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第81回ニッポンクラウドワーキンググループ会合報告

『生成AIの活用事例を知り、クラウドビジネスの可能性を拓く!』をテーマに、ニッポンクラウドワーキンググループ第81回会合を、リアルとオンラインのハイブリッドにて開催いたしました。
今回の会合は、株式会社エル・ティー・エス リンクさんに会場をご提供いただき、多くの方々にご参加いただき活気ある会合となりました。

テーマ:『生成AIの活用事例を知り、クラウドビジネスの可能性を拓く!』
日 時:2026年2月9日(月)17:00~19:00
            懇親会 19:30~21:30
場 所:株式会社エル・ティー・エス リンク 会議室
    東京都港区元赤坂1丁目3-13 赤坂センタービルディング15F
    および、オンライン(Zoom)

【司会者のご紹介】
司会 NCWG副会長 藤田 浩之

1.開催のご挨拶 
副会長 藤田 浩之

本日は、日本クラウドワーキンググループ第81回会合にお集まりいただき、ありがとうございます。本日、司会進行を務めさせていただきます、副会長の藤田です。よろしくお願いいたします。本日のテーマは「生成AIの活用事例を知り、クラウドビジネスの可能性を拓く!」です。

まずはじめに、本日会場をご提供いただきましたLTSリンクさん、ありがとうございます。昨年の2月にも会場をご提供いただきましたが、今年もこうしてご協力いただけることに改めてお礼申し上げます。昨日は都心でもそれなりに雪が積もったという話でしたが、本日に当たらなくて本当に良かったと感じております。
過去には、台風の直撃で交通機関が乱れ、かなりの方々が参加できなかった回もありましたが、今日は無事に開催でき、大変嬉しく思っております。

本日のアジェンダをご説明します。まず各部会からの報告があり、続いてLTSリンクの高倉さんよりLTSリンク社のビジネスについてご紹介をいただきます。その後、メンバー発表として、以下の3社にご登壇いただきます。

Fullon株式会社 田上さん
勤怠管理システム「Teasy」にAIエージェントを実装したお話などを伺います。

株式会社ユニリタ 安田さん
セキュアな生成AI利用環境やインフラサービスについてお話しいただきます。

株式会社DataWisdom 大場さん
マニュアル回答ボットとその裏側で動くRAGシステムについてご紹介いただきます。

非常に楽しみな内容ばかりですので、ぜひ多くの知見を吸収し、今後の皆さんのクラウドビジネスに活かしていただければと思います。

今期のスローガンは「Beyond the Clouds and Advance the “SAMURAI CLOUD”」、サブスローガンは「クラウドケイパビリティを重ね合わせ、クラウドビジネスの可能性を拓く!」です。
今日の講演を通じてクラウドケイパビリティを獲得し、クラウドビジネスの可能性を拓いていきましょう。それでは、会合を始めたいと思います。よろしくお願いいたします。

2.部会報告

サムライクラウド部会
部会長 野元 恒志

昨年の周年イベントでの年度報告会、および新年度の活動計画の中でも触れましたが、2026年度のサムライクラウド部会は「2大テーマ」を掲げて活動していきます。

一つは、これまでも継続して取り組んできた「ゼロトラスト」。そしてもう一つが、昨年から深く関わり始めている「生成AI」です。現在、部会内ではテッキーズポットの戌亥さんが非常に高いリサーチ能力を発揮し、ご自身でもバリバリとコーディングをされているため、非常に有益な情報が共有されています。サムライクラウド部会としては、単に生成AIを活用するだけでなく、そこに「セキュリティ」の観点を必ず組み込んでいきます。クラウドを利用する上で、ゼロトラストと生成AIは切っても切れない関係にあります。2026年度は、この2つを必須のクラウドケイパビリティとして進めていく考えです。

部会では毎回、非常に濃く活発な議論が行われています。1月の部会では、会場を提供いただいているクオリティアさんには恐縮ですが、参加者が13〜14名に達し、嬉しい悲鳴をあげるほどの活況でした。最近はパスキーやゼロトラスト、生成AIなど多方面にわたる議論が展開されています。初めて参加される方は「喧嘩をしているのではないか」と驚くほど、喧々諤々の議論が繰り広げられることもあります。しかし、そこでニヤリとしているのは常連のメンバーです。それほど面白く、ためになる話が飛び交っています。

「サムライクラウド部会は敷居が高くて難しい」という声をよく耳にします。実は、私自身もいまだにそう感じています。回によっては、内容を2割程度しか理解できていないこともあります。しかし、半分でも理解しようと食らいつき、繰り返し参加していると、不思議なことに少しずつ分かるところが出てくるものです。自分で調べようという意欲も湧いてきます。ですから、ぜひ根気強く付き合っていただきたいと思います。「1回出て難しかったから次はいいや」と諦めてしまうのは、非常にもったいないことです。経験豊富な先輩方が多いため聞きづらい側面もあるかもしれませんが、議論を止めて質問しても全く構わない場です。

これほど熱量の高い議論ができる場は、最近では他にほとんどありません。皆さんのご参加を心よりお待ちしています。次回は来週、引き続きクオリティアさんの会議室をお借りして開催予定です。今年度もよろしくお願いいたします。

クラウドビジネス推進部会
部会長 藤田 浩之

クラウドビジネス推進部会では、今年度、主に以下の3つの指針を掲げています。

1.相互交流の機会提供: 日本クラウドワーキンググループのメンバーが積極的に交流できる場を設けます。
2.ビジネスの活性化: 誰もが気軽に参加できる場を提供し、重要な情報を共有することで、各社のクラウドビジネスを活性化させます。
3.道具の使いこなしと本質の理解: ITツールやAIという「道具」の本質を知り、効率的に使いこなすことを重視します。その事例やノウハウを共有し、クラウドケイパビリティを高めることで、クラウド人材の育成にもつなげていきます。

隔月で開催している「クラウドビジネスサロン」を、1月19日にアルティネットさんの会議室にてハイブリッド形式で開催しました。

テーマは「生成AIのここを何とかしてほしい!」。本日登壇いただく大場さんにもご参加いただきました。
議論の中では、AIのハルシネーション(嘘をつくこと)や、記憶の保持といった一般的な課題も出ましたが、特に共通の悩みとして挙がったのが「ExcelやPowerPointの資料作成」です。テキストベースの内容は良くても、表や図をAIが効率的に生成・構成してほしいという点は、多くのメンバーが直面している課題であることが分かりました。

次回のクラウドビジネスサロンは、3月にアルティネットさんの会議室をお借りして開催します。
テーマは「MCP Update/実践MCP!」で、 昨年の部会発表でも触れたMCPについて、最新情報のアップデートを行います。特に1月末に追加された新仕様「MCP Apps」は、AIエージェントからアプリケーションの画面を呼び出し、独自の操作や表示を可能にするもので、非常に高い利用価値と相乗効果が期待されています。また、生成AIを活用して実際にMCPサーバーを作成するプロセスも取り上げる予定です。

ご興味のある方はぜひご参加ください。
以上となります。ありがとうございました。

3.LTSリンク社からのご紹介

株式会社エル・ティー・エス リンク
代表取締役社長 髙倉 敏行 氏

皆さん、こんにちは。LTSリンクの高倉です。本日は当社オフィスにお越しいただきありがとうございます。ニッポンクラウドワーキンググループとは、私個人としても長くお付き合いさせていただいており、本日の開催を通じて皆様の活動に少しでも貢献できればと考えております。本日は、当社のビジネス紹介に加え、専門家の立場から見た「生成AIがIT市場に与える影響」についても所感をお話しします。

①LTSグループとLTSリンクの立ち位置
当社はコンサルティング会社である株式会社LTSのグループ企業です。グループ全体では1,200名規模(日比谷コンピュータシステム等を含む)となり、戦略・IT・M&Aなどの総合的なコンサルティングを展開しています。その中で、LTSリンクは「プラットフォーム事業」を担っています。社内にエンジニアやコンサルタントを大量に抱えるのではなく、外部のプロ人材やIT事業者と企業を繋ぐビジネスモデルです。

②主な事業内容
プロフェッショナル・ハブ: 約5,000名のフリーランスコンサルタント・プロ人材の登録ネットワーク。企業の課題に対し、最適なプロ人材をリサーチして提案・アサインします。

アサインナビ: 累計5,800社以上が登録するITビジネス・マッチングプラットフォーム。案件と人材のマッチングだけでなく、生成AI領域などの「中長期的なビジネスパートナー探し」の支援も強化しています。

体験型研修(ボードゲーム形式):
 「今日から社長」:経営者の視点でPL/BSを理解し、事業と数字を結びつけるセンスを養います。
 「ダイナミズム」:市場のステークホルダーの立場をシミュレーションし、マーケットでの成功要因を学びます。

③生成AIがIT市場に与えるインパクト
市場の結節点にいる当社の視点から、以下の5つの変化を感じています。

開発現場の変容: SIプロジェクトでも生成AI活用が急速に浸透しており、自社開発以上にスピード感を持って変化しています。

エンジニア需給の逆転: 以前は「案件過多・人手不足」でしたが、現在は特にJava等の汎用領域で「エンジニアが供給過剰」な傾向が出ています。一方で、AIを使いこなせる質の高い人材へのシフトが起きており、リスキリングが急務です。

ジュニア人材育成の危機: コンサルや開発の現場で「シニアの下にジュニアをつけて育てる」という従来のビジネスモデルが、AIによる効率化でチャージしづらくなり、崩壊しつつあります。

シニアエンジニアの復権: 技術の基礎と経験を持つシニア層が、AIを「能力拡張ツール」として使いこなすことで、質の高いアウトプットを出す事例が増えています。

インフラ・セキュリティ需要の増大: セキュリティ事故への対応に加え、AIやエッジデバイスの普及に伴い、インフラ(クラウド、オンプレ、エッジ)とセキュリティを掛け合わせた領域の需要が非常に高まっています。

<質疑応答>
Q1. なぜマッチング事業だけでなく、ボードゲーム研修まで手がけているのでしょうか?
A1. 私たちの目的はマッチングそのものではなく「事業変革の支援」です。テクノロジーが変われば必要な人材も変わります。研修は変革のためのツールの一つであり、ボードゲームという体験型の手法を用いることで、行動変容やレベルアップをより効果的に促すことを狙っています。

Q2. ジュニアエンジニアが興味を持つ領域の傾向はありますでしょうか?
A2. 正直なところ、インフラそのものを志望する若手は減少傾向にあり、多くはソフトウェアやクラウドに流れています。しかし、インフラに入ってきた層はセキュリティへの関心が非常に高い傾向にあります。

4.メンバー発表

発表1
「Teasy AIAgent:実装ハイライトとデモ」
Fullon株式会社
執行役員 オンサイト事業部
事業部長 田上 真也 氏

こんにちは、Fullonの田上です。以前「妄想」として発表させていただいた「勤怠管理にAIエージェントを組み合わせる構想」をある程度の形にしましたので披露したいと思います。

①AIエージェント実装の目的と概要
コンセプト: 日常の勤怠打刻や申請業務を、チャットボットとの自然な会話だけで完結させる
解決したい課題: 画面を開いて入力する手間の削減や、打刻忘れの防止
主な機能:
 口頭・チャットによる打刻: 出勤、退勤、休憩の記録(二重打刻防止機能付き)
 申請・承認業務: 有給休暇などの申請、および上長による承認
 ステータス確認: 「今月の労働時間は?」といった問いかけに対し、現在の稼働状況を回答

②管理者向け機能(ダッシュボード)
「いかに苦痛なく打刻をさせるか」を重視し、アラート機能を強化しました。
AI予測による通知: 過去のデータ(1月・2月の傾向など)をAIが分析し、「月曜日は打刻忘れが多い」といった予測に基づいた最適なタイミングでのリマインド通知を設定可能
プッシュ通知・Slack連携: 残業超過のアラートや有給消化の推奨などを、各組織の状況に合わせて配信

③開発の舞台裏
今回の実装は、開発者2名、期間にして約130時間(1人月未満)という短期間で実現しました。ポイントは以下の2点です。
Cursor(開発環境)の活用: プロジェクト全体をAIが読み込んでコードを生成するため、開発スピードが飛躍的に向上
Strands Agent(ライブラリ)の採用: 生成AIの挙動調整をプログラムコードではなく、日本語の仕様書(プロンプト)に近い形で実装。これにより、API参照などの複雑な制御を比較的容易に行うことができました。

