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第79回ニッポンクラウドワーキンググループ会合報告

『生成AIでクラウドケイパビリティを伸ばし、サムライクラウドを実現する!』をテーマとし、クラウドビジネス推進部会発表を中心に、ニッポンクラウドワーキンググループ第79回会合を、リアルとオンラインのハイブリッドにて開催いたしました。

今回の会合は、関東ITソフトウェア健康保険組合 市ヶ谷健保会館にて、多くの方々にご参加いただき活気ある会合となりました。

テーマ:『サムライクラウド部会発表』
日 時:2025年9月30日(火)17:00~19:00
             懇親会 19:30~21:30
場 所:関東ITソフトウェア健康保険組合 市ヶ谷健保会館 F室
    東京都新宿区市谷仲之町4-39
    および、オンライン(Zoom)

【司会者のご紹介】
司会 NCWG副会長 藤田 浩之

1.開催のご挨拶 
副会長 藤田 浩之

本日は第79回会合にご参加いただき、ありがとうございます。

本日のテーマは『生成AIでクラウドケイパビリティを伸ばし、サムライクラウドを実現する!』です。

コンテンツは2つで、1つ目は「MCP/A2Aの仕組みとその活用」について、クラウドビジネス推進会の部会長である私、藤田から発表いたします。

2つ目はクラウドビジネスサロンに参加する部会メンバーから「各社の視点における生成AIやMCPの活用」について発表いただきます。

さらに本日は9月に開催された「さくらインターネット社 石狩DC見学会」の報告を実行委員のブライエ内田さんからお話いただきます。

2.部会報告

サムライクラウド部会
部会長 野元 恒志

サムライクラウド部会とクラウドビジネス推進会ともに、現在生成AIに関する議論が中心となっていますが、サムライクラウド部会は元々ゼロトラストを主軸としたセキュリティ関連の議論を行う部会であるため、生成AIの動向を追いかけつつも、セキュリティを活動の核として推進していくことを目指します。次回の部会は10月下旬に開催を予定しています。

クラウドビジネス推進部
部会長 藤田 浩之

クラウドビジネスサロンは、メンバー相互の交流の機会を積極的に作りたいという思いから、みなさんが気軽に参加して「クラウドビジネス」について語り合うことできるように、オンライン、リアル問わず、お酒など飲食しながら「テーマ」に沿った話題で進行するスタイルで開催いたします。

次回のクラウドビジネスサロンは、10月14日(火)を予定しています。

本日の発表テーマである「MCP」は、7月からクラウドビジネスサロンで取り扱ってきたテーマであり、2回のサロンを経た濃い内容を本日はお届けします。

3.クラウド推進部会発表

発表1)MCP/A2Aの仕組みとその活用

クラウドビジネス推進部会 部会長 藤田 浩之

■大規模言語モデル(LLM)のおさらいとMCP/A2Aの登場

皆さんもご存じのように、生成AIのLLM(大規模言語モデル)は、学習した時点のデータに基づいて作成されています。このため、最新の情報や学習していないことには対応できず、場合によってはハルシネーション(虚偽の情報生成)などの課題がありました。

この課題を解決するため、RAG(Retrieval Augmented Generation、検索拡張生成)という技術が登場しました。RAGは、LLMに外部の最新情報や専門知識を与え、回答の精度と信頼性を向上させる手法です。回答に必要な根拠となる情報をLLMに提示することで、ハルシネーションの抑制が可能になります。

RAGの具体的な仕組みは、AIエージェントへの質問をそのままLLMに送るのではなく、質問に関連する情報をデータベース、文書、Webなどから検索します。そして、得られた検索結果(関連情報)と質問を一緒にLLMに送信し、回答を生成させるといった流れです。

しかし、RAGを利用するには、自前での実装が必要な場合や、利用するサービスへの機能組み込みを待つ必要があり、それぞれ技術的なハードルや開発コスト・時間、各社対応までの時間といった課題がありました。

そこで登場したのがMCPです。

MCP(ModelContextProtocol)は、LLMのClaudeで有名なAnthropic社が2024年11月に提唱したプロトコルです。これは、LLM(Model)が応答テキストを生成する際に必要となるヒント(Context)を取得するための規約(Protocol)として機能します。

