NCWG2023 年度報告会 開催報告
この度ニッポンクラウドワーキンググループは12周年を迎えることができました。
日頃の活動をご支援いただいてるご協賛・メンバー・サムライクラウドサポーターの方々にも感謝申し上げます。
12期の活動報告および13期の活動計画の報告会を2023年12月5日にリアルとオンラインのハイブリットで開催しましたのでご報告いたします。
【NCWG第12期活動報告会及び第13期の活動計画報告会】
小堀会長から、2023年度活動報告、および2024年度活動計画の報告をいただきました。
2024年度の活動スローガン:
『Beyond the Clouds24!〜クラウドケイパビリティを高め、次のクラウドビジネスをつかむ!〜』報告資料はこちら
2023年度のテーマは『Beyond the Clouds2023!〜クラウドケイパビリティをみがき、クラウドビジネスの明日を創る!〜』でした。
クラウドケイパビリティは3年前からニッポンクラウドワーキンググループで使用している造語で”クラウドを利活用する能力”のようなことを意味します。
NCWGは有用なネクストテクノロジーの情報提供および次世代を担うクラウド人材を育成する場を提供し、持続的なクラウドケイパビリティの獲得に努めること。また、ベンダーニュートラルな立ち位置だからこそできる活動というものに重きをおいて2024年も活動します。
2024年も積極的にリアルでの開催を行いたいと思いますので宜しくお願いします。
また、各部会長から2023年度の活動報告、2024年度の活動計画の報告をいただきました。部会の活動報告・活動計画資料はこちら
・サムライクラウド部会(部会長 野元 恒志)
サムライクラウド部会では、SAMLシングルサインオン、ID管理、データ連携を軸として新技術に関しての議論、セキュリティに関しての議論を行っております。
現在は、部会での議論を元にアウトプットについて、会合での発表や、アウトプットをドキュメントとしてまとめて公開するなどして、みなさんに御覧いただける様にしております。来年度は、ゼロトラストに関してのドキュメントの第2弾を公開する予定です。
月に一度の定例部会を中心に活動しておりますので、ご参画ください。
・クラウドアプリケーション部会(部会長 尾鷲 彰一)
2023年度の活動では、AIを利用して、「時系列予測モデルでNeural Prophet競馬の予想をする」、「自然言語処理BERTで、TwitterでバズるTweetを自動生成してみる」、「音楽自動作成SOUNDRAWで、NCWGのテーマ曲を作ってみる」などを行ってきました。
AIのサービスも多種多様あり、選択肢が多く存在することを知りました。また、多種あるなかで、それぞれ得意、不得意もあり、使ってみたけど用途にそぐわなかったということもありました。たくさんある中から探すのも大変であり、一覧になっているものがあれば役にたつかと思いました。
2024年度の活動では、2023年度の活動の結果を踏まえ、
・時系列予測、自然言語処理、音楽作成のジャンルにおいて、AIのサービスを調査し一覧を作成する。
・実際に利用して、所感をまとめる。
・上記成果物を公開する。
・一覧のメンテナンス方法の検討
といった内容で活動していきたいと考えております。
是非、みなさんご参加ください。
・クラウドビジネス推進部会(部会長 藤田 浩之)
クラウドビジネス推進部会では、みなさんが気軽に参加して「クラウドビジネス」について知識を共有する場として、お酒など飲食しながら「テーマ」に沿って語り合う「クラウドビジネスサロン」を開催しています。
2023年度の活動実績としては、テーマとして「RPA」「Amazon Open Searchサービス」「ChatGPT」などを取り上げ、計5回、クラウドビジネスサロンを開催しました。また、第69回会合では、「RPAを活用し、クラウドケイパビリティをみがく!」をテーマに、クラウドビジネスサロンからのアウトプットとして、サロン参加メンバーをパネリストに、RPAの活用についてパネルディスカッションを行いました。
