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【2025年2月】サムライクラウド部会 部会報告


2025年2月18日(火)にサムライクラウド部会を開催いたしましたのでご報告いたします。

今回は、リアルとオンラインのハイブリッド会議形式で実施致しました。

■日時:2025年2月18日(火)15:00~17:00
■場所:リアル及びオンライン会議

サムライクラウド部会では、SAMLやOAuth、多要素認証などの認証技術、アプリケーションマッシュアップするための基盤技術、生成AIなどの先進的な議題についての議論・発表を行っています。
今回は下記に関しての議論を行いました。

・Deepseekショックについて

・6月サムライクラウド部会発表について

ご参加いただいた皆さん、ありがとうございます。

次回の部会は、3月中旬を予定しています。

是非みなさまご参加ください。

【2025年1月】サムライクラウド部会 部会報告


2025年1月20日(月)にサムライクラウド部会を開催いたしましたのでご報告いたします。

今回は、リアルとオンラインのハイブリッド会議形式で実施致しました。

■日時:2025年1月20日(月)15:00~17:00
■場所:リアル及びオンライン会議

サムライクラウド部会では、SAMLやOAuth、多要素認証などの認証技術、アプリケーションマッシュアップするための基盤技術、生成AIなどの先進的な議題についての議論・発表を行っています。
今回は下記に関しての議論を行いました。

・ガバメントクラウドについて(SwitchOnlyRole)

・今期サムライクラウド発表内容に関して

・ISMS改定に伴う実施事項について

ご参加いただいた皆さん、ありがとうございます。

次回の部会は、2月中旬を予定しています。

是非みなさまご参加ください。

NCWG年度報告会、設立13周年特別講演会、パーティ兼忘年会 開催報告

この度ニッポンクラウドワーキンググループは13周年を迎えることができました。
日頃の活動をご支援いただいてるご協賛・メンバー・サムライクラウドサポーターの方々にも感謝申し上げます。

13期の活動報告および14期の活動計画の報告会、設立13周年特別講演会、パーティ兼忘年会を2024年12月3日にリアルとオンラインのハイブリットで開催しましたのでご報告いたします。
当日は多くの方にお集まりいただき、ありがとうございました。

【司会進行】 大澤 武史

【第13期活動報告会及び第14期活動計画報告会】

会長 小堀吉伸

小堀会長から、2024年度の活動と2025年度の活動計画の報告をいただきました。

最初に会の設立にかかわるお話をされました。

ニッポンクラウドワーキンググループは、2011年11月1日に設立し活動を開始しました。
 その1年前の2010年11月1日より「ニフティクラウドワーキンググループ」として1年間活動した後、よりニュートラルな立ち位置の会としてニッポンクラウドワーキンググループとして活動開始することとなりました。
 ニュートラルな立ち位置だから出来ること、さらにニュートラルな立ち位置だからこそやらなければならないことなど、日本のクラウドビジネスのパイを少しでも広げることをミッションとして会がスタートしましたが、13年経って「クラウド」が道具として、またモノゴトを表現するときの「意味」としても普通に使われるようになっていることを十分認識しながら、引き続き「クラウド」の活動を行ってゆきます。

以下、箇条書きにて概要のみを記します。

・2024年11月時点でのNCWGの構成は、メンバー86社、協賛企業20社、サポーター7人で、200名程度が会の活動に関わっている。

・2024年度のスローガン「Beyond the Clouds 24!『クラウドケイパビリティを高め、次のクラウドビジネスをつかむ!』」と活動方針、そして主な活動について説明されました。

続いて、2025年度のスローガン「Beyond the Clouds!『クラウドケイパビリティを伸ばし、クラウドビジネスの質を高める!』」と活動方針、そして主な活動計画について説明されました。

・「Beyond the Clouds!」については、「クラウド」は、あくまでも道具なので、その道具を使って成すべきことをきちんと捉えれば、道具のクラウドは自然と使われるとの意味合いから、クラウドを超えてということで、「Beyond the Clouds」をスローガンにしているとのことです。

・そして会に参加するだけでなく、参加するからには、一緒に企画から関わってほしいとのことで、「参加者から参画者へ」と呼びかけられ、参画者として会の活動に関わっていただくことで、自社の強みを表出していただき、他の参画者との交流を通して、相乗的なクラウドビジネスの価値を創りだすことができると説明されました。

また、活動の推進力となっている実行委員の皆さん及び所属されている会社の方々に対して、イベントごとに作成される報告書作成への感謝とお礼を述べられていました。

・2025年度の活動の「域」としては、AIが主戦場となりますが、さらに量子コンピュータなどの量子分野や宇宙ビジネスなども活動領域に入れているとのことです。

最後に2025年も、面白いけど、有意義でクラウドビジネスに有効な活動を行ってゆく話されて報告会の話を終わられました。

【部会活動報告及び活動計画】

サムライクラウド部会(部会長 野元恒志)


IDとAPIとアプリケーションを連携の主な議題として取り上げて来ました。ゼロトラスト上でのセキュリティに関する議論を行っています。

2024年度の活動報告
ゼロトラストを中心として各種議論、成果発表を行いました。
2025年度の活動計画
ゼロトラストを中心とした議論をしつつ生成AIに関して、RAGを用いた生成AI技術のビジネスへの取り組みなど最新技術動向も取り込んでいきます。

クラウドアプリケーション部会(部会長 尾鷲彰一)

2024年度の活動報告
6月までは画像生成AIや、動画生成AI、音楽生成AIなどのAIサービスを調査してきましたが、、7月以降はシステム開発に有用なAIを取り上げてきました。
2025年度の活動計画
AIサービスは刻一刻と進歩しているため、AIサービス一覧の見直し、サー追加、修正を行います。
引き続き、業務に役立つAIサービスを取り上げていきます。

クラウドビジネス推進部会(部会長 藤田浩之)


皆さんが気軽に参加して「クラウドビジネス」について知識を共有する場として、お酒などを飲みながら「テーマ」に沿って語り合う「クラウドビジネスサロン」を開催しています。

2024年度活動報告
 取り上げたテーマとしては、ノーコードの活用と最新生成AIの活用を取り上げてきました。
2025年度活動計画
 テーマは引き続き「生成AIのクラウドビジネスへの活用」とします。
 クラウドケイパビリティの向上とクラウド人材の育成を目的に、今期は参加メンバーの皆さんからも積極的に発表する機会を作ろうと思います。

実行委員会に参加して(実行委員大澤)


今日の会場の大久保の健保会館はNCWGにとっての聖地です。
実行委員会は何をしているのかについて説明します。
月に1回程度の実行委員会では、理事会で話し合われた内容を共有していただき、実行委員からの意見を出し合っています。
会合では、会場設営、機材の準備、会合の進行、写真撮影、レポート作成、パーティーの運営を担っています。
実行委員同士の交流も活発です。
大勢の人達の前で発表する経験ができます。
実行委員会の課題は委員の高齢化ですので、若手の参画を期待しています。

クラウドビジネスサロンに参加して(実行委員宮原)


クラウドビジネスサロンで弊社の取り組みを紹介しました。
出席された方々のお役に立てると思い、質問やご意見をいただけると気づきやヒントになるとともに、自社の取り組みを知っていただくことにより、会社同士の連携、協業の可能性を見つけられるかもしれないと考えたからです。
NCWGは、会合だけでなく部会にも参加すると、より多くの人との出会いや、ビジネスのヒントや、協業のチャンスを手に入れることができます。皆さんもご興味のある部会に参加されてはいかがでしょうか?

【13周年特別講演】

「量子コンピューティング分野の研究開発の現状と今度」

慶応義塾大学 理工学部物理情報工学科准教授

QuanmaticCTO

量子フォーラム技術担当理事(業務執行理事)

田中 宗 氏

はじめまして。最近、量子フォーラムにて技術担当理事を担当したご縁で、本日の機会をいただきました。よろしくお願いします。

本日は、量子コンピューティング分野の研究開発の現状と今後ということで、今、量子コンピューティングの分野が話題になってることは皆さんご存知だと思います。

ただ、様々な情報があって捉えどころが難しい面もありますので、本日は専門的なところというよりもわかりやすく触れていきたいと思います。

■自己紹介

慶應義塾大学 理工学部物理情報工学科に勤務。

大学で量子コンピューティング技術、量子技術に注力中。

2つの事例

・2022年 ヒト生物学 微生物叢 量子計算研究センター立ち上げ(私立大学として初めて採択されたWPIプロジェクト)

・2024年 サスティナブル量子AI研究センター立ち上げ

学生時代、東京工業大学(現東京科学大学)で、西森秀敏先生の研究室に在籍。

※西森先生は量子アニーリング方式を世界で初めて提唱した高名な方。

物理の他に科学や情報系にも携わったことで、量子コンピューティング技術を他の研究者とは違った観点で捉え、社会実装に近づける思考ができている。

また、量子フォーラム記事や、YouTube公式チャンネルで茂木健一郎先生と量子コンピューティングについて対談する活動も行っている。

量子コンピューティング技術を作る・伸ばす研究開発の他、トライアルの取り組みなど、様々なプロジェクトが走っており、それに参画している。

■量子技術とは

国内外問わず国家の重要戦略として量子戦略が位置づけられている。

世間のDXは待ったなしという状況だが、クオンタムトランスフォーメーション(QX)についても同様の状況。

ただし、量子コンピューティング分野の研究開発は順調に推進している。

特にここ数年のハードウェア進化は目覚ましいが、その一方でどのハードウェア方式が最も優れてるかは現段階ではまだ定まっていない。

ただ、この分野に関する日本の存在感は極めて高い状況なので、エコシステムをいち早く作っていく必要がある。

世界的に代表的な4つの技術

・量子通信

・量子コンピューティング

・量子センシング

・量子マテリアル

ここで一旦量子というキーワードを外すと、コンピューティング、センシング、通信、マテリアルとなるが、どれも現代の生活に欠かせないものである。

それに対して量子という形容詞をつけていくと何が起こるか?