MCPはサーバー・クライアントモデルで構成されており、情報や機能を提供する「MCP Server」と、AIエージェント側に組み込まれる「MCP Client」に分かれています。
MCPの具体的な仕組みは、まずMCP Serverが持つ機能を「Tool List」としてAIエージェントに教えることから始まります。
MCPの仕組みの最大の特徴は、この「Tool List」の記述方法にあります。「Tool List」は単なる関数の定義リストではなく、関数の目的、呼び出す場合の条件、パラメータの細かい仕様などを自然言語で記述します。この情報をLLMに渡すことで、LLMは質問の内容に応じてどのツールを呼び出すのが相応しいかを判断し、必要なパラメータとともに実行を指示します。
この一連の流れは、プロンプト技術の応用とも言えます。違いは、必要なプロンプトをユーザーが指定するのではなくMCPサーバーがAgentに教えてくれること、そして、ツールの関数の実行までをAgent側で行い、その実行結果に基づいて、場合によってはさらなるツール呼び出しまで自律的に実行できる点にあります。

Anthropic社が提唱したMCPですが、2025年にはOpenAI、Google、Amazon、Microsoftといった主要な企業が次々と対応を表明し、もはやデファクトスタンダードとなりつつあります。この規格に対応すれば、あらゆるLLM、あらゆる生成AIツールと簡単に連携できるようになります。
ユーザーにとっては、普段利用するMCP対応のAIエージェントから様々なMCP Serverの機能を利用できることで、生成AIでできることが増加し、生産性が向上します。
製品/サービスベンダーにとっては、自社の製品/サービスをMCP対応させるだけで、OpenAI, Google, Anthropicなど複数のLLMと連携可能になり、製品価値の向上に繋げられます。さらに、AIエージェントごとに個別の連携サービスを作る必要がないため開発コストの削減に繋がり、また、様々なAIエージェントで利用可能となることから、利用機会の創出にも繋がります。

「MCPはAIアプリケーション用のUSB-Cポートのようなもの」と表現されるように、MCPの規格により、AIエージェント非依存であらゆるMCP Serverの機能を利用できるとともに、それぞれのMCP Serverによって機能を補完することが可能です。この相互補完のエコシステムこそがMCPの真価だと言えます。

Anthropic社が提唱したMCPとは別に、A2Aという仕組みをGoogleが2025年4月9日に発表しています。A2A(Agent-to-Agent)は、異なるベンダーや技術基盤で構築されたAIエージェント同士が安全かつ効率的に連携できるように設計された共通プロトコルです。A2Aにより、複数の専門エージェントが共通ルールに基づいて通信し、複雑なタスクを自律的に実行することができます。
MCPとの違いは、例えるならMCPがAIエージェントにとっての「道具の利用」であるのに対し、A2AはAIエージェントにとっての「専門家への相談」になります。
自身では解決できない内容を、より専門性の高いLLMや拡張生成機能を持つ別のAgentに問い合わせ、連携して解決することが可能になります。
A2AはMCPと比較するとこれからの技術です。

■MCP/A2A対応がもたらすビジネス効果

MCP(Model Context Protocol)に対応することは、AIツール経由での新たな顧客層の獲得と、既存ユーザーのサービス利用の利便性向上をもたらし、さらに、ゼロからのAI開発を避け外部LLMと連携することで開発コストを削減しつつ、業界標準にいち早く対応することによる先行者利益の確保を通じて、競争優位性を確立する戦略的な一手となります。まず標準的なMCPから対応を開始し、その後のA2A(Agent to Agent) 対応によって他社との差別化を図ることが成功への鍵となります。

■なぜ今、MCP/A2Aを推しているのか。

MCP(Model Context Protocol)による容易なアプリケーション連携、データ連携の実現は、「サムライクラウド」の要件に合致するものであり、またA2A(Agent-to-Agent)による各社の強みの掛け合わせの実現は新たなビジネスモデルの構築に繋がり、これも「サムライクラウド」の要件に合致します。
競争力を強化するためにも、MCP/A2Aへの対応に着手することを強く推奨します。
そして、「サムライクラウド」の実現に繋げていければと思います。

※「サムライクラウド」の定義(by NCWG)

 ・日本から発出するクラウドビジネスモデルの構築を意義としての「サムライクラウド」

 ・IDやアプリケーション、UI、DATA連携など日本から発出できるクラウドサービスの技術的意義としての「サムライクラウド」

発表1)MCP/A2Aの仕組みとその活用」の質疑応答

Q:他社が提供するMCPサービスを利用する場合の利用料の計算などどういった仕組みなのでしょうか。
A:Amazonなどもそうなのですが、基本的にトランザクション課金になると思います。月何リクエストまで定額でその後制限なのか従量課金など、そういった細かい計算を行う機能が必須になると思います。