2024年度の活動計画としては、引き続きクラウドビジネスサロンの開催と、会合での発表を予定しており、テーマとしては「ChatGPTのクラウドビジネスへの活用」を中心に活動していく予定です。
是非みなさん、ご参加ください。
【講演会】
『クラウドビジネスのこの12年、これからの12年。』
NCWGサムライクラウドサポーター
NTTコミュニケーションズ株式会社
林 雅之 氏
ニッポンクラウドワーキンググループ設立12年おめでとうございます。私はNTTコミュニケーションズでエバンジェリストをしており、サムライクラウドサポーターであり、国際大学GLOCOMの客員研究員もしております。また、ITmediaのオルタナティブブログでは、毎日6,000日超/16年ブログを欠かさずに書き続けていたり、NewsPicsのトピックスオーナーもしています。今日は「クラウドビジネスのこの12年、これからの12年。」というテーマでお話をさせていただきます。それでは、本題に入ります。まずクラウドの変遷について、この12年+αでお話させていただきます。
《クラウドの変遷(この12年+α)》
<2009年>
・ハイプ・サイクル 2009年(出所:ガートナー・ジャパン 2009.9)では、クラウドは「過度な期待」のピーク期
・「クラウドコンピューティング」が注目された時期で、ITproの「2009年に注目したいマネジメント/情報システム分野のITキーワード 」でクラウドが1位
・政府が「霞が関クラウド」構築の方針
・クラウド関連の書籍が相次いで発刊
・ITmedia クラウド著者座談会で、今日もご参加のさくらインターネットの横田さん、エリック松永さんと語り合う
・Internet Week 2009では、北海道の石狩市で進められているグリーンデータ構想を紹介。さくらインターネットの田中社長とご一緒しており、さくらインターネットの石狩市誘致は、この場がきっかけ? かとも思う
<2010年>
・ハイプ・サイクル 2010年では、クラウドは「過度な期待」のピーク期、プライベートクラウドは「黎明期」
・各社がクラウド戦略発表(クラウド元年の動き)、日本IBM、NTTデータ、ニフティ、さくらインターネット、日立、マイクロソフト、富士通、セールスフォース・ドットコム、NEC 等
<2011年>
・ハイプ・サイクル 2011年では、クラウドは「過度な期待」のピーク期(ピーク超え)、プライベートクラウドもピーク期に
・AWS東京リージョンが開設
・震災後に変化したクラウドの評価
- 震災後、クラウドへの注目が集まる
- SkyPerfecTV ITライブ「災害に対するインフラの在り方」に参加
・NTT Comのクラウドサービス部発足
・ニッポンクラウドワーキンググループ設立
- 設立発表会(10月17日)
- オルタナティブブログに「ニッポンワーキンググループ設立総会に参加して」を寄稿(10月19日)
<2012年>
・ハイプ・サイクル 2012年では、クラウドは「幻滅期」へ
・コミュニティの存在感(JAWS等)
・エバンジェリストの存在感
・エコシステム間競争加速
・サーバデータの全消失事件発生
・『オープンクラウド入門』発刊
・NCWG年間活動報告及び設立一周年記念講演「クラウド温故知新」
<2013年>
・ハイプ・サイクル 2013年では、クラウドはさらに「幻滅期」へ
・ビッグデータがピーク期
・MS AzureがPaaSからIaaSへシフト
・Googleが「Google Compute Engine」を一般提供開始
・DevOpsとクラウドの関係
<2014年>
・ハイプ・サイクル 2014年では、クラウドはさらに「幻滅期」の底辺へ
・「クラウド・ファースト」認知
・基幹システムのクラウド化
・クラウド事業へのシフトと先行投資
・ハイパースケールクラウド事業者との事業格差拡大(淘汰の動きも)
・SoftLayer(日本IBM)の日本進出
・日経xTECH「クラウドファースト時代の新常識」に寄稿
・ニッポンクラウドワーキンググループ3周年報告会
<2015年>
