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第84回ニッポンクラウドワーキンググループ会合報告

『サムライクラウド部会・クラウドビジネス推進部会』
両部会の部会活動のアウトプットとして、ニッポンクラウドワーキンググループ第84回会合を、リアルとオンラインのハイブリッドにて開催いたしました。

<第84回ニッポンクラウドワーキンググループ会合>
内 容:『サムライクラウド部会・クラウドビジネス推進部会発表』
日 時:2026年9月15日(火)16:00~19:00 ※1時間長く開催
    懇親会 19:30~21:30
場 所:関東ITソフトウェア健康保険組合 健保会館・会議室(大久保)
    および、オンライン(Zoom)

【司会者のご紹介】
司会 NCWG副会長 野元 恒志

1.開催のご挨拶 
副会長 藤田 浩之

本日はサムライクラウド部会とクラウドビジネス推進部会の発表です。
普段の部会で何を話し合っているかを皆さんに知っていただく良い機会になりますので、興味を持たれた方は是非部会に参加していただき、皆さんのクラウドケイパビリティを高め、重ね合わせ、クラウドビジネスの可能性を拓いていただきたいと思います。

2.新規メンバーのご紹介

 株式会社ラネクシー 川端 禎之 氏

2つの主軸でビジネスを行っています。
1つは自社開発のセキュリティ商材を提供し、もう1つはお客様にSI的なサービスを提供しています。
今後ともよろしくお願いいたします。

3.サムライクラウド部会発表

サムライクラウド部会
部会長 野元 恒志

サムライクラウド部会は2本立ての講演となります。
少し難しいお話かもしれませんが、皆さんにも必要なことですので、ぜひお聞きください。

発表1:サムライクラウド部会発表
    『量子コンピュータと耐量子コンピュータ暗号の展望』
    株式会社コンピュート 代表取締役 福原 英之 氏

今日の話はゼロトラストに関係する話です。
私は2004年には既に暗号技術について執筆し、現在コンピュートではセキュリティをはじめとしたコンサルティングを提供しています。

(発表前半は資料参照)

量子実用化ロードマップの加速背景
 主要ベンダーの開発が加速しています。
 ハードウェアが進み、さらにはソフトウェアがハードウェアを補うことによりさらに加速しています。

Y2Qへのカウントダウン(2026-2035)
 PQC完全移行デッドラインが2033年から2031年に前倒しになりました。

量子時代の暗号クライシス
 Shorのアルゴリズム:公開鍵暗号(RSA)が解読可能になります。
 SNDL脅威:「今盗んで、将来解読する」攻撃が既に進行中です。
 耐性のある暗号AES-256(共通鍵)やPQC(格子暗号)が盾になります。

耐量子暗号(PQC)の現状と即時対応
 NISTによる標準化が完了しました。
 暗号資産の棚卸しをして、PPK(事前共有鍵)による暫定的な耐量子シールドの構築をすべきです。

署名用PQCの課題:巨大パケットの壁
 最大の問題はパケットの肥大化です。
 クライアントVPNは無理になります。

VPN撲滅とゼロトラスト
 クライアントVPNから脱却し、ZTNAへの移行戦略として通信をTLS1.3(HTTPS)ベースに集約することが重要です。

量子コンピュータの脅威と安全な暗号
 量子コンピュータの実用化によって、現在の公開鍵暗号の完全無力化などのリスクが増大します。

 リスクとならない(耐性のある)暗号方式
 ・共通鍵暗号(AES-256)
 ・耐量子コンピュータ暗号(PQC)

(発表後半の資料はありません)

PQC情報アップデート
 量子コンピュータの実用化によって公開鍵暗号は完全に無力化されます。
 共通鍵暗号(AES-256)と耐量子コンピュータ暗号(PQC)は量子コンピュータでも理論上は破られません。

量子コンピュータの実用時期(Y2Q)と各国の目標
 実用化(脅威の到来)のタイムラインは、2029年にエラー訂正付き量子コンピュータが登場し、2033~2035年頃に暗号解読の閾値に王手がかかると予測されています。

国家機関・国際標準の「移行デッドライン」
 米国:2033~2035年頃までに国家安全保障にかかわる全システムにPQC完全移行を義務化としています。
 日本:政府共通プラットフォームのPQC移行計画を推進し、2030年代前半に向けて段階的対応を検討中です。

