.スリーハンズ社からの各種ご紹介


1.クラウドにおけるマネージドサービスの方向性ビジネスの可能性について
取締役 最高ネットワーク責任者
奥山 大 氏

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通常は自社サービスの説明ですが、今回は毛色のかわった講演です。
クラウドにおけるマネージドサービスの方向性ビジネスの可能性についてです。
自社のインフラをもちつつマネージドが中心で展開しています。

マネージドサービスと言ってもサービス内容にばらつきがあり、ポートの監視のみでしたり、「OSには関知しません」や「手順書があれば対応します。」等ありますが、本来のマネージドは、定常作業ではなくOSのプロセスが生きていても機能が継続していない場合もございますので、お客様のアプリケーションも動くところまでサポートすることが大事です。
また、ベストエフォートですが持込のアプリのサポートも、ログの確認やエラーの確認や一次切り分けしてアドバイスいたします。

自社のインフラもありつつクラウドベンダーとSIerに近いレイヤーで協業できませんかというお誘いです。

オンプレサーバーがまだまだあるので同行して案件の掘り起こしを行います。
こちらのNCWGには積極的なメンバーが多いのでぜひ協業しましょう。
クラウドベンダーさんたちの立ち位置やしばりがあり、自社のサービス紹介がし難い場合でも弊社の機動力を使い様々な組み合わせで提案できます。

NCWGの積極的なメンバーのみなさまとアライアンスやコラボレーションを組んでいますが、さらに他の皆様とも組んでいきましょう。
とりあえず小さいところで一度お仕事すると弊社がわかるので、小さな案件からよろしくお願いいたします。

最近の協業事例としては、DIPの野元さんと「DIPサーベイパワードバイスリーハンズ」という名前でサービス化しています。
オープンソースのアンケートサービスライムサーベイを弊社がインフラを提供して、オープンソースをご利用いただいています。

ライムサーベイの問い合わせは野元さんですが、インフラとサーバとアプリは弊社で管理しています。

もう一つの事例はサイオステクノロジーさんとライフキーパーの導入サポートを一緒に組んで行っています。
他にもカゴヤさんや富士通さんと組むことが多くなってきました。

最後に国産クラウドの強みについてお話いたします。
最近はAWS指名が多くなってきましたが、もっと国内のみなさんにがんばってほしいと思います。

なんでAWSになったのか潮時としては大きな案件があったと思います。
ケンコーコムさんのインフラがすべてAWSになったことが変わり目になったのかなと思います。
みなさまにももっとインパクトのある事例をだしてみて下さい。

日本と海外のサービスの違いとしてはトラブルになった際に、お客様先に訪問するとかいうことはAWSやAZUREにはないので、日本の企業にしかできないきめ細かいサービス、全体のよろず相談を受けるとか日本の強みと考えます。
かゆいところに手が届くとか、親切とか、日本のクラウドを前面に国内クラウドへ乗り換えられるのではないかと思いますので、そんな内容で意見交換しながらAWSによらずに日本の国内クラウドを盛り上げましょう。


2.スリーボットソリューションについて ~IoT機器監視、データ管理~
取締役 最高技術責任者 三土 辰郎 氏

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スリーハンズはこちらのビルの3階で毎年4月提供スポンサー枠をしています。
主な事業はクラウドマネージドや開発、クリエイティブデザイン等やっています。

わたしはですが普段はプログラマ対応綱引きにPHP代表で出場して、Javaに敗れるなどしています。

宣伝にならないように弊社のサービスを紹介させてください。
スリーボットソリューションとして、自動で監視や運用をサーバーにエージェントを入れて、CPUがいっぱいだとか、OSは大丈夫だけどアプリが落ちてる、とか再起動するとか、そんなソリューションですが、最近はIoT向けにラズパイに対応して、なんでも監視やデータ取得を行っています。
具体的な事例としては、工場に沢山ある機械には温度計や気圧計があり、その数値を見てバルブから逃がすとかを自動化していきたいとのことで、わかりやすい圧力計をセンサーで測れないかという内容です。オフィスにある温度計ではかるのは、ラズパイに温度センサーつけて普通に計って、それをスリーボットのグラフに反映させるとかおこないますが、実際の現場は沢山ある機械にデモみたいにラズパイやセンサーをとりつけたり、その数値を機械の回路にバイパスさせて測定するとか、実際は取り付けるのは難しいし、やらしてはもらえないので人がみるモニターを機械に読ませることをしていきたいと考えています。
ただ、人は読めるのですが、機械に読ませるのは難しく、試験として、オフィスの温度、湿度、現在の日時を読み取りしようとしています。
どうやって機械が読めるようにするかということですが、画像処理をして輪郭を読み取り、その輪郭画像をいっぱい集めて四角としてみていくことを行っています。

この図かっこいいでしょう(輪郭画像の図)。
宇宙っぽいというかブラックホールみたいで、直線から四角をあつめて次に数字を読み取り、1~9の数字をさがして読むことは上手くいっている例ですが、実際は画像がテカルと数字が読めないとか、テカってなくても失敗するとか、違うデジタル計だとそれに対応して作りこみが必要だとか、計測モニターが四角から丸に変るだけで設定し直しとかさまざまな課題があります。

オフィスでデモを行っていますので、オフィスの温度計をカメラで読み取ってそれを数値化してと、温度センサーで測ればよいのにって思いますが、工場できることとして、デジタルの数値を読んで画像データの右下の数字を読み何時何分に何人いる、とかをCSVで送ったりを想定しています。

それからアナログの活用として、針がどっちの確度かどっちを向いているか読もうとしていますが、数字が0スタートではなく-(マイナス)の値もあるのでなかなか難しく、アナログ的な確度で数字を読ませるのに数字を入力させて、確度をパラメーターとして読ませて行くことで対応できますが、アナログ計も電気の抵抗計は複雑で一筋縄ではいかないのです。

今のことができても、10台アナログ計があれば10台カメラを置くのか、とか難しいのですが次の手は考えています。

今後の展望については未来のことはわかりませんが、製造業以外のところで使えないかと、商業施設で何時にどのくらいの人がとか、男性、女性、年齢、子連れとか、ニワトリで5匹目がたまご産まないとかを検知して体調チェックしてみたり、1人暮らしのばあちゃんが3回冷蔵庫開けてるから生きてるな、とか、そんな地に足をつけた話でではなく、鉄道の枕木をつくるビジネスをしていきたいと考えています。
IoTを使って試行錯誤しています。
この中のみなさんともIoTをつかったビジネスをしていきたいです。

■FAQ

Q1:
質問ではないのですが、IoT導入はシステムに埋め込むだけではわからない、人間の目での気づきをIoT化してみていく。
アプリではなく、埋め込みでもなく、外から見ていくのは非常に良いと思いました。
商業施設もシステムは決まっているのでアラートを上げる、再起動を勝手にする等、本当のIoTへの繋ぎソリューションとしては最高だと思いました。

Q2:
温度わかる、湿度わかる、角度わかるとありますが、電池切れはわかりますか?