Q:今後AIエージェントがなんでもやってくれるというようなことになる可能性があると思いますが、例えば出張の際に航空券やホテルを手配してくれるというようなことも可能になってくると思いますが、それを実現するためのハードルなど藤田さんが考えていることはありますか。
A:ハードルに関しては誤予約や誤発注のようなものを防ぐことが重要ではないかと思います。プロンプトで防ぐのかあるいは別の技術がでてくるのかわかりませんが、通知をユーザーが確認した上で確定するなどが必要だと思います。

発表2)クラウドビジネス推進部会参加メンバー発表

「クラウドビジネスサロンに参加してAIと仲良くなろう」
 株式会社ビッグローブ 高橋 誠 氏

2023年頃に初参加させていただいたときはChatGPTが騒がれていたときでAIに関する知識も乏しく、AI=ChatGPTだと思っているくらいでした。1年経った2024年頃には弊社はGeminiを自由に使える環境になったということもあり、AIがないと困るくらいまでになっています。現在では、Gem(AIアシスタントを作成できる)を利用して業務効率を最大化できるように頑張っています。

クラウドビジネスサロンに参加したことがきっかけで、AIに興味を持ち、自ら情報を集めたり、活用したりするようになりました。
今まで使ったことがある生成AIもGemini、Copilot、NotebookLLM、ChatGPTと増えてきています。

定期的に開催されるクラウドビジネスサロンに継続して参加することで、新しい情報が取得でき、自身で深堀し、その後に社内のAIチームとディスカッションを経て自身のレベルアップというサイクルを回せるようになりました。

ビッグローブでのAIの取り組みについてご紹介させていただきます。
2023年11月に「最近流行りの生成AIを使ってブログを書かせてみた」という内容を弊社のTechBlogで公開していたくらいのものでしたが、その1年後にコールセンターの問合せ対応支援を目的としたリアルタイムAI分析を利用していました。
さらに2025年3月に独自開発した「社内文書AIサーチ」をリリースしました。当初はGoogleがMCPに対応していなかったのですが、今年の6月にMCPに対応してからUIが完結になったりと現在でも進化を続けています。
また、今後の取り組みに関して、MCPやA2Aを活用して自社の課題を解決できるかという意味では”コールセンターの高精度化”というものが親和性が高いと思っていて、例えば、お客様からの問い合わせの1次受けはAIのボイスボットで対応して、手に負えないものはオペレーターに回すというものです。
可能な限り1次受けのAIボットの段階で問い合わせをクローズさせるにはどうしたら良いのかについてもAIを活用して、まだ難しい内容のものもありこれからもっとAIを活用しながら課題を解決できるように進めていきたいと考えています。

「アシロボのAI活用をアシロボ開発者に聞いてみた。」
 株式会社ドヴァ 井口 和彦 氏

弊社は通信インフラを担っている会社なのですが、6年前からアシロボというRPA製品を展開しております。
RPAアシロボを展示会などに出展しているとよく「AIですか?」と聞かれるのですが、その際には、人間に例えて「AIは脳」(自分で考え、学習し、問題解決能力をもつ)「RPAは手」(ルールと手順が決まっていて、人間の作業を自動化する技術)というように説明させて頂いています。
別の例えでは、楽譜どおりに演奏してくれる”自動演奏ピアノのパソコン版”という説明をすることもあります。

今回はアシロボのAI活用というお題でアシロボ開発者に意見を募ってみましたしたので、いくつかご紹介させていただきます。

その1:アシロボ自体にAIの機能は搭載されていないので直接的なMCP連携は現状できないが、MCP連携しているAIツールをアシロボで操作するということはできる。MCPを使ってシステム連携ができるようになるが、それでは補えないシステム連携をアシロボを使って補完することで共存できると考えている。
その2:仮にアシロボのMCP連携となるとアシロボがエージェントになり、AIがアシロボのシナリオを動的に実行するという形になると思う。もし、直接的にアシロボを手足にしたい場合は、アシロボのAPI、ロボミニストレーターのAPIを開発すべきかもしれない。
    ロボミニストレーターは多数のRPA端末をウェブブラウザか管理コンソールから一元管理できる弊社の製品です。
その3:自然言語インターフェースとして使う。生成AI経由で「伝票処理を実行」「月次レポートを作成」などと依頼→MCPでアシロボを呼び出し自動実行させる。
    動的シナリオ選択をさせる。AIが業務コンテキストを解析し、適切なアシロボシナリオを選定・実行させる。
    複合AIサービスとの組み合わせ。AI OCRで書類データ抽出→アシロボが基幹システム登録→別AIが要約・分析する
    AI対話×RPA:AIチャットボットが顧客要望を解析→アシロボが処理実行→AIに自然言語で解答を返却させる
その4:MCPはアプリケーションとして使うには不可欠なものだと思う。A2Aは結果的にそれに規制をハメて産業化を推進することになると思うが、一方で可能性を制限することにならないかを懸念している。
    懸念される「囲い込み」のリスクとして、巨大IT企業が主導することで実質的な市場支配に繋がる危険性があるので、コミュニティの積極的な関与が不可欠だと思っている。