非対称鍵暗号の種類と用途の変遷
 鍵交換(Key Exchange)は一般的な公開鍵ペアを用い、通信ごとに異なる共通鍵を安全に生成します。
 デジタル署名(Digital Signature)は接続先が本物のサーバであることを証明し、通信データが途中で改ざんされていないことを保証します。

耐量子暗号(PQC)の現状と今すぐ取り組むべき対策
 ・暗号資産の棚卸し(自社システムでどこに古い暗号が使われているか)
 ・共通鍵の格上げ
 ・PPK(事前共有鍵)の導入

参考として
 ハイブリッド鍵交換方式のテクニカル解説 ※参考として
  2つの異なる数理的プロセスを融合し、安全性における「フェイルセーフ」の仕組みが必要です。

署名用耐量子暗号(PQC)の実用課題と検討状況
 「鍵交換」の先にある巨大な障壁としてデジタル署名のPQC化、署名PQCが破綻した際のリスクなどがあります。

ZTAによるモダンアーキテクチャへの移行とVPNの終焉
 クライアント~拠点間VPNには限界があり、VPNルーターの正しい適材適所とゼロトラスト・アーキテクチャ(ZTA)へのモダンな移行が重要です。

補足として
 Nginx/ApacheにおけるPQC実装とポイント
  導入時のチェックポイントは以下の通りです。
  ・ライブラリの確認
  ・ハイブリッド方式の推奨
  ・QUICパケット分割

質疑応答
後藤さん
Q:今までの公開鍵暗号化方式がPQCに置き換わるのでしょうか?
A:はい、その通りです
Q:PQCの仕組みで鍵交換すると考えて良いですか?
A:その通りです。

発表2:サムライクラウド部会発表
    『AIモデルとAgentのトレンド』
    株式会社テッキーズポッド 代表 戌亥 稔 氏

現在のAIモデルの状況
 フロンティアモデル(ラボ)は以下の3つがあります。
 ・Gemini by Google DeepMind
 ・ChatGPT by OpenAI
 ・Claude by Anthropic

System1(帰納法/非決定的推論)とSystem2(演繹法/決定的推論)
 System1が困難に遭遇するとSystem2が応援に駆り出され、問題解決に役立つ緻密で的確な処理を行います。
 非決定的推論のため、同じプロンプトに対して毎回微妙に答えが異なります。

AGIへの軌跡:「ギザギザの脳」を克服する継続学習と自律的進化
 現在の「ギザギザ」な認知の地形図を、継続学習と再帰的自己改善によりAGIに近づけることができると言われています。

AIエージェントとモデルの関係
 エージェントは人間とAIモデルの間に立ち、コンテキストを保持しながら自律的に動く「中間管理職」です。

Coding Agentの戦国時代
 複数のエージェントが出てきて競争が起き始めています。
 AIエージェントの中にハーネスをつけてAIモデルが変な動きをしないようにするのが一般的です。

MCP
 この2年で5回の仕様を更新してます。
 仕様更新の一つは、ステートレスにしてNo Sessionとなっていて、もう一つはセキュリティ仕様の強化として、エージェントIDの仕組みやOAuth2.1の仕組みが作られました。

MCPクライアント実装(AI Native BI)
 AIに分析を指示するとデータベースに見なくても良いようなデータを手当たり次第に見に行くので、メタ情報を使ってテーブル名を付けておけば余計な処理をしなくてすみます。
 これもハーネスの一つです。

Coding Agentの進化
 2つの目的があり、ソフトウェア開発の高度な効率化(自動化)と生成AIを使って新しい価値を生む(DX)ことです。

Coding Agentから汎用エージェントへ
 継続学習をループ化することによりAGIができると言われています。

ハーネスの一般化
 Coding以外の仕組みにハーネスが使われるようになります。

Agent時代の課題は次の3つです。
・継続学習(モデル)とRSI(ループ・強化学習)
・複数のAgentが平行にタスク実行(トークンコストの増加)
・AgentおよびMCPのセキュリティ強化