A1:
それは正常値として認識できます。

5.会長からの総括
会長 小堀 吉伸

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皆さん、お疲れ様でした。
お話しいただいた、宇宙システム開発利用推進機構のクレイドン・サムさん、大変、面白くて実に則されたお話しをありがとうございました。衛星データ利活用でのクラウドビジネス化について、かなりハードルが下がっているのだと実感しました。ありがとうございました。

また、今年も会場をご提供いただいたスリーハンズさんには、大変感謝しています。ありがとうございました。会の設立以来、8年間、毎年、4四月の会合には、こちらの山王パークタワーの会場をご提供いただき、スリーハンズさんのお力添えがあるからこそ、会合の継続開催が出来ます。本当に感謝しています。

今回、「欧州で進む宇宙データビジネス」のテーマでクレイドンさんにお話しいただきましたが、コペルニクスプログラムなどでEUが提供している衛星データを日本の事業者がビジネスへ利活用するには、お話しをお聞きするまでは、なかなかイメージしづらかったのですが、クレイドンさんに大変分かりやすくお話しいただいたので、コペルニクスなどの衛星データ利用でのクラウドビジネス参入のハードルがかなり低くなっているのだと実感しています。

今年度のグランドテーマである、「Beyond the Clouds」、クラウドの先にあるモノを掴めば、通過点にある道具としてのクラウドサービスは自然に使われ、自ずとクラウドビジネスの目的が果たされると言う意味からすれば、「衛星データの利活用」のお話しは、クラウドビジネスの材料としても大変有効だと確信しています。

今年度は、6月の大阪会合、7月の会合でも、衛星通信や衛星測位データのお話をしていただきますので、是非、クラウドビジネス創りにお役立てください。

本日は、ありがとうございました。

 

6.懇親会
懇親会についても大いに盛り上がり、メンバー・ご協賛の方々との積極的な交流を図ることができました。
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ご参加された皆さん、お疲れ様でした。

【NCWG実行委員 報告書作成者】
井口 和彦(株式会社ドヴァ)
内田 龍(株式会社クリエイトラボ)

第54回ニッポンクラウドワーキンググループ会合報告

『メディア利用でクラウドビジネスを昇華させる!』をテーマに、ゲスト講演として千葉テレビ放送株式会社プロデューサーの大林さんにご講演いただき、ニッポンクラウドワーキンググループ第54回会合を開催いたしました。

今回は富士通クラウドテクノロジーズ株式会社さんに会場および懇親会をご提供いただき、活気ある会合となりました。ありがとうございました。

【テーマ】『メディア利用でクラウドビジネスを昇華させる!』
【日 時】2018年10月3日(水)17:00~19:00
【会 場】富士通クラウドテクノロジーズ株式会社 セミナールーム
【参加者】メンバー、協賛各社および関係者の方々を含めて40名

ゲスト講演では千葉テレビ放送株式会社プロデューサーの大林さんにテレビ業界について、PR・マーケティング論、「2次利用マーケティングモデル」についてお話いただきました。「クラウド業界のビジネスで足りないものをどう補うか?」など、とても興味深く、ためになる内容でした。ありがとうございました。

全体

【司会者のご紹介】
実行委員 大澤 武史(株式会社クリエイトラボ)

1.開催のご挨拶

NCWG副会長 野元 恒志

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本日は第54回の会合にお集まりいただきありがとうございます。今回会場を提供いただいた富士通クラウドテクノロジーズさんには、長年会場を提供いただいていますが、今回は新オフィスのお披露目になります。いつもありがとうございます。

今回のテーマは『メディア利用でクラウドビジネスを昇華させる!』で、TV業界という一風変わった立場から千葉テレビ放送プロデューサーの大林さんに、お話をいただきます。これも「Beyond the Clouds!」の一環かと思い、個人的にもお話を楽しみにしています。

NCWGの活動はもうすぐ8年目を迎えますが、実はNCWGの「N」はニフティの「N」でもあります。その時代から数えると9年目になります。楽しみなゲスト講演もある本日は年内最後の本会合になります。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

2.部会報告

クラウドアプリケーション部会
部会長 尾鷲 彰一

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昨年度は「IoTのセンサーデータをクラウドに上げる」ことに取り組みましたが、今年度は「IoTデータをAIを利用して活用する」ことに取り組んでいます。前回の部会では、SonyのNVC(Neural Network Console)を触りながら理解しました。今回は実際にAIを触ってみました。きゅうりとズッキーニの識別、Emailの自動振り分けなどです。それぞれ理解はできましたが、実際に使えるようにはなりませんでした。

来年度は、Melissaを使って、もう少し触ってみようと思います。AppleのSiriのようなパーソナルアシスタントを試作できる、AIプログラミングの専門知識がなくてもできる、無料で試せるサービスもある、などの特長があるようですので自前のスマートスピーカーが作れるか試してみようと思います。

3.ゲスト講演

テーマ「現役プロデューサーが語るテレビ2次利用マーケティング」

千葉テレビ放送株式会社 プロデューサー 大林 健太郎 氏

大林さん

今日は伝え方のお話をします。今日の参加者はB2Bの会社の方が多いと思いますが、テレビ業界の話がなぜ役に立つのか? クラウド業界のビジネスで足りないものをテレビ業界のノウハウで、どのように補うのかという話をしたいと思います。まず、みなさんテレビのプロデューサーとはどのようなイメージしょうか? 私はよく「ピンクのマフラーを巻いていないプロデューサーです」という自己紹介をします。また、「よく六本木で焼肉を食べているのではないの?」といった聞かれ方もします。この皆さんが抱いているイメージとの「ギャップ」を示すことが重要だと思っています。このようなことを踏まえ、今日は、