そこが科学者としてのワクワク感と共に、社会実装を考えていく上でも極めて重要となる。

・量子コンピューティング

量子力学の法則を活用した新しいコンピューティングパラダイムとまとめることができ、特に特定のアプリケーションに大幅な性能向上をもたらす。

従来の古典コンピューティングと比較すると、新たな領域のコンピューティングを可能にする。※古典コンピューティングという言葉は物理の専門用語的に使用されている。

・量子センシング

様々な量の計測を提供するもので、特に従来のセンサーよりも桁違いに感度が高い。

量子システムに基づく次世代のセンサーを組むことで、様々な応用が期待されている。

量子センシングは、量子状態という非常にパワフルと同時に非常に脆い状態である。

この脆い状態は裏を返すと、少しの刺激で一気に壊れてしまうため極めて好感度に反応すると言える。

・量子通信

通信の転送や安全性を確保することができるとされる技術。

・量子マテリアル

次世代半導体の実現や、量子センシングの先進であったり、あるいはエネルギー変換貯蔵といった、グリーンイノベーションに期待されている。

■日本国内国外の量子戦略について

世界的に量子技術が注目されいる中での日本の量子戦略は「ニーズベース」。

令和2年 量子技術イノベーション戦略が掲げられる

令和4年 量子未来社会ビジョンが掲げられる。

令和5年 量子未来産業創出戦略が打ち立てられる。

令和12年目標 国内量子技術利用者1000万人、量子技術による生産額50兆円規模。、未来市場を切り拓く量子ユニコーンベンチャー企業を創出、という非常に高い目標が掲げられている。

 (内閣府の量子未来産業創出戦略概要から引用)

今までは量子技術そのものを作る事が研究トレンドだったが、最近は何かのものとクオンタムを結びつけるのが大事だと言われており、量子コンピューターやセキュリティネットワーク、センシングマテリアルに対して様々な取り組みがなされている。

一方、世界各国(欧州・北米・アジア・・イスラエル等)も量子技術に多くの投資をしている状況。

世界各国で量子コンピューターの技術として、クラウドサービス、ソフトウェア、ハードウェアに注力している。

その中で日本も存在感を出しているのが、この技術の特徴でもある。

■量子コンピューティング分野の研究開発

なぜ量子コンピューティング自体が注目されてるのか?

それは近い将来における危機が2つあるというのが前提になっている。

1点目は、コンピューターの性能成長が頭打ちになることが予測されている。

これまで言われてきたムーアの法則(約2年で約2倍成長)も、今後は成長鈍化が予想される。半導体の微細化限界と言われている自然界の限界に近づいている危機感がある。

2点目は、データ量の爆発的増加。これを危機と捉えるかチャンスと捉えるかの考え方もあるが、データ量が非常に増えている。

これはセンシング技術が非常に高まったり、DXなどの技術的に変化したり、様々な状況の変化でデータ量が爆発的に増加し、今まで今まで取れなかった分量のデータが生み出されており、今のままでは到底太刀打ちできなくなる。

その中で次世代アクセラレーターという考えのもと、1つは半導体技術の素朴な延長としてGPU・ASIC・FPGAがある。

別の見方では、情報処理とは何なのかを考えると、入力があってそれに対する操作があって最終的に出力が出るものとなる。

例:Googleマップで現在地と目的地を入力すると経路パターンが複数出てくる。

その際、地図アプリの中では緯度経路情報、道路情報、公共交通機関情報が次々と読み込まれていく。

この様にコンピューティングはいくつか工程があり、それぞれの工程を順々に処理していく。

何かを入力をしたら何か答えが出てくるというのは、日頃から経験しているが、中には結構計算が長くかかる副プログラムも存在するので、それ圧倒的に短くすることできればすぐに答えが出てくる。その計算時間を短縮するのに量子コンピューターをうまく差し込むことができれば良い。

■量子コンピューティングの分類(様々な分類方法がある)

主な分類としてはこの2つ。

・ゲート方式

「究極の量子コンピュータ」の手前の量子コンピュータ。

以前、暗号解読などのSFじみた話があったが、その時から提案されている伝統的な方法。、実は暗号解読といった野蛮な応用ではなく、例えば化合物計算というそれまでは机上の空論とされていた分野が現実味を帯びてきた。

・アニーリング方式(イジング方式)

 最適化計算を行うもの。

今までは学術的で物理学の特別分野とされていたが例えばAmazon Braketなどクラウドサービスでお金を払えば量子コンピューターが使える時代になった。

それにより量子コンピューターに対する経験を積もうという若い人達も出てくる時代になった。

その中で、私はどういう研究を行うべきかというところで慶應義塾大学に2020年に着任した。

その時に自分の持ち味を生かして研究室を作るとした時に、量子コンピューティング技術はコンピューターなのでハードウェア研究も大事だが、私自身はハードウェアを作れないので、ハードを作れる人たちと手を組んで新しいコンピュータの形を作る研究を行った。

これがハードウェア開発の基礎となり、またソフトウェア開発の基礎やアルゴリズム開発は、今は量子コンピューターがお試しできる状態なので、コンピューターをどう動作させればパフォーマンスを最大限発揮できるかを試す、そういった取り組みを行っている。

今の量子コンピューティング、あるいは数年後に確実に来る量子コンピューターで何ができるのかを探る、こういう取り組みを様々な企業の皆様と一緒に取り組んでいる。

■量子コンピューターのハードウェア開発競争

D-Waveシステムズという会社は、量子アニーリングマシンを2011年に世界で初めて商用化している。そこで掲げられているロードマップは、だいたい2年で倍ぐらい成長とされている。

先ほどムーアの法則を出したが、ある意味量子アニーリング版ムーアの法則だとD-Waveは言っている。

ゲート式量子コンピューターのロードマップ

量子ビット数という観点ではIBMがかなり進んでいる。

IBM Quantumでもロードマップを掲げており、着実に進化させていくと宣言して実装してきている。

量子コンピュータハードウェア開発に参入する企業

国内外様々な企業が参入を行っている。

量子ゲート方式の実現手法が続々提案中、超電導やイオントラップに加え、2022年は冷却原子、フォトニクスの開発に注目。

今、ハードウェア開発において、様々なところがいろんな方法で作っているが、どの方法にもメリット、デメリットがある。

アメリカ企業がたくさん参入しているが、日本で取り組みはしっかりと行われている。

理化学研究所では国産量子コンピューター初号機として「叡」という量子コンピューターが稼働した。

また、分子化学研究所の大森先生グループの技術をもとに、スタートアップを事業化に向けた連携を進めいく中性原子方式があったり、日本の会社ではないが、Queraという会社もまた中性原子方式は産業技術総合研究所のABCIとつなげる事が決定している。

ハードウェア実現の方法とそのメリット・デメリット

・人工的に量子ビットを実現:超電導・半導体(シリコン) 

・自然に存在する物理系を用いて量子ビットを実現:イオントラップ・中性原子・光

どの方法が一概に良いか悪いかは言えず、家電製品のように後から出てきた技術が優れているわけでもない。

ただ、そういった誤解は結構多かった。例えばゲート方式というのが1990年代から出てきたが、1998年にアニーリング方式が提案されたが、この新しい量子コンピューティング方式は、ゲート方式でできないことを実現できるという風に考える人もいた。

でも、そうではなく、次世代技術だっとしても新しく出たから必ずしも良いという事ではないということを抑え、今後何々方式が出てきたとしても、過去にあったものが全部ダメになる訳ではなく、それぞれの方式で競争しあっている。

■量子コンピュータのソフトウェア開発競争

「量子アニーリングマシンで一度で処理できない場合に対するアルゴリズム」

私が元々いた早稲田大学で様々なアルゴリズムの提案がなされている。

一言で言うと、量子アニーリングマシンで一度で処理できない場合に対するアルゴリズムという考え方。

我々は計算する時に計算機にデータを入力するが、入力するデータの容量が決まっている。しかし、このデータ容量よりもはるか大きいものを解きたい、問題が大きかった場合にどのようにするか?ということを早稲田大学で取り組んでる。

また、私どもの研究室では量子コンピューティングとAIを組み合わせたアルゴリズムというものを開発している。これがFactorization Machine with Annealingという専門用語がある我々が作った方法。量子コンピューティングとAIとそして実験を組み合わせるということ。例えば、効率よく電流が流れる材料を作りたいという時に、いろいろな混ぜ合わせを行いって電流値を測る。するとあまりうまくいかなかったので次にこれをやってみよう、作って測る作って測る繰り返す。この試行錯誤をできる限り減らす、そういうことができる方法だと考えられている。

この試行錯誤が必要そうな問題で、いろいろな業種の方に興味をもらい、いくつかの課題について実際に解く。こういった技術を広めていきたいというふうに思っている。

機械学習と量子最適化の融合

量子リーディングマシンとAIとシミュレーションを融合することで、AIだけでは解くのが難しかった、量子コンピューターだけでは解くことができなかったという問題に対し、この方法は有効であるといえる。