AGIができると量子コンピュータがもっと早くできるかもしれません。
既にコヒーレント(安定状態)は強化学習で可能になると言われています。

質疑
野元さん
Q:継続学習というのは一般人が触れる領域なのでしょうか?
A:今はできませんが、頻繁に新たなモデルを出しているグーグルのジェミニをプライベートクラウドに置いて自社のデータを学習させるとジェミニモデルになる可能性はあります。

佐々木さん
Q:AIエージェントの進化がAGIにつながるのでしょうか?それとも別の道筋なのでしょうか?
A:AIエージェント自体がAGIになるのではなく、ある業界の新しい知見は他の業界でも使えるわけで、それを使ってAGIが出来上がる可能性はあると思います。

藤田さん
Q:AIエージェントがこのまま進化するとコントロールできなくなるのではないでしょうか?
A:実際にそういうことが起きています。AIモデルの中でアライメント(制限)を緩めると賢くなることが分かっているので、アライメントをどういう具合にすべきかということが議論されています。

田邉さん
Q:AIの使い手側が意識すべきことは?
A:基本的なAIの作りの概念は勉強して覚えておいた方が良いですし、AIから出てきたアウトプットをそのまま信用せず、チェックする必要があります。

4.クラウドビジネス推進部会発表

発表3:『MCP Apps & Agent Skillsのクラウドビジネスへの活用!』

クラウドビジネス推進部会
部会長 藤田 浩之

クラウドビジネス推進部会では継続的に生成AIやAIエージェント関連技術をテーマに取り上げており、昨年はMCPの基本概念を解説しました。その後、MCPを取り巻く環境が大きく進化し、新たに「MCP Apps」や「Agent Skills」といった仕組みが登場したことから、これらをクラウドビジネスへどのように活用できるかをテーマとしてお話をします。

【LLM・AI Agent・MCPのおさらい】
LLM(Large Language Model)は、AIシステムの頭脳として機能する大規模言語モデルです。大量のデータから学習した知識をもとに、自然言語の理解や文章生成、推論などを実行します。
一方で、LLM単体では外部システムへのアクセスや最新情報の取得に限界があります。そのため、計画立案(Planning)、記憶保持(Memory)、ツール利用(Tool Use)などを実装したAI Agentが活用されています。
MCP(Model Context Protocol)は、AI Agentと外部システムを接続する共通規格です。異なるAIサービス間でも共通的に利用できる外部連携の仕組みとして注目されています。従来はAIごとに個別のコネクタ開発が必要でしたが、MCPの登場により、一度サーバーを実装すれば複数のAIエージェントから利用できるようになりました。

【MCP Apps】
<MCP Appsとは?>
MCP AppsはMCPの拡張仕様であり、単なるデータ連携から「UIの提供」へ進化させる仕組みです。従来のMCPではテキストとして結果を返すだけでしたが、MCP AppsではHTMLベースのインタラクティブな画面をAIチャット上へ直接表示できます。
2026年1月にオープンスタンダードとして公開され、複雑な分析結果や入力フォーム、グラフ、ダッシュボードなどをチャット画面上で利用できるようになりました。AIが長文で説明する代わりに、利用者が直接操作できるUIを提供できる点が大きな特徴です。

<必要とされる背景>
従来のチャット型AIでは、複雑な分析結果を文章だけで理解する必要があり、意思決定に時間がかかるという課題がありました。また、複数システムを行き来する操作コストや情報の分断も課題となっていました。
MCP Appsはチャット内に必要なUIを表示できるため、利用者は同一画面内で確認・入力・分析を完結できます。これにより、ユーザー体験の向上と業務効率化が期待されます。

<MCPの処理フロー>
MCPの基本処理は、initializeによるサーバー情報取得、tools/listによるツール一覧取得、tools/callによるツール実行、resource/listによるリソース一覧取得、resource/readによるリソース内容取得という流れで実行されます。
MCP Appsも基本的な処理フローは従来のMCPと同じです。ツール情報の中にUIリソースへのURIを追加することで、チャット画面上でのUI表示を実現しています。

<セキュリティ設計>
MCP AppsではHTMLを表示するため、セキュリティ対策が重要です。iframeとSandboxを活用して実行環境を分離しています。また、ホスト側がUIを直接解釈しない構造を採用することで安全性を高めています。さらに、CSP(Content Security Policy)による制御によってクロスサイトスクリプティングなどのリスク低減が図られています。