1.テレビ業界について
2.「メディアに取材される方法」
3.PR・マーケティング論
4.「2次利用マーケティングモデル」について

のお話をします。

最初にテレビ業界の話をしますが、テレビ業界は実は保守的な業界です。なぜならば免許事業であり、考査/審査があるからです。また、社員が業務に直接携わらないという特徴もあります。テレビ番組の実際の制作は制作会社の人間、テレビ営業は広告代理店が営業を代理、テレビニュースは記者クラブから発表のものを利用するなどです。そういう意味ではテレビ局員は企業と直接関わります。テレビ局は「キー局、準キー局」「地方系列局」「独立UHF局」に分類できますが千葉テレビは「独立UHF局」です。「キー局、準キー局」は視聴率優先、「地方系列局」は問題がないことが優先、「独立UHF局」はお客様が優先という傾向にあります。また、雑誌、本は考査/審査がテレビ業界に比べゆるい傾向にあります。それは言論の自由があるからです。雑誌、本では「具体的な提示」ができますが、テレビではできません。

次に「メディアに取材される方法」ですが、現場には「番組現場」と「報道現場」があり、どちらも常にネタを探しています。どちらかといえばやわらかい「番組現場」のネタは制作会社やリサーチ会社が探しており、かたい「報道現場」のネタはニュース報道の場合は主は発表記事で記者クラブを活用したり、公(行政)と絡むネタも重要です。その場合は営利モノはNGになります。ターゲットに「何を言うか」「どう言うか」「誰が言うか」が大事になってきます。具体的に取材される方法としては、1. ターゲットをいかにして絞るか(特異性) 2. どう言うか(伝え方)3. メディア履歴を利用する、です。

続いてPR/マーケティング論ですが、まず固定観念を崩すと笑いがおきます(ギャップ)。いわゆる「wonder」「おや? なぜ?」です。「ギャップ」と「リピート」が大事です。また、「先出しじゃんけん」「モノではなくストーリーで売る」ことも大事です。この辺は、コピーライターで湘南ストーリーブランディング研究所代表の川上徹也氏が上手です。具体的な例では、千葉ロッテマリーンズの里崎智也元捕手が、かつて「史上最大の下剋上をみせる」と言い、その後「下剋上アゲイン」と言いました。この「下剋上」という言葉はいまでは、当たり前のように使われるようになりました。この手法は、サービスの実態が見えにくいものほど活きてきます、法律事務所やクラウド業界などが当てはまります。

現代マーケティングでは、インスタグラム、FacebookやCRMなどすぐにツールの議論になりますが、ツールではなく、その中身が重要です。「ネタ作り」ができないと発信できません。「ネタ作り」が上手になること、これからは「ライティング能力」が重要になってきます。そして、それを情報配信し、オウンドメディア化する。その延長線上がメディア取材につながります。まだ、Webマーケティングが上手い人も取材されます。なぜならば、20代のADはGoogleやインスタグラムでネタを探し、調べるです。また、「商品の説明」を「お役立ち情報」に変換して伝えることも有効です。なぜなら「営業くささ」「宣伝くささ」が消えるからです。

PRでは公との関係、ブランディング、信頼性の向上(実体作り、抵抗心理の除去)が大事です。ダイレクトマーケティング(以下DM)ではレスポンス、反響、何度も言うことリストを取ること「顧客名簿」が重要でした。ただ、メディアはDM(数学)よりPR(国語)であり、マーケティングの海の着火剤です。紙媒体で信用を作り、テレビで話題を作り、Webで拡散するのが理想です。皆さん苦労されていると思いますが、採用も同じです。

最後に「2次利用マーケティングモデル」についてお話します。2次利用マーケティングモデルとは、言わばPRとDMをくっつけたもので、テレビの信用と話題を利用した「動画マーケティング」です。テレビで取り上げられた後の施策のほうが圧倒的に重要です。PRには、「お金がかからない」「レバレッジが効く」というメリットがありますが、「KPI設定不可」「時期を定められない」「言いたいことが自分で決められない」「2次利用できない」などのデメリットがあります。また、マーケティングにおいては「新規開拓」より「既存顧客よりの口コミ」がより重要です。人間の4番目の欲と言われる自己顕示欲、承認欲求(from SNS)を利用します。

テレビ放送された素材は一般的には、原則2次利用は不可です(局や番組によって対応が異なります)。出演されている有名タレント、BGMやオープニング曲はなおさら権利対象です。ただ、そんな中でもわずかですが、テレビ映像の2次利用、しかも芸能人の肖像権の2次利用が可能な番組があります。千葉テレビの「ビジネスフラッシュ」「ナイツのHIT商品会議室」なども2次利用が可能な番組です。テレビ映像の2次利用をしてぜひUSP(Unique Selling Proposition)を構築してください。

[質疑応答]
Q. そもそもDMが不得意な会社にアドバイスをお願いします。
A. まず、自社のサービスの価値に気づくことが大事です。そうすれば情報配信ができ(ブログなどで)、情報の出し方を覚え(伝え方を覚える)、「伝える内容」がわかります。また、ジョイント・ベンチャーなども有効だと思います。あと、2次利用マーケティング番組に出てください。

Q. 千葉テレビはどうすれば見ることができますか?
A. 3チャンネルで見ることができます。アンテナを高くして千葉に向けてください。また、すべてホームページから見ることができます。そのため、2次利用マーケティング番組を利用しているのは千葉県だけではなく全国の会社が利用しています。

※講演資料はこちら

4.富士通クラウドテクノロジーズ社からのご紹介

富士通クラウドテクノロジーズ株式会社 取締役クラウド事業本部長 上野 貴也 氏

本日の会合に会場をご提供いただいた富士通クラウドテクノロジーズよりニフクラのご紹介とサービス向上のための取り組みについてご紹介いただきます。

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富士通クラウドテクノロジーズではクラウドサービスの競争力を高めるための課題として下記の点を意識しつつ、
「運用効率を高める」「運用効率を高める」の二点に注力しています。