<質疑応答>
Q1. 勤怠管理は法改正など「硬い」領域だと思いますが、あえてそこを選んだ戦略はありますか? また、経費精算など、他の業務ソフトへの横展開は考えていますか?
A1. 法令遵守や正確性が求められる根幹部分は、Teasy本体(システム側)で厳密に制御しています。AIエージェントはあくまでその「入り口」であり、本体が「不可」としたものはエージェント経由でも通らない仕組みになっています。役割を分けることで、安全性と利便性を両立させています。また、拡張は常に考えています。プログラムによるガチガチの連携は工数がかかりますが、AIエージェントを介した「疎結合(柔らかい結合)」にすることで、データの抽出・加工・取り込みをより柔軟に行える仕組みを構想しています。

発表2
『セキュアな生成AIサービス SecuAiGent(セキュアイジェント)』
株式会社ユニリタ
データイノベーション部:プロダクトデザイングループ
リーダー 安田 匠 氏

昨年10月にリリースした、セキュアに生成AIサービスを利用できる「SecuAiGent(セキュアイジェント)」を紹介させていただきます。

生成AIの導入において企業が抱える課題として、「セキュリティと情報漏洩リスク」、「ガバナンスとコンプライアンスの整備」、「ハルシネーションによる誤情報リスク」の3点があります。これらにより、安全性と正確性を担保できず社内のデータを利用した生成AI活用が進められないケースがあります。
本サービスは、そうした課題の解決を目的に開発しました。

技術的特徴とセキュリティをどう担保しているのかについてですが、クラウド上のアプリケーションと、顧客のローカル環境(学習データ・ベクトルDB)を組み合わせた構成になっており、学習データはクラウドへアップロードせず、ローカル環境に保持されます。利用時のみAPI通信でクラウドとローカルで通信を行い、セッション終了後にデータは破棄されるため、生成AI側に情報を学習させないセキュアな環境を実現しています。(特許技術)
ハルシネーション対策としても、独自の回答チェック機能を搭載しています。AIが生成した回答に嘘や誤りが含まれる場合、ユーザーには誤った回答を表示せず、「情報を確認しましたが、分かりませんでした」と返すことで、誤情報の拡散を未然に防ぎます。(特許技術)

追加学習時のデータ加工・変換作業として、DBやExcel、PDFなど様々な形式からデータを収集、データのクレンジング、チャンク分割、ベクトル変換といった煩雑な前処理を自動化し、常に最新のデータを参照できる仕組みを構築しています。

<導入事例>

医療機関(長野市民病院):
リリース前から共同実証実験として利用いただきました。
看護師や医師が電子カルテやマニュアル類を欲しい項目に合わせて要約して出力したり、医療文書のフォーマットに必要な情報を要約してテキストを生成するなどで、患者情報を収集・整理する時間を削減できました。
1年間導入した結果、医師の医療文書作成時間を1件あたり10分→約30秒に短縮、看護記録の情報収集を2700時間削減した効果が確認できています。

通信事業者:
基地局に関する問い合わせ対応業務でも活用されています。基地局に関する過去の膨大な問い合わせ履歴や土地情報の検索・分析に活用。「除草が必要な基地局はどこか?」といった分析業務において、担当者がデータベースを検索・要約する負担を軽減しています。

ライトプラン:最少人数で利用したい方(月額130,000〜)
スタンダードプラン:中規模で利用したい方(月額180,000〜)
エンタープライズプラン:401ユーザー以上(月額320,000〜)

そのほか技術支援メニューとして構築時の要件からお見積りさせていただいています。
・初期導入費用
・セキュア学習モジュール導入支援
・技術支援

<質疑応答>
Q. ローカルのデータを上げないとは具体的にcontextの内容を見てアップロードしないなど、どういう範囲で絞り込んでいるのか。
A. 情報が流れないというよりは、あくまで通信経路上に乗るだけで、クラウドストレージに保存されたりモデルの学習に使われたりしないという仕組みです。

発表3
『マニュアル回答ボットと裏で動作するRAG』
株式会社DataWisdom
代表取締役 大場 智康 氏

生成AI時代でもなくならない3つのポイントは以下で、この3つについてはいつ投資しても無駄にはならないと思っています。

1.RAG(独自データ):自社データを用いた回答生成。
2.AIエージェント:業務に特化した自律的なAI。
3.プロンプト作成力+AI関連知識:AIを使いこなす人間のスキル。

今回はそのRAGについてお話させていただきます。
RAGについて「AIの専門家がわかりやすく解説!」という動画に出させていただきました。
その時に例え話で「英語の試験で参考書持込みありにしたときに、答えがどこに書いてあったかわからないとさすがに回答できない。どこに書いてあるかという付箋を貼ったりして事前に準備をしておく」これがまさにRAGであると解説させていただきました。


今回の場合、特定の人物(社長)が出演する動画の内容を学習させたボットに対し、「社長は花が好きですか?花に投資をしていますか?」と質問してみますと、結果として、AIは「はい、花が好きです。2年前からスポンサー花壇を始めて…」と回答し、その根拠となる動画の具体的なシーンとタイムスタンプが提示されました。
こういった結果から、RAGによって独自の動画情報の検索が可能であることが示されました。
(出力として、一般論ではなくRAGによる回答ができる)

RAG構築(フェーズ1):
1.ドキュメント収集
2.テキスト分割(チャンク化) →適切なサイズに
3.ベクトル化(埋め込み) →大量のデータを扱える
4.インデックス化(RDB活用) →検索のタグ

RAG検索+生成(フェーズ2):
1.クエリのベクトル化 →ベクトルDBからの検索
2.類似度検索 →ベクトル計算
3.コンテキスト構築 →回答生成、プロンプトへの与え方


NotebookLMで似たようなことができるのではないかとよく言われます。実際に使ってみるとそれなりに回答してくれたりするのですが、自分たちでRAGを使うと次のようなメリットがあります。

①業務に”組み込める”(導入価値がでる)
 実際に業務に組み込んだ時に「自分たち専用」というのに価値があると思います。
②出典の表示形式を”選べる”(現場UXが段違い)
 マニュアルなどテキスト引用だけではなく、図面や図表など自分たちが欲しい絵などが出てきてくれるとうれしいと思います。
③精度を”設計”できる(当たり外れを減らす)
 NotebookLMではそれほど細かく設定できませんが、自分たちで細かく手を加えると精度をあげることができます。
④統制・監査・権限を要件通りに作れる(ガバナンス)
一般社員と役職者で見せて良い情報を変える場合、RDB側で文書ごとに閲覧権限フラグ(極秘など)を付与し、検索時にフィルタリングすることができます。
⑤運用で改善し続けられる(継続性・リスク低減)

<質疑応答>
Q1. ベクトルDBは自分でインストールして使っているのですか?
A1. 自分でインストールできるものもありますが、ベクトルDBに情報を入れる作業なども踏まえて今回はAWS上の機能を使っています。

Q2. ベクトルDBはデータを更新しなければいけないのかな?と想像していたのですが。古いデータはどう扱えばいいものなのでしょうか。
A2. 入れっぱなしでいいと思います。タグ付けする際に古いバージョンのマニュアルであるというような形にするとよいと思います。大場はデータが好きなのでもったいないと思ってしまいます。

Q3. RAGをつかった生成AI利用でインフラの特徴は?
A3. RDBであれば「東京都の」などの指定が簡単だが、ベクトルDBに対して言葉で検索させるクエリのベクトル化に癖がある。それ以外はインフラとしては他のシステムと変わらないです。

Q4. 権限、ロールで管理するところですが、既存のADなどと紐づけてできるのかなどの具体事例がありますか?
A4. RDB側でスタッフごとにどの文書がみれるかみれないかのON/OFFフラグを管理させる方法をとったことがあります。

5.会長からの総括
会長 小堀 吉伸

本会合が15年目の第1回目です。グループ内には能力の高い人材が多く存在するので、今期はそういった方々にどんどん表に出てきてもらい発表してもらいたいと考えています。

NCWGは「クローズド」かつ「技術中心」のコミュニティです。
クローズドで開催することで本音の議論ができる良さがあると思っています。15期目も引き続きクローズド主体で運営していきます。
ビジネスの話も重要ですが、基本はあくまで「技術の会」です。会の推進力となっている2つの部会「サムライクラウド部会」と「クラウドビジネス推進部会」ですが、9月に部会活動のアウトプットの場を作る予定ですので、皆さんも積極的に参加していただきたいです。今後ともよろしくお願いします。

6.懇親会

恒例の懇親会も大いに盛り上がりました。
ご参加された皆さん、お疲れ様でした。

【NCWG実行委員 報告書作成者】
佐々木 泰(株式会社クオリティア)
横手 広樹(株式会社ブライエ)

【2026年2月】サムライクラウド部会 部会報告

2026年2月18日(水)にサムライクラウド部会を開催いたしましたのでご報告いたします。

今回は、リアルとオンラインのハイブリッド会議形式で実施致しました。

■日時:2026年2月18日(水)15:00~17:00
■場所:リアル及びオンライン会議

サムライクラウド部会では、SAMLやOAuth、多要素認証などの認証技術、アプリケーションマッシュアップするための基盤技術、生成AIなどの先進的な議題についての議論・発表を行っています。
今回は下記に関しての議論を行いました。

・パスキーの実装について
・OpenClawについて

ご参加いただいた皆さん、ありがとうございます。

次回の部会は、3月下旬を予定しています。

是非みなさまご参加ください。

第82回ニッポンクラウドワーキンググループ会合のご案内

【ご注意】!!!!!!!今回は開始時刻が16時となります。ご注意ください!!!!!!!

NCWGメンバーおよびご協賛各位

2026年4月17日(金)に、
スリーハンズ株式会社さんに会場をご提供いただき、
「第82回ニッポンクラウドワーキンググループ会合」を開催いたします。
なお、当日はオンラインでのライブ配信も併用するハイブリッド形式にて行います。

今回の会合では、
「NCWG流タレントマネジメントで人材を育て、クラウドビジネスの可能性を拓く! 」
をテーマに、NCWG参画企業の若手社員にとって経験を積む場として、
「我が社または自身のクラウドケイパビリティ!」をお題として数社から発表いただきます。
質疑の時間では参加者から発表自体のアドバイスも受け付けたいと思います。

是非みなさん、ご参加ください。

2026年度のスローガン。

 Beyond the Clouds!
    and
 Advance the “SAMURAI CLOUD”.
 (「サムライクラウド」を積極的に進歩させる)
 『クラウドケイパビリティを重ね合わせ、クラウドビジネスの可能性を拓く!』

なお、会合後は恒例の懇親会(リアルのみ)も開催いたしますので
是非合わせてご参加ください。
懇親会からの参加も歓迎いたしますので、会合への参加は難しいが
懇親会からは参加できるという方は是非お申込みください。

!!!!!!!今回は開始時刻が16時となります。ご注意ください!!!!!!!
<第82回ニッポンクラウドワーキンググループ会合>
テーマ:『NCWG流タレントマネジメントで人材を育て、クラウドビジネスの可能性を拓く! 』
日 時:2026年4月17日(金)16:00~18:00
    懇親会 18:30~20:30
場 所:溜池山王 山王パークタワー 地下会議室(スリーハンズ株式会社提供)
    東京都千代田区永田町2丁目11−1
    https://office.mec.co.jp/search/detail/011635/
    および、オンライン(Zoom)

【会合内容】
 1.開催のご挨拶
 2.各部会報告
 3.NCWG参画企業の若手からの発表
   ・株式会社ブライエ
   ・株式会社ブロードバンドタワー
   ・株式会社コンピュート

 4.スリーハンズ社からのご紹介
 5.会長からの総括
 6.連絡事項
 7.懇親会 (18:30-20:30)
    会 場:ビッテ
        https://bittebitte.jp/about
    懇親会費:6,000円
    ※当会は非課税のため、インボイス非対応の領収書となりますので
     予めご了承ください
    ※申込み後にキャンセルする場合は、お手数ですがinfo_cloud@ncwg.jp
     までメールにて必ずご連絡をお願い致します。
     ご連絡なくキャンセルとなった場合や、当日キャンセルとなった場合は
     後日参加費を申し受けますので予めご了承ください。