「Teasy AIエージェントと描く、AIが共に働く未来」
 Fullon株式会社 田上 真也 氏

弊社は勤怠管理を行う「Teasy」というサービスを展開しています。紙の打刻やEXCELなどで管理されているところもまだまだあると思いますが、もしTeasyなどのシステムで勤怠管理を行っていたとしてもまだまだ人手の管理に時間を取られていると感じます。
例えば、「打刻忘れ・申請漏れ」「有給5日義務化対応」「残業上限制」「リーダー/人事の催促業務」などですが、これらにAIを活用することで解消できるのではないかと考えましたので、その内容をご紹介させていただきます。

AIエージェントが実現するのは、打刻の為のアプリではなく打刻を忘れないための仕組みで、「がんばる勤怠管理からやらない・考えなくていい勤怠管理」として、AIレイヤーをTeasyに追加するシンプルな拡張でできるようにしたいと思っています。
また、AI予測通知として全員に同じ通知を送るのではなく、打刻忘れが多い人には沢山通知がくるようになったり、長時間残業が続いた社員には定時退社を促すメッセージに変更したり、勤怠に問題のない社員には通知を送らないようにするなど必要な人に必要なメッセージを送ることが可能になります。
MCPでのAI連携についても色々と試している段階ですが、TeasyのAIエージェントはある程度できていますので、使用できる段階になったら改めてお披露目の機会を頂ければと思います。

「受託開発・運用保守におけるMCPサービス利用事例」
 株式会社アルティネット 牛草 進 氏/江原 司 氏

弊社は主にシステムの開発や開発した後の運用保守等を行っています。Backlog等のチケット管理で課題を管理しているのですが、お客様がすべてのチケットに回答してくれればよいのですが、定例会の場などで口頭で回答を頂いて解決するものも多くあります。その場では覚えているのですが後から見返すと何の内容だったのか思い出せない、ということが度々ありました。
そこで、Backlog MCPサービスを利用して、AIに議事録から課題を要約してチケットを取得させる以下のような活用をしています。

1) AIエージェント(Claude Code)にBacklog MCPを接続する。
2) AIエージェントがBacklog MCPを利用し、完了済みの課題を取得する。
3) AIエージェントが取得した課題を要約しファイルに保存する。
4) AIエージェントが関連する議事録を検索し、見つかればファイルに追記し保存する。

これによって要約した内容を見ればある程度のキャッチアップが可能になり、関連する議事録の内容も含まれているので要件を思い出せないときに検索で見つかりやすくなりました。

質疑応答

Q:アルティネットさんに質問です。BacklogでMCPを利用するということは外部連携が増えることになると思いますが、利用する上でセキュリティ面など注意されている点などがあれば教えてください。
A:保存されるデータはローカルになることと、Backlogのデータに関しても自社で運営しているプロジェクトのデータになるので、その内容を外部に漏れないようにすることを気を付けています。
また、Backlog MCPにはプロジェクトを絞るという機能がまだありません。(要望はあがっているので今後対応するかもしれません)
そのためプロンプトレベルで「このプロジェクト以外にはアクセスしないでください」という指示を入れていますが、完全ではないので不必要なプロジェクトにアクセスしていないかを注意しています。

Q:ビッグローブさんへの質問です。AIをとても活用されていると感じました。AIを活用することで具体的にどんなところが効率化できたと考えているかを教えてください。
A:私が一番実感しているのは調査などリサーチしてもらうところが一番時間短縮になっていると感じます。資料を作成する際のエビデンスを用意してもらうとかは今までは自分でネットで検索していましたが、AIでは数分でやってくれます。
その他には、自動でメールを返信してもらったり、スケジュールを確認して打合せを調整してくれたりとかが時間短縮の効果が大きいと思いました。

4.さくらインターネット社 石狩DC見学会報告

株式会社ブライエ 内田 龍 氏

2025年9月5日に「さくらインターネット 石狩データセンター」にて見学会を行っていただきました。本日はその実施報告をいたします。
今回は北海道石狩市に位置する、国内最大級のITインフラを支える重要拠点である石狩データセンターの見学に行ってまいりました。参加者の声という形で、さくらインターネットさんの取り組みについてお伝えできればと思います。