・HWを安く買う
・SWを安く開発する
・運用効率を高める
・HW稼働率を高める

その中での取り組みとして

・Site Reliability Engineering(SRE)
・ChatOps
・AIOps
・Infrastructure as code
・徹底した運用の自動化

があります。

システム運用部門の働き方改革でもありますが、社員が少ない中での自動化を徹底化させていくことで
エンジニアは価値創造型エンジニアへ転換していくことができます。
また、自動化を徹底させることでサーバー台数を爆発的に増加させることができます。

AIOpsの取り組みにより、お客様に影響が出る前に予防交換することが可能となり、
故障による停止が激減。品質向上、スピードアップ、コストダウンを実現しました。

これらにより、現時点で運用作業の85%強を自動化することに成功しており、
夜間の緊急対応を大幅に削減することができました。

システム運用は今大きな転換期。
クラウド導入は運用変革のチャンスです。
優秀なIT人材の確保はこれからの企業の生命線となります。

運用自動化、ChatOps、AIOpsの取り組みを通じて、システム運用部門の働き方改革を!

Q. Slackを導入するにあたり、ハードルは高くありませんでしたか
A. もともとエンジニアと営業とサポート部隊のコミュニケーションが課題としてあった。その点、かなり改善された。また、社内のコミュニケーションツールとしても定着した。

Q. Slackを導入したことにより、メールの位置付けはどのようになりましたか
A. お客様との重要なやり取りはメールのままだが、社内のコミュニケーションツールとしてSlackが浸透した。

Q. 稼働しているサービスをオンラインでマイグレーションを行う場合など、システム上いくつか制限が発生するが、今後はどのようになっていくのか
A. 今後、制限を取り払って便利に使えるようにしていきたいと考えています。

5.会長からの総括
会長 小堀 吉伸

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皆さん、お疲れ様でした。
本日お話しいただいた千葉テレビの大林さん、大変有意義なお話しをありがとうございました。また富士通クラウドテクノロジーズの上野さん、今年も興味深いお話しをしていただき、本当にありがとうございます。

今回は、クラウドと言うよりは、我々が普段あまり意識しない、テレビメディアを起点に如何に自社をメディアへ露出して行くかと言った戦略やマーケティングのお話しをしていただきましたが、本年度のテーマでもあるBeyond the Clouds!するための情報としても大変ありがたかったです。

今回の会合が今年度最後の会合となります。今年度は、衛星データの利活用など宇宙ビジネスからクラウドビジネスを捉えて行くと言った内容で会合を進めてきました。大変、有意義な会合を開催させていただき、ご講演いただいた方々、ならびに会場提供いただいたご協賛の皆さんには、大変感謝しております。ありがとうございました。

来月の11月からNCWGとして8年目の活動に入りますが、今年度は、活動開始から7年目でも21社目のご協賛にご支援をいただけたので、この7年間の活動を見ていただけていたのだと思い、ご期待に応えられるように、さらに来期もクラウドビジネス創りにいい意味の面白いことをやって行きたいと考えています。

引き続き来年度も会合および部会活動、ならびに他団体さんとの強固な繋がりなど行いかながら、少しでも設立時の会の趣旨である、日本から発出するクラウドビジネスモデル(サムライクラウド)を結実させ、日本のクラウドビジネスの枠を少しでも広げられるように努めて行きたいと考えていますのでよろしくお願いします。

最後に、本日会場をご提供いただいた、富士通クラウドテクノロジーズさんには、設立時から様々なご支援いただき大変感謝しております。本日は、この後の懇親会もご用意いただき、大変ありがたいです。ありがとうございます。

皆さん、本日は、お疲れ様でした。来期もよろしくお願いします。

 

7.懇親会
懇親会についても大いに盛り上がり、メンバー・ご協賛の方々との積極的な交流を図ることができました

 

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ご参加された皆さん、お疲れ様でした。

【NCWG実行委員 報告書作成者】
佐々木 泰(株式会社クオリティア)
三上 知親(株式会社エイチ・ピー・エス)

第53回ニッポンクラウドワーキンググループ会合報告

『IoTと衛星通信でクラウドビジネスを拡げる!』をテーマに、ゲスト講演として次世代宇宙システム技術研究組合代表理事の山口さんにご講演いただき、ニッポンクラウドワーキンググループ第53回会合を開催いたしました。

今回はさくらインターネット株式会社さんに会場をご提供いただき、活気ある会合となりました。ありがとうございました。
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【テーマ】『IoTと衛星通信でクラウドビジネスを拡げる!』
【日 時】2018年9月7日(金)17:00~19:00
【会 場】さくらインターネット株式会社 セミナールーム
【参加者】メンバー、協賛各社および関係者の方々を含めて35名

ゲスト講演では次世代宇宙システム技術研究組合代表理事の山口さんに宇宙ビジネスの最新動向と同組合の取り組みについてお話いただきました。
宇宙ビジネスについて多岐にわたる内容で示唆に富み、とても興味深い内容でした。ありがとうございました。

【司会者のご紹介】
実行委員 藤田 浩之(株式会社オレガ)

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1.開催のご挨拶
NCWG副会長 藤田 浩之

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本日は、第53回会合にお集まりいただきありがとうございます。
台風21号、北海道の地震と被災された方へお見舞い申し上げます。

本日のテーマは、「IoTと衛星通信でクラウドサービスを拡げる」となりますが、前2回の会合が宇宙をテーマに行っており、今回で3回目の宇宙をテーマにした内容となっております。
今回は、IoT利用した宇宙データについて、次世代宇宙システム技術研究組合代表理事の山口さんにご講演いただきます。

またさくらインターネットさんからは宇宙ビジネスのサービス紹介となっております。

NCWGで宇宙ビジネス宇宙ビジネスを拡げましょう。

2.新規会員のご紹介

ネットワンシステムズ株式会社 福原 氏
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何回かゲストで参加しているネットワンシステムズの福原です。
CBAでNCWGと連携して、部会を開催していましたが、CBAが活動を終了しましたので、
NCWGサムライクラウド部会を中心に参加しますのでよろしくお願いいたします。