<お申し込み方法>
 お申し込みは、info_cloud@ncwg.jp 宛てに、
 メールの件名を『第82回NCWG会合参加申込』として、
 参加者全員の氏名およびメールアドレスをご連絡ください。
 なお、参加にあたっては、リアル/オンラインを必ず明記ください。
 また、懇親会への参加・不参加についても必ず明記ください。
 ※懇親会のみの参加の場合はその旨ご連絡ください。
 (懇親会はリアルでのみの開催となります)

■感染症対策について
・少しでも体調が悪いと感じた方は直前でも、申し訳ありませんが参加はご遠慮ください。
その際は、info_cloud@ncwg.jpまでメールにてご連絡ください。
当日連絡できなかった場合は、後日ご連絡ください。
・受付時のアルコール消毒、検温(非接触)等にご協力ください。
なお、体温が37.5度以上ある場合は、申し訳ありませんが参加はご遠慮ください。

皆さんのご参加をお待ちしています。

NCWG実行委員 一同

【2026年1月】サムライクラウド部会 部会報告

2026年1月21日(水)にサムライクラウド部会を開催いたしましたのでご報告いたします。

今回は、リアルとオンラインのハイブリッド会議形式で実施致しました。

■日時:2026年1月21日(水)15:00~17:00
■場所:リアル及びオンライン会議

サムライクラウド部会では、SAMLやOAuth、多要素認証などの認証技術、アプリケーションマッシュアップするための基盤技術、生成AIなどの先進的な議題についての議論・発表を行っています。
今回は下記に関しての議論を行いました。

・パスキーの現状について
・IDaasの現状について

ご参加いただいた皆さん、ありがとうございます。

次回の部会は、2月中旬を予定しています。

是非みなさまご参加ください。

NCWG年度報告会、設立14周年講演会、パーティ兼忘年会 開催報告

おかげさまで、ニッポンクラウドワーキンググループは14周年を迎えることができました。
日頃の活動をご支援いただいているご協賛・メンバー・サムライクラウドサポーターの方々に心より感謝申し上げます。

14期の活動報告および15期の活動計画の報告会、設立14周年講演会、パーティ兼忘年会を2025年12月3日にリアルとオンラインのハイブリッドにて開催しましたのでご報告いたします。
当日は多くの方にお集まりいただき、ありがとうございました。

日 時:2025年12月3日(水)16:00~
場 所:関東ITソフトウェア健康保険組合 市ヶ谷健保会館 F会議室
    東京都新宿区市谷仲之町4-39
    および、オンライン(Zoom)

■年度報告会
1.第14期活動報告会及び第15期の活動計画報告会

会長 小堀 吉伸

・NCWGの歩みと活動概要

NCWGは11月1日から15年目に入りました。
設立当初は「ニフティクラウドワーキンググループ」としてスタートしましたが、1年後に中立性を保つため、支援を受けて「ニッポンクラウドワーキンググループ」に移行しました。略称のNCWGは設立当初から変わらず使用されています。
NCWGは、参加者がアクティブに活動することに重点を置いており、単に企業数を増やすことは必要としていません。
第14期(前期)の構成は、メンバー83社、サムライクラウドサポーター6名、ご協賛19社でした。

・活動スローガンと目的

活動スローガンは「Beyond the Clouds!」(クラウドの向こう側にあるものを掴め)で、クラウドをツールとして捉え、その先にある目的を見据えるという考えは、第14期から第15期にかけても変わらないグランドセオリーとして掲げられています。
第15期のスローガンにはさらに「Advance the Samurai Cloud」が追加されました。
活動目的は、クラウドサービスの提供能力と利活用能力の両側から見て、弁証法的なアプローチによってクラウドケイパビリティ向上させ、クラウドビジネスの質を高めることです。
クラウドサービスの定義について、NCWGでは「インターネットを介して利用する経済的な価値提供機能」であると定めており、この定義は15年間使用されています。

・第14期の主な活動実績(2024年11月~2025年10月)

会合開催
第76回から第80回まで、計5回開催されました。
第76回ではランサムウェアに関する話が、第77回ではクラウド人材(ヒューマンリソース)に関するパネルディスカッション風の議論が行われました。
第78回はサムライクラウド部会の発表、第79回はクラウドビジネス推進部会の発表でした。
第80回は大阪会合として開催され、AIやロボット制御に関する実ビジネスの話が取り上げられました。

協賛支援セミナー/視察活動
セミナーは2回実施され、さくらインターネットさん(ガバメントクラウドについて)とリンクさん(DMARCについて)に実施いただきました。
長年の念願であったさくらインターネットの石狩データセンターへの施設見学(視察活動)が実現しました。

部会:
現在、サムライクラウド部会(技術/機能/サービス)とクラウドビジネス推進部会(ビジネス/サービス/機能/技術)の2部会体制で活動しています。

実行委員:
12社1OB、合計18名の方々が第14期の実行委員として活動しました。実行委員およびその所属会社に対し、時間や懇親会の費用負担を含めた貢献に感謝が述べられました。

・第15期活動計画(2026年度)

体制の継続:
会長は2026年度も継続して務めます。副会長、幹事、部会長の体制も基本的に変更はありません。

活動方針の継承:
情報や意見交換ができる場を提供し、クラウドビジネスでの協業を生み出すことが継続されます。
うまくいった事例だけでなく、うまくいかなかった事例(バッドプラクティス)も共有することで、参加者全体のメリットにつなげたいと考えています。

人材育成:
CHR(クラウドヒューマンリソース)という略称を念頭に置き、クラウドケイパビリティ獲得の機会を提供し、人材育成に注力します。

イベント計画:
年に6回以上の会合およびセミナー開催を目指し、東京以外(大阪など)での開催も継続して目指します。

部会の見直し:
現在2部会ですが、将来的に新たな部会(例:宇宙クラウドサービス部会)の復活も検討されます。

会員種別の追加:
第15期から、従来の5区分に加え、一般会員という6番目の区分が追加されました。
一般会員となるには、正会員2名以上およびメンバー会員1名の推薦が必要となるなど、高いハードルが設定されています。


2.部会活動報告及び活動計画
  サムライクラウド部会 部会長 野元 恒志

活動の基軸:
NCWG設立以来、Single Sign-On (SSO)、ID、データ連携、およびアプリケーションの横串接続(Samurai Open Social)を核として活動しています。

第14期活動実績:
ほぼ月1回のペースで計11回実施しました。第78回NCWG会合にてゼロトラストを視点とした部会発表を実施。10月には神戸でも部会を開催しました。
主なテーマ:ゼロトラスト(セキュリティ周り)、生成AI(Generative AI)、エッジクラウドなど、多種多様な技術論を深掘りしました。
議論内容はかなりディープであるとの言及がありました。

第15期活動計画:
基本スタンスであるID連携(SSO)の継続と、「ゼロトラスト標準化」を強く推進します。
ゼロトラストの観点から、VPNは廃止すべきであるという議論が継続的に出ています。
生成AIの最新動向を把握し、MCP(モデルコンテキストプロトコル)連携などを活用したインテグレーションや追加学習の方法を議論します。
部会では異なる会社だからこそできる激論が交わされており、クラウドケイパビリティ向上にチャレンジしたい新しいメンバーを歓迎しています。

 クラウドビジネス推進部会 部会長 藤田 浩之

活動指針:
NCWGがメンバー相互の交流の機会を積極的に提供する。
誰もが気軽に参加できる場(クラウドビジネスサロン)を作るとともに、クラウドビジネスについての知の共有により、各社のクラウドビジネスを活発化させる。
クラウドの様々な利活用方法を取り上げ、各社のクラウドケイパビリティの向上とクラウド人材の育成に繋げる。

第14期活動実績:
クラウドビジネスサロンを計7回開催しました(飲食しながら気軽に語れる場)。
テーマは主に生成AIとMCP(モデルコンテキストプロトコル)で、オンライン中心でしたが、最後の開催はハイブリッド開催となりました。
第79回会合にて「生成AIでクラウドケイパビリティを伸ばし、サムライクラウドを実現する!」というテーマで部会発表を行いました。

第15期活動計画:
活動指針に「将来のクラウドビジネスに有用な『道具』の積極的な利活用方法を探求し、各社のクラウドケイパビリティの向上とクラウド人材の育成に繋げる」という項目を追加しました。
これは、道具を使いこなすことが目的達成に重要であるという考えに基づいています。
第15期は引き続きサロン形式で生成AIをテーマに活動します。
ハイブリッド開催の比率を増やし、リアルで集まって意見を出し合う機会を増やす予定です(1月はアルティネット社、5月はドヴァ社で開催予定です)。


3.事務局からの報告 事務局 尾鷲 彰一

役割:
会の様々な活動を円滑に行えるよう、活動の支援を行っています。
会合/セミナーの準備、実行委員会の開催準備(日程調整、資料作成)、参加/退会窓口、他団体からの講演依頼対応などを行います。

情報発信:
メンバーや協賛企業、サポーターの情報が掲載されたパンフレットやホームページ(ncwg.jp)を管理し、会合レポートも掲載しています。

活動のサイクル(スパイラルアップ):
事務局は、実行委員やメンバーが会合を通じて得た経験やアイデアを基に、次の実行委員会でテーマを議論するという、スパイラルアップのサイクルが活動を豊かにしていると実感しています。

事務局所在地:
神奈川県横浜市神奈川区(オープンウェブ内)にあります。


4.実行委員報告(実行委員 内田 龍<株式会社ブライエ>)

活動内容

イベント準備:
2ヶ月に1回程度の頻度でオンラインミーティングを実施し、テーマの検討や役割分担の調整を行います。

イベント当日:
会場設営/現状復帰、受付業務、入館証の管理(セキュリティ維持のため)、質疑の取りまとめ、および会合後のレポート作成(ncwg.jpに掲載)を行います。

第14期テーマの多様性:
ランサムウェア、人材育成、ゼロトラスト、AI、MCP、ロボティクスとAIなど、年間を通して非常にバラエティに富んだ切り口で活動が行われたことを振り返りました。

所感:
実行委員として活動を始めた当初は上司に言われて参加していたが、今では「何か面白いことがありそう」という気持ちで参加するようになり、この気持ちを共有できる場を提供し続けたいと考えています。

要望:
参加者に対して、今後のテーマの提案や、実行委員としての参加を呼びかけました。実行委員は会の方向性の舵取りに直接関われる機会となることが言及されました。

2026年度のスローガンは下記の通りです。

 Beyond the Clouds!
    and
 Advance the “SAMURAI CLOUD”.(「サムライクラウド」を積極的に進歩させる)
  
  『クラウドケイパビリティを重ね合わせ、クラウドビジネスの可能性を拓く!』

■設立14周年講演会

 講演会では、『AI社会を支えるクラウド、データセンターの未来像』と題し、
 NTTドコモビジネス株式会社 イノベーションセンター IOWN推進室・技術戦略部門(兼務)、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 客員研究員、NCWGサムライクラウドサポーターの林さんにご講演いただきました。

1. 概要

「AI社会を支えるクラウド、データセンターの未来像」

林 雅之 氏(NTTドコモビジネス株式会社 イノベーションセンター IOWN推進室/国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 客員研究員/NCWGサムライクラウドサポーター)

2. 背景・目的

2-1. 社会・技術背景

  • 2009年前後から始まったクラウドブームは一度成熟期を迎えたが、近年の生成AI(LLM等)の台頭により再び大きな転換点にある。
  • 生成AIの学習・推論には膨大な計算資源と電力が必要であり、それを支えるクラウドインフラとデータセンター、ネットワーク構造の再設計が喫緊の課題となっている。
  • 同時に、電力制約・環境負荷・経済安全保障など、インフラを取り巻く制約条件も厳しさを増している。

2-2. 講演の目的

講演は、以下の3つの観点から、AI時代のインフラの将来像を描くことを目的としていた。

  1. クラウド市場の変遷と、AI時代における現在位置
  2. AIデータセンターと「Watt×Bit(ワット・ビット)連携」による電力・情報インフラの最適化
  3. IOWN構想・光コンピューティングおよび光量子コンピュータによる次世代インフラの可能性