これは、従来の機械学習でもできはするが、我々の方法を使うと、だいたい計算時間として約1桁ぐらいの速度向上が見えてくる。1桁は例えば1ヶ月かかるところが1日で済む。あるいは1年かかるものが1ヶ月で済むという感覚。なんらかの工業製品を作ろうと思った時に、この1桁というのは非常に大きいものだということがご理解いただけると思う。

■量コンピュータユースケース開発競争

「産学共同研究で進めている量子アニーリング応用探索研究」

・従業員シフト計画問題

・マルチモーダル交通最適化

・広告配信最適化

こういった応用探索研究がリアル現場で出てきている。

一例としてベルメゾンロジスコでmagiQannealというシフト表作成ソフトを導入し、実際に実運用されて横展開をする。別の企業でも使用できるサービスになったこともある。

また、ローム社と私がCTOを務めるQuanmatic社で、半導体の製造工程、最適化の実証を行い、2024年4月に本格導入を目指すとしてプレスリリースされた。

ただ、これがあちこちで起こっている訳ではなく、ごく少数の例が出始めている状況。

Factorization Machine with Quantum Annealing(FMQA)の応用

メタマテリアル、フォトニック結晶レーザー、発光材料、スピントロニクス材料への応用がアカデミックレベルでは見えてきている。

■量子未来社会へ

「量子未来社会を創造するために必須のエコシステム」

社会変革を目指す皆が量子技術が拓く未来像を描、エコシステムを形成する必要がある。

学術研究から生まれた最先端技術を真の意味での実用化・商用化へ舵を切るためには、大学、研究所などが大事。それだけではなく、企業、あるいは国家地方自治体、日本の総力戦というような考え方が極めて大事。国外との戦略的な連携(なんでも連携すればよいというわけではない)が、必須である。

その中で、量子コンピューター技術業界のエコシステム形成として様々な公的なところが特に人材育成に力を入れている。

例:NICTにてNICT Quantum CAMPの実施。

IPAの未踏ターゲット事業プロジェクトの立ち上げ。

そこからこのQUANTATTACKというテトリスのような、量子ゲート方式の知識があると、高得点が取れるようなゲームの作成などの取り組みも出ている。

量子コンピュータ技術業界のエコシステム形成

量子コンピューター、量子技術、コンピュータ技術に限らず、エコシステムを作りだす観点で一般社団法人量子フォーラムを立ち上げている。

量子フォーラムの良さは、特にアカデミック業界の人と産業界の人が密になりやすい仕掛け作りをしている。

私は、量子コンピューター技術推進委員会の委員長として私活動しており、さらにこれを発展させ、量子フォーラムを通じてそれほど馴染みがなかった方も量子技術に親しんでいただき、何らかの社会実装、そして市場を作る仲間作りをしていきたいと思っている。

量子フォーラムのウェブサイトには、佐々木委員長、東大理系中村先生(超伝導量子ビットを世界で初めて作った方)、IBMの小野寺さんなど様々な方がいる。

また、若手インタビューという企画で量子人材の若手が頑張っている様子を発信し、若者が入ってきているというところが非常に大事ですが、その若い人が量子技術というものを通じてどう社会実装していくかの取り組みも垣間見ることができる。ぜひ、量子フォーラムのウェブサイトをご覧いただき興味を持っていただければと思います。

DX人材→QX人材

なぜエコシステムを取り上げたのかは、おそらく多くの企業勤めの方は、例えばソフトウェア開発人材育成をする、あるいはゲームができてくると、それが社会実装にどう近づいていくのかと疑問に思うことも多々あると思う。その時に考えてみると、今の時代にはどういった人材が必要なのか?と率直に全てを理解してるわけではないが、ただ、今の時代はDX人材を作っていくことに対して、様々な企業が取り組み成功を収めてきていると思う。

そのDX人材を育成する、あるいは作っていく、採用する、そういったことをQXに横展開していくことをまずは行えばよいのではないかと思っている。

旧量子と言うと、神秘的で魅力的ですごそうと思われるが、例えば量子コンピューターそのものを取ってしまえば、何か計算するただのコンピューターという観点から言うと、DXでやってることと大差ないと思ってもらいたい。

まずはDXからQXにするには、横展開するにはどうしたらいいかを作っていくのが大事。

学びのサイクルはDXに対しては議論が整理されてきているが、DX人材育成方法の横展開をすることで、QX人材育成がスケールするのではと仮説を持っている。

やはり大学や研究所、そして一部のコアな方が取り組んでいるだけではダメで、2030年の大目標に対して取り組むには、日本の総力戦で取り組む必要があると思っている。

一緒に取り組んでいる住友商事のQXウェブサイトから引用

DX to QX、量子未来社会の創造

つまり量子未来社会へという想像ですが、連続的な事業変化と非連続な未来創生、この2つのレイヤーに分かれる。

連続的な事業進化は、着実に量子を染み込ませるために重要。

今の事業に量子が入り込む余地はないかという観点でも見ていくが、それだけではそれこそ量子技術による生産額の規模や、ユニコーンスタートアップなどだけでは夢物語で終わってしまう。

そうならないためには、「こういうことができたらいいな」という考え方を持って、今までは考えもよらなかったことを量子でやってみるというイノベイティブな考え方が大事。バックキャスト、フォアキャストも共に大事である。

特に量子は最先端の部分ばかり考えると難しいものになってしまい、直近のことばかりだと既に実現できていて、それでは両者はスケールしないので、いろいろなレイヤーで取り組むのが良いと考えている。

■まとめ

量子技術として代表的なものは幾つかのものがある。

繰り返しになるが、国家の重要戦略として今世界的に量子戦略というものが位置づけられており、QXへの歩みはもう待ったなしである。

さらに、量子コンピューティング分野の研究開発は順調に進捗しており、これまでソフトウェア開発が多かったが、最近はハードウェアの進化が非常に目覚ましくなっている。

ただ、どのハードウェアが最も優れているかは現段階では不明。

量子コンピューティングの応用に関しては、日本の存在感は極めて高い。それは、日本の研究開発の強み、応用を考えているところだと私は確信をしている。そこをさらに伸ばしていくというのが良い。

量子未来社会を想像するために研究クラスターの人だけが取り組んでいるだけでは絶対ダメで、様々な人を巻き込んでやる必要がある。

さらにQXは時代を先取り、まさに一丁目一番地である。

この量子という技術次々と出てきている観点から、これを通じて時代の変化を先取るのが大事ではないかと考えている。

以上、ありがとうございました。

【閉会の挨拶】

副会長 野元恒志

田中先生、本当に貴重な話をありがとうございました。

ハードウェア方式は沢山あるがまだ優劣がついていないこと、特に量子コンピュータは一企業がおいそれと買えるものでもないので、ソフトウェア分野、DX・QX人材へというお話と、日本の総力戦というお話がとても印象的でした。

産学官の連動は、自ら行なっている事業体に置き換えて見ると、なかなか量子を活用して何かをするきっかけを持ちづらいので、この様な場や、NCWGの研究部会で技術的な連動を検討したり、量子コンピュータはプログラミングの考え方も変えていく必要があるので、考えるところが非常に多く、非常にためになるお話でした。

本日は、第13期の報告会と第14期の計画発表、特別公演というプログラムでした。

今日は14期の決起集会のようなものです。

その中で量子コンピュータというとても良いお話をいただいています。

小堀会長も冒頭で報告と計画を発表した通り、参加ではなく参画ということで、本日登壇した方々が部会や実行委員会についてご説明しましたが、それらに参画していただくことでチャンスも増えると思います。

サムライクラウド部会も難しい話をしていますが、参画いただくうちにわかるようになってきたりします。

新しい気持ちで14年目スタートしていきますので、この後の懇親会で大いに交流していただき、14期のNCWGではこういう参画をしていきたい、といったことを語っていただきたいと思います。

【パーティー兼大忘年会】

サムライクラウドサポーターや、関係団体の皆様から祝辞を頂き、またプレゼント抽選会とたくさんの参加者の皆さんで大いに盛り上がりました。

【NCWG実行委員 報告書作成者】
宮原 哲也(株式会社アルティネット)
放生 浩一(株式会社ドヴァ)

第76回ニッポンクラウドワーキンググループ会合のご案内

NCWGメンバーおよびご協賛各位

2025年2月12日(水)に第76回会合を
リアルとオンラインのハイブリッドにて開催いたしますので
ご案内いたします。

今回の会合では、ランサムウェア/セキュリティ関連について一般社団法人日本ハッカー協会 理事 杉浦さんにお話頂きます。
知らなかったことを知り、この機会に皆さんのクラウドビジネスへの有効性をご検討いただき、今年度の活動スローガンにあるように、クラウドケイパビリティを伸ばしていただけたらと思います。
是非みなさん、ご参加ください。

2025年度の活動スローガン:
 Beyond the Clouds !
 『クラウドケイパビリティを伸ばし、クラウドビジネスの質を高める!』

なお、会合後は恒例の懇親会(リアルのみ)も開催いたしますので
是非合わせてご参加ください。
懇親会からの参加も歓迎いたしますので、会合への参加は難しいが
懇親会からは参加できるという方は是非お申込みください。

<第76回ニッポンクラウドワーキンググループ会合>
テーマ:『ランサムウェアを知り、クラウドケイパビリティを高める!』
日 時:2025年2月12日(水)17:00~19:00
懇親会 19:30~21:30
場 所:株式会社エル・ティー・エス リンク 会議室
東京都港区元赤坂1丁目3-13 赤坂センタービルディング14F
https://lts-link.com/company/access/
および、オンライン(Zoom)