3.部会報告

サムライクラウド部会報告 
部会長 野元 恒志

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ネットワン福原さんからもお話ありましたが、サムライクラウド部会の新たな出発です。
CBAさんが活動を終了しましたが、同じメンバーにてサムライクラウド部会として進めていきます。
SAML連携での横串連携や、AZURADとの連携も進めて行き、2018年もSAMLの啓蒙とDockerなどの検証を進めていきます。

クラウドアプリケーション部会 
部会長 尾鷲 彰一

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クラウドアプリケーション部会では、前年にIoTでクラウドへデータを上げるということを行いました。
今年は、IoTデータとAIの連携をSONY社のNeural Network Consoleで勉強しています。
胡瓜とパプリカの画像識別、花粉の散布量予測などをAIで行おうと実施してきましたが、限られた時間のなかでゼロから作るのは難しいことがわかりました。次回はまとめの予定でしたが、もう少し触る時間も設ける予定です。
部会を通して感じたのですが、こういう時にはこういうロジックといった、AIのノウハウが必要なのだと思いました。
次回は10月中旬ですので参加下さい。

クラウドビジネス推進部会 
部会長 藤田 浩之

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クラウドを利活用するためにリアルな場でクラウドビジネスの拡大を目指します。
今期の勉強会では五輪書を利用して、アナロジー化からのクラウドビジネスを考えます。
地水火風空を題材に、次回は10月下旬開催予定です。
最終巻の空の巻でクラウドビジネスアナロジーを勉強します。
いままでの勉強会ではアントレプレナーの教科書を課題として勉強も行っていました。

クラウドサービス部会 
部会長 小堀 吉伸

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4部会を各理事が担当するとのことで活動しています。
クラウドをサービス視点で見ていくことを、セオドラ・レベットのホールプロダクトの概念で勉強しています。
クラウドアプリケーション部会、サムライクラウド部会は技術的な部会ですが、クラウドビジネス部会、クラウドサービス部会はサービス的な部会です。
ホールプロダクトは補完プロダクトとして垂直統合していくために、メタ情報についてサービスを補完するサービスとして、SAS(サービス・アズ・ア・サービス)として超固体となり新しいことをしていこうとしています。

前回はゲストスピーカーにブライダルサービスを立ち上げた方にお話いただいています。
ベストプラクティス、バットプラクティスを学んでいきます。

次回は10月後半25日を予定しています。

また11月は7周年記念イベントで三藤先生にイノベーションの確信として講演いただきます。

部会は1回完結なので是非参加下さい。

4.ゲスト講演

テーマ「IoTと衛星通信でクラウドビジネスを拡げる次世代宇宙ビジネス」

次世代宇宙システム技術研究組合(NESTRA) 代表理事 山口 耕司 氏

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札幌生まれで、オービタルエンジニアリングという会社で、普段は機械、熱設計を行っており、熱関係は設計と素材を作っています。
オリンピックのリュージュを作ったこともあります。
衛星は、金色の断熱材から手作業で作っていて、日本の衛星の半分を作っています。
ミシンで縫ったりもしていて、下町ロケットのモデルのような感じです。
もともと物がつくりたくてエンジニアになりたく、就職して宇宙部門でやっておりました。
NESTRA 次世代宇宙システム技術研究組合は、普通の組合ではなく、組合法が関わったりもします。
文科省からの依頼で小型衛星5基つくりました。

リモートセンシングビジネスでリアルタイム性が上げられますが、静止衛星ではないので、小型衛星を沢山上げて活用しています。

ほどよし3号、4号という衛星は、4年間のプロジェクトでものすごくしっかり作りました。
構造はハニカムパネルでハニカムパネルを衛星用に制作しています。
1枚300万で小型衛星のハニカムを作っています。
このプロジェクトは日本のベンチャーとして貢献が認められて総理大臣賞をもらいました。

衛星のサイクルは1時間半で地球をまわります。

ラズパイを衛星に積んで地球の動画を取ったのですが、ラズパイコンテストで特別賞を取りました。

何千円で宇宙の動画を取ったり、キティちゃんを宇宙に上げたりもしています。

大きなニュースはキヤノンが衛星を作ったことで、キヤノン電子やIHIエアロスペースなどが、ロケット作りで人を集め始めました。

JAXAでも小型ロケットを進めていますが、スペースXやブルーオリジンといった海外のプロジェクトが始まっています。

火星や月は今の技術で行けます。なんで宇宙か?それは資源があるからです。

衛星データで3.11のような災害で人を救うことができたのか?
人の救助までの限界は72時間なので、震災救出がライフワークとなっています。
衛星データでどうやってみつけるのか?
衛星でデータを送る、IoTを使って被災者情報をプロトコル化する、災害に対して低コストなIoTセンサーを使ってといったことは、まだ被災地では使われていません。
災害でインフラが破壊されているので、衛星からデータを送ることを考えています。

IoTは、地産地消でやることが大事で、それをオープンソースでやりたいと思っています。

[質疑応答]
Q.各国から衛星が上がっていますが各国で縄張りはあるのか?日本の位置づけは?
A.静止軌道はその国の場所取り合いです。低軌道衛星はぶつからないので大丈夫です。問題は電波のリソース取り合いですが、電波ではなく光で通信すれば問題は解決します。

Q.みちびきのステータスが停波でその後はどうなっていますか?
A.どうでしょうか?GPSの電波は出ているので高精度の電波は出しています。

Q.ちなみにみちびきは11月にスタートしています。クラウドを使ってビジネスにしていきたいのですが、出口は事業者まかせなのでロケットを使っている側で着目していることはありますか?
A.ソリューションが出ていない。欲しいのは農業でしたら水が足りない、肥料が足りないなので、画像判断してくださいだけの状況です。
みんなが欲しい情報はLINEなどで欲しいという声があり、グラフや画像ではないです。
LINEでソリューション連携するなど、どうやってエンドユーザーへ伝えるのかが重要です。
カメラの性能でいろいろなことができるのですが、ハイパースペクトルカメラは日本とドイツだけが使っています。
ベンチャーはソリューションがいっぱいあるので、それらを利用してグランドトゥルースデータをためることが重要です。