<第1部クラウドの市場環境―過去も振り返りながら>

3. クラウド市場の変遷と生成AIによる再加速

3-1. クラウドの10年と成熟

  • 2009〜2012年前後にかけて「クラウド」がバズワード化し、期待が急速に高まった。
  • 2011年にはAWS東京リージョンが開設され、東日本大震災を契機にBCPの観点からクラウド利用が一気に進展した。
  • 以降、クラウドファースト、クラウドネイティブ、マイクロサービス、DXなどの概念が順次普及し、政府も「クラウド・バイ・デフォルト」を掲げるなど、クラウドはインフラとして定着した。

3-2. 生成AI時代の新たなハイプサイクル

  • Gartnerのハイプサイクルでは、クラウドIaaSは「生産の安定期」に位置付けられる一方、生成AIを契機に「クラウド+AI」が新たなハイプサイクルとして浮上している。
  • 2024〜2025年にかけて、「LLM」「AIエージェント」「AIネットワーキング」「ハイパーAIスーパーコンピュータ」「AIオーケストレーション」「QCaaS」等が注目されており、クラウドとAIが不可分のエコシステムとして捉えられつつある。

3-3. ハイパースケーラーとネオクラウドの台頭

  • AWS、Azure、Google Cloudの3社で世界のクラウドIaaSの約2/3を占める寡占構造が形成されている。
  • これに加え、GPUに特化した「ネオクラウド」(GPU as a Service、生成AI向けクラウド)が年平均69%という高成長を遂げている。
  • 生成AIの学習・推論需要により、一度成熟したと見なされていたクラウド市場の成長率が再び加速している。

4. 生成AIがもたらす計算需要とデータセンターへの影響

4-1. 学習から推論、そしてAIエージェントへ

  • 従来、計算・電力負荷の中心はLLMの「学習」であったが、今後は「推論」が主役となる見込みである。
  • 2029年には、AI計算需要の約65%以上を推論が占めると予測されている。
  • 今後の方向性として、「AIエージェント」が注目されている。
  • 人間からの単発指示への応答に加え、AI同士が常時連携・対話しながらタスクを遂行するモデルが登場。
  • 24時間高頻度に推論が走り続けるため、電力・トラフィックともに常時高負荷となる可能性がある。

4-2. 計算量・電力需要の爆発

  • 一部の試算では、2040年の日本の総計算量は2020年比で最大10万倍に達する可能性があるとされる。
  • 大規模LLM1モデルの学習に、原子力発電所1基分に相当する電力が必要、といった指摘もあり、今後は電力インフラが根本的な制約条件となる。

4-3. 日本のデータセンター市場と投資

  • AIシステム市場は2020年の約1.3兆円から、2030年代にかけて数兆円規模へ拡大する見込み。
  • データセンターサービス市場も2020年の約5兆円から年平均13%以上で成長すると予測される。
  • データセンター建設投資は2024年時点で約4,300億円、今後1兆円規模へ拡大する可能性がある。
  • データセンター電力容量についても、数千MWから4,500MW規模へと拡大が見込まれている。

5. 日本のデータセンター立地と分散の課題

5-1. 東京・大阪への過度集中

  • 日本国内のデータセンター立地の約84%が関東(東京圏)と関西(大阪圏)に集中している。
  • 千葉県印西市はハイパースケールDCの一大集積地であり、電力供給や送電網の逼迫が顕著である。
  • 首都直下地震等の災害リスクや、電力・土地・水資源の制約を考慮すると、地方分散が急務である。

5-2. 政府による分散促進策

  • 「デジタルインフラ強靱化」事業をはじめ、政府は補助金等を通じて地方へのDC分散を支援している。
  • 海底ケーブル陸揚げ局を苫小牧(北海道)、糸島(福岡)に新設し、東京へのトラフィック集中を緩和しつつ地方DCを接続する構想が進行している。
  • 北海道・東北・九州など、再エネポテンシャルの大きい地域を中心に、分散型DCの整備が検討されている。

5-3. 海外との比較:アッシュバーン(米バージニア州)

  • 米国バージニア州アッシュバーン周辺は世界最大級のデータセンター集積地であり、多数の事業者が集積し、ダークファイバー等も含めた高度なネットワークインフラが整っている。
  • 東京は世界的にも主要拠点であるものの、アッシュバーン級の集積と比較すると規模はまだ小さい。
  • 日本では「地方分散」と「一定規模の集積地」の両立をいかに設計するかが大きな課題である。

第2部AIデータセンターとワット・ビット連携

6. AIデータセンターの大型化とコンテナDCの活用

6-1. AIデータセンターの電力規模

  • 従来型データセンター:一般企業向けの「リテールDC」は比較的電力規模が小さい。
  • ハイパースケールDC:25〜50MW規模の大電力を消費。
  • AI特化DC:100MW超が一般的になりつつあり、海外では1,000MW級を志向する構想もある。
  • 国内においても、苫小牧(ソフトバンク)、石狩(さくらインターネット)、栃木(NTT)などで大規模AI DC構想が進んでいる。

6-2. コンテナ型データセンター

  • 大型DC建設には数年単位の期間を要する一方、AI需要の伸びは急速であり、ギャップを埋める手段として「コンテナDC」が注目されている。

<特徴>

  • 40ftコンテナ等にサーバー・GPU群を収容し、必要な場所に迅速に設置可能。
  • 建設・撤去が容易であり、GPUの陳腐化に合わせて「箱ごと更新」しやすい。
  • さくらインターネット(石狩)、Getworks(新潟)等が実際に活用している。
  • 戦略的には、大型AI DCとコンテナDCを併用する「二段構え」の構成が現実的と考えられる。

7. 世界的なAI/DC投資ブームと内在するリスク

7-1. 多層寡占と経済安全保障

  • 半導体(NVIDIA等)、EDA・製造装置、クラウド/DC(ハイパースケーラー)といった各層で、少数プレイヤーによる寡占が進行している。
  • NVIDIAのCUDAエコシステムへの依存度が高まり、新規参入者や国産系プレイヤーがGPUおよびそのエコシステムにアクセスしにくい状況が生じている。
  • 経済安全保障の観点から、特定国・特定ベンダへの過度な依存は大きなリスクとなる。

7-2. データセンターバブルの懸念

  • GAFA等の大手IT企業が世界のDC建設投資の大部分を占めており、「DC建設バブル」とも評される状況にある。
  • 課題として、
    • 電力制約・水資源不足
    • 気候変動による熱波・森林火災リスク
    • 変圧器等の設備不足、火災リスク
    • 環境規制・脱炭素規制の強化
    • 将来的な需要減少による過剰投資リスク
      が指摘されている。

7-3. AIビジネスの収益構造の脆弱性

  • 主要IT企業のAI関連投資は年間数千億ドル規模に達する一方、生成AIサービスの直接収入は数百億ドル規模にとどまるとの分析もある。
  • 高価なGPUは陳腐化が早く、設備投資の回収が難しい。
  • GPUメーカー(NVIDIA等)は利益を上げている一方で、クラウド事業者の投資回収は不透明であり、「投資先行・収益後追い」の構図が続いている。
  • また、モデル性能競争(例:OpenAIとGoogle Gemini等)により、市場シェアの急変リスクも高い。

8. Watt×Bit(ワットビット)連携と地方分散の構想

8-1. Watt×Bitの基本概念

  • Watt×Bit連携とは、Watt(電力)とBit(情報)を一体で最適化しようとする国の構想である。
  • 従来は、発電所から都市部まで長距離送電を行い、その先にデータセンターを配置していた。
  • Watt×Bitでは、
    • 電源立地(再エネ含む)の近傍にDCを置き、
    • オールフォトニックネットワーク(APN)等で全国と接続することで、
    • 「電力を運ぶ」から「データを光で運ぶ」へと発想を転換し、エネルギー効率の改善を目指す。

8-2. 政策枠組みと実証方針

  • 総務省と経産省が共同で「Watt×Bit連携官民懇談会」を設置し、2024年に報告書1.0を公表。

<主な検討事項>

  • DCの地方分散と再エネ立地への誘導
  • DC間接続(APN)とワークロードシフト技術
  • ギガワット級DC集積地(苫小牧等)の検討
  • 海底ケーブル陸揚げ局の整備支援

<実証イメージ>

  • 複数の地方DCをAPNで接続し、あたかも1つのハイパースケールDCのように利用する。
    • 再エネ発電量・電力料金・気象条件に応じて、DC間でワークロードを動的に移動させる。
    • 通信経路(光波長)の切替と連動した高度な制御を行う。

8-3. Watt×Bit実現に向けた現実的課題

<自治体>

  • DC誘致の意欲は高いが、データセンター事業に関する知見や担当人材が不足している。
    • 住民・議会との合意形成、インフラ整備の負担も大きい。

<DC事業者>

  • 特に外資系ハイパースケーラーにとって、地方分散は経済合理性に乏しい。
    • 空港・人材・調達網・電力が揃う都市近郊(印西等)に集約した方が効率的。

<電力会社>

  • 特定DC向けに大規模投資を行っても、需要変動により回収不能となるリスクがある。
    • 投資コストの電気料金への転嫁には社会的な制約がある。

<通信事業者>

  • APNを新規地方DCに敷設するための土木・設備投資負担が大きい。
  • 既存エッジ拠点(MEC等)で対応できるケースも多く、インセンティブ設計が必要。

第3部IOWNとIOWN光コンピューティング

9. IOWN構想と光コンピューティング

9-1. IOWNの概要

  • IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)は、光技術を中核に据えてネットワーク・コンピューティング・デバイスを再設計する次世代情報通信インフラ構想である。

<背景>

  • データトラフィックと計算需要が指数関数的に増大する一方で、電力制約が顕在化している。
  • 従来の電気配線中心のアーキテクチャでは、消費電力・発熱が限界に近づいている。

<目的>

  • 光伝送による大容量・低遅延・超省電力なネットワークの実現。
  • ボード間・チップ間・パッケージ内接続の光化によるコンピューティングの省電力化・高密度化。

9-2. IOWN Global Forumとロードマップ

  • IOWN Global Forum(IGF)には、Google、Microsoft、NVIDIA、KDDI、楽天モバイル、トヨタ等、約175組織が参加し、ネットワーク・DC・デバイス・ユースケースの標準化を議論している。

<ロードマップ>

  • IOWN 1.0:オールフォトニックネットワーク(APN)等、ネットワークの光化。
    • IOWN 2.0:ボード間接続の光化(光エンジン等によるスイッチ・サーバ内部の光接続)。
    • IOWN 3.0:チップ間接続の光化。
    • IOWN 4.0:パッケージ内接続の光化。
    • 時期感として、IOWN 2.0は2025年前後に商用化が始まり、3.0は2028年、4.0は2032年以降を想定している。

9-3. IOWN 2.0:光エンジンによるスイッチの光化

  • 従来のスイッチは、ASICからフロントの光モジュールまでを電気配線で接続しており、電力効率が低かった。
  • IOWN 2.0では、小型光電融合デバイス「光エンジン」をASIC近傍に実装し、ボードレベルでの光接続を実現する。

<主な効果>

  • 配線の大部分を光に置き換えることで、スイッチの消費電力を約半減。
  • 128ポート級の大規模スイッチを従来よりも小型な筐体で実現可能。
  • 開発体制:Broadcom(LSI)、Accton(筐体設計)、新光電機工業(モジュール組み立て)、NTTイノベイティブデバイス(光エンジン)など、複数企業が協業。
  • 同様の光電融合技術はNVIDIA等も開発しており、世界的な競争環境の中でIOWN技術のポジショニングが問われている。

10. データセントリック/ディスアグリゲートコンピューティングとWatt×Bit

10-1. 従来アーキテクチャの課題

  • 従来サーバーは、CPU、メモリ、ストレージ、GPU等を1筐体に固定的に収容していた。
  • その結果、リソースの利用率にムラが生じ、GPUやメモリが使い切れないまま余るなど、非効率が発生していた。

10-2. IOWN光コンピューティングによる新しい構成

  • GPU、SmartNIC等のハードウェアを「リソースプール」として分離し、光接続によって高速・低遅延に接続する構成を実現する。
  • サーバー構成をソフトウェア的に「合成(コンポーズ)」するディスアグリゲートコンピューティング/データセントリックインフラを目指している。

<主な特徴>

  • リソースの一元管理と柔軟な割り当て。
  • 負荷に応じたスケールアウト/インによる電力削減。
  • 複数筐体・複数拠点にまたがる論理システム構成。
  • ダイナミックハードウェアリソースコントローラによる自動制御
    (故障時の自動切替等を含む)。

