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7月20日開催「なかほら牧場」視察 報告

ニッポンクラウドワーキンググループの活動の一貫として、この度、株式会社リンクさんのご厚意により、岩手県内にある「なかほら牧場」を視察いたしましたので、ご報告いたします。

【日時】2023年7月20日(木)13:00~15:00
【場所】「なかほら牧場」
    岩手県下閉伊郡岩泉町上有芸水堀287
    URL:https://nakahora-bokujou.jp/

なかほら牧場は、豊かな自然に囲まれた美しい場所にあり、牛舎のない牧場として、牛にストレスを与えない山地酪農(やまちらくのう)の自然放牧で牛たちがのびのびと暮らしています。
牛たちの健康を第一に考えた自然放牧での飼育に取り組んでおり、地域の方々に愛される牧場として知られています。

当日は牧場長の牧原 亨さんより、牧場を一望できる場所にて、山地酪農による実際の牧場運営について詳しくお話を伺いました。

牛を第一に考え、牛そのものにはできる限り無理強いせず自主性に任せ、また、牛の行動をつぶさに観察し、牛の気持ちを汲み取って、牛が求める環境を整えることに注力しているとのことを熱く語っていただきました。

牧原牧場長のご実家も600頭の牛を飼育する酪農を営んでいたとのことですが、
山地酪農とは対照的に、一般的に経済効率が優先される飼育であったとのこと。
その環境では牛は番号で管理され、そのような状況では牛はただ資源であり、
なかほら牧場のように一頭一頭名前を付けるようなことはできないとのことでした。

酪農でのテクノロジーの活用としては、牛の体温をIoTデバイスによって収集し、出産時期を把握し、人の介助をもって出生率をあげるなどの取り組みが行われていますが、なかほら牧場の山地酪農では、牛の分娩すらも人の手を介さず、牛に任せているとのこと。
経済効率優先の場合は、できるだけ大きな子牛を出産させようという人の思惑が働くため、自然分娩ができなくなるという事情もあるとのことでした。
さらに効率を考えるならば、子牛には単価の安い脱脂粉乳の乳を飲ませることが一般的ですが、同牧場では生まれた子牛は母乳によって育てているとのことでした。

このような牛の自由に放牧する山地酪農ですが、当然牧場経営には搾乳は必須です。
なかほら牧場では搾乳についても人を介さず24時間牛の自主性にて搾乳できる
ロボットを導入して、牛へのストレスを軽減しているとのことで、実際にそのロボットも見学させていただきました。

山地酪農の実際のお話を伺い理解が深まるとともに、色々な示唆に富む貴重な機会となりました。

牧原さん、ありがとうございました。

視察後は盛岡駅近くにて親睦会も開催し、大いに盛り上がり、参加者との積極的な交流を図ることができました。

下記、視察参加者の感想となります。

株式会社アルティネット 宮原 哲也 氏
なかほら牧場に伺って、牧場長の牧原さんに直接ご説明いただいたお陰で、これまで、牛舎に牛達を閉じ込めずに放牧するのが「山地酪農」かと思っていましたが、出産から死までの牛の一生を通して、極力牛を管理せず、一頭一頭と向かい合いながら乳をいただき、命をいただくことが、「山地酪農」なのだと、理解することができました。 搾乳システムを導入した目的も、牧原さんのお話を聞くまでは、ロボットで人間の手間を省くのかと思っていましたが、牛達が好きな時に乳を搾れるようにするためだったとは、本当に驚きました。 実際に現場で直接牧原さんのお話を伺えたことは、私にとってとても貴重な体験になりました。 今後なかほら牧場の牛乳を飲むたびに、牧原さんはじめスタッフの皆さんと牛達のことを思いながら、味わいたいと思います。

株式会社ドヴァ 井口 和彦 氏
以前からNCWGメンバーリンクさんへお伺いする際にいただくのが楽しみだった牛乳やヨーグルトを生産しているなかほら牧場への視察でした。
ITを利用した畜産、農業、漁業の事例は効率化や無人化についてEXPOや講演でお話聞かせていただきましたがIT企業なのにあえてITを一切使わない山地酪農についてITを利用することで山地酪農が面白くなくなってしまうかな?との牧原牧場長のお話が印象的でした。
『牛のため、山のため、乳製品を買ってくれる生活者の健康のため』をテーマとして、なかほら牧場と山地酪農の維持・発展をめざす。の言葉通りの現場をみることができて人とITとの関わり方についても考えることができました。
現場に行って感じることが大切なことを改めて認識できた視察でした。
またの企画楽しみです。

株式会社ブライエ 大澤 武史 氏
7/20(木)に、以前より参加を希望していたなかほら牧場の視察に同行いたしました。
弊社からは私を含めて2名が参加させていただきましたが、結果的にとても実りの多い視察となりました。
中でも、牧原牧場長の牛達に対する熱い想いについては、対人間とのコミュニケーションにおいても参考となるお話であり、特に山地酪農におけるストレスフリーな環境づくりについては感銘を受けました。
また高台に登り広大ななかほら牧場を見渡していると、これもまた偶然なのかヤマセ(山背)により一瞬にして周りがホワイトアウトとなり、そしてしばらくすると再び霧が晴れるという自然の素晴らしさ、雄大さに出会えたことも記憶に残っております。
今回は夏の時期の視察でありましたが、もし叶うのであればまた別の季節(冬は難しいかもしれませんが。。。)に訪問させていただきたいという気持ちでいっぱいです。
ご準備いただいたなかほら牧場の牧原牧場長を始めとしたスタッフの皆様、また視察の調整に奔走いただいたリンクの阿部さん、酒井さんに感謝いたします。

株式会社ドヴァ 放生 浩一 氏
NCWGのなかほら牧場視察に同行し、一年中放牧することでストレスなく牛を育てるという「山地酪農」の取組みついて、牧場長の牧原さんよりご説明いただきました。
標高700m~800m程度に位置する広大な牧場は、夏でも薄着だと少し肌寒く、見晴らしが良かったと思えばあっという間に霧に包まれ10m先も見えなる環境でしたが、牛にとってはこれが快適であり、食事となる野草は牛の糞から栄養を貰って育ちながら土に根を張ることで土砂流出も防ぐという循環的な環境でした。
一頭一頭の牛に寄り添い、その一生に責任を持ちながら、飼育において人間はあまり管理を行わず、人間は牛が快適に過ごせる環境作りに専念するという、私がこれまで見知ってきた「牧場」のイメージとは大きく異なる取組みがとても印象的でした。
牛は好きなところで草を食べ、搾乳のタイミングも24時間搾乳可能な自動ロボットを導入して牛に任せ、子牛の出産や子育てにも介入しないというストレスフリーな好環境で育った牛だからこそ、高品質な牛乳や乳製品ができるということがよく理解できました。
畜産・酪農業でも自動化や業務効率化でDXが進んでいる印象がありましたが、なかほら牧場ではGPSなど管理が楽になるシステム導入を敢えて抑えることで、人間の経験や感覚を伸ばしているという方針も、IT業界に身を置く者として非常に興味深く感じました。
現場に行くことでしか感じられない空気や雰囲気を味わうことができ、とても貴重な経験をさせていただきました。


ご参加いただいたみなさん、お疲れ様でした。


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