・ハイプ・サイクル 2015年では、ハイブリッド・クラウドが「幻滅期」
・クラウドがこの年だけなくなる
・クラウドネイティブへの関心
・Dockerの利用始まる
・AWS、Microsoft、IBM、Googleの4強で世界者シェア半分に
・ZDNet ハイブリッドクラウド座談会に参加
・ニッポンクラウドワーキンググループ4周年報告会
<2016年>
・ハイプ・サイクル 2016年では、クラウドは「幻滅期」の底辺を通過
・ホステッドプライベートクラウド
・ベアメタルクラウド
・SoE/SoR、モード1/モード2
・ハイブリッドクラウド
・コンテナ、マイクロサービス
・スマートマシン、AIがピークに
・ニッポンクラウドワーキンググループ5周年報告会
<2017年>
・ハイプ・サイクル 2017年では、クラウドは「幻滅期」の底辺を抜け出す
・DX(デジタルトランスフォーメーション)
・Google、アリババが急成長
・リフト&シフトの利用拡大
・Kubernetesのデファクト化へ
・サーバレスコンピューティング
・ニッポンクラウドワーキンググループ6周年報告会
<2018年>
・ハイプ・サイクル 2018年では、クラウドは「啓蒙活動期」へ
・マルチクラウドのコモディティ化
・クラウドの分散配置(エッジ、GPU、IoT 等)
・アジャイルアプリケーション
・政府「クラウド・バイ・デフォルト原則」
・VMware Cloud on AWS等(各社対応)
・日経サイエンス 特別座談会「AIネットワーク化の未来と課題」に参加
・ニッポンクラウドワーキンググループ7周年報告会
<2019年>
・ハイプ・サイクル 2019年では、クラウドはさらに「啓蒙活動期」へ
・ERPクラウドがオンプレ逆転へ
・マネージドクラウドサービス伸長
・DX市場拡大によるクラウドニーズ大
・政府共通プラットフォーム第二期計画
・「クラウドの基本 第2版」発刊
・ニッポンクラウドワーキンググループ8周年報告会
- 特別講演会「クラウドのこの10年、これからの10年」
- パネルディスカッション「クラウドのこれからの10年」
<2020年>
・ハイプ・サイクル 2020年からクラウドはなくなっています、この後は「生産性の安定期」としてキーワードとしてはなくなっています
・『ニュー・ノーマル』などの進展によって、クラウドのギア・チェンジは加速
・ゼロ・トラスト・ネットワークアクセスが過度な期待のピーク期に(テレワークの利用拡大等により・・・)
・ダウンロードトラフィックは以下のように変遷しています
約23Tbps(2021年)
約19Tbps(2020年)
約12Tbps(2019年)
約11Tbps(2018年)
・Internet Week 2020のパネルディスカッション「Internet Week 《わくわく大作戦》」に、IIJの浅羽さん、さくらインターネットの田中さんと一緒に参加
・ニッポンクラウドワーキンググループ9周年報告会
<2021年>
・新型コロナウイルスの影響で、ニッポンクラウドワーキンググループ10期の報告会はオンライン開催
<2022年>
・NCWG第11期活動報告会及び第12期の活動計画報告会
《クラウド、これからの12年》
クラウドのこの12年+αを振り返りましたが、ここからはこれからの12年の話をしたいと思います。
・これからのクラウドの動き(この1, 2年)
- 脱炭素化を加速化させていくためには、企業だけではなく社会全体でのクラウドの活用が不可欠
- 地政学や為替リスクを考慮したクラウドサービスの選択が重要
- クラウドを含めたIT投資を統合的にマネジメントし、ビジネス価値の最大化を図る重要性拡大
- 電力料金の高騰などの背景で、2024 年以降はクラウドサービスの利用価格が高止まりする可能性
- クラウドのコスト最適化や統合マネジメントを支援する、サービスやツールの採用も進む(FinOps)
- ローコード/ノーコード開発が進み、クラウドの設計や開発のハードルがさがっていく
- 生成AI関連のクラウドサービスが登場し、今後競争が加速化する