10-3. Watt×Bitとの連動

  • PCIeの光化とAPNを組み合わせることで、地理的に離れたデータセンター間をあたかも1つのクラスタとして扱うことが可能になる。
  • これにより、都市部高コストDCから、土地・電力コストの低い地方DCへのワークロード移動、再エネ利用率の高いDCへのジョブ移管が容易となる。
  • IOWN光コンピューティングは、「分散DC+Watt×Bit」実現のための基盤技術として位置付けられる。

11. 光量子コンピュータとの統合ビジョン

11-1. NTTの光量子コンピュータ構想

  • NTTは、IOWNと連携した「光量子コンピュータ」の研究開発を進めている。

<特徴>

  • 光を用いることで、極低温等が不要な常温・常圧動作を目指す。
  • 既存の光通信技術・光デバイス技術を流用しやすい。
  • 波長多重によりスケーラブルな量子ビット拡張が可能。

<ロードマップ>

  • 2027年に1万量子ビット級、2030年に100万量子ビット級を目指す。
    • データセンターのラックに収容できる形態を想定している。

11-2. 光+量子の統合ネットワーク

将来的なビジョンとして>

  • APNで接続された複数のデータセンターに光量子コンピュータを配置し、量子中継技術(量子リピータ)を組み合わせることで、「光+量子」が統合された広域コンピューティングネットワークを構築する構想がある。
  • 現時点では長期的かつ挑戦的な目標であるが、IOWN 4.0の先にあるロードマップとして議論されている。

第4部今後の展望

12. まとめと今後の展望

12-1. 講演の要点整理

  1. クラウドの再定義
    • クラウドは一度成熟段階に入ったが、生成AIの登場により再度急成長フェーズに入っている。
    • 今後は「クラウド+AI」を一体のエコシステムとして捉える必要がある。
  2. AI需要とインフラ制約
    • 学習から推論、AIエージェントへと計算需要がシフトし、計算量・電力需要は爆発的に増大する。
    • 電力・環境・立地・経済性を含む多面的な制約の中で、インフラを再構築することが求められる。
  3. DC集中と分散の両立
    • 東京・大阪への過度集中はBCP・電力の両面でリスクが高い。
    • 地方分散を進める一方で、一定規模の集積による効率性も維持する設計が必要である。
  4. Watt×BitとIOWNによる新アーキテクチャ
    • 電源近接型DC+APNによる「Watt×Bit連携」は、脱炭素と効率化の両立を目指す国家的プロジェクトである。
    • IOWNの光コンピューティングは、その実現を下支えする基盤技術となり得る。
  5. 国産インフラと経済安全保障
    • 半導体・クラウド・AI基盤の多層で海外依存が進む中、国産・国内コンソーシアムによるインフラ構築が重要。
    • 光電融合・光量子コンピュータを含むIOWN技術を活用した「国産クラウド基盤」の構築が長期的な戦略目標とされている。

12-2. 今後の検討課題・示唆

<政策面>

  • Watt×Bit連携を実現するための、自治体・DC事業者・電力会社・通信事業者間のインセンティブ設計。
    • 土地利用規制・環境規制・エネルギー政策と整合したDC立地戦略の策定。

<技術・産業面>

  • IOWN 2.0以降の光電融合技術を、実際のDC・クラウドサービスにどう組み込むか。
    • 分散DC間を仮想的に統合するためのオーケストレーション技術、AIワークロードの動的配置技術の確立。
    • 光量子コンピュータを含む次世代計算資源を、既存クラウドと統合するためのアーキテクチャ検討。

<経営・戦略面>

  • AI/DC投資バブルと指摘される状況の中で、投資回収可能なビジネスモデルの構築。
    • 海外ハイパースケーラーとの競合・協調を踏まえた、日本発のクラウド/AI基盤のポジショニング。

■閉会のご挨拶
 副会長 野元 恒志

光電融合という概念が、ボード間だけでなくスマートフォン等のデバイス内部にも広がっていく未来像に技術が「じわじわと」現実世界に入り込んでくる感覚を共有でき、強い希望を持てるお話を頂きました。林さんありがとうございます。

2025年度の活動も興味深い意味での面白さを重視して取り組んできました。理事・実行委員・会員・協賛企業が一体となり、興味深いテーマに取り組んできました。

2025年度は特に「目に見える面白い動き」が多く、変化の大きい一年だったと思います。

<生成AIを中心とした技術動向>

  • 生成AIの進展に伴い、データセンター・GPU等のインフラ領域にも大きな動きが発生。
    • 量子コンピューティングなど、関連領域も含めて技術テーマが広がり、抱えきれないほどのトピックが出てきている。

<大阪会合でのVLA(Visual Language Action Model)の紹介>

  • 大阪・グランフロントでの会合にて、XNOVA服部さんからVLAの講演があった。
    • VLAは、テキスト生成型AIとは異なり、機械制御で用いられる強化学習モデル。
    • 一つのアクション命令で複数のサーボモーターを同時制御するなど、物理世界の動きに直結。

<従来の機械制御・第2次AIブームとの対比>

  • 従来の産業ロボット制御は、ルールベース・条件分岐・上から順番の制御

(エキスパートシステム的発想)。

  • 現在の生成AIやVLAは、その延長ではなく、新しいアプローチで実世界を扱いつつある。
    • AIがデジタル空間を超え、リアル世界へ本格的に押し寄せてくる転換点という実感。

<変化はリスクではなく「チャンス」>

  • 今後数年、特にこの2年ほどで状況が急激に変化しており、プレイヤーにとって大きなチャンスの時期。
    • 参加者はすでにその重要性を理解している前提だが、改めて「その波をどうつかむか」が問われている。

<ニッポンクラウドワーキンググループの価値>

  • 社内だけでは得られない「社外の人と切磋琢磨する場」が用意されている点が大きな価値。
    • 自らゼロから場を作らなくても、会合・部会という枠組みの中で、自然に機会をつかめる。
  • すでに今期第1回理事会で、来年度の計画が検討されている。

<「参加者」ではなく「参画者」>

  • 小堀会長のメッセージを受け、受け身の「参加」ではなく主体的な「参画」を重ねて要請。
    • 「参画者になってください」というお願いというより、
      「ここで参画しないのは正直もったいない/残念」との強いスタンスを表明。
    • 得られる結果は、グループではなく、自分自身の動き方にかかっていると強調。

2026年度も面白い年度にしていきますので、是非参画者として、主体的に関わってください。ニッポンクラウドワーキンググループという場を最大限活用してほしいというのが率直な思いです。

■設立14周年パーティ兼忘年会

 パーティでは、ご協賛の皆さんや関係団体の皆さんからご挨拶をいただきました。
 さらに忘年会では、大抽選会に多数の豪華プレゼントをご提供いただき、
 おかげさまで忘年会を大いに盛り上げることができました。

メンバー、ご協賛企業様、関係団体様、そして一般参加者の方々含め、
多数の皆さんにお集まりいただき、本年を締めくくるにふさわしい
大変意義深いイベントとなりました。

改めまして、ご協力いただきました皆さん、ご参加いただきました皆さんに
厚く御礼申し上げます。

今後ともニッポンクラウドワーキンググループをよろしくお願いいたします。

NCWG実行委員会 一同

【NCWG実行委員 報告書作成者】
井口 和彦(株式会社ドヴァ)
吉見 孝信(株式会社レイコム)

【2025年12月】サムライクラウド部会 部会報告

2025年12月15日(月)にサムライクラウド部会を開催いたしましたのでご報告いたします。

今回は、リアルとオンラインのハイブリッド会議形式で実施致しました。

■日時:2025年12月15日(月)15:00~17:00
■場所:リアル及びオンライン会議

サムライクラウド部会では、SAMLやOAuth、多要素認証などの認証技術、アプリケーションマッシュアップするための基盤技術、生成AIなどの先進的な議題についての議論・発表を行っています。
今回は下記に関しての議論を行いました。

・パスキーの現状について
・MCP周りのクラウドセキュリティに関して

ご参加いただいた皆さん、ありがとうございます。

次回の部会は、1月下旬を予定しています。

是非みなさまご参加ください。

第80回ニッポンクラウドワーキンググループ会合報告

『生成AIの現在地を深掘りし、クラウドケイパビリティを伸ばす!』をテーマに、ニッポンクラウドワーキンググループ第80回会合(大阪開催)を開催いたしました。
一年ぶりの大阪での開催となった今回の会合は、GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社さんに会場をご提供いただき、多くの方々にご参加いただき活気ある会合となりました。

テーマ:『生成AIの現在地を深掘りし、クラウドケイパビリティを伸ばす!』
日 時:2025年10月31日(金)15:00~18:00
会 場:GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社 大阪支社

【司会者のご紹介】
司会 NCWG副会長 野元 恒志

1.開催のご挨拶 
副会長 藤田 浩之

本日はニッポンクラウドワーキンググループ第80回会合にお集まりいただきありがとうございます。
1年ぶりの大阪開催ということで、大阪といえば先日の大阪・関西万博が盛況のうちに閉幕となりましたが、ニッポンクラウドワーキンググループも10月が期末で明日からは新しい期になり、本会合が今期最後の会合ということで、今期の最後に相応しく盛り上がっていければと思っております。
今回の会合のテーマは、「生成AIの現在地を深掘りし、クラウドケイパビリティを伸ばす」ということで濃い内容でお送りしますので、ぜひ皆さんお楽しみください。
今期のスローガンは「クラウドケイパビリティを伸ばし、クラウドビジネスの質を高める」です。
本日の内容を踏まえて、クラウドケイパビリティを伸ばして、クラウドビジネスの質を高めていただけたらと思います。

2.部会報告

サムライクラウド部会
部会長 野元 恒志

元々、サムライクラウド部会ではSAMLを中心とした連携が本流になっています。
そこの部分は全然崩れてないんですが、今はゼロトラストでもSAMLの認証連携が当たり前になっていますので、生成AIのようなテーマもニュートラルな立ち位置で進めています。
現在、ゼロトラストと生成AIが2大テーマになりつつあります。
各種のLLMの動向だったり、ゼロトラストはSAMLをはじめとしたセキュリティ要素についていろんな情報共有しながら、今後も進めていきたいなと思ってます。
次回のサムライクラウド部会は11月中旬を予定しています。

クラウドビジネス推進部会
部会長 藤田 浩之

クラウドビジネス推進部会の活動指針としては、メンバー相互の交流の機会を積極的に提供することと、クラウドビジネスについての知の共有により各社のクラウドビジネスを活性化させることです。
最終的には日本から発出するクラウドビジネスモデルである「サムライクラウド」を実現し、その質を磨くというところにつなげていきたいという思いで活動をしております。
実際の活動内容は、クラウドビジネスサロンというものを2ヶ月に1回程度実施し、参加者でクラウドビジネスについて語るということを実施しています。
毎回テーマを決めていますが、最近では生成AIが注目するテーマとなっており、直近ではMCPとかA2Aについても話題が出ています。

今期は9月の会合でクラウドビジネス推進部会から「生成AIでクラウドケイパビリティを伸ばし、サムライクラウドを実現する」という発表を行いました。
報告ページに詳細と資料が載ってますのでぜひ参照してください。

3.GMOグローバルサイン・ホールディングス社からのご紹介1
「国産クラウド速度No.1 ALTUS Advancedサービス紹介」
GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社
クラウドソリューション営業部 セールスセクション アライアンスビジネスG
大浦 政之 氏

本日はALTUS Advancedサービスがリニューアルされたのでご紹介いたします。
ALTUS Advancedサービスは中間に位置しており、特徴としては以下のとおりです。

・速度No.1の国産クラウド
・24時間365日対応の技術電話サポート(マネージドサービス)
・豊富なセキュリティメニュー

既存サービスからの違いとしては、以前は99.95%であった稼働率保証(SLA)を99.99%に高めています。
また、CPUとメモリの組み合わせでプラン数が122あり、そこに高速ストレージ(4TBまで選択可能)と中速のストレージ(12TBまで選択可能)を選べます。
SSL証明書の更新についてもサーバー毎ではなく1枚の証明書の更新で済むので手軽になると思います。

クラウドサーバーのポータル画面については、代理店様のほうで管理しやすいような作りにさせていただきました。
イメージとしては各サーバーやお客様の管理が一元管理できるというような作りになっています。
また、管理画面の中に代理店様の社名やロゴマークをつけたり、メニューの色や画像の変更もできるようになっています。