5.さくらインターネット社からの各種ご紹介
テーマ:『さくらインターネットと宇宙事業の関わり』
さくらインターネット 吉村 卓也 氏

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ご存知の方も多いかと思いますが、まず弊社のご紹介を簡単にさせていただきます。
1996年に高専在学中に起業したのが弊社の起こりですが、レンタルサーバ、VPS、クラウド、近年はディープラーニングやコンテナ、IOTのサービスも取り扱っております。
弊社は石狩に3棟のデータセンターがあり、最終的には6800ラック規模になる予定で現在も拡大中です。

では、今回のお話の技術的な中核となるさくらのクラウドについても簡単にご紹介致します。
さくらのクラウドは、ブラウザで直観的に操作できるようになっており、開発者志向のシンプルさ、自由度の高さ、仮想のデータセンタであるような操作性の三つをコンセプトとしております。
初期費用はゼロ、リソース単位で課金となるシンプルな料金体系であり、なるべく月額料金の見積もりがしやすいようにしています。
2017年3月以降は、サーバ停止時は課金対象外となり、トラフィック量による課金もございませんので、他サービスにくらべて導入いただきやすいかと思います。
お客様の声をサービスに反映していく方針で運営しており、停止時の無課金化もその一つです。
ご要望があれば、ぜひお気軽に投稿していただければと思います。

さて、この度さくらインターネットは、政府の持つ衛星データをオープン化し、社会に還元する取り組みである経済産業省の「平成30年度政府衛星データのオープン&フリー化及びデータ利用環境整備事業」を受託致しました。
事業としては、この取り組みに必要とされる大規模なストレージ及び高い計算能力を持つ日本初のプラットフォームの構築・運用を請け負い、衛星データを活用した新たなビジネスマーケットプレイス創出のためのアライアンス組成にも取り組むものです。

世界では1950年代に衛星が初めて打ち上げられて以後、現状は衛星データの利用は非常に高い専門性が要求され、ハードルの高い状態が続いてきました。
これをわかりやすく、オープンにし、高い専門性や高価なソフトウェアを持つユーザでなくとも利用できるような環境を目指す必要があります。

今回の取り組みは、宇宙データに関する収集・蓄積・分析をわかりやすくし、見えなかったものを見えるようにすることで、生活の利便性向上に役立て、ビジネス創出、人材育成、雇用の創生といったものへ貢献していきたいという想いから参画したものです。

具体的な事業としては、まず、さくらインターネットの保有するインフラを生かして、宇宙データを民間企業や大学、個人といった垣根なく、だれもが簡単に利用できる宇宙データプラットフォーム事業「Tellus(テルース)」の構築・運営があります。

また、開発・利用促進を行うアライアンス「xData Alliance」を組成し、「Tellus」の開発への貢献と利用促進を目的として活動しております。
「xData Alliance」のリーダーには東京大学 空間情報科学研究センター教授の柴崎 亮介氏が就任し、宇宙産業関連企業を含めた21の事業者・研究機関・団体で活動を開始致します。
各事業の知見を生かし、主にユーザーの視点からの提言により、「Tellus」の開発に貢献するとともに、データサイエンティストを対象としたセミナーやコンテストの開催、衛星データと組み合せるさまざまな地上空間情報の収集、ウェブでの情報提供なども実施していく予定です。

データはオープン・フリーであるが、分析や解析に必要なコンピューティングリソースを有償で提供するビジネスモデルで進めてまいりますが、さくらインターネットとしては、衛星データとIOT等で得られた地上データをマッシュアップし、可視化するというところをはまず目指しており、これにより新たな産業を生み出すことにつながると考えています。

世界ではすでに様々なユースケースが生まれつつありますが、日本でもさくらインターネットの「Tellus(テルース)」や「xData Alliance」を通じて、様々は方に衛星データの利活用をビジネスにつなげていただければ幸いです。
どうぞよろしくお願い致します。

[質疑応答]
Q.今後のロードマップはどうなっているのでしょうか。
A.年内にはβ版を公開、その後のテストを経て来年度以降に正式なサービス化を目指すというところで進めております。

Q.Tellusの開発における苦労話などがあれば教えてください。
A.様々なデータを扱う分、ストレージに関してはなかなか難しいところもあるようですが、特にRAWデータの扱いは慎重になる必要がありました。

Q.APIの利用はさくらさんのコンピュートノード利用に限定されるのでしょうか?
A.現状は未定となっておりますが、今後一般公開されたAPIへの対応も可能性はあるかと思いますが、その点についてはプレスリリースをお待ちいただければと思います。

6.会長からの総括
会長 小堀 吉伸

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今回までに53回会合をやらせていただいておりますが、今年度は「宇宙データ」に注目してやってまいりました。
そんな中、本日は次世代宇宙システム技術研究組合代表理事の山口さんにご講演頂きました。
貴重なお話をありがとうございます。
また、本日は地震の影響も少なくない中、会場と貴重なお話をご提供いただいた
さくらインターネットさん、ありがとうございました。

山口さんと以前、お話しした際にクラウドとは何かという話題がありました。
会では、昨年度はおもにAI、今年度は衛星データというトピックに注目して活動を進めていますが、NCWGではクラウドをインターネットを通じて利活用可能なものと定義しており、そうした関わりがあるものはすべてNCWGとかかわりがあると考えています。
その上においてはいずれもクラウドのフロントに在るものとしてこれからも注目し続けていきたいと思います。
今後もそういった観点でいろいろな方にお話を聞かせていただければといろいろ画策しておりますのでよろしくお願いします。

以前、宇宙システム開発利用推進機構の高山さんのお話にもありましたが、様々な面で支援の枠組みなどがあり、本日お話のあったさくらインターネットさんの取り組みも含めて、衛星データ利用のハードルが下がっているのは間違いありません。
NCWGの活動も11月で8期目に入りますが、引き続きどんどんご案内や「場」を提供していきますので、ぜひご参加ください。
そして懇親会も含めてその「場」を利用して、様々な方とご縁を持っていただき、それぞれのビジネスにつなげていただければと思います。
今後ともよろしくお願い致します。