・社会経済や通信サービスの将来トレンド
- 人類の活動空間
あらゆる場所・地域、サイバー空間、地方分散、上空・海洋・宇宙・月面、働き方改革(テレワーク、アバターロボット)
- 移動するプラットフォーム
自動運転、ロボット、ドローン、空飛ぶ車、HAPS、無人建設機械、有人宇宙船、月面探査車 等
- 安心・安全の実現
災害に強い通信ネットワークの必要性、宇宙空間のサイバーセキュリティが問題化
- 安全保証分野
宇宙・サイバー・電磁波領域の対応
- 発生する通信トラヒック
センサやモノの増加に伴い爆発的に増加、リモートセンシングにより宇宙でもビッグデータ発生
- 求められる通信サービス
利用シーンによっては宇宙ネットワークも、柔軟に使いこなしたいニーズが顕在化
- 通信のレイテンシ
センシティブな利用分野がより一層顕在化(金融高速取引、遠隔の建機操作、ゲーム対戦)
- ネットワークの伝送路
宇宙空間における光(レーザー)通信の普及
- データセンターの発展
宇宙空間にもクラウド基盤が設置、利用ニーズに応じて宇宙空間でデータをエッジAI処理
・2030年頃の未来の姿
AI、ロボットなどの情報通信技術の進化と普及により、省力化・自動化・遠隔化、サイバー空間での新たな生活・経済活動が可能となることにより、様々な制約から解放され、全国どこにいてもそれぞれのライフスタイルやニーズ 等にあった豊かな生活を実現するなど、Society5.0の実現が期待
・Beyond 5Gが実現する機能・利用シーン
超安全・信頼性 →ネットワークの冗長化による信頼性向上、光を波長ごとに分割・使用する専用線レベルの高セキュリティ
超低消費電力 →全て光処理することでデバイス比で100分の1の消費電力を実現
超低遅延 →〈条件〉100マイクロ秒程度 〈例〉物流施設の完全自動運転
超高速・大容量 →〈条件〉数10〜数100Gbps 〈例〉没入感・臨場感のある体験・エンタメ(メタバース 等)
超多数・同時接続 →〈条件〉数百万〜数千万台/km^2 〈例〉多種のセンサを搭載した多数の自動車を同時にモニタ
拡張性(非地上系)→海上や空も含め100%カバー
自律性 →AIを活用した最適なネットワーク運用、Open RAN
・エッジコンピューティングの進展
AIやIoTなどの進展により、デジタルデータ量が加速度的に増大し、データをクラウドだけで処理するだけでなく、現場に近いエリアでデータを処理するエッジコンピューティングの需要が高まっている
・データ活用のためのクラウド環境の整備
データ活用を実現するために必要となるデータ活用基盤を整備する
・共創によるデジタル産業のプラットフォーム(イメージ)
エコシステム形成を形成し、デジタル産業への持続可能なプラットフォームとレジエンシーの実現
・クラウドの次のキーワード
「Distributed Cloud(分散クラウド)」「Composable Platform(コンポーザルプラットフォーム)」「Hyper Automation Network」「Intent Driven Network/Platform」
・Hyper Automation Infrastructure
マルチクラウド/ハイブリッドクラウド環境において、モバイル/固定ネットワーク、クラウド、エッジを組み合わせ、高度な自動化(自律化)されたネットワーク/インフラ
・生成AI基盤(GPUクラウド)の進展と対応
・テクノロジー企業(ビックテック 等)、次の勢力図
マイクロソフト →生成AIの領域で検索領域の牙城を崩す、エンタープライズ領域での競争優位性の確保、Microsoft Azureのさらなる進化
Open AI
Salesforce →Einstein GPT、Slack GPT、Tableau GPT
Google →検索技術やAIに高い技術を持っていたが、MSに先を越されて巻き返しを急ぐ
DeepMind
AWS →MS、Googleと比べると大きく出遅れる、独自のLLMだけでなく外部のモデルも含めてAWS上で扱えるサービスでエコシステム形成を狙う
アップル
新規参入事業者は?