【会合内容】
 1.開催のご挨拶
 2.各部会報告
 3.LTSリンク社からの各種ご紹介
 4.ゲスト講演
  タイトル:「どこまでクラウド化すればランサムウェア対策になるのか」
       一般社団法人日本ハッカー協会 代表理事 杉浦隆幸 氏
  世界的に拡大するランサムウェア被害に対し、クラウドはどこまで
  有効なのか。本講演では、オンプレとの違いやバックアップ、
  セキュリティ自動化などの要点を示し、リスクとコストを踏まえた
  最適な移行範囲を探る。成功例・失敗例を踏まえ、ハイブリッドや
  マルチクラウド活用で事業継続性とコンプライアンスを両立する
  具体策も議論する。クラウドベンダーや販売事業者向けに、提案時の
  注意点やコスト評価もカバーし、実務に役立つ視点を提供する。

 5.会長からの総括
 6.連絡事項
 7.懇親会 (19:30-21:30)
   会 場:ビッテ
       https://bittebitte.jp/about
   懇親会費:6,000円
   ※当会は非課税のため、インボイス非対応の領収書となりますので
    予めご了承ください
   ※申込み後にキャンセルする場合は、お手数ですがinfo_cloud@ncwg.jp
    までメールにて必ずご連絡をお願い致します。
    ご連絡なくキャンセルとなった場合や、当日キャンセルとなった場合は
    後日参加費を申し受けますので予めご了承ください。

<お申し込み方法>
お申し込みは、info_cloud@ncwg.jp 宛てに、
メールの件名を『第76回NCWG会合参加申込』として、
参加者全員の氏名およびメールアドレスをご連絡ください。
なお、参加にあたっては、リアル/オンラインを必ず明記ください。
また、懇親会への参加・不参加についても必ず明記ください。
※懇親会のみの参加の場合はその旨ご連絡ください。
(懇親会はリアルでのみの開催となります)

■感染症対策について
・少しでも体調が悪いと感じた方は直前でも、申し訳ありませんが参加はご遠慮ください。
その際は、info_cloud@ncwg.jpまでメールにてご連絡ください。
当日連絡できなかった場合は、後日ご連絡ください。
・受付時のアルコール消毒、検温(非接触)等にご協力ください。
なお、体温が37.5度以上ある場合は、申し訳ありませんが参加はご遠慮ください。

皆さんのご参加をお待ちしています。

NCWG実行委員 一同

【2024年12月】サムライクラウド部会 部会報告

2024年12月9日(月)にサムライクラウド部会を開催いたしましたのでご報告いたします。

今回は、リアルとオンラインのハイブリッド会議形式で実施致しました。

■日時:2024年12月9日(月)15:00~17:00
■場所:リアル及びオンライン会議

サムライクラウド部会では、SAMLやOAuth、多要素認証などの認証技術、アプリケーションマッシュアップするための基盤技術、生成AIなどの先進的な議題についての議論・発表を行っています。
今回は下記に関しての議論を行いました。

・LLM現状と今後について

・来年(今期)発表内容に関して

ご参加いただいた皆さん、ありがとうございます。

次回の部会は、来年1月中旬を予定しています。

是非みなさまご参加ください。

【2024年11月】サムライクラウド部会 部会報告

2024年11月11日(月)にサムライクラウド部会を開催いたしましたのでご報告いたします。

今回は、リアルとオンラインのハイブリッド会議形式で実施致しました。

■日時:2024年11月11日(月)15:00~17:00
■場所:リアル及びオンライン会議

サムライクラウド部会では、SAMLやOAuth、多要素認証などの認証技術、アプリケーションマッシュアップするための基盤技術、APIなどの先進的な議題についての議論・発表を行っています。
今回は下記に関しての議論を行いました。

・notebookLM、geminiの話

・Saasビジネスについて

ご参加いただいた皆さん、ありがとうございます。

次回の部会は、12月上旬を予定しています。

是非みなさまご参加ください。

第74回ニッポンクラウドワーキンググループ会合報告

『量子コンピュータを知り、クラウドケイパビリティを高める!』をテーマに、ニッポンクラウドワーキンググループ第74回会合を、リアルとオンラインのハイブリッドにて開催いたしました。

テーマ:『量子コンピュータを知り、クラウドケイパビリティを高める!』

日  時:2024年9月19日(木) 17:00~19:00
                懇親会 20:00~22:00

場  所:関東ITソフトウェア健康保険組合 市ヶ谷健保会館 F室
     東京都新宿区市谷仲之町4-39


【司会者のご紹介】
司会 実行委員 大澤 武史

1.開催のご挨拶
副会長 藤田 浩之

 本日はニッポンクラウドワーキンググループ、第74回会合にお集まりいただきましてありがとうございます。副会長の藤田です。

 今日の会合テーマは、『量子コンピュータを知り、クラウドケイパビリティを高める!』ということで、『量子コンピュータの 現状と仕組みについて』と題して、OpenQLプロジェクト 運営代表 山崎 清仁さんにお話いただきます。
 OpenQL Project は、量子コンピューターでアプリケーション開発を行うための各種仕組みづくりや、オープンソースのライブラリを開発する人や利用する人のためのコミュニティとのことです。
 ニッポンクラウドワーキンググループの中では、量子コンピュータというテーマは初めてとりあげます。ただし、6月の会合ではセキュリティ関連のトピックとして、耐量子暗号(PQC)というワードが出てきました。これは、現在のRSAなど公開会議暗号に対して、量子コンピュータを利用すると理論的に解読できてしまうという話があり、その問題に備えて現在の暗号を置き換え可能な量子コンピュータで解読できない暗号アルゴリズムという話なのですが、実際のところ現在の量子コンピュータでは技術的にまだ実現できないと言われています。しかし、技術の進歩によっていずれ解読されてしまうとも言われています。
今日はそんな量子コンピューターそのものをテーマにお話いただきます。

ニッポンクラウドワーキンググループは11月から新しい期となり、12月3日に周年報告会、特別講演会、パーティ兼忘年会を開催します。
特別講演会では、「量子フォーラム」の技術担当理事(業務執行理事) 田中 宗(たなか しゅう)先生(慶應義塾大学 理工学部物理情報工学科 准教授)に量子コンピュータをテーマにお話しいただく予定です。

今日、そして、12月の講演も聞いていただいて、量子コンピュータについて知って、クラウドケイパビリティを高めてもらえればと思います。

2.新規メンバー・協賛のご紹介

新規メンバー 株式会社エル・ティー・エス リンク
代表取締役 高倉 敏行(たかくら としゆき)氏

はじめまして、LTSリンクの高倉です。当社は、IT業界の“つながり”で変革をもたらすプラットフォームとして、法人向けサービスとフリーランス向けサービスを提供しています。もうひとつ、NCWG会員のAXLBITと協業しサブスクのプラットフォーム AXLGEARの導入支援をしています。

この3つの事業を中心にビジネスをしていますが、IT事業者とフリーランスの方々とのつながりをベースに、LTSリンクの“リンク”という名前にあるように「つながる」「広げる」「生み出す」という思いをもって活動しています。ぜひ皆さんと一緒に業界を盛り上げて行きたいと思いますのでよろしくお願いします。

今後、研修・トレーニング事業もIT事業者の変革支援という文脈で立ち上げていきますので、よろしくお願いします。
ありがうございました。

3.部会報告

クラウドビジネス推進部会
部会長 藤田 浩之

 今期は『クラウドビジネスサロン』という形で開催しています。クラウドビジネスサロンは、メンバー相互の交流の機会を積極的に作りたいという思いから、皆さんが気軽に「クラウドビジネス」について語り合うことができるように、毎回「テーマ」を決めてお酒など飲食しながら進行するスタイルです。隔月で開催しています。

<前々回開催>
第19回クラウドビジネスサロン
 テーマ:「最新生成AIの、クラウドビジネスへの活用!!」
 日 時:2024 年7月16日(火) 18:30〜20:00
 場 所:オンライン(Zoom)

 5月には発表された生成AIの最新動向について、特にOpenAIのGPT4oについて、その特徴を確認するとともに、参加者でその活用について話し合いました。5月にも同じテーマで開催したのですが、新たにGPT4oがリリースされたので開催しました。

<前回開催>
第20回クラウドビジネスサロン
 テーマ:「『Amazon Q』のクラウドビジネスへの活用!」
 日 時:2024 年9月17日(火) 18:30〜20:00
 場 所:オンライン(Zoom)

 Amazonが展開する生成AIサービス『Amazon Q』について、サービスの特徴を確認し、参加者で活用について話し合いました。Amazon Qは、Amazon Q BusinessとAmazon Q Developerがあって、Amazon Q Businessがビジネスユーザー向け、Amazon Q Developer開発者向けというブランディングになっています。特徴を確認すると、Amazonはいままでいろいろな生成AIサービスを出してきましたが、このAmazon Qは新しいものというよりも、どちらかというとリブランディングしたものという位置づけになっています(もちろん、機能はいろいろ進化していますが)。

 今期のクラウドビジネスサロン(部会)開催は終了しました。ご参加いただいた皆さん、ありがうございました。

<今期開催振り返り>
2024年度クラウドビジネスサロン開催実績

第16回(1月15日)
「ノーコードのクラウドビジネスへの活用!」
第17回(3月11日)
「『ChatGPT』+独自データのクラウドビジネスへの活用!」
第18回(5月13日)
「最新生成AIのクラウドビジネスへの活用!」
第19回(7月16日)
「最新生成AIの、クラウドビジネスへの活用!!」
第20回(9月17日)
「『Amazon Q』のクラウドビジネスへの活用!」