7.懇親会
懇親会についても大いに盛り上がり、メンバー・ご協賛の方々との積極的な交流を図ることができました

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ご参加された皆さん、お疲れ様でした。

【NCWG実行委員 報告書作成者】
内田 龍 (株式会社クリエイトラボ)
井口 和彦(株式会社ドヴァ)

第52回ニッポンクラウドワーキンググループ会合報告

今回の会合は「クラウドの今を見つめ直し、新たな価値を掘り起こす!」をテーマに、メンバー発表では3社から改めてIaaS利活用によるクラウドビジネスの価値発掘を視野に発表を行い、ニッポンクラウドワーキンググループ第52回会合を開催いたしました。

今回は富士通株式会社さんに会場をご提供いただき、活気ある会合となりました。ありがとうございました。
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【テーマ】『クラウドの今を見つめ直し、新たな価値を掘り起こす!』
【日 時】2018年7月6日(金)17:00~19:00
【会 場】富士通株式会社 富士通デジタルトランスフォーメーションセンター
※浜松町世界貿易センタービル30階
【参加者】メンバー、協賛各社および関係者の方々を含めて45名

メンバー発表では、株式会社蒼空、株式会社ムービット、有限会社ディアイピィの3社から発表いただきました。
3社ともに、メンバーならではの新たな価値発見につながる大変興味深い内容でした。
ありがとうございました。

【司会者のご紹介】
実行委員 尾鷲 彰一(株式会社オープンウェーブ)
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1.開催のご挨拶
NCWG副会長 藤田 浩之
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本日は第52回ニッポンクラウドワーキンググループ会合にお集まりいただきありがとうございます。
まず初めに、本日会場をご提供いただきました富士通さん、ありがとうございます。富士通さんにはこのほどNCWGに協賛として加わっていただきました。改めてお礼申し上げます。

NCWGは今年の11月で7周年を迎えますが、7年間やってきて未だこうして加わっていただけるということは、我々運営にとって励みになることです。もちろん本日こうして多くのみなさんに集まっていただけるということもとても励みになることで、これからも会を盛り上げていきたいなという思いです。

本日の会合のテーマは『クラウドの今を見つめ直し、新たな価値を掘り起こす!』で、メンバー発表として3社に改めてIaaS利活用によるクラウドビジネスの価値発掘を視野に発表いただきます。

今期スローガンは「Beyonds the Clouds! ~ムスビ(結)で、実を拡げる~」です。ですので、是非参加されている皆さんが結びつきあって、クラウドビジネスを拡げ、そして、我々が推進する日本から世界に発出するクラウドビジネスモデル(サムライクラウド)の実現に繋げていってください。

2.新規メンバー・協賛のご紹介

株式会社アイロバ 小林 氏
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創業3期目の会社。クラウド・データセンター関連で様々なインフラサービス提供をしています。
また、Webサイトに対するセキュリティ診断やNTT東西ダークによる拠点間専用線事業なども展開しています。
皆さんと新たなビジネスを創出したいです。

富士通株式会社 芝崎 氏
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これまで提供してきた既存クラウドサービスを「FUJITSU Cloud Service」として刷新しました。
ハイブリッドIT・マルチクラウド環境を活用したインテグレーション・運用サービスを強化します。
NCWGの皆さんと、ビジネスを一緒に作っていきたいです。

3.大阪開催報告
実行委員 宮原 哲也(株式会社アルティネット)
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テーマ:「宇宙ビジネスの利活用でクラウドビジネスを昇華させる!」
日 時:2018年6月8日(金)16:00~19:00
会 場:GMOクラウド株式会社 大阪支社
参加者:メンバー、協賛各社および関係者の方々を含めて約60名
・開催のご挨拶:藤田副会長
・会の活動紹介および各種部会の活動紹介:小堀会長および各部会長
・GMOクラウド社からの各種ご紹介:営業部プリセールスグループ 中田祐樹さん
・ゲスト講演「宇宙ビジネスの潮流~今、注目される宇宙ビジネスと衛星データ利用~」:一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構 高山久信さん
・特別講演「衛星画像についてパターン認識を用いた解析技術の紹介」:京都大学 学術情報メディアセンター 飯山将晃さん
・会長からの総括:宇宙システム開発推進機構をはじめ他団体との交流から今後も相乗効果を上げていきたい。
懇親会:参加者約50名

大阪での会合・懇親会は、今期のスローガン「Beyond the Clouds! ムスビ(結)で、実を拡げる!」のとおり、皆が思い思いにつながって、各社の、そしてひいてはニッポンのクラウドビジネスを拡げていくことを実感できる内容でした。

4.部会報告

クラウドアプリケーション部会
部会長 尾鷲 彰一
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今年度は、昨年度実施した、IoTのデータをAIで活用することに取り組んでおります。
SONYのNeural Network Consoleを使ってAIを理解するところまでを前回の部会で実施しました。
次回の部会では、実際にAIを使ってみる予定です。
次回の部会は、7月31日に開催いたします。是非ご参加ください。

クラウドビジネス推進部会
部会長 藤田 浩之
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クラウドの利活用を通して日本のクラウドビジネス創出を目指しています。
現在勉強会では「五輪書」を教材とした勉強会を開催しています。
「五輪書」はいわゆる兵法書でビジネスには直接結びつかないですが、「五輪書」に書かれている考え方はビジネスでもためになります。
たとえば、五輪書では“鍛錬”が重要だということが度々説かれていますが、これはクラウドビジネスでもすごく重要なポイントで、クラウドは必要に応じて“利用する”という考え方であるため、利用者にとっては他のサービスに切り替えやすくなっていて、その中でサービスを利用し続けてもらうには顧客のニーズの変化に合わせてサービスを提供しつづける必要があり、だからこそクラウドでもサービスを鍛えて質を高め、結果、他社サービスとの差別化をはかる=“鍛錬”が必要といえます。

次回勉強会は7月27日(金)です。みなさん是非ご参加ください。

クラウドサービス部会
部会長 小堀 吉伸
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クラウドサービス部会では、
クラウドサービスをテクノロジーからのアプローチではなく、サービスの視点から検討することで、様々なクラウドサービスの有効性を浮彫にさせるだけでなく、なんでクラウドサービスが機能していないのかと言ったサービス自体の無効性など、正反合(セイハンゴウ)の各面からクラウドサービスを「ビジネスモデル」視点で考察しています