<MCP Appsデモ>
デジタル庁が公開している行政手続等調査データ約75,000件を活用したMCPサーバーを紹介。

MCPサーバーとして4ツールを提供

  1. list_datasets
  2. inspect_dataset
  3. query_records
  4. summarize_records

自然言語で質問するだけでデータセット構造の確認や集計、ランキング分析などを実施できることをデモ。また、結果を円グラフなどのビジュアル形式で表示できるため、利用者にとって理解しやすい情報提供が可能であることが確認できました。

【Agent Skills】
<Agent Skillsとは?>
Agent Skillsは、AI Agentに業務知識や作業手順を与えるための仕組みです。人が毎回詳細なプロンプトを書く代わりに、業務マニュアルや手順書をAIに事前登録する考え方に近いものです。Anthropicが提唱したオープンな仕組みであり、SKILL.mdを中心としたフォルダ構成で提供されます。

<Agent Skillsの構成要素>
Agent Skillsには、知識(Knowledge)、手順(Procedure)、判断基準(Decision Criteria)、出力フォーマット(Output Format)が含まれます。AIはこれらの情報を参照しながら業務を実行します。また、スクリプトやテンプレートを組み合わせることで、より高度な業務フローを実現できます。

<Agent Skillsデモ>
「Morning Task」というサンプルスキルを紹介。

このスキルでは、出社時に実施する定型業務をまとめて自動実行するよう定義されています。具体的には、勤怠確認、未処理メール確認、承認待ち案件確認、当日スケジュール確認、朝会準備などが含まれています。利用者が「出社しました」や「おはよう」と入力するとスキルが起動し、定義済みの手順に沿って処理が実行されます。

【まとめ】
MCP Appsは、AIチャット環境にリッチなUIを提供することで、従来のテキスト中心のAI利用から一歩進んだユーザー体験を実現する技術です。一方、Agent Skillsは組織の業務知識やノウハウをAIへ標準化して与える仕組みであり、継続的な業務自動化と品質向上に寄与します。両者を組み合わせることで、AIエージェントが業務知識を活用しながら最適なUIを提供し、企業のクラウドビジネスや運用業務を効率化できる可能性があります。今後、MCP AppsとAgent SkillsはAI活用基盤を支える重要な技術として普及していくことが期待されます。

【質疑応答】
Q1. デジタル庁がMCPサーバーを公開する目的は何でしょうか?
A1. AIとデータ活用を連携させるモデルケースを示すことが目的であり、MCP活用のサンプルとしての意味合いが強いです。

Q2. MCP Appsは運用管理分野でも活用できますか?
A2. スケジュール管理や監視状況確認、運用ダッシュボード表示などを組み合わせることで、十分に活用できると思います。

Q3. Agent Skillsは厳密な処理保証を行うのでしょうか?
A3. Agent Skillsは業務手順や性格付けに近い仕組みであり、利用するAIモデルによって解釈結果に差異が生じる可能性があります。

発表4:クラウドビジネス推進部会発表
パネル風ディスカッション『技術とAIの掛け合わせで、クラウドビジネスの可能性を拓く!』

モデレーター:
クラウドビジネス推進部会 部会長 藤田 浩之

パネリスト:
株式会社DataWisdom 大場 智康 氏
ハピーテック合同会社 小島 秀登 氏
株式会社アルティメット 牛草 進 氏
Fullon株式会社 田上 真也 氏

藤田:
それではパネルディスカッションを開始します。今回のテーマは技術とAIの掛け合わせです。NCWGではこれまで、ID連携、ビッグデータ、クラウドセキュリティ、IoT、Docker、VR、LoRa、ブロックチェーン、ディープラーニング、メタバース、IOWN、生成AI、量子コンピュータなど、さまざまな技術を取り上げてきました。本日のディスカッションでは、「XR×AI」「IOWN×AI」「IoT×AI」をテーマに、実現できることや課題、リスクについて議論していきます。

【パネリスト自己紹介】
AIブームは一過性か、社会基盤級の変革か?(※全員社会基盤級の変革という認識)