 基本的には今は生成AIをメインテーマにして開催していますが、それ以外のテーマ「ノーコード」でも開催しました。

<生成AIの重要なトピックのご紹介>
第19回クラウドビジネスサロン(7月開催)より
トピック1. 生成AIマルチモーダル対応

マルチモーダルAIとは?
 テキスト・画像・音声・動画など複数の種類のデータを一度に処理できるAIの技術で、2024年5月、OpenAIからマルチモーダルAI対応のGPT4oがリリースされました。

AIマルチモーダル対応とは?
 例えば音声データとを生成AIに処理させる場合、以前(非マルチモーダルAI処理)は一度音声データをテキストデータに変換してから生成AI処理をしていましたが、マルチモーダルAI処理では音声データとテキストデータを一気に生成AI処理できるようになりました。

AIマルチモーダルの本質
大規模言語モデル(LLM)が音声データを直接理解する
 →音声の背景音もデータとして解釈
 →会話での息遣い・トーンもデータとして解釈

 異なる種類のデータを一括して解釈できるというだけでなく、これまでテキスト変換によって失われていた情報を含めてLLMで解釈できるようになります。例えば背景の雨の音の情報からその人は外に居て天気が雨だということがわかったり、会話の中で緊張している声から何か緊迫した事態がおきていると解釈できたりします。このことは重要な転換点になると思いましたので今日は紹介させてもらいました。マルチモーダルで解釈できるということは、AIが益々人間に近づいているということだと思います。

第17回クラウドビジネスサロン(3月開催)より
トピック2. 生成AIでの独自データの活用方法

大規模言語モデル(LLM)の仕様的制限
・過去のある時点までの情報のみが学習データとして利用されるため、最新の情報が反映されない
・独自のデータは学習データとして利用されない

ChatGPTで最新情報を使うには下記4つの方法が挙げられます。

  1. プロンプトで情報を与える
      ※日本語で約8,000〜12,000文字ほど(2024年1月時点)
  2. プラグインを利用する
      - WebPilot:指定したURL内の情報を取得し、検索や要約、翻訳をする
      - ChatWithPDF:PDFファイルの情報を取得し、検索や要約、翻訳をする
      ※有料版の「ChatGPT Plus」に登録しているユーザーだけが利用
  3. ファインチューニングを行う
      AIモデルに追加データを学習させ、モデル自体を専用のものにアップデートする
  4. エンベディングを行う
      エンベディング(埋め込み)は、単語や文章などの人が使う言語を数値化(ベクトル化)する手法。数値化した情報を管理するベクトルデータベースを作ることで、ChatGPTへの質問文も数値化し、類似した回答を提示できるようになる

 クラウドビジネスサロンではエンベディングのシステム構成例も紹介しましたが、現在ではサービスとして簡単に利用できるものが提供されつつあります。
 一つはMicrosoft Azureのベクターストアです。これにドキュメントなどを入れると、それを生成AIで利用できるようになります。
 Amazon Q Businessでは、自分でデータを入れるという方法ではなく、データソースコネクタといわれるものを使っていろいろなデータソースにアクセスすることができます。OneDrive、BOX、Salesforceなど企業で利用するあらゆるデータにつなげて利用できるようになっています(43種類 ※2024年9月現在)。
 GoogleのNotebookLMはまだエクスペリメンタルなサービスですが、WebやOnDriveなど指定したデータソースからデータを持ってきて回答をするというものです。情報をまとめる生成AIはGeminiが利用されています。

最後に次回開催の予定です。

第21回クラウドビジネスサロン
 テーマ:「『Google Gemini』のクラウドビジネスへの活用!」
 日 時:2024 年11月18日(月) 18:30〜20:00
 場 所:オンライン(Zoom)

是非皆さんご参加ください。

クラウドアプリケーション部会
部会長 尾鷲 彰一

<2023年度(前年度)の活動>
■5月、6月開催
 時系列モデルでNeural Prophetで競馬の予想をする
 ・馬のデータを収集する、パラメータを決めるまではいったが、Neural Prophetの環境構築で断念した。
   →Pythonのバージョンや関連ライブラリとのバージョン不一致でインストールができなかった。Neural Prophetを利用する環境のバージョンが必要。

■7月、8月開催
 自然言語処理BERTで、TwitterでバズるTweetを自動生成してみる
 ・(タイミング悪く)TwitterがXに買収され、Tweetで収集できるTweetの件数が、有料アカウントだと1,000件に集約。
   →ビジネスクラウドサービス(特に無料)を利用した場合には、継続困難になるリスクがある。

■8月、9月開催
 音楽自動生成SOUNDRAWで、NCWGのテーマ曲を作ってみる
 ・SOUNDRAWでは、イントロ、Aメロ、A’メロの構成の楽曲は自動生成できるが、イントロ、Aメロ、Bメロサビの構成が生成できなかった。バックミュージックなどには使えそう。
  →AIVAという別のサービスを見つけ、そちらであれば解決できそう。

<2024年度の活動内容>
■前期の活動で思ったこと
 AIのサービスも多種多様であり、選択肢が多く存在することを知りました。また、多種あるなかで、それぞれ得意、不得意もあり、使ってみたけど用途にそぐわなかったということもありました。たくさんある中から探すのも大変であり、一覧になっているものがあれば役に立つかと思いました。

■活動内容
 ・時系列予測、自然言語処理、音楽作成のジャンルにおいて、調査し一覧を作成する。
 ・実際に利用して、所感をまとめる。
 ・上記成果物を公開する。
 ・一覧のメンテナンス方法の検討
AIのサービス一覧をまとめて皆さんに公開し、参考になるようなものができればいいと思い今活動しています。ただ公開するにあたっては内容的に精査しなくてはいけない部分があるのかと思っていますし、公開後も刻一刻と進化するサービスに対し、メンテナンスをどのようにするのかも考えていかなければいけないと思っています。

■今、作成している一覧
ジャンル、用途の例、サービス/ソフト名前、開発元、URL、利用料金、開発ライブラリ、難易度、必要な外部ツール/環境、
著作権関連、所感/特徴、参考になる情報を一覧にしています。例えば画像作成の生成AIでは、「エヴァンゲリオンの綾波レイが水着を着ている画像」と入力すると画像が出てくるのですが、そのような場合の著作権関連も調べるようにしています。

例1 機械学習
ジャンル:機会学習
用途の例:機会学習
サービス/ソフト名前:Azure Machine Learning
URL:https://azure.microsoft.com/ja-jp/products/machine-learning
利用料金:有料(2万円くらいから?)
開発ライブラリ:Azure
難易度:A
必要な外部ツール/環境:Azure
所感/特徴:Azureのとおり。機械学習の知識が必要

例2 生成AI(音楽)
ジャンル:生成AI
用途の例:音楽の自動作成
サービス/ソフト名前:AIVA
開発元:Aiva Technologies
URL:https://www.aiva.ai/
利用料金:有償
開発ライブラリ:AIVA提供のWebサービスで利用(音楽を生成)
難易度:C
必要な外部ツール/環境:無し
所感/特徴:イントロ、Aメロ、A’メロの構成の楽曲は自動生成できるが、イントロ、Aメロ、Bメロサビの構成が生成できそう。バンドとかの作曲に使えそう。
参考になる情報:Pro Annually利用料を契約すれば著作権はユーザーのもの。

例3 AIを利用したサービス㈰ 一般的に業務に役立ちそうなもの
ジャンル:業務系
用途の例:perplexity
サービス/ソフト名前:Perplexity AI
開発元:元Google AI研究者たちによって設立されたスタートアップ企業「Perplexity AI」が開発しました。2022年8月にローンチされた比較的新しいAIサービスです。自然言語による質問に対して、簡潔で正確な回答を提供することを目指しています。
URL:https://www.perplexity.ai/
利用料金:$20/月
所感/特徴:Claud3と同等のことが可能。Perplexity AIは、急速に発展するAI技術を活用した新しいタイプの情報アクセスツールとして注目されています。
参考になる情報:Pro Annually利用料を契約すれば著作権はユーザーのもの。

[Perplexity AIに Perplexity AIについて聞いてみた!]
Perplexity AIは厳密にはLLM(大規模言語モデル)ではありません。Perplexity AIは、LLMを活用したAI検索エンジンおよび質問応答システムです。

Perplexity AIの主な特徴は以下の通りです:
・Al搭載の検索エンジン:従来の検索エンジンとAI技術を組み合わせたシステムです。
・自然言語処理:ユーザーの質問を理解し、自然な対話形式で回答を生成します。
・最新情報の提供: インターネット上の最新データをリアルタイムで検索し、回答に反映します。
・複数のLLMを利用:GPT-4、Claude 3.5、Mistral Large、独自のカスタムモデルなど、複数の大規模言語モデルを使用しています。
・情報源の提示:回答に使用した情報の出典を明示し、頼性を高めています。
・フォローアップ質問への対応:質問のコンテキストを保持し、一貫性のある回答を提供します。

例:よく、PowerPointで、テンプレートを作る方法を忘れたりしませんか?
尾鷲:忘れちゃったー。Googleで調べよー。1時間経過。。。

これが、
尾鷲:忘れちゃったー。Perplexity AI に聞いてみよう! 3秒後。。。

回答をまとめて出してくれる、となります。

例4 AIを利用したサービス㈪ システム開発に役立ちそうなもの
ジャンル:開発系
用途の例:Cursor
サービス/ソフト名前:Anysphere
開発元:Anysphere は、極めて生産性の高い人間とAIの融合システムを構築する応用研究機関です。Cursorは、プログラミング関連の業務全般を自動化できるAIツールです。Cursorを活用すれば、コードを自動で生成できるのはもちろん、チャットで質問したりエラーを自動で修正してくれる。サーバー上のファイルの編集、ファイルのアップロードなども可能。
URL:https://anysphere.inc/
利用料金:$20/月〜
参考になる情報:Pro Annually利用料を契約すれば著作権はユーザーのもの。

例:プログラム書くの面倒ではないですか?
尾鷲:あー。ループ文の書き方忘れた。言語で書き方違うからなー。。。

これが、
尾鷲:Cursor! お願い!!