管理のやり方は2パターンありまして、ひとつはクラウドサーバーのポータル画面をお客様ごとに作ってそれぞれを管理するやり方です。
もうひとつはクラウドサーバーのポータル画面をそれぞれの会社にお渡しして、仮想サーバー構築や運用を全部お客様のほうにお任せするやり方です。

最後になんですが、本日ご参加されたお客様向けに6万円のキャンペーンコードを作りました。
12月20日までの期限はあるのですが、もしご希望される方はGMOのスタッフにご相談ください。

Q:マネージドサービスについてお客様が開発したプログラムのどのレベルまで面倒を見ていただけるか
A:お客様が開発されたものについては、詳しくお話を聞かせていただいてからご判断をさせていただきます。

Q:すでにお使いのお客様から移行したいという話もあると思いますが、簡単に切り替えられるものですか。
A:中身によって異なりますが、事前にお客様が今使われているサーバーの中を我々のほうで調査させていただき、ご案内させていただきます。

GMOグローバルサイン・ホールディングス社からのご紹介2
「”丸投げ”事業共創のご提案」
GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社
戦略企画部 企画G
小島 和也 氏

先日弊社からリリースさせていただいた「GMOなりすましメール対策支援サービス」についてご紹介と、皆様と事業共創ができないかというご提案をさせていただきます。
サービスの市場としては、フィッシング対策協議会さんのレポートからすると2020年ぐらいから爆発的に増加していますが、最近のなりすましメールは本物と区別ができないものが多いです。
その結果、インターネットバンキングの不正送金被害額が警察庁の発表資料で一昨年から爆発的に増えています。
金額にするとだいたい年間で87億円ぐらいで、実に9割はフィッシングが原因というところまで分かっており、ほぼほぼなりすましメールであると言っても過言ではありません。

そんな状況の中で総務省からはフィッシングメール対策の要請が出ており、これがDMARCとBIMIというものです。
また9月以降は3ヶ月ごとに取り組み状況の報告指示が求められているので、かなり重たい要請と思います。
実際に被害が出てる金融業界はかなり対応が早くて、スタンダードな取り組みとしてDMARCを必須対応にしてます。
またベストプラクティスとしてBIMIも積極的に検討するようにと明記してます。

日経225の大手企業さんでDMARCをどれだけ導入してるのかというと92.4%は導入していますが、ポリシーについては大半がグレーで、なりすましメールと思われるものを受信しても、特に何もしないっていうポリシーのままです。

これらを本当の対策としてベストプラクティスに引き上げていくまでには以下の3ステップで成り立つと思います。

ステップ1:DMARCを導入
これは、レポートを受信するだけの状態です。
皆さんもメールを運用しているのであれば聞いたことあるかと思いますが、GmailとかOutlookとかの送信者ガイドラインで言われているDMARC導入の設定になります。
これは特に何も処理させずにDMARCっていうものが入っていればとりあえずOKの状態です。

ステップ2:迷惑メールフォルダに強制的に入れるというポリシー
金融業界とか、総務省が求めてるのはここです。

ステップ3:BIMIの導入
メールを受信した時に、そこにロゴが表示されるものになります。

これが安全性を視覚的に証明するというようなステップになっています。

この3ステップを全て支援するサービスが「なりすましメール対策支援サービス」というもので、技術支援とコンサルをさせていただこうと思っています。

さらにここからが協業のお話ですが、ぜひ皆様にこのサービスを商材に加えていただけないかと考えています。
技術系のサービスなので、お問合せとかになった時には、エンドユーザー様と技術支援、技術的なお話などはGMOで直接させていただきます。
また、弊社の方で支援させていただくのはBIMIの導入まで全てひっくるめて25万円であり、証明書発行もグローバルサインでワンストップで支援いたします。

GMOグローバルサイン・ホールディングス社からのご紹介3
「AI活用で加速する生産性革命!月375時間の業務削減を実現したGMOグローバルサインHDの舞台裏」
GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社
戦略企画部 企画G
小島 和也 氏

GMOグループがAIを活用するぞと早くから言い出して、かなりお金をかけて色々やってきたので、その取り組みや効果とかについてお話しいたします。

GMOグループ全体での取り組みとしてメインに挙げられたのは去年で、2024年のグループ全体経営目標スローガンで「AIで未来を作るナンバーワン企業グループへ」でした。
中身としては、AIスタートアップ投資で日本一になるということですが、具体的な活用指針として3つの指針が挙げられてます。

1.時間とコストの節約
2.既存サービスの質向上
3.AI産業への新サービス提供

「時間とコストの節約」では「AIしあおうぜプロジェクト」という社内公募コンテストを始めて、2年間で年間の賞金総額1000万円のコンテストやGMO AIセミナーを開催しました。
他にもGMO Geniusとしてグループ内のAIナレッジの共有サイトとしてグループの社内の人だけが見れるポータルサイト作成や、エンジニアではない方を対象にしたリスキリング施策で虎の穴、受験必須のAIテストであるAIパスポート、AIツールの利用料補助などがあります。
「既存サービスの質向上」では、GMOインターネットのGPUクラウドで電力効率国内1位、GMOグローバルサイン・HDでのカスタマーサポートで精度97%のAIチャットでの受賞などがあります。
「AI産業への新サービス提供」では、2024年の6月に開始したGMO AI&ロボティクス商事株式会社、GMO GPUクラウドの提供開始などがあります。

こういった中でどれだけAIを業務活用して、どんな効果が出たのかについてですが、「AIしあおうぜプロジェクト」が開始された2023年4月以降6%から52%に上がっています。
今年の9月にはおおよそ95%が生成AIを業務活用しており、それによる業務時間削減は25万時間ぐらいです。
1人あたりに直すと40時間強なので、だいたい1/4人月ぐらいが削減できたことになります。

Q:なりすましメールについてですが、何もしてない方々ではまず最初にDMARC対応しましょうというところがスタートでしょうか?その後にVMCを表示させるその仕組みとしてBIMIがあるということでしょうか?
A:はい。そのとおりです。

Q:AIについて、AI人材の育成ロードマップのようなものはありますか。
A:AI活用の評価基準があり、利益と削減した時間でパーセント取って、上がり幅がどうなってるかの評価をしています。

4.「コンピューティングとロボティクスの交差点 - 強化学習とVLAが開く次世代制御」

株式会社XNOVA
代表取締役
八鳥 孝志 氏

本日のポイント
 生成AI+ロボティクス=フィジカルAI
 AIは「物理世界」をも生成するようになる

清水建設との共同実験
 建設現場における4足歩行ロボットの制御研究
 ヒューマノイドの制御研究

生成AIの従来の役割は「受動的AI」
 受動的AIの限界:情報処理に特化し、デジタル空間内で完結しており現実世界への直接的作用は無い
 →AI自らは手足を持たない=ブルーカラーには成り代わらない

AIに身体(ハード)を与える「フィジカルAI」
 AIの知能+ロボットの身体

フィジカルAIを支える技術の進歩
 計算資源の発展:低コスト高速開発、強化学習
 基板モデルとデータ:汎用的な基板モデルで環境知識を共有
 ハードウェア革新:ダイレクトドライブモータの登場

「従来のAI+ロボット」と「フィジカルAI」は何が違うか
 「従来のAI+ロボット」:AIは物理行動できず受動的・ロボットはプログラムされた単一タスクに特化
 「フィジカルAI」:AIは自律エージェントとして現実世界で行動・ロボットは動的環境に適応し複数タスクを学習

フィジカルAIの仕組み=知覚・思考・行動の統合
 強化学習(RL)による自律制御の進化
 観測→行動→報酬のループ

シミュレーション空間での学習
 ルールベースからポリシー学習へのパラダイム転換

VLA(視覚言語行動)モデルの台頭
 視覚+言語+行動を一体化
 AIが文字に替わってロボットの制御信号を出力する

フィジカルAIはなぜパラダイムシフトか
 強化学習によるバーチャル空間での開発
 VLAなどの生成AIとの融合でルールベースを脱却
 →物理世界が“生成”される時代へ

フィジカルAIの実例
 医療・ヘルスケア
 産業・インフラ
 AIがロボットを動かす最先端プロジェクト

フィジカルAIの課題・リスク
 技術的課題
 安全・信頼
 倫理・社会

ソフトウェアエンジニアの影響
 パラダイムシフトの意義:開発領域の拡大・クロスドメインの技能・AI駆動開発
 求められるスキルと備え:ロボットOS・AIモデル統合・シミュレーション活用

フィジカルAIの今後の展望
 普及拡大:汎用ヒューマノイドやサービスロボットの実用化
 デジタルツインとの融合
 社会インフラ化

Q:VLAは制御するロボットによって異なりますか?
A:多少のファインチューニングで異なるロボットを制御することは将来的には可能だが現段階ではまだです。

Q:ハードウェアが進化すれば汎用ソフトウェアが制御できるようになりますか?
A:人間の体を脳が制御するように複数のソフトウェアが分担すると考えている人もいます。

5.「生成AIによってソフトウェアエンジニアの仕事が奪われるって本当?」
株式会社テッキーズポッド
代表
戌亥 稔 氏

認知心理学におけるファストとスローとは
 囲碁に当てはめると
 ファスト=定石
 スロー=論理的に推論

AIモデルまとめ
 現在はOMNIモデル
 今後はDeep ThinkやUltra Thinkなどの長く考えるモデルがでてくると予測されている

「2025年はAI Agentの年」と言われたが、実際には10年単位の時間がかかっていて、「2025年はAI Codingの年」である

AI Agentの課題
 人間が行う長期タスクを自動化する
 AIは個別の顧客の情報をよく知らない
 データとフローの学習は柔軟性が必要
 フローはコードに埋め込まれたパイプライン、データはある時点の固定データで行うとAgentは思い通りに動かない

AI Agentに必要なキーテクノロジー
 Reasoningモデルの進化
 特定データとの連携機能
 プロダクト開発や運用タスクの自動化

Coding Agentの動向
 IDE(Editor)
 プラットフォーム(PaaS)型
 CLI型

コーディングAgentの仕掛け
 開発計画の作成(調査と計画)→実装ステップ→テスト→デバッグ→実装ステップ→・・・

Coding Agentの最近の動向
 事前学習よりも推論時の計算能力が必要となってきている

Coding Agentの課題
 生成AIを使ってCodeを書くにはコンテキストを正しく保つ必要がある等

npmサプライチェーン攻撃
 npmサプライチェーン攻撃が9/15ぐらいから発生している

生成AIによってSWEの仕事が奪われるって本当?(開発者目線)
 PM=プロジェクトマネージャからプロダクトマネージャへ
 プロダクトマネージャに必要なスキル
  ・製品のビジョン
  ・アーキテクチャ設計(コンテナ化して運用の自動化)
  ・ビジョンを持ってAIと接する

生成AIによってSWEの仕事が奪われるって本当?(経営目線)
 経営側が求めるスピード感が変化している
 →少ない人数で早く稼ぐことがAICodingの目標とすると、これまでのSWEは本当に仕事を失う可能性は十分にある

結論
 AIはコードを作れないとかの議論の前に実際に動くソフトウェアを作成してみよう

6.会長からの総括
会長 小堀 吉伸

皆さん、お疲れ様でした。
お話しいただいた、八鳥さん、戌亥さん、
お忙しいところお時間いただき本当にありがとうございました。
大変有意義なお話をお聞きできました。

また、会場をご提供いただいたGMOさん、
今年も会場のご提供誠にありがとうございました。

設立から今日で丸14年経ちましたが、
GMOさんには、
この14年間会へのご支援をいただき感謝の念に堪えません。
本当にありがとうございます。

ニッポンクラウドワーキンググループは、
2012年11月1日に設立し、
そして活動開始となりました。
そのため、10月31日の本日の会合をもって今期14期の活動は最後となります。

大阪開催での会合をもって14期の締めとできたことは、
大変ありがたいことで、
来期に向かって引き続き活動を開始できるのもありがたいです。

来期の体制につきましては、
この後、総会を開催して決めてゆきますが、
ニッポンクラウドワーキンググループとして、
まだまだ「やりたいこと」や、
ニッポンクラウドワーキンググループだからこそ、
「できること」、
また、ニッポンクラウドワーキンググループだから
「やらなければならないこと」は、
今期の活動内でも明確に出てきているので、
引き続きニッポンクラウドワーキンググループだからこそ
「やるべきこと」を活動の軸として活動を行ってゆきますので、
15期も引き続き皆さんには、
会の活動へご参加いただき、
意味のある有意義な会にしてゆきたいと考えていますので、
是非とも活動参加のほど、よろしくお願いします。

