NIPPON Cloud Working Group > 報告書 > 会合報告 > 第80回ニッポンクラウドワーキンググループ会合報告

第80回ニッポンクラウドワーキンググループ会合報告

『生成AIの現在地を深掘りし、クラウドケイパビリティを伸ばす!』をテーマに、ニッポンクラウドワーキンググループ第80回会合(大阪開催)を開催いたしました。
一年ぶりの大阪での開催となった今回の会合は、GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社さんに会場をご提供いただき、多くの方々にご参加いただき活気ある会合となりました。

テーマ:『生成AIの現在地を深掘りし、クラウドケイパビリティを伸ばす!』
日 時:2025年10月31日(金)15:00~18:00
会 場:GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社 大阪支社

【司会者のご紹介】
司会 NCWG副会長 野元 恒志

1.開催のご挨拶 
副会長 藤田 浩之

本日はニッポンクラウドワーキンググループ第80回会合にお集まりいただきありがとうございます。
1年ぶりの大阪開催ということで、大阪といえば先日の大阪・関西万博が盛況のうちに閉幕となりましたが、ニッポンクラウドワーキンググループも10月が期末で明日からは新しい期になり、本会合が今期最後の会合ということで、今期の最後に相応しく盛り上がっていければと思っております。
今回の会合のテーマは、「生成AIの現在地を深掘りし、クラウドケイパビリティを伸ばす」ということで濃い内容でお送りしますので、ぜひ皆さんお楽しみください。
今期のスローガンは「クラウドケイパビリティを伸ばし、クラウドビジネスの質を高める」です。
本日の内容を踏まえて、クラウドケイパビリティを伸ばして、クラウドビジネスの質を高めていただけたらと思います。

2.部会報告

サムライクラウド部会
部会長 野元 恒志

元々、サムライクラウド部会ではSAMLを中心とした連携が本流になっています。
そこの部分は全然崩れてないんですが、今はゼロトラストでもSAMLの認証連携が当たり前になっていますので、生成AIのようなテーマもニュートラルな立ち位置で進めています。
現在、ゼロトラストと生成AIが2大テーマになりつつあります。
各種のLLMの動向だったり、ゼロトラストはSAMLをはじめとしたセキュリティ要素についていろんな情報共有しながら、今後も進めていきたいなと思ってます。
次回のサムライクラウド部会は11月中旬を予定しています。

クラウドビジネス推進部会
部会長 藤田 浩之

クラウドビジネス推進部会の活動指針としては、メンバー相互の交流の機会を積極的に提供することと、クラウドビジネスについての知の共有により各社のクラウドビジネスを活性化させることです。
最終的には日本から発出するクラウドビジネスモデルである「サムライクラウド」を実現し、その質を磨くというところにつなげていきたいという思いで活動をしております。
実際の活動内容は、クラウドビジネスサロンというものを2ヶ月に1回程度実施し、参加者でクラウドビジネスについて語るということを実施しています。
毎回テーマを決めていますが、最近では生成AIが注目するテーマとなっており、直近ではMCPとかA2Aについても話題が出ています。

今期は9月の会合でクラウドビジネス推進部会から「生成AIでクラウドケイパビリティを伸ばし、サムライクラウドを実現する」という発表を行いました。
報告ページに詳細と資料が載ってますのでぜひ参照してください。

3.GMOグローバルサイン・ホールディングス社からのご紹介1
「国産クラウド速度No.1 ALTUS Advancedサービス紹介」
GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社
クラウドソリューション営業部 セールスセクション アライアンスビジネスG
大浦 政之 氏

本日はALTUS Advancedサービスがリニューアルされたのでご紹介いたします。
ALTUS Advancedサービスは中間に位置しており、特徴としては以下のとおりです。

・速度No.1の国産クラウド
・24時間365日対応の技術電話サポート(マネージドサービス)
・豊富なセキュリティメニュー

既存サービスからの違いとしては、以前は99.95%であった稼働率保証(SLA)を99.99%に高めています。
また、CPUとメモリの組み合わせでプラン数が122あり、そこに高速ストレージ(4TBまで選択可能)と中速のストレージ(12TBまで選択可能)を選べます。
SSL証明書の更新についてもサーバー毎ではなく1枚の証明書の更新で済むので手軽になると思います。

クラウドサーバーのポータル画面については、代理店様のほうで管理しやすいような作りにさせていただきました。
イメージとしては各サーバーやお客様の管理が一元管理できるというような作りになっています。
また、管理画面の中に代理店様の社名やロゴマークをつけたり、メニューの色や画像の変更もできるようになっています。