プログラム書いてる途中に、Ctrl+Kを押すと、Cursorにお願いができ、自動でソースコードを書いてくれます。

■ITエンジニアのAIのお仕事の分類
① AIのエンジンを作る仕事
② AIの学習データを作る仕事
③ AIのエンジン、学習データを使ってサービスを作る仕事
④ AIの導入を企業にコンサルする仕事
⑤ AIのサービスを使って、売り物を作る仕事
  → システムのプログラム
  → 音楽の作曲
  → BPOをAIを使って効率的に提供する感じ (?)

つながりも考えてみました。
⑤のAIのサービスを使って、売り物を作る仕事
例:OpenCV
OpenCVはAIの機械学習はしないが、学習データを利用して、顔認識とかをします。画像認識での農家でのきゅうりの選別とか。

③のAIのエンジン、学習データを使ってサービスを作る仕事
例:Perplexity
AIを用いた検索エンジンで、質問に対して、AIで解釈して、ネットを検索して回答してくれる。

⑤の AIのサービスを使って、売り物を作る仕事
例:システムエンジニア
Perplexityを活用して、開発を効率化。

2023年度は「㈪ AIの学習データを作る仕事」をやってました! 2024年度は「㈭ AIのサービスを使って、売り物を作る仕事」をやってます!

■クラウドアプリケーション部会のみんなで考えたAIを活用したビジネス
[COBOLのOpenCOBOLへの移行サービス]
① 仕様書のないCOBOLのソースコードをAIで仕様書を作成
② COBOLのソースコードをAIでコンバート
③ AIで作成した仕様書を元にテストを実施

→ C#とか、Javaとかだと、関数が小さく、関数間の関連をAIで解析するには、まだそのようなサービスが無いから(からCOBOLがいいのでは?いまは。)

というような、活動をしております!
是非、みなさんご参加ください!

サムライクラウド部会
部会長 野元 恒志

本日、クラウドビジネス推進部会、クラウドアプリケーション部会はいつもより長くお話ししてもらいましたが、サムライクラウド部会は6月に発表をさせていただいていますので、いつもどおりコンパクトにいきたいと思います。皆さんもお気づきになられたと思いますが、両部会ともに生成AIがトピックなっています。サムライクラウド部会も話の本筋はゼロトラストセキュリティですが、生成AIのトピックも入ってきます。それぞれの部会で違う切り口で趣のある取り上げ方になっているので、理事会でも相談して成果や、議論ができるのではないかなと思いました。

<サムラウクラウド部会>
・次回開催予定:10月上旬、リアル&オンライン
・前回7月は神戸での部会開催をいたしました!
  →7名参加(内、6名は東京からの参加)
・サムライクラウド部会では、SAMLやOauth、多要素認証などの認証技術、アプリケーションマッシュアップするための基盤技術、APIなどの先進的な議題についての議論・発表を行っています。
前回まで下記に関しての議論を行ってきました。
 - 生成系AIの最新動向による比較
   →クラウドビジネス推進部会の話の中にあったエンベディングは、我々が話している中ではおそらくRAGに相当する部分なのかなと思っています。ベクトルデータベースを使って、企業内の情報は外部に出したくないので、その部分を使いながら生成AIをうまく活用するという観点の議論は今後も活発になると思います。生成AIエンジンは学習をさせていない/させていると謳っているベンダーがわかれているので、このへんも重要になると思います。
 - 来期に向けたゼロトラストのアウトプットに関しての議論
   →情報漏えい/セキュリティ/ゼロトラストの深掘りの部分、DNSに関わるセキュリティなど
 - パスワードハッシュargon2に関して
 - keycloak (OSSのiDP)について
 - 大規模情報漏洩事件の考察
 - クライアント証明書プロトコルの話(CMP、SCEP、EST)
 - 特権ID管理 Apache Guacamole (ワカモレ)と連動したRDP権限管理
 - nginx設定脆弱性の確認シールGIXYに関して
 - 組織における内部不正防止ガイドラインについて
 - AWSマネージドとサーバーレスについて

ご参加宜しくお願いいたします。

4. 会からのお知らせ

副会長 野元 恒志

・9月10日:JAIPAさんNCWG後援 クラウドカンファレンス
 新しくなった九段会館で活況で行われました。NCWGの協賛企業各社のTOPが顔を揃えられていて、たくさんの方にお会いすることができました。

・12月3日:NCWG年度報告会及び大忘年会 プレゼント大募集!!
 日程確定しましたので予定の確保をお願いします。報告会のプログラム詳細は別途ご案内しますが、本日に続いて量子コンピュータのお話をいただけるかと思いますので、皆さん楽しみにしておいていただければと思います。一方、同時開催の大忘年会ではプレゼントを募集しています。会社/個人を問いませんのでぜひ“胸熱”になるようなプレゼントをご提供いただければ助かります。

・NCWG来期活動にあたり、広く意見を募集します!
 10月に今期が締まり、11月から新しい期がスタートしますが、来期はまだ総会を開催していませんので活動内容は決定してはいません。NCWGの活動はメンバーさん、協賛さんが存在してはじめて成り立つものです。13年間理事を中心に頭を捻って、次の大阪で75回ということになりますが、会合を実施してきました。皆さんいろいろなご意見もあると思いますが、来期にやりたいことを立場関係なく募りたいと思います。いろいろな方のいろいろな立場からのご意見を聞いたうえで活動をしていくべきだろうと、理事会でも話しています。
 今年でいうと、今日山崎さんにお話いただく「量子コンピュータ」は、期初から理事会ではどなたかにお話いただきたいと議論してきて具現化したものです。このような前例もありますので、皆さんからのご意見を広く集めていきたいと思います。ジャストアイデアもありがたいのですが、皆さんが関わられているビジネスで「こんなことをやっている人がいる」「クラウドとのシナジーがあるので面白いのではないか」というようなNCWGの会合の趣旨を踏まえて実現化しやすいものがよりありがたいです。理事、メンバーがまだ知らない部分もあるかと思いますので、ぜひお願いできればと思います。

<第75回NCWG会合大阪開催(ハイブリッド開催)>
日時:2024年10月18日(金)15:00〜18:00(14:30受付開始)
会場:GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社 大阪支社
    〒530-0011 大阪府大阪市北区大深町3番1号 グランフロント大阪タワーB23階
    https://www.gmogshd.com/company/profile/
   および、オンライン(Zoom)
テーマ:『クラウドセキュリティを深掘りし、クラウドケイパビリティを高める!」

【主な予定内容】
・GMOグローバルサイン・ホールディングス社からの各種ご紹介
・「サイバー脅威の現状と日本での対応」
   アクロニス・ジャパン株式会社後藤匡貴氏
・「最も危険な穴をふさげ!」
   株式会社プロキューブ代表取締役 中川路充氏

【概要】
講演1
「サイバー脅威の現状と日本での対応」
  アクロニス・ジャパン株式会社
  ソリューションエンジニアリング統括部
  主幹技師
  後藤 匡貴 氏

サイバー脅威は急速に進化し、攻撃は非常に高速で高度かつ複雑になっています。昨今のサイバー脅威の現状をお伝えするとともに、日本国内における各省庁や団体のレギュレーションやガイドラインがどのように変化してきているのか、そのうえで何が最善策か、どのように対策を練るべきなのかを解説させていただきます。また、生成AIを使った攻撃もサイバーセキュリティ業界でホットな話題となりますので、AIとサイバーセキュリティという観点も紹介します。

講演2
「最も危険な穴をふさげ!」
  株式会社プロキューブ
  代表取締役
  中川路 充 氏

情報セキュリティ上のリスクはいろいろありますが、いろいろなケースをアセスメントしてみると一番危険度が高いのは、保守事業者やシステム管理者などによる不正アクセスです。そのような不正アクセスでは、root や administrator などの特権でシステムにアクセスするため、漏えい、改ざん、消去などやりたい放題で被害額は他の種類のインシデントとは比較にならないくらい大きくなります。そのようなリスクからシステムを守る特権1D管理システムをデモを交えて紹介いたします。

5.『量子コンピュータの現状と仕組みについて』
OpenQL(Open Quantum Library)プロジェクト 運営代表 山崎 清仁 氏

【はじめに】
「量子コンピュータ」という名前は聞いたことがとがあるという人は多いだろうが、実際に使っている、という人はそう多くないのではないか。
ともすれば何やら凄そうだな、というイメージが独り歩きしている感もある
この「量子コンピュータ」について、今回はオープンソースコミュニティである
「OpenQL Project」(以下、OpenQL)運営代表の山崎清仁(やまざききよひと)氏にご登壇いただいた。