本日は、お疲れ様でした。

6.懇親会

恒例の懇親会も大いに盛り上がりました。
ご参加された皆さん、お疲れ様でした。

【NCWG実行委員 報告書作成者】
大澤 武史(株式会社ブライエ)
宮原 哲也(株式会社アルティネット)

【2025年11月】サムライクラウド部会 部会報告

2025年11月21日(金)に15期最初の部会としてサムライクラウド部会を開催いたしましたのでご報告いたします。

今回は、リアルとオンラインのハイブリッド会議形式で実施致しました。

■日時:2025年11月21日(金)15:00~17:00
■場所:リアル及びオンライン会議

サムライクラウド部会では、SAMLやOAuth、多要素認証などの認証技術、アプリケーションマッシュアップするための基盤技術、生成AIなどの先進的な議題についての議論・発表を行っています。
今回は下記に関しての議論を行いました。

・MCPのSTDIOとリモートMCPについて
・IaC自動生成に関して

ご参加いただいた皆さん、ありがとうございます。

次回の部会は、12月中旬を予定しています。

是非みなさまご参加ください。

【2025年10月】サムライクラウド部会 部会報告

2025年10月30日(木)にサムライクラウド部会を開催いたしましたのでご報告いたします。

今回は、リアルとオンラインのハイブリッド会議形式で実施致しました。

■日時:2025年10月30日(木)15:00~17:00
■場所:リアル及びオンライン会議

サムライクラウド部会では、SAMLやOAuth、多要素認証などの認証技術、アプリケーションマッシュアップするための基盤技術、生成AIなどの先進的な議題についての議論・発表を行っています。
今回は下記に関しての議論を行いました。

・ランサムウェアの大規模被害に関して
・AWSの大規模障害に関して
・copilotについて
・MCPのセキュリティに関して

ご参加いただいた皆さん、ありがとうございます。

次回の部会は、神戸にて11月中旬を予定しています。

是非みなさまご参加ください。

第79回ニッポンクラウドワーキンググループ会合報告

『生成AIでクラウドケイパビリティを伸ばし、サムライクラウドを実現する!』をテーマとし、クラウドビジネス推進部会発表を中心に、ニッポンクラウドワーキンググループ第79回会合を、リアルとオンラインのハイブリッドにて開催いたしました。

今回の会合は、関東ITソフトウェア健康保険組合 市ヶ谷健保会館にて、多くの方々にご参加いただき活気ある会合となりました。

テーマ:『サムライクラウド部会発表』
日 時:2025年9月30日(火)17:00~19:00
             懇親会 19:30~21:30
場 所:関東ITソフトウェア健康保険組合 市ヶ谷健保会館 F室
    東京都新宿区市谷仲之町4-39
    および、オンライン(Zoom)

【司会者のご紹介】
司会 NCWG副会長 藤田 浩之

1.開催のご挨拶 
副会長 藤田 浩之

本日は第79回会合にご参加いただき、ありがとうございます。

本日のテーマは『生成AIでクラウドケイパビリティを伸ばし、サムライクラウドを実現する!』です。

コンテンツは2つで、1つ目は「MCP/A2Aの仕組みとその活用」について、クラウドビジネス推進会の部会長である私、藤田から発表いたします。

2つ目はクラウドビジネスサロンに参加する部会メンバーから「各社の視点における生成AIやMCPの活用」について発表いただきます。

さらに本日は9月に開催された「さくらインターネット社 石狩DC見学会」の報告を実行委員のブライエ内田さんからお話いただきます。

2.部会報告

サムライクラウド部会
部会長 野元 恒志

サムライクラウド部会とクラウドビジネス推進会ともに、現在生成AIに関する議論が中心となっていますが、サムライクラウド部会は元々ゼロトラストを主軸としたセキュリティ関連の議論を行う部会であるため、生成AIの動向を追いかけつつも、セキュリティを活動の核として推進していくことを目指します。次回の部会は10月下旬に開催を予定しています。

クラウドビジネス推進部
部会長 藤田 浩之

クラウドビジネスサロンは、メンバー相互の交流の機会を積極的に作りたいという思いから、みなさんが気軽に参加して「クラウドビジネス」について語り合うことできるように、オンライン、リアル問わず、お酒など飲食しながら「テーマ」に沿った話題で進行するスタイルで開催いたします。

次回のクラウドビジネスサロンは、10月14日(火)を予定しています。

本日の発表テーマである「MCP」は、7月からクラウドビジネスサロンで取り扱ってきたテーマであり、2回のサロンを経た濃い内容を本日はお届けします。

3.クラウド推進部会発表

発表1)MCP/A2Aの仕組みとその活用

クラウドビジネス推進部会 部会長 藤田 浩之

■大規模言語モデル(LLM)のおさらいとMCP/A2Aの登場

皆さんもご存じのように、生成AIのLLM(大規模言語モデル)は、学習した時点のデータに基づいて作成されています。このため、最新の情報や学習していないことには対応できず、場合によってはハルシネーション(虚偽の情報生成)などの課題がありました。

この課題を解決するため、RAG(Retrieval Augmented Generation、検索拡張生成)という技術が登場しました。RAGは、LLMに外部の最新情報や専門知識を与え、回答の精度と信頼性を向上させる手法です。回答に必要な根拠となる情報をLLMに提示することで、ハルシネーションの抑制が可能になります。

RAGの具体的な仕組みは、AIエージェントへの質問をそのままLLMに送るのではなく、質問に関連する情報をデータベース、文書、Webなどから検索します。そして、得られた検索結果(関連情報)と質問を一緒にLLMに送信し、回答を生成させるといった流れです。

しかし、RAGを利用するには、自前での実装が必要な場合や、利用するサービスへの機能組み込みを待つ必要があり、それぞれ技術的なハードルや開発コスト・時間、各社対応までの時間といった課題がありました。

そこで登場したのがMCPです。

MCP(ModelContextProtocol)は、LLMのClaudeで有名なAnthropic社が2024年11月に提唱したプロトコルです。これは、LLM(Model)が応答テキストを生成する際に必要となるヒント(Context)を取得するための規約(Protocol)として機能します。

MCPはサーバー・クライアントモデルで構成されており、情報や機能を提供する「MCP Server」と、AIエージェント側に組み込まれる「MCP Client」に分かれています。
MCPの具体的な仕組みは、まずMCP Serverが持つ機能を「Tool List」としてAIエージェントに教えることから始まります。
MCPの仕組みの最大の特徴は、この「Tool List」の記述方法にあります。「Tool List」は単なる関数の定義リストではなく、関数の目的、呼び出す場合の条件、パラメータの細かい仕様などを自然言語で記述します。この情報をLLMに渡すことで、LLMは質問の内容に応じてどのツールを呼び出すのが相応しいかを判断し、必要なパラメータとともに実行を指示します。
この一連の流れは、プロンプト技術の応用とも言えます。違いは、必要なプロンプトをユーザーが指定するのではなくMCPサーバーがAgentに教えてくれること、そして、ツールの関数の実行までをAgent側で行い、その実行結果に基づいて、場合によってはさらなるツール呼び出しまで自律的に実行できる点にあります。

Anthropic社が提唱したMCPですが、2025年にはOpenAI、Google、Amazon、Microsoftといった主要な企業が次々と対応を表明し、もはやデファクトスタンダードとなりつつあります。この規格に対応すれば、あらゆるLLM、あらゆる生成AIツールと簡単に連携できるようになります。
ユーザーにとっては、普段利用するMCP対応のAIエージェントから様々なMCP Serverの機能を利用できることで、生成AIでできることが増加し、生産性が向上します。
製品/サービスベンダーにとっては、自社の製品/サービスをMCP対応させるだけで、OpenAI, Google, Anthropicなど複数のLLMと連携可能になり、製品価値の向上に繋げられます。さらに、AIエージェントごとに個別の連携サービスを作る必要がないため開発コストの削減に繋がり、また、様々なAIエージェントで利用可能となることから、利用機会の創出にも繋がります。

「MCPはAIアプリケーション用のUSB-Cポートのようなもの」と表現されるように、MCPの規格により、AIエージェント非依存であらゆるMCP Serverの機能を利用できるとともに、それぞれのMCP Serverによって機能を補完することが可能です。この相互補完のエコシステムこそがMCPの真価だと言えます。

Anthropic社が提唱したMCPとは別に、A2Aという仕組みをGoogleが2025年4月9日に発表しています。A2A(Agent-to-Agent)は、異なるベンダーや技術基盤で構築されたAIエージェント同士が安全かつ効率的に連携できるように設計された共通プロトコルです。A2Aにより、複数の専門エージェントが共通ルールに基づいて通信し、複雑なタスクを自律的に実行することができます。
MCPとの違いは、例えるならMCPがAIエージェントにとっての「道具の利用」であるのに対し、A2AはAIエージェントにとっての「専門家への相談」になります。
自身では解決できない内容を、より専門性の高いLLMや拡張生成機能を持つ別のAgentに問い合わせ、連携して解決することが可能になります。
A2AはMCPと比較するとこれからの技術です。

■MCP/A2A対応がもたらすビジネス効果

MCP(Model Context Protocol)に対応することは、AIツール経由での新たな顧客層の獲得と、既存ユーザーのサービス利用の利便性向上をもたらし、さらに、ゼロからのAI開発を避け外部LLMと連携することで開発コストを削減しつつ、業界標準にいち早く対応することによる先行者利益の確保を通じて、競争優位性を確立する戦略的な一手となります。まず標準的なMCPから対応を開始し、その後のA2A(Agent to Agent) 対応によって他社との差別化を図ることが成功への鍵となります。

■なぜ今、MCP/A2Aを推しているのか。

MCP(Model Context Protocol)による容易なアプリケーション連携、データ連携の実現は、「サムライクラウド」の要件に合致するものであり、またA2A(Agent-to-Agent)による各社の強みの掛け合わせの実現は新たなビジネスモデルの構築に繋がり、これも「サムライクラウド」の要件に合致します。
競争力を強化するためにも、MCP/A2Aへの対応に着手することを強く推奨します。
そして、「サムライクラウド」の実現に繋げていければと思います。

※「サムライクラウド」の定義(by NCWG)

 ・日本から発出するクラウドビジネスモデルの構築を意義としての「サムライクラウド」

 ・IDやアプリケーション、UI、DATA連携など日本から発出できるクラウドサービスの技術的意義としての「サムライクラウド」

発表1)MCP/A2Aの仕組みとその活用」の質疑応答

Q:他社が提供するMCPサービスを利用する場合の利用料の計算などどういった仕組みなのでしょうか。
A:Amazonなどもそうなのですが、基本的にトランザクション課金になると思います。月何リクエストまで定額でその後制限なのか従量課金など、そういった細かい計算を行う機能が必須になると思います。

Q:今後AIエージェントがなんでもやってくれるというようなことになる可能性があると思いますが、例えば出張の際に航空券やホテルを手配してくれるというようなことも可能になってくると思いますが、それを実現するためのハードルなど藤田さんが考えていることはありますか。
A:ハードルに関しては誤予約や誤発注のようなものを防ぐことが重要ではないかと思います。プロンプトで防ぐのかあるいは別の技術がでてくるのかわかりませんが、通知をユーザーが確認した上で確定するなどが必要だと思います。

発表2)クラウドビジネス推進部会参加メンバー発表

「クラウドビジネスサロンに参加してAIと仲良くなろう」
 株式会社ビッグローブ 高橋 誠 氏

2023年頃に初参加させていただいたときはChatGPTが騒がれていたときでAIに関する知識も乏しく、AI=ChatGPTだと思っているくらいでした。1年経った2024年頃には弊社はGeminiを自由に使える環境になったということもあり、AIがないと困るくらいまでになっています。現在では、Gem(AIアシスタントを作成できる)を利用して業務効率を最大化できるように頑張っています。

クラウドビジネスサロンに参加したことがきっかけで、AIに興味を持ち、自ら情報を集めたり、活用したりするようになりました。
今まで使ったことがある生成AIもGemini、Copilot、NotebookLLM、ChatGPTと増えてきています。