管理のやり方は2パターンありまして、ひとつはクラウドサーバーのポータル画面をお客様ごとに作ってそれぞれを管理するやり方です。
もうひとつはクラウドサーバーのポータル画面をそれぞれの会社にお渡しして、仮想サーバー構築や運用を全部お客様のほうにお任せするやり方です。

最後になんですが、本日ご参加されたお客様向けに6万円のキャンペーンコードを作りました。
12月20日までの期限はあるのですが、もしご希望される方はGMOのスタッフにご相談ください。

Q:マネージドサービスについてお客様が開発したプログラムのどのレベルまで面倒を見ていただけるか
A:お客様が開発されたものについては、詳しくお話を聞かせていただいてからご判断をさせていただきます。

Q:すでにお使いのお客様から移行したいという話もあると思いますが、簡単に切り替えられるものですか。
A:中身によって異なりますが、事前にお客様が今使われているサーバーの中を我々のほうで調査させていただき、ご案内させていただきます。

GMOグローバルサイン・ホールディングス社からのご紹介2
「”丸投げ”事業共創のご提案」
GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社
戦略企画部 企画G
小島 和也 氏

先日弊社からリリースさせていただいた「GMOなりすましメール対策支援サービス」についてご紹介と、皆様と事業共創ができないかというご提案をさせていただきます。
サービスの市場としては、フィッシング対策協議会さんのレポートからすると2020年ぐらいから爆発的に増加していますが、最近のなりすましメールは本物と区別ができないものが多いです。
その結果、インターネットバンキングの不正送金被害額が警察庁の発表資料で一昨年から爆発的に増えています。
金額にするとだいたい年間で87億円ぐらいで、実に9割はフィッシングが原因というところまで分かっており、ほぼほぼなりすましメールであると言っても過言ではありません。

そんな状況の中で総務省からはフィッシングメール対策の要請が出ており、これがDMARCとBIMIというものです。
また9月以降は3ヶ月ごとに取り組み状況の報告指示が求められているので、かなり重たい要請と思います。
実際に被害が出てる金融業界はかなり対応が早くて、スタンダードな取り組みとしてDMARCを必須対応にしてます。
またベストプラクティスとしてBIMIも積極的に検討するようにと明記してます。

日経225の大手企業さんでDMARCをどれだけ導入してるのかというと92.4%は導入していますが、ポリシーについては大半がグレーで、なりすましメールと思われるものを受信しても、特に何もしないっていうポリシーのままです。

これらを本当の対策としてベストプラクティスに引き上げていくまでには以下の3ステップで成り立つと思います。

ステップ1:DMARCを導入
これは、レポートを受信するだけの状態です。
皆さんもメールを運用しているのであれば聞いたことあるかと思いますが、GmailとかOutlookとかの送信者ガイドラインで言われているDMARC導入の設定になります。
これは特に何も処理させずにDMARCっていうものが入っていればとりあえずOKの状態です。

ステップ2:迷惑メールフォルダに強制的に入れるというポリシー
金融業界とか、総務省が求めてるのはここです。

ステップ3:BIMIの導入
メールを受信した時に、そこにロゴが表示されるものになります。

これが安全性を視覚的に証明するというようなステップになっています。

この3ステップを全て支援するサービスが「なりすましメール対策支援サービス」というもので、技術支援とコンサルをさせていただこうと思っています。

さらにここからが協業のお話ですが、ぜひ皆様にこのサービスを商材に加えていただけないかと考えています。
技術系のサービスなので、お問合せとかになった時には、エンドユーザー様と技術支援、技術的なお話などはGMOで直接させていただきます。
また、弊社の方で支援させていただくのはBIMIの導入まで全てひっくるめて25万円であり、証明書発行もグローバルサインでワンストップで支援いたします。

GMOグローバルサイン・ホールディングス社からのご紹介3
「AI活用で加速する生産性革命!月375時間の業務削減を実現したGMOグローバルサインHDの舞台裏」
GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社
戦略企画部 企画G
小島 和也 氏

GMOグループがAIを活用するぞと早くから言い出して、かなりお金をかけて色々やってきたので、その取り組みや効果とかについてお話しいたします。

GMOグループ全体での取り組みとしてメインに挙げられたのは去年で、2024年のグループ全体経営目標スローガンで「AIで未来を作るナンバーワン企業グループへ」でした。
中身としては、AIスタートアップ投資で日本一になるということですが、具体的な活用指針として3つの指針が挙げられてます。