OpenQL は、量子計算・量子情報のためのライブラリや量子コンパイラのOSS開発を目的としたプロジェクトとして発足した。
しかし、「量子コンピュータ」に対して純粋に興味のある人や開発をしてみたい人、この分野の知見を高めたいといった人に向けて、様々なコミュニケーションの場を提供する活動も行っている。
今回はそういった立場から、これまで縁があまりなかった方々にも興味を持って
いただき、是非使ってみようかな、と思えるところへ導くことができれば、と
山崎氏にご登壇いただくこととなった。

【登壇者ご紹介】
大学時代は今で言えば学際領域にあたる生物物理を専攻、光合成の電子伝達系を
「量子論」を使って解析を行う。
自宅PCにて多変数の数値シミュレーションの計算を行うなど、研究活動を通じて研究分野におけるコンピュータ利用の重要性を意識するようになる。

大学卒業後は、UNIX系メーカーSEとして経験を積み、転職してベンチャーで
エンジニアを経験したのち、2005年に起業。
OSSを活用した法人向けのITサービスへの企画・開発・運営、技術支援を行う。

2016年9月、オープンソースコミュニティ「OpenQL Project」を発足。
大学で学んだ「量子論」と、業務で培った「コンピューター」の両方の知識や
経験が活きる「量子コンピューター」を広め、世の中の役に立つようにする、
という決意のもと活動中。

・2018年 IPA未踏ターゲット(アニーリング部門)採択
・2019-2020年 IPA未踏ターゲット(ゲート式量子コンピューター部門)採択

【量子コンピューターの現状】
■量子コンピュータの種類
まず、「量子コンピュータ」とは一体どのような基準でそのように呼ばれるものなのか。
山崎氏曰く、”物理における量子現象(量子状態)を計算のための情報として扱っている計算機”が量子コンピューターと呼ばれるものの定義と言えるのではないかとのこと。
「量子コンピューター」と呼ばれ、利用や研究が進められているものとしては、
所謂、組合せ最適化問題の計算に特化した量子アニーラー、個別の問題に関する
予測演算に特化した量子シミュレーターといったものがある。
しかし、近年ではこれらを含めあらゆる問題に対して汎用的に利用できる
「万能量子コンピューター」に至る系譜の機構を備えた量子性を持つものが
「量子コンピューター」の代名詞となりつつある。

■現時点での量子コンピューターの本質
では、実際に従来型のコンピュータで可能な点を引き継いだ形で万能と言える
量子コンピューターが実現するのかという話だが、ここで量子コンピューターに
ついて語られる際によくある疑問の一つであろう”量子コンピューターは速いのか?”という疑問がある。
これに対しては”ある種の問題に対して速そうであると思われている”といった
ところがどうも現在地点のようだ。

現状言えることとしては、まず計算量に対するオーダーは改善し得る、と言われている。
専ら、RSA暗号のような要素の桁数に応じてオーダーが増えるような計算については確かに理論的には古典的コンピューターに比べて、量子コンピューターによる計算はそのオーダーを改善すると思われる、という事だった。
ただし、これも含めて性能面では量子計算を行う上でのアルゴリズムが重要であり、実際に量子計算が有効とされるアルゴリズムはまだごく一部の分野でしか見つかっていないのが現状なのだ。
加えて、古典・量子に限らず、既存のアルゴリズムが最速とは限らず、古典的な
コンピュータを前提としたより速いアルゴリズムが生まれる可能性や、デバイス自体の性能問題、技術的課題が起こり得ることを踏まえると一概に「速い」とは言い切れないようだ。

従って、現在地点からの展望としては、量子コンピューターは決して現行の古典コンピューをすべて置き換えるような存在ではないとのこと。
確かに計算理論上は量子コンピューターの方が上位互換にあたるが、特定の分野別に特化したような、専用クラウドサーバのような利用形態となり、現行機と適材適所で共存する未来が一番近いのではないか。
あたかも、汎用計算を行うCPUの隣に、映像処理などを行うためのGPUが存在することが当たり前になってきたように、である。

また、”量子コンピューターはエコなのか?”という疑問が挙がることもあるが
これについてはどうだろうか。
確かに量子コンピューターにおける演算処理自体については、従来と比べて
かなり消費エネルギーが低いといわれてる。
ただし、これには現状重大な見落としが存在する。それは「量子状態の維持」である。
量子状態というのは非常に繊細であり、ごく低エネルギーな状態にする必要がある。
これを取り上げてエコと呼ぶ人もいるが、そもそもその低エネルギー状態を維持すること自体に、現状では多大な電力を消費しているそうだ。
従って、量子コンピューターだからエコ、という話ではないことは覚えておきたい。

■ハードウェア
前述のとおり、”物理における量子現象(量子状態)を計算のための情報として扱っている計算機”が量子コンピューターだとするならば、ハードウェア的にはこれをどのように実装していくのか、という話に移る。
これについては、現在研究・開発が進められているものを挙げると、超電導/イオントラップ/光/中性原子/シリコン半導体/NVセンター・ダイアモンド/NMR 等、実に様々な方式が存在している。

・超電導量子ビット
数マイクロメートルの超電導回路の中で量子ビットを扱う。
可能な限り外部からのノイズを除去するため、希釈冷凍機と呼ばれる装置で
絶対零度近くまで極低温にすることで活動を抑止して量子状態を維持する。
量子コンピューターを画像検索した際によく見られる金色に輝く装置は、
この希釈冷凍機の部分の写真であることが多い。

・イオントラップ量子ビット
真空で外界とは孤立した状態、且つレーザー冷却で極低温にすることで運動エネルギーが生じない状態のイオン(荷電粒子)を網目状の装置で捕獲して操作する方式。
行いたかった操作に対して実際に行われた操作がどの程度忠実であるかを示す精度(フィデリティ)の高さなどから注目されている方式。

・光量子ビット
光ファイバーの中を通る光子(素粒子の一つ)を量子ビットとして扱う方式。
複数の光パルスを回路上で偏光、分波するなどにより、複数の状態を観測したり、操作しており、真空や極低温を作り出す必要がない点が注目を集める。

量子現象(量子状態)を実現、操作することができるのであればいずれでも可能、
ということなので、現状はこれらのうち何が今後の主流となっていくか、という点がはっきりする段階にはないそうだ。
このように多様な方式が存在しているため、その性能指標として Quantum Volume(量子体積または量子ボリューム)と呼ばれるものが定められている。
量子ビットの数や、計算のステップ数(回路の深さ、制度)といったものを
数値化したもので、量子ビットの数がより多く、且つ実行に多くのステップ数が
かかる量子回路を動作させることができれば数値が大きく、より性能が高いという事だ。

■ソフトウェア
では、量子コンピューターの仕組みを前提としたソフトウェアの部分はどうか。
OpenQLとしては、そもそもこの分野において「分子軌道計算を解く」などの
量子プログラムを開発・支援することが活動目的ではあるが、実際には現行の
ソフトウェア業界の有識者が十分に参画している領域ではない。
そのため、まだファームウェアやアセンブラに相当するレイヤでの開発が
盛んにおこなわれているところで、上位レイヤまではあまり手が届いていないのが現状である。

ただ、一部のクラウドベンダーなどが従来型のコンピュータ基盤を使って、仮想的に量子コンピューターの仕組みを再現する仕組みは提供されており、ソフトウェア部分についてはそのような環境で学習や実証を行ってから、リアルなハードウェアでの運用という流れになってくると思われる状況だ。
アプリケーションレベルのライブラリに関しては、量子コンピュータをハードウェアレベルから開発し、クラウド提供している企業が利用促進を兼ねてオープンソースとして提供しているもののアクティビティが高いようだ。
世界的にもまだ数は少ないが、Python ベースで IBM の Qiskit-aqua や
Google の OpenFermion といったライブラリが公開されている。

その他、量子コンピューティングを提供するクラウドサービスも登場してきており、IBM や NVDIA などは無料枠での利用が可能とのこと。
有料にはなるが、Amazon や Microsoft も同様のサービスを提供している。
有料サービスの一部では、ハードウェアとして実装方式の異なるデバイスを
選択して利用することもできるようだ。

【量子コンピューターの仕組み】
■量子ゲートの基礎
量子ゲートとは時間発展によって量子ビットの状態が変化する確率的な要素を表している。
量子ビットの状態を別の状態に移すような操作の組み合わせといってもよいかもしれない。

量子力学において量子の運動を記述するための関係式であるシュレーディンガー方程式というものが存在するが、この式の解を波動関数と呼ぶ。
量子ゲート方式の量子回路においては、この波動関数を解いた式が回路にマッピングされているようなイメージの仕組みとなっているようである。
式の中で確立的に観測内容が変化するような要素と同じものが回路の中に存在していることで、量子状態を計算回路の一部に設定することができているようだ。

■量子プログラミングの手順
量子計算というものは、複素数(実数の他に虚数を含めた数)を含む行列の演算として扱う事ができるため、量子計算をベースにしたプログラミングでは以下のような手順を踏むことになるという事だった。

1.計算に必要な量子ビット(量子レジスタ)を準備、その値を初期化する
2.量子計算をユニタリ行列(ゲート演算子)で記述する
3.ユニタリ行列(ゲート演算子)を量子ビット(量子レジスタ)に作用する
4.測定を行う