また、考察するに当たりセオドア・レビットの戦略モデル「ホールプロダクト」の概念を参考に考察を行っています。

次回の部会では、ゲストスピーカーにエアブライダル株式会社の遠山純生さんをお呼びして、ご提供されているブライダルウェブサービスのビジネスモデルについてお話ししていただきます。

毎回、一回性のかたちで部会を開催しているので、前回参加してないから分からないと言った流れを取らないようにしています。今回初めて部会に参加する方でも、是非ご参加ください。

5.メンバー発表

メンバー発表1
株式会社蒼空 代表取締役 林 健一郎 氏
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テーマ:富士通クラウドとの協業について
 富士通社には協業というより相談させて貰ってるという状況です。

事例紹介:帝京大学のシラバスシステムの構築事例
 現行運用の課題点がとても多かったが富士通へ相談した事により解決したことが多かったです。

上記事例の経験則より
・富士通クラウドの好感点
①日本製であること
②データの所有権がユーザーにあること
③手厚い支援を頂けること

・富士通クラウドの課題点/懸念点
①Azureの場合Azure単独で構築できてしまう
②協業ビジネスモデルの確立

・本件を富士通クラウドで進めるための方針
①Accessの利用を辞める
②MySQLからPostgresに変更
③Accessデータの正常な移行
 
[質疑応答]
Q.今回プレゼンに使ったツールについて
A.自社開発したプレゼンツールで、意識合わせを円滑に行う事ができるツールです。iOSのバージョンアップに伴い、メンテナンスができてないので現在は使う事ができないため、メンテナンスが終わればNCWGにて再度ご案内します。 

※発表資料はこちら

メンバー発表2
株式会社ムービット 代表取締役 谷地田 工 氏
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テーマ:富士通クラウドのOSSレシピ
 富士通クラウドの使い方や他社比較、サポートのクオリティ、特徴などを纏めました。

・他社クラウドとの比較
①富士通クラウドは日本円での対応可能
②データ通信料金が無償
③GUIがシンプルでブラウザからのリモートコンソールは便利
④サポートのクオリティが高い

事例紹介:富士通クラウドにて自社サービスのPoweredBLUE870の立ち上げ事例
レシピ①/小学校のHPの常時SSL化について
レシピ②/オンラインストレージ構築について及びデモ

[質疑応答]
Q.谷地田さんが感じた他社クラウドと比べて富士通クラウドが良い点と悪い点はどのようなところでしょうか?
A.
良い点:マシーンの安定感がよい、サポートがとてもよいという点
悪い点:コンテナの数が少ないという点

※発表資料はこちら

メンバー発表3
有限会社ディアイピィ 代表取締役 野元 恒志 氏
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テーマ:自動化へのチャレンジ
・なぜ自動化が必要か?それは手作業を少しでもなくしたいからです。
・クラウド自動化については現状Ansibleを利用中→満足してるが全体の自動化は行っていきたいです。

デモ:富士通クラウド基盤での自動構築に挑戦

・立ち上げまでの課題
①ドキュメントを探すのが手間
②グローバルIPの反映に時間が掛かる
など

[質疑応答]  
Q.ドキュメントが大変と言ってたがそれさえクリアすれば大丈夫なのか
A.玄人志向でドキュメントがないと難しいが、一回習得すれば大丈夫な気がします 

※発表資料はこちら

6.富士通株式会社からの各種ご紹介
富士通株式会社 クラウドサービス事業本部 シニアマネージャー 浮田 博文 氏
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「基幹システムのクラウド化を支える富士通のクラウド」

・ブランド名変更
K5→FUJITSU Cloud Service for OSS (OpenStackベースのサービス)

グローバルな情勢としてデジタル化の波が世界を動かしており、価値のシフト化進んでいます。そのためデータ活用と付加価値についてが重要になります。

事例紹介:
①:メタウォーター社 IoT
②:国連開発計画/東北大学 災害のDB

価値あるデータはまだ8割がオンプレ上に眠っており、クラウド化を推進する事でデータの有効活用させデジタルトランスフォーメーションを実現させたいです。
富士通クラウドの基本コンセプトはSustainable,Scalable,Secureです。お客様に寄り添うクラウドを提供します。

・エコシステム例
①RedHat
②Juniper
③NOKIA

・運用監視ツールの提供
現在のデータセンターにて利用してる管理ツールをすべて提供し見える化を促進しています。

・Developers Community Fujitsu Tech Talkの紹介

[質疑応答]
Q.運用代行サービスはありますか?
A.富士通社内に運用代行専門部隊があるので今後サービス提供いたします。

Q.様々な種類のIaaSがラインナップされてるが何故ですか?
A.for OSSだけでいいのではという意見もありますが、海外外拠点向け対応のサービスとしてラインナップを広げています。

※発表資料はこちら

7.会長からの総括
会長 小堀 吉伸
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お話しいただいた、三社の方々、ご苦労様でした。
また、今回会場をご提供いただいた富士通さん、誠にありがとうございました。

ニッポンクラウドワーキンググループは、現在90社のメンバーの方々と、21社のご協賛の方々で会の活動構成を取っています。これだけの会社の方々に集まっていただけたことで、会の設立から掲げている、クラウドサービスでの「ニュートラルな立ち位置」で活動が行え、様々なクラウドサービスをニュートラルな立ち位置で捉えることができるため、今回、富士通クラウドのお話しが聴けたことで、ニュートラルな立ち位置からの様々なクラウドサービスの比較という視点では、かなり有効だったと考えています。さらに機会損出を少しでも避けるといった意味でも大変有意義だったと考えています。

この7年間NCWGのビジョンとして、日本から発信するクラウドビジネス構築が目標なので、今後も会員の皆さんと、連携しながらサムライクラウドの創出を成果を出して行きたいと強く望んでいます。引き続き、よろしくお願いします。

8.懇親会
懇親会も大いに盛り上がり、メンバー・ご協賛の方々との積極的な交流を図ることができました。
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非常に有意義な懇親会となりました。ご参加された皆さん、ありがとうございました。

【NCWG実行委員 報告書作成者】
宮原 哲也(株式会社アルティネット)
小崎 史貴(JIG-SAW株式会社)


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