1.時間とコストの節約
2.既存サービスの質向上
3.AI産業への新サービス提供

「時間とコストの節約」では「AIしあおうぜプロジェクト」という社内公募コンテストを始めて、2年間で年間の賞金総額1000万円のコンテストやGMO AIセミナーを開催しました。
他にもGMO Geniusとしてグループ内のAIナレッジの共有サイトとしてグループの社内の人だけが見れるポータルサイト作成や、エンジニアではない方を対象にしたリスキリング施策で虎の穴、受験必須のAIテストであるAIパスポート、AIツールの利用料補助などがあります。
「既存サービスの質向上」では、GMOインターネットのGPUクラウドで電力効率国内1位、GMOグローバルサイン・HDでのカスタマーサポートで精度97%のAIチャットでの受賞などがあります。
「AI産業への新サービス提供」では、2024年の6月に開始したGMO AI&ロボティクス商事株式会社、GMO GPUクラウドの提供開始などがあります。

こういった中でどれだけAIを業務活用して、どんな効果が出たのかについてですが、「AIしあおうぜプロジェクト」が開始された2023年4月以降6%から52%に上がっています。
今年の9月にはおおよそ95%が生成AIを業務活用しており、それによる業務時間削減は25万時間ぐらいです。
1人あたりに直すと40時間強なので、だいたい1/4人月ぐらいが削減できたことになります。

Q:なりすましメールについてですが、何もしてない方々ではまず最初にDMARC対応しましょうというところがスタートでしょうか?その後にVMCを表示させるその仕組みとしてBIMIがあるということでしょうか?
A:はい。そのとおりです。

Q:AIについて、AI人材の育成ロードマップのようなものはありますか。
A:AI活用の評価基準があり、利益と削減した時間でパーセント取って、上がり幅がどうなってるかの評価をしています。

4.「コンピューティングとロボティクスの交差点 - 強化学習とVLAが開く次世代制御」

株式会社XNOVA
代表取締役
八鳥 孝志 氏

本日のポイント
 生成AI+ロボティクス=フィジカルAI
 AIは「物理世界」をも生成するようになる

清水建設との共同実験
 建設現場における4足歩行ロボットの制御研究
 ヒューマノイドの制御研究

生成AIの従来の役割は「受動的AI」
 受動的AIの限界:情報処理に特化し、デジタル空間内で完結しており現実世界への直接的作用は無い
 →AI自らは手足を持たない=ブルーカラーには成り代わらない

AIに身体(ハード)を与える「フィジカルAI」
 AIの知能+ロボットの身体

フィジカルAIを支える技術の進歩
 計算資源の発展:低コスト高速開発、強化学習
 基板モデルとデータ:汎用的な基板モデルで環境知識を共有
 ハードウェア革新:ダイレクトドライブモータの登場

「従来のAI+ロボット」と「フィジカルAI」は何が違うか
 「従来のAI+ロボット」:AIは物理行動できず受動的・ロボットはプログラムされた単一タスクに特化
 「フィジカルAI」:AIは自律エージェントとして現実世界で行動・ロボットは動的環境に適応し複数タスクを学習

フィジカルAIの仕組み=知覚・思考・行動の統合
 強化学習(RL)による自律制御の進化
 観測→行動→報酬のループ

シミュレーション空間での学習
 ルールベースからポリシー学習へのパラダイム転換

VLA(視覚言語行動)モデルの台頭
 視覚+言語+行動を一体化
 AIが文字に替わってロボットの制御信号を出力する

フィジカルAIはなぜパラダイムシフトか
 強化学習によるバーチャル空間での開発
 VLAなどの生成AIとの融合でルールベースを脱却
 →物理世界が“生成”される時代へ

フィジカルAIの実例
 医療・ヘルスケア
 産業・インフラ
 AIがロボットを動かす最先端プロジェクト

フィジカルAIの課題・リスク
 技術的課題
 安全・信頼
 倫理・社会

ソフトウェアエンジニアの影響
 パラダイムシフトの意義:開発領域の拡大・クロスドメインの技能・AI駆動開発
 求められるスキルと備え:ロボットOS・AIモデル統合・シミュレーション活用

フィジカルAIの今後の展望
 普及拡大:汎用ヒューマノイドやサービスロボットの実用化
 デジタルツインとの融合
 社会インフラ化

Q:VLAは制御するロボットによって異なりますか?
A:多少のファインチューニングで異なるロボットを制御することは将来的には可能だが現段階ではまだです。

Q:ハードウェアが進化すれば汎用ソフトウェアが制御できるようになりますか?
A:人間の体を脳が制御するように複数のソフトウェアが分担すると考えている人もいます。

5.「生成AIによってソフトウェアエンジニアの仕事が奪われるって本当?」
株式会社テッキーズポッド
代表
戌亥 稔 氏

認知心理学におけるファストとスローとは
 囲碁に当てはめると
 ファスト=定石
 スロー=論理的に推論

AIモデルまとめ
 現在はOMNIモデル
 今後はDeep ThinkやUltra Thinkなどの長く考えるモデルがでてくると予測されている

「2025年はAI Agentの年」と言われたが、実際には10年単位の時間がかかっていて、「2025年はAI Codingの年」である

AI Agentの課題
 人間が行う長期タスクを自動化する
 AIは個別の顧客の情報をよく知らない
 データとフローの学習は柔軟性が必要
 フローはコードに埋め込まれたパイプライン、データはある時点の固定データで行うとAgentは思い通りに動かない