■量子アルゴリズムと量子計算の応用領域
量子コンピュータの強みの一つは、量子重ね合わせ状態を計算に応用することで
高度な並列計算ができる点である。
これによって、シミュレーションや最適化問題に対する計算が得意といわれていると言えるだろう。
様々な計算要素や制約のもとで、あらゆるパターンの計算を行うにあたって、一つ一つをシリアルに1から計算することなく、並行で計算してしまえるということになる。

またもう一つの利点として、エンタングルメント(量子もつれ)と呼ばれるものがある。
古典的コンピュータの計算では、二つの要素の計算は積(掛け算)の状態として表すことができるが、量子の世界ではそのように表すことができない状態が発生することがある。
このような状態をエンタングルメント状態と呼ぶが、これを計算に応用することで従来の統計学で説明できない相関を基に結果を導くような、古典的コンピュータではできない計算を行うことが出来ると言われている。

こうした量子コンピュータの強みを活かし、「らしく」使うための手法が
量子アルゴリズムである。
量子回路上に配置する要素をうまく組み合わせることで、量子計算によって
得られる結果が想定したものに近づくように調整することと言える。

現在存在するアルゴリズムについては、Quantum Algorithm Zoo と言うサイトで様々なものが紹介されている。暗号化領域等で応用できるであろう素因数分解に関するものが有名であるが、量子科学計算や機械学習領域に応用が期待される
ものも多く紹介されている。
ただし、高精度で大規模な量子コンピュータを前提としているものが多いようだ。
このようなアルゴリズムは重要な計算問題を対象としており、実装のしやすさは
考慮されているなケースが多い。
他方、このところはNISQ世代型と呼ばれる中規模な量子コンピュータと
古典コンピュータの計算を組み合わせた、ハイブリッドなアルゴリズムの研究が
進められつつあるそうだ。多少のノイズは許容しつつ、広く有用と思われる
計算問題を古典的コンピュータをうまく組み合わせて解決する目的がある。
また、意味ある計算でなくとも量子コンピュータの性能を、広く世に知らしめる
という目的で実装のしやすさを重視した、Quantum Spuremacy と呼ばれる
小規模向けの研究の流れもあるとのこと。

【終わりに】
量子コンピュータについては思ったよりも、随分と身近になってきたようである。
なじみのクラウド基盤の中にも既に使えるサービスがあるかもしれない。
ハードウェアやそれに準ずる下位レイヤの実装に関しては、やはり既に開発を
先行している大手メーカーが強いのだろう。
しかし、上位層のアプリケーションで何をするか、古典的コンピュータと組み合わせてどのような未来を描くか、という点については、より広い門戸が開かれているようであった。
是非、そういった部分で考えを巡らせながら、今後も関わっていきたいと思わされる講演だった。

【質疑応答】
Q:量子コンピュータには様々なハードウェア実装方式があるということだが、寿命のようなものはあるか。

A:現状ではまだ寿命が測れるほどそれぞれの実装方式が確立されている状況ではないため、これからの話になってくる。

Q:ハードウェア実装方式の違いによって、やれることや優位性などの違いはあるか。

A:計算処理自体はかなり抽象化して処理を行うので、やれること自体は変わらない。
ただ、Quantum Volume の違いはもちろん、実装のしやすさなど優位性という観点では違いは様々ある。

Q:国際的な情勢の中で量子コンピュータに関する日本の立ち位置はどういった状況か。

A:政府支出的に言えば、国際的には予算はかなり少ないと言えるが、民間では大手メーカーをはじめかなり積極的に取り組んでいるとは思われ、ベンチャーの活動なども近頃はよく見られる。

Q:古典的コンピュータ向けの従来ハードウェアが流用できるのか、あるいは専用ハードウェアが必須なのか。

A:もちろん既存のハードウェアデバイスをうまく使っている試みもあるが、やはり仕組みが大きく違うので、どうしても専用ハードウェアに頼る部分はある。光量子ビットの高周波パルスを生成する装置など。
それぞれの方式で専用ハードウェアの開発は進められているが、特に今その分野のプレイヤーは求められている。

Q:古典的コンピュータのCPUやRAMの様に、量子コンピュータにも必須の共通コンポーネントはあるのか。

A:量子状態を維持するメモリ(QRAM)は必ず必要になってくる。今回の仕組みの話はCPUに相当する部分のみの話題だったが、メモリや伝送路の部分に相当するコンポーネントは今後大きな分野として発展が望まれると思われる。


6.『会長からの総括』
会長 小堀 吉伸

皆さん、お疲れ様でした。
お話しいただいた、山崎さん、
お忙しいところお時間いただき本当にありがとうございました。

今回の会合は、2012年11月の活動開始から74回目の会合となりますが、
「量子関連」は、初めてなので大変ありがたかったです。
ありがとうございます。

量子コンピュータについては、
書籍やインターネットで調べれば豊富に情報は出てきますが、
なかなかリアルな実情に触れられる機会は少なく
様々な情報が錯綜しているため、
なんとなくモワッとした「量子の状態」のような状況にも思われます。

そういった状況の中で、
OpenQLプロジェクトの山崎さんに、
リアルな量子コンピュータの話をしていただけたことは、
大変有難く貴重なことだったと思います。

実際に我々が量子コンピュータを作ることに関わるのは、
あまり現実的ではないのですが、
「シミュレータ」としてクラウドサービスでの利用については、
インターネットを介して利用するコトを、
「クラウドサービス」と定義している会の趣旨として凄く関わるところなので、これからのクラウドビジネスへの関わり方には、
量子コンピュータを「知ってゆくこと」は、避けられないと考えています。

例えば、製品製造のための自社工場を持たないファブレス化への量子シミュレーターの有効性は、すでに周知のことだと思います。
具体的には、ケミカルやマテリアルの分野での利用など、
既に現実となっていますが、我々もそこから派生させながら、
我々のクラウドビジネスに組み込んで行ければいいのではと考えています。

私自身も含め、参加者の中には理解が追い付かない部分もあったかと思いますが、そこから興味を持たれた方もいると思いますので、
この機会に是非知識を入れていただき、
量子コンピュータについて会全体の知識レベルも高められれば、
会の力も高まるので、
是非、この機会にもっと追求してみてください。

また、今日ご参加いただいている皆さんにも、
是非OpenQLプロジェクトにもご参加いただき、
「量子」の知識を皆さんそれぞれの強みに取り入れていただければ、
会の知識も向上すると考えていますので、
一緒に盛り上げて行きたいと考えています。

12月3日の13周年報告会での特別講演会にて、
「量子コンピュータとクラウド」をテーマに、
慶応義塾大学の田中宗先生にご登壇いただく予定なので、
引き続き量子情報を仕入れていただきながら、
クラウドビジネスに役立たせてください。

ニッポンクラウドワーキンググループとしては、
引き続き会参加の皆さんに様々なクラウドビジネスのための情報提供と、
クラウドビジネスを盛り上げる場を提供していきますので、
引き続き会の活動にご参加ください。
活動へ参加いただくことも会の存在意義となりますので、
積極的に活動へ参加をお願いします。

本日は、お疲れ様でした。

7.懇親会

恒例の懇親会も大いに盛り上がりました。
ご参加された皆さん、お疲れ様でした。

【NCWG実行委員 報告書作成者】
佐々木 泰(株式会社クオリティア)
内田 龍(株式会社ブライエ)

【2024年10月】サムライクラウド部会 部会報告

2024年10月7日(月)にサムライクラウド部会を開催いたしましたのでご報告いたします。

今回は、リアルとオンラインのハイブリッド会議形式で実施致しました。

■日時:2024年10月7日(月)15:00~17:00
■場所:リアル及びオンライン会議

サムライクラウド部会では、SAMLやOAuth、多要素認証などの認証技術、アプリケーションマッシュアップするための基盤技術、APIなどの先進的な議題についての議論・発表を行っています。
今回は下記に関しての議論を行いました。

・GenerativeAI、RAG(エンベディング)の話

・RAG開発設置の実例

ご参加いただいた皆さん、ありがとうございます。

次回の部会は、11月上旬を予定しています。

是非みなさまご参加ください。

【2024年9月】サムライクラウド部会 部会報告

2024年9月4日(水)にサムライクラウド部会を開催いたしましたのでご報告いたします。

今回は、リアルとオンラインのハイブリッド会議形式で実施致しました。

■日時:2024年9月4日(水)15:00~17:00
■場所:リアル及びオンライン会議

サムライクラウド部会では、SAMLやOAuth、多要素認証などの認証技術、アプリケーションマッシュアップするための基盤技術、APIなどの先進的な議題についての議論・発表を行っています。
今回は下記に関しての議論を行いました。

・DNSの暗号化について、DDR、DNRについて

・生成系AIの最新情報

ご参加いただいた皆さん、ありがとうございます。

次回の部会は、10月上旬を予定しています。

是非みなさまご参加ください。

【2024年7月】サムライクラウド部会 部会報告

2024年7月24日(水)にサムライクラウド部会を開催いたしましたのでご報告いたします。

今回は、リアル(神戸)とオンラインのハイブリッド会議形式で実施致しました。

■日時:2024年7月24日(水)15:00~17:00
■場所:リアル及びオンライン会議

サムライクラウド部会では、SAMLやOAuth、多要素認証などの認証技術、アプリケーションマッシュアップするための基盤技術、APIなどの先進的な議題についての議論・発表を行っています。
今回は下記に関しての議論を行いました。

・6月サムライクラウド部会発表の反省点

・生成系AIの最新情報比較

ご参加いただいた皆さん、ありがとうございます。

次回の部会は、8月下旬を予定しています。

是非みなさまご参加ください。


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