日本勢
LINE(HyperCLOVA)
ABEJA(ABEJA LLM Series 日本語LLM )
サイバーエージェント(国内最大級の日本語LLM)
rinna(日本語LLM )
NEC(独自の生成AI開発)
「富岳」で和製生成AI(東工大、富士通等)
ソフトバンク、生成AI活用の新会社
さくら(GPUクラウド等)
NTT(独自の生成AI開発)
・将来の量子ネットワークのイメージ
・光ディスアグリゲーテッドコンピューティング
CPUやメモリ同士を光で直結し動的に組み合わせる、超低消費電力・超高速のコンピューティング基盤=ディスアグリゲーテッドコンピューティング
・クルマとクラウド
・宇宙統合クラウドコンピューティング・ネットワーク
地上の災害の影響を受けず、宇宙で独立して脱炭素且つ自立可能な宇宙インフラ
光技術で超低消費電力、超高速通信、高セキュアなネットワークを実現
かなり駆け足ではありましたが、クラウドのこれからの12年、お話したことを踏まえて皆さんと考えて行ければなと思います。
ご清聴ありがとうございました。
講演資料はこちら
【パネルディスカッション】
テーマ:『ニッポンクラウドワーキンググループ、この12年。これからの12年!』
前半:クラウドビジネスのこの12年(経験談などを挨拶時に語っていただきます)
後半:クラウドビジネスのこれからの12年(この12年で培ったものをベースに、これからの12年について思うことを語っていただきます)
パネリスト:
GMOグルーバルサイン・ホールディングス 増田氏
リンク 阿部氏
さくらインターネット 横田氏
エヌ・ティ・ティコミュニケーションズ 林氏
野元副会長
モデレーター:小堀会長
小堀:
ニッポンクラウドワーキンググループとしての「クラウドビサービス」の定義は『インターネットを介して利用する経済的な価値提供機能』であり、クラウドケイパビリティとは『企業が得意とするクラウド提供機能およびクラウド利活用能力』ですが、皆さんにご自身にとっての「クラウドサービス」についてお話しいただきましょう。
増田:
2014年に『アルカス』という「ワンコインクラウド」サービスを提供開始しました。その頃はストレージの運用にとても苦労しました。データ量の増大に対応するためにハードウェアの強化に1年かかってしまうような感じでした。
阿部:
2011年にアプリプラットフォームのサービス提供開始しました。『ATリンククラウド』というパブリッククラウドを開始しましたがなかなか売れず、利用料を半額にしたところようやくビジネスとして動き出しました。
2014年にベアメタルクラウドサービスを開始し、SaaSやMSPサービス、メールサービスなどを提供してきました。私達はオープンソースを活用してB2Bに独自のサービスを提供してきましたが、自社のインフラを活かしてサービスを展開しています。
横田:
私が入社した12年前に『さくらのクラウド』を開始しましたが、ハードウェア(ストレージ)に苦労しました。それ以来、ストレージベンダーのスペックは信用しないことにしています。
林:
2011年に『クラウドM』を開始しました。AWSに対抗しつつ、国内同業者との価格競争に苦労しました。クラウドサービスで最も大事なのは、優秀なクラウドエンジニアを優遇することだと思います。
野元:
この12年間は皆さんが各社独自のクラウドサービスを立ち上げてきたのを見てきましたが、こうして皆さんのお話を伺うと感慨深いものがあります。
小堀:
べストプラクティスの話を聞くより、バッドプラクティスの方が参考になりますね。
やはり「500円」では利益は出なかったですか?
林:
出ません。
100年前は「電気」がビジネスになると思われていたのですが、それが今の「クラウド」だと思います。
(会場から)福原さん:
「クラウドデータセンター」というサービスをやっていましたが、今はありません。
(会場から)小島さん:
私はモバイルの世界にいましたので、クラウドについては傍観していました。
小堀:
弊社のサポート契約書を見ると各社のいろいろなサービスが出てきます。皆さん、この12年を振り返るとどうでしょう?
阿部:
メガクラウドと同じことをやるのではなく、尖った隙間を狙ったサービスを目指しています。私達はインフラをやっているという強みを活かしています。
増田:
クラウドインフラサービスをトータルで提供していますが、プロダクトごとに特色があります。
お客様は自分達がやりたいことにふさわしいサービスを求めていますので、それを提案できるか、お客様に替わってお任せいただけるマネージドサービスを提供できるかが重要だと思います。
横田:
私達はファン作りはできましたが、その先ができなかったと思います。これからはWEB企業だけではなく一般企業と話をしながらやっていこうと思います。
野元:
最近感じているのですが、基盤周りはサーバレス、フロントはコンテナだと、ランニングコストを気にしないお客様が増えていると思います。
小堀:
ありがとうございました。
それでは、第二のテーマですが、これからの12年はいかがでしょうか?