AI Agentに必要なキーテクノロジー
 Reasoningモデルの進化
 特定データとの連携機能
 プロダクト開発や運用タスクの自動化

Coding Agentの動向
 IDE(Editor)
 プラットフォーム(PaaS)型
 CLI型

コーディングAgentの仕掛け
 開発計画の作成(調査と計画)→実装ステップ→テスト→デバッグ→実装ステップ→・・・

Coding Agentの最近の動向
 事前学習よりも推論時の計算能力が必要となってきている

Coding Agentの課題
 生成AIを使ってCodeを書くにはコンテキストを正しく保つ必要がある等

npmサプライチェーン攻撃
 npmサプライチェーン攻撃が9/15ぐらいから発生している

生成AIによってSWEの仕事が奪われるって本当?(開発者目線)
 PM=プロジェクトマネージャからプロダクトマネージャへ
 プロダクトマネージャに必要なスキル
  ・製品のビジョン
  ・アーキテクチャ設計(コンテナ化して運用の自動化)
  ・ビジョンを持ってAIと接する

生成AIによってSWEの仕事が奪われるって本当?(経営目線)
 経営側が求めるスピード感が変化している
 →少ない人数で早く稼ぐことがAICodingの目標とすると、これまでのSWEは本当に仕事を失う可能性は十分にある

結論
 AIはコードを作れないとかの議論の前に実際に動くソフトウェアを作成してみよう

6.会長からの総括
会長 小堀 吉伸

皆さん、お疲れ様でした。
お話しいただいた、八鳥さん、戌亥さん、
お忙しいところお時間いただき本当にありがとうございました。
大変有意義なお話をお聞きできました。

また、会場をご提供いただいたGMOさん、
今年も会場のご提供誠にありがとうございました。

設立から今日で丸14年経ちましたが、
GMOさんには、
この14年間会へのご支援をいただき感謝の念に堪えません。
本当にありがとうございます。

ニッポンクラウドワーキンググループは、
2012年11月1日に設立し、
そして活動開始となりました。
そのため、10月31日の本日の会合をもって今期14期の活動は最後となります。

大阪開催での会合をもって14期の締めとできたことは、
大変ありがたいことで、
来期に向かって引き続き活動を開始できるのもありがたいです。

来期の体制につきましては、
この後、総会を開催して決めてゆきますが、
ニッポンクラウドワーキンググループとして、
まだまだ「やりたいこと」や、
ニッポンクラウドワーキンググループだからこそ、
「できること」、
また、ニッポンクラウドワーキンググループだから
「やらなければならないこと」は、
今期の活動内でも明確に出てきているので、
引き続きニッポンクラウドワーキンググループだからこそ
「やるべきこと」を活動の軸として活動を行ってゆきますので、
15期も引き続き皆さんには、
会の活動へご参加いただき、
意味のある有意義な会にしてゆきたいと考えていますので、
是非とも活動参加のほど、よろしくお願いします。

本日は、お疲れ様でした。

6.懇親会

恒例の懇親会も大いに盛り上がりました。
ご参加された皆さん、お疲れ様でした。

【NCWG実行委員 報告書作成者】
大澤 武史(株式会社ブライエ)
宮原 哲也(株式会社アルティネット)


12月 2025
月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 土曜日 日曜日
2025年12月1日 2025年12月2日 2025年12月3日

カテゴリー: Generalニッポンクラウドワーキンググループ14期報告会及び14周年パーティ兼大忘年会

2025年12月4日 2025年12月5日 2025年12月6日 2025年12月7日
2025年12月8日 2025年12月9日 2025年12月10日 2025年12月11日 2025年12月12日

カテゴリー: General実行委員会/忘年会

2025年12月13日 2025年12月14日
2025年12月15日 2025年12月16日 2025年12月17日 2025年12月18日 2025年12月19日 2025年12月20日 2025年12月21日
2025年12月22日 2025年12月23日 2025年12月24日 2025年12月25日 2025年12月26日

カテゴリー: General理事会

2025年12月27日 2025年12月28日
2025年12月29日 2025年12月30日 2025年12月31日 2026年1月1日 2026年1月2日 2026年1月3日 2026年1月4日