第1・第2・第3号棟まで完成しており、また通常の建屋の他に2025年6月より稼働を開始しているコンテナ型データセンターが立ち並ぶ姿も確認できました。
非常時に備えて施設内には大型の発電機7基を揃え、2018年胆振東部地震の際にも約60時間にわたって、道内全域で停電になっていましたがデータセンターは稼働を継続できたそうです。発電機のパワーとしても施設の規模からすると少しオーバースペックなくらいらしいので、理論上はメンテナンスによる停止を考慮して輪番で発電すれば、燃料さえあればずっと稼働できるようです。

北海道の冷涼な外気を活用した「外気冷房方式」を採用。空調にかかる電力を大幅に削減しています。また、すべて自社施設である強みを生かし、以下のような実験的取り組みをサーバルームごとに変えて効率のよい方式を試行錯誤して常に改善を行っておられました。

・壁吹き出し方式
(部屋全体に空気を回すのに大きな力がいるが、その分大型のファンを設置できるので送風にかかる消費電力は比較的抑えられる。人がすっぽり入るくらいのサイズのファン。)

・天井吹き出し方式
(冷たい空気は下に落ちるのでその意味では天井から吹き降ろすのが効率的だが、設置できるファンに制限があり、小さいファンが増えるため電力消費は比較的増える)

・通路を含め排気と給気それぞれが混じらないように気密をとった区画分け
(他の自社センターで複数社共同で研究した空調設備の成果を新たに導入)

さらなる効率化として、太陽光発電も活用するとともに発電された直流の電気について、高電圧直流(HVDC)給電システムを一部導入し、直流<–>交流の変換回数を減らすことで電力ロスを極力減らす取り組みも行っています。

ベアメタル型GPUクラウドサービス「高火力 PHY」にて NVIDIA H200 のGPUリソースの提供のためコンテナ型データセンターが建設されています。GPUは従来のマシンよりも高熱となることから既存のラックには多く搭載することが難しいのですが、コンテナ内で直接水冷方式とすることで、より高密度に設置・提供が可能になったそうです。

ここで見学会参加者の声をご紹介します。

・設計から運用までほぼすべてを自社で責任をもって運営されているということもあり、あらゆる点でチャレンジしながら、考え抜かれたDCであると感じました。
・国内でも並み居る外資系ベンダーのDCがありますが、独自に様々な挑戦を行って業界をけん引されていることもあり、DCにも「国産」でやっていこうという気概を感じ、身が引き締まる思いです。
・棟ごと、部屋ごとに仕様が変わっていき、データセンターの創意工夫における変遷の歴史を見ることができたような気がします。まるで、データセンターの博覧会を見ているかのようで大変有意義でした。

建屋そのものや、内部の設備、そこで取り組まれていることなど、さくらインターネットさんの常にチャレンジして思い描いたことを実現する姿勢が正しく反映されたデータセンターだと感じました。
ただただ、CO2削減に取り組んでいます、節電しています、といったものではない、実業に対して環境問題や災害その他に向き合ううえで、どのようにして効率化を行い、どうやって改善していくのか、常にそれを試行錯誤し続けていく。
そこにサステナビリティの本質を垣間見たような気がいたします。

5.会長からの総括
会長 小堀 吉伸

皆さん、お疲れ様でした。
本日お話しいただいたみなさん本当にありがとうございました。

今回はクラウドビジネス推進部会の部会報告という形でしたが、こういった形で定期的にアウトプットしていくことが重要だと思っています。部会に参加頂いているみなさんもこういった場があることで活動に身が入るのではないかと思います。
NCWGは技術の会ですので、クラウドビジネス推進部会といいながらもテクニカルなところも入れて活動してくれているのがありがたいです。
さくらインターネットさんの石狩データセンター見学会は私も参加させていただきました。
内田さんの発表を聞いていたみなさんも機会があったら見学会に参加したいと思って頂けたのではないでしょうか。
一昨年はリンクさんの「なかほら牧場」の見学会も行いましたが、こういった形で個人としてお願いできないこともこの会だからこそできることもあります。逆にこの会だからこそやらなければならないこともあります。

ニッポンクラウドワーキンググループはクローズドな会なので、メンバーの皆さんには企画の方にも意見をしていただくなど積極的に繋がっていただければと思います。本日は、お疲れ様でした。

6.懇親会

恒例の懇親会も大いに盛り上がりました。
ご参加された皆さん、お疲れ様でした。

【NCWG実行委員 報告書作成者】
高橋 誠(ビッグローブ株式会社)
横手 広樹(株式会社ブライエ)


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