増田:
サーバ上でWEBサービスを提供することを続けてきましたが、生成AIが出てきて、今後5~10年はまだ今あるものがあるでしょうが、その後は検索が無くなるかもしれないし、WEBすらもなくなるかもしれない。それでも、クラウドでお客様に寄り添って行こうと思います。
阿部:
歴史を見ると集中と分散を繰り返しています。エッジAIが普及していくことを踏まえ、最新のインフラでGPUサービスが提供できるのでは?と考えています。
横田:
この先は、直近の2、3年はGPUクラウド田と思います。サーバレスもコンテナも、うちのクラウドで提供します。
林:
これからは「ネットワークのクラウド化」を進めます。
野元:
包括的なサービスはAWSですが、それもコモディティ化が進みます。大阪会合で林さんにお話しいただいた「光電融合」が進むにはハードウェアの革新が必要だと思います。
小堀:
これからのサービスは、もちろん各自が考えることになると思いますが、一人でやるのではなく、まさに今この場にいる人達で手を組むのもありでしょう。
(会場から)寺尾さん:
生成AIの進化で人間の職人芸のようなことも出来るのではと思いますが、パネリストの方々はどうおかんがえですか?
林:
NTTでは「tsuzumi」という電力に優しいAI基盤を目指しています。
小堀:
今回のパネルディスカッションでは、5人の皆さんに登壇いただきましたが、今後はもっと多くの方々にお話しいただく機会を創りたいと考えています。
最後に、皆さんから一言ずついただきたいと思います。
増田:
私は自分ができる恩返しとして、これからは人材の育成に注力したいと思います。
阿部:
リンクのサービスがなぜ選ばれるのか。それは技術だけでなく、人を選んでいただいているからだと思いますので、人を大事にしていきます。
横田:
さくらとしては、これからも皆さんと一緒にやっていきたいと思っています。
林:
改めてクラウドに携わってこれたことに感謝しています。今後は環境に優しく、地球に優しいクラウドを目指したいと思います。
野元:
基盤がユーザから見えにくくなっています。私は、どう良かったのか、どうダメだったのかをお客様に伝えたいと思います。
小堀:
パネリストの皆さん、ありがとうございました。
会場の皆さん、ぜひ「参加」から「参画」に踏み出してください。
お疲れさまでした。
【NCWG12周年パーティ兼忘年会】
大抽選会も行われ、大盛況でした。
ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。
<開催概要>
日 時:2023年12月5日(火)16:00~
場 所:関東ITソフトウェア健保会館・会議室(大久保)
東京都新宿区百人町2-27-6 関東ITソフトウェア健保会館
または、オンライン(Zoom)
■報告会
第12期活動報告会及び第13期の活動計画報告会
2023年度活動報告
2024年度活動計画
部会報告
サムライクラウド部会報告
クラウドアプリケーション部会報告
クラウドビジネス推進部会報告
■講演会
『クラウドビジネスのこの12年、これからの12年。』
NCWGサムライクラウドサポーター
NTTコミュニケーションズ株式会社
林 雅之 氏
■パネルディスカッション
『ニッポンクラウドワーキンググループ、この12年。これからの12年!』
<モデレータ>
ニッポンクラウドワーキンググループ
会長 小堀 吉伸
<パネリスト>
GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社
常務執行役員 増田 義弘 氏
株式会社リンク
執行役員 クラウド・ホスティング事業部 事業部長 阿部 了一 氏
さくらインターネット株式会社
執行役員 横田 真俊 氏
NTTコミュニケーションズ株式会社
エバンジェリスト 林 雅之 氏
ニッポンクラウドワーキンググループ
副会長 野元 恒志
■12周年パーティ兼忘年会
パーティ兼忘年会についても大いに盛り上がり、メンバー・ご協賛の方々との積極的な交流を図ることができました。
<報告書作成>
実行委員 宮原 哲也(株式会社アルティネット)
実行委員 佐々木 泰 (株式会社クオリティア)