定期的に開催されるクラウドビジネスサロンに継続して参加することで、新しい情報が取得でき、自身で深堀し、その後に社内のAIチームとディスカッションを経て自身のレベルアップというサイクルを回せるようになりました。

ビッグローブでのAIの取り組みについてご紹介させていただきます。
2023年11月に「最近流行りの生成AIを使ってブログを書かせてみた」という内容を弊社のTechBlogで公開していたくらいのものでしたが、その1年後にコールセンターの問合せ対応支援を目的としたリアルタイムAI分析を利用していました。
さらに2025年3月に独自開発した「社内文書AIサーチ」をリリースしました。当初はGoogleがMCPに対応していなかったのですが、今年の6月にMCPに対応してからUIが完結になったりと現在でも進化を続けています。
また、今後の取り組みに関して、MCPやA2Aを活用して自社の課題を解決できるかという意味では”コールセンターの高精度化”というものが親和性が高いと思っていて、例えば、お客様からの問い合わせの1次受けはAIのボイスボットで対応して、手に負えないものはオペレーターに回すというものです。
可能な限り1次受けのAIボットの段階で問い合わせをクローズさせるにはどうしたら良いのかについてもAIを活用して、まだ難しい内容のものもありこれからもっとAIを活用しながら課題を解決できるように進めていきたいと考えています。

「アシロボのAI活用をアシロボ開発者に聞いてみた。」
 株式会社ドヴァ 井口 和彦 氏

弊社は通信インフラを担っている会社なのですが、6年前からアシロボというRPA製品を展開しております。
RPAアシロボを展示会などに出展しているとよく「AIですか?」と聞かれるのですが、その際には、人間に例えて「AIは脳」(自分で考え、学習し、問題解決能力をもつ)「RPAは手」(ルールと手順が決まっていて、人間の作業を自動化する技術)というように説明させて頂いています。
別の例えでは、楽譜どおりに演奏してくれる”自動演奏ピアノのパソコン版”という説明をすることもあります。

今回はアシロボのAI活用というお題でアシロボ開発者に意見を募ってみましたしたので、いくつかご紹介させていただきます。

その1:アシロボ自体にAIの機能は搭載されていないので直接的なMCP連携は現状できないが、MCP連携しているAIツールをアシロボで操作するということはできる。MCPを使ってシステム連携ができるようになるが、それでは補えないシステム連携をアシロボを使って補完することで共存できると考えている。
その2:仮にアシロボのMCP連携となるとアシロボがエージェントになり、AIがアシロボのシナリオを動的に実行するという形になると思う。もし、直接的にアシロボを手足にしたい場合は、アシロボのAPI、ロボミニストレーターのAPIを開発すべきかもしれない。
    ロボミニストレーターは多数のRPA端末をウェブブラウザか管理コンソールから一元管理できる弊社の製品です。
その3:自然言語インターフェースとして使う。生成AI経由で「伝票処理を実行」「月次レポートを作成」などと依頼→MCPでアシロボを呼び出し自動実行させる。
    動的シナリオ選択をさせる。AIが業務コンテキストを解析し、適切なアシロボシナリオを選定・実行させる。
    複合AIサービスとの組み合わせ。AI OCRで書類データ抽出→アシロボが基幹システム登録→別AIが要約・分析する
    AI対話×RPA:AIチャットボットが顧客要望を解析→アシロボが処理実行→AIに自然言語で解答を返却させる
その4:MCPはアプリケーションとして使うには不可欠なものだと思う。A2Aは結果的にそれに規制をハメて産業化を推進することになると思うが、一方で可能性を制限することにならないかを懸念している。
    懸念される「囲い込み」のリスクとして、巨大IT企業が主導することで実質的な市場支配に繋がる危険性があるので、コミュニティの積極的な関与が不可欠だと思っている。

「Teasy AIエージェントと描く、AIが共に働く未来」
 Fullon株式会社 田上 真也 氏

弊社は勤怠管理を行う「Teasy」というサービスを展開しています。紙の打刻やEXCELなどで管理されているところもまだまだあると思いますが、もしTeasyなどのシステムで勤怠管理を行っていたとしてもまだまだ人手の管理に時間を取られていると感じます。
例えば、「打刻忘れ・申請漏れ」「有給5日義務化対応」「残業上限制」「リーダー/人事の催促業務」などですが、これらにAIを活用することで解消できるのではないかと考えましたので、その内容をご紹介させていただきます。

AIエージェントが実現するのは、打刻の為のアプリではなく打刻を忘れないための仕組みで、「がんばる勤怠管理からやらない・考えなくていい勤怠管理」として、AIレイヤーをTeasyに追加するシンプルな拡張でできるようにしたいと思っています。
また、AI予測通知として全員に同じ通知を送るのではなく、打刻忘れが多い人には沢山通知がくるようになったり、長時間残業が続いた社員には定時退社を促すメッセージに変更したり、勤怠に問題のない社員には通知を送らないようにするなど必要な人に必要なメッセージを送ることが可能になります。
MCPでのAI連携についても色々と試している段階ですが、TeasyのAIエージェントはある程度できていますので、使用できる段階になったら改めてお披露目の機会を頂ければと思います。

「受託開発・運用保守におけるMCPサービス利用事例」
 株式会社アルティネット 牛草 進 氏/江原 司 氏

弊社は主にシステムの開発や開発した後の運用保守等を行っています。Backlog等のチケット管理で課題を管理しているのですが、お客様がすべてのチケットに回答してくれればよいのですが、定例会の場などで口頭で回答を頂いて解決するものも多くあります。その場では覚えているのですが後から見返すと何の内容だったのか思い出せない、ということが度々ありました。
そこで、Backlog MCPサービスを利用して、AIに議事録から課題を要約してチケットを取得させる以下のような活用をしています。

1) AIエージェント(Claude Code)にBacklog MCPを接続する。
2) AIエージェントがBacklog MCPを利用し、完了済みの課題を取得する。
3) AIエージェントが取得した課題を要約しファイルに保存する。
4) AIエージェントが関連する議事録を検索し、見つかればファイルに追記し保存する。

これによって要約した内容を見ればある程度のキャッチアップが可能になり、関連する議事録の内容も含まれているので要件を思い出せないときに検索で見つかりやすくなりました。

質疑応答

Q:アルティネットさんに質問です。BacklogでMCPを利用するということは外部連携が増えることになると思いますが、利用する上でセキュリティ面など注意されている点などがあれば教えてください。
A:保存されるデータはローカルになることと、Backlogのデータに関しても自社で運営しているプロジェクトのデータになるので、その内容を外部に漏れないようにすることを気を付けています。
また、Backlog MCPにはプロジェクトを絞るという機能がまだありません。(要望はあがっているので今後対応するかもしれません)
そのためプロンプトレベルで「このプロジェクト以外にはアクセスしないでください」という指示を入れていますが、完全ではないので不必要なプロジェクトにアクセスしていないかを注意しています。

Q:ビッグローブさんへの質問です。AIをとても活用されていると感じました。AIを活用することで具体的にどんなところが効率化できたと考えているかを教えてください。
A:私が一番実感しているのは調査などリサーチしてもらうところが一番時間短縮になっていると感じます。資料を作成する際のエビデンスを用意してもらうとかは今までは自分でネットで検索していましたが、AIでは数分でやってくれます。
その他には、自動でメールを返信してもらったり、スケジュールを確認して打合せを調整してくれたりとかが時間短縮の効果が大きいと思いました。

4.さくらインターネット社 石狩DC見学会報告

株式会社ブライエ 内田 龍 氏

2025年9月5日に「さくらインターネット 石狩データセンター」にて見学会を行っていただきました。本日はその実施報告をいたします。
今回は北海道石狩市に位置する、国内最大級のITインフラを支える重要拠点である石狩データセンターの見学に行ってまいりました。参加者の声という形で、さくらインターネットさんの取り組みについてお伝えできればと思います。

第1・第2・第3号棟まで完成しており、また通常の建屋の他に2025年6月より稼働を開始しているコンテナ型データセンターが立ち並ぶ姿も確認できました。
非常時に備えて施設内には大型の発電機7基を揃え、2018年胆振東部地震の際にも約60時間にわたって、道内全域で停電になっていましたがデータセンターは稼働を継続できたそうです。発電機のパワーとしても施設の規模からすると少しオーバースペックなくらいらしいので、理論上はメンテナンスによる停止を考慮して輪番で発電すれば、燃料さえあればずっと稼働できるようです。

北海道の冷涼な外気を活用した「外気冷房方式」を採用。空調にかかる電力を大幅に削減しています。また、すべて自社施設である強みを生かし、以下のような実験的取り組みをサーバルームごとに変えて効率のよい方式を試行錯誤して常に改善を行っておられました。

・壁吹き出し方式
(部屋全体に空気を回すのに大きな力がいるが、その分大型のファンを設置できるので送風にかかる消費電力は比較的抑えられる。人がすっぽり入るくらいのサイズのファン。)

・天井吹き出し方式
(冷たい空気は下に落ちるのでその意味では天井から吹き降ろすのが効率的だが、設置できるファンに制限があり、小さいファンが増えるため電力消費は比較的増える)

・通路を含め排気と給気それぞれが混じらないように気密をとった区画分け
(他の自社センターで複数社共同で研究した空調設備の成果を新たに導入)

さらなる効率化として、太陽光発電も活用するとともに発電された直流の電気について、高電圧直流(HVDC)給電システムを一部導入し、直流<–>交流の変換回数を減らすことで電力ロスを極力減らす取り組みも行っています。

ベアメタル型GPUクラウドサービス「高火力 PHY」にて NVIDIA H200 のGPUリソースの提供のためコンテナ型データセンターが建設されています。GPUは従来のマシンよりも高熱となることから既存のラックには多く搭載することが難しいのですが、コンテナ内で直接水冷方式とすることで、より高密度に設置・提供が可能になったそうです。

ここで見学会参加者の声をご紹介します。

・設計から運用までほぼすべてを自社で責任をもって運営されているということもあり、あらゆる点でチャレンジしながら、考え抜かれたDCであると感じました。
・国内でも並み居る外資系ベンダーのDCがありますが、独自に様々な挑戦を行って業界をけん引されていることもあり、DCにも「国産」でやっていこうという気概を感じ、身が引き締まる思いです。
・棟ごと、部屋ごとに仕様が変わっていき、データセンターの創意工夫における変遷の歴史を見ることができたような気がします。まるで、データセンターの博覧会を見ているかのようで大変有意義でした。

建屋そのものや、内部の設備、そこで取り組まれていることなど、さくらインターネットさんの常にチャレンジして思い描いたことを実現する姿勢が正しく反映されたデータセンターだと感じました。
ただただ、CO2削減に取り組んでいます、節電しています、といったものではない、実業に対して環境問題や災害その他に向き合ううえで、どのようにして効率化を行い、どうやって改善していくのか、常にそれを試行錯誤し続けていく。
そこにサステナビリティの本質を垣間見たような気がいたします。

5.会長からの総括
会長 小堀 吉伸

皆さん、お疲れ様でした。
本日お話しいただいたみなさん本当にありがとうございました。

今回はクラウドビジネス推進部会の部会報告という形でしたが、こういった形で定期的にアウトプットしていくことが重要だと思っています。部会に参加頂いているみなさんもこういった場があることで活動に身が入るのではないかと思います。
NCWGは技術の会ですので、クラウドビジネス推進部会といいながらもテクニカルなところも入れて活動してくれているのがありがたいです。
さくらインターネットさんの石狩データセンター見学会は私も参加させていただきました。
内田さんの発表を聞いていたみなさんも機会があったら見学会に参加したいと思って頂けたのではないでしょうか。
一昨年はリンクさんの「なかほら牧場」の見学会も行いましたが、こういった形で個人としてお願いできないこともこの会だからこそできることもあります。逆にこの会だからこそやらなければならないこともあります。

ニッポンクラウドワーキンググループはクローズドな会なので、メンバーの皆さんには企画の方にも意見をしていただくなど積極的に繋がっていただければと思います。本日は、お疲れ様でした。

6.懇親会

恒例の懇親会も大いに盛り上がりました。
ご参加された皆さん、お疲れ様でした。

【NCWG実行委員 報告書作成者】
高橋 誠(ビッグローブ株式会社)
横手 広樹(株式会社ブライエ)


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