大場:
DataWisdomの大場です。物理を専門に学び、量子コンピュータとも縁がありました。現在はデータ解析や生成AI、RAG活用に取り組んでいます。

小島:
ハピーテックの小島です。ハードウェアやソフトウェア開発に携わってきました。最近はAI活用にも取り組んでいます。

牛草:
アルティメットの牛草です。データベース技術者として働いてきましたが、現在は管理職を担当しています。

田上:
Fullonの田上です。AIエージェント関連の活動を行いながら、現場業務にも携わっています。

【XR✕AI】
例えば、作業員がスマートグラスを装着し、カメラ映像をAIが解析して、「次はこのボタンを押してください」「この配管が腐食しています」と視界に表示する現場を考えます。こうした仕組みは、熟練者不足や外国人労働者・新人の教育に有効でしょうか。

藤田:
作業員がスマートグラスを装着し、AIが映像解析を行って「次はこのボタンを押してください」「この配管が腐食しています」と表示する世界についてどう思いますか。

大場:
この話には見える化と判断支援という二つの側面があります。腐食箇所を表示するだけなら実現しやすいですが、状況に応じた判断支援になると生成AIの領域になります。最近の技術進歩を見ると十分現実的だと思います。ただし表示方法には配慮が必要です。

小島:
マニュアル提示はすでに実用化されています。AIは人間の見落としを防ぎ、複雑な工程管理や安全管理を支援できると思います。

牛草:
私は建築現場で働いた経験があります。AIが指示を出しても、実際に施工する技術は人間が身につけなければなりません。
一方で新人教育や技術継承には非常に有効だと思います。

田上:
技術的に最も難しいのはデータ収集です。熟練者の判断やノウハウをデータ化することが重要です。

藤田:
AIの指示ミスが発生した場合の責任は誰が負うべきでしょうか。

大場:
難しい問題ですが、現状では最終的に監督する人間が責任を持つことになると思います。

【IOWN✕AI】
ロボットやドローンに大きなAIコンピューターを搭載するのではなく、ネットワークの先にあるデータセンターにAIの「頭脳」を置き、リアルタイムに制御できると思います。特にIOWNが実現されると、低遅延、広帯域、長距離でデータがネットワーク越しに利用できるようになります。

藤田:
AIの頭脳をデータセンター側に置き、ネットワーク越しにロボットやドローンを制御する世界について伺います。

田上:
通信性能が向上するほど集中管理が進むと思います。大規模なAIを中央に配置する形が現実的です。管理面でも中央集約の方が効率的だと思います。

小島:
用途によります。建設重機のように危険な機械はローカル側で安全制御を完結させるべきです。一方、小型ドローンはクラウド中心でもよいでしょう。

大場:
リアルタイム性が求められる場面では従来のアルゴリズムとの組み合わせが重要です。すべてを生成AIに任せるべきではありません。

【IoT✕AI】
IoTカメラが店内の空席や客層を把握し、AIエージェントがSNSやGoogleビジネスプロフィールを更新して集客する。あるいは、ビルの人流や温度を把握し、空調や電力を自動制御する。こうした「把握・判断・実行」までをAIが行う世界を考えます。

藤田:
IoTセンサーとAIを組み合わせた自動制御の世界について伺います。

大場:
工場設備の音や流量など複数のデータを組み合わせて分析することで、高度な異常検知が可能になります。

田上:
AIだけでは不十分です。設備側もAIに対応できるインフラが必要です。

牛草:
人手不足が進む中で、AIやIoTへの投資は必要になると思います。ただし利益追求というより事業継続のための投資という側面が強いでしょう。

田上:
命やセキュリティに関わる判断は人間が行い、それ以外はAIに委ねるなど明確な切り分けが必要です。

【技術✕AIの3つのトピックを議論して、会場の皆さんへのメッセージ】
大場:
生成AIを使うことは重要ですが、何をしたいのかという意思は人間が持ち続けるべきです。

小島:
AIは人間の能力を拡張するツールです。目的意識を持つ人ほど成果を出せると思います。

牛草:
AIとの対話によって自分の能力も高まっていると感じます。

田上:
AIでできることは増えていますが、解決できない課題もあります。その部分が今後のビジネスチャンスになると思います。

藤田:
本日はありがとうございました。今後もクラウドビジネスサロンで議論を深めていきたいと思います。

5.会長からの総括
会長 小堀 吉伸

皆さん、お疲れさまでした。
長時間にわたりご参加いただきありがとうございました。3時間という長丁場となりましたが、本日はこの1年間の総括という位置付けで部会を開催しました。
実は、このような総括会は15年間活動してきた中で初めての取り組みです。本来であれば、もっと早い段階でこうした振り返りの機会を設けるべきだったと思っています。やりっぱなしというのは一番良くありません。こうした機会を継続的につくりながら、本当であれば内容を文章化し、出版するなどさまざまな展開も考えられますが、まずは本日発表いただいた皆さんに感謝を申し上げます。
ご登壇いただいた皆さん、本当にありがとうございました。お疲れさまでした。

そして、本日の総括とは別にお伝えしたいことがあります。
実は本日が、ニッポンクラウドワーキンググループとして東京で開催する最後の会合となります。また、10月で今年度の活動が終了し、早いもので15年目の活動が終了することになります。
来期については、これから皆さんとさまざまな意見交換をしながら検討していきますが、本日一貫して出てきたキーワード「AI」だったと思います。現在の主戦場はAIですので、それは当然の流れです。しかし一方で、クラウドという言葉があまり出てきませんでした。
私たちはニッポンクラウドワーキンググループです。あくまでもクラウドを中心とした活動を行う会です。そのため、今年度から新たなキーワードとして「クラウドAI」という考え方を掲げています。私たちはクラウドの会ですので、「クラウド上でのAI」という考え方を大切にしています。例えば、AIをクラウドの一機能として捉えることや、AIサービス群をクラウドとして提供することなどです。理事や実行委員の皆さんにも、この考え方について共有しています。

この1年を振り返ると、やはりAIが中心テーマでした。本日もAIが主役でしたし、それは正しい流れです。しかし、私たちは「日本クラウドAIワーキンググループ」になるわけではありません。引き続き、「ニッポンクラウドワーキンググループ」として活動していきます。
また、以前から「クラウドケーパビリティ」という言葉を使っています。これは、クラウドを提供する能力と、クラウドを利活用する能力の両方を意味しています。
大阪開催のテーマも「クラウドAIでクラウドケーパビリティを積む」という考え方をベースに設定しました。AIは今後、特別なものではなくなり、社会インフラとして自然に使われる存在になっていくでしょう。今後どう変化していくかは分かりませんが、AIがなくなることはありません。

クラウドビジネスサロンでは本当に幅広いテーマを扱っています。ニッポンクラウドワーキンググループとしては、幅広いテーマを取り上げながら皆さんに発信していくことが重要だと思っています。
また、サムライクラウド部会でもAIを扱っていますが、その根底にはゼロトラストなど一貫した考え方があります。
ニッポンクラウドワーキンググループは、皆さんが「こんなことをやりたい」「あんなことをやりたい」という思いを実現するための場を提供してきました。これは15年間変わらず続けてきた考え方です。AIというテーマひとつ取っても、多くの切り口があり、多様な関わり方があります。今日の話についても、「難しかった」で終わるのではなく、「面白かった」「もう少し勉強してみよう」と思っていただければうれしく思います。
ぜひ今後も、ニッポンクラウドワーキンググループを皆さんの活動の場として活用してください。

期は11月から始まる予定です。
私たちの活動は、多くの方々のご支援によって成り立っています。そのため、ご支援いただいている皆さまの期待に応えることを常に考えています。そうした点も踏まえながら、来期の構想を進めていきたいと思っています。
引き続き、ニッポンクラウドワーキンググループは活動を継続していきます。皆さんにご参加いただけなければ推進力がなくなってしまいます。
ぜひ今後も積極的にご参加ください。良いことも悪いことも含め、この会を皆さんのために活用していただければと思います。

最後になりますが、本日ご登壇・ご発表いただいた皆さま、本当にありがとうございました。

6.懇親会

恒例の懇親会も大いに盛り上がりました。
ご参加された皆さん、お疲れ様でした。

【NCWG実行委員 報告書作成者】
宮原 哲也(株式会社アルティネット)
佐々木 泰(株式会社クオリティア)


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