第67回ニッポンクラウドワーキンググループ会合報告
『 参画各社の強みを知り、クラウドケイパビリティをみがく! 』をテーマに、ニッポンクラウドワーキンググループ第67回会合をハイブリッドにて開催いたしました。
テーマ:『 参画各社の強みを知り、クラウドケイパビリティをみがく! 』
日 時:2023年2月27日(月)17:00~18:40
懇親会 19:00~21:00
場 所:関東ITソフトウェア健康保険組合 市ヶ谷健保会館 F室
東京都新宿区市谷仲之町4-39
https://www.its-kenpo.or.jp/fuzoku/kaigi/ichigaya.html
【司会者のご紹介】
司会 実行委員 横手 広樹
1.開催のご挨拶
NCWG副会長 藤田 浩之
本日は第67回NCWG会合にお集まりいただき、ありがとうございます。
今年初めての会合で、ハイブリッド開催になります。
リアルでご参加の皆さん、オンラインで開催の皆さんありがとうございます。
NCWGは過去二度ハイブリッド開催をしていましたが、いずれもアクロニスさんの会場および機材をお借りして開催いたしましたが、今回からは自前で機材を用意して開催していますので、何かお気づきの点がありましたらお知らせください。
さて、本日は久しぶりのメンバー発表になります。『 参画各社の強みを知り、クラウドケイパビリティをみがく! 』と題して、下記メンバーから発表いただきます。
・ニッコムの小島さん
・クオリティアの佐々木さん
・AXLBITの長谷川さん
それぞれ独自の強みを活かしたビジネスを展開されていますので、みなさんのクラウドビジネスの気づきの切っ掛け、あるいは、協業の切っ掛けになればと思います。さらに、各発表の後には質問の時間を設けますので、是非、根掘り葉掘り質問していただいて、深掘りしていきたいと思います。
最後に今年度のスローガンですが、『Beyond the Clouds2023 ~クラウドケイパビリティをみがき、クラウドビジネスの明日を創る!~』として活動しております。是非今年も、皆さんとともに、ニッポンのクラウドビジネスの明日を創っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
2.部会報告
サムライクラウド部会
部会長 野元 恒志
サムライクラウド部会は認証技術を中心に活動してきましたが、最近はゼロトラストに重きを置いて活動をしています。
ゼロトラストを視点に議論する中で、「ファイル共有のあり方」というものが時代と離れてきているという点があり、ファイルサーバがセキュリティ上の大きなリスクになってきています。現状のファイル共有のあり方や、理想的なファイル共有のあり方といった点から、4月12日の次回会合にてサムライクラウドから発表させていただきますので、楽しみにしていただければと思います。
クラウドアプリケーション部会
部会長 尾鷲 彰一
前年度までAIを自分で学習させていましたが、ディープラーニングからはじめると時間がかかるので成果を出すまでが難しいことが分かりました。今後は時系列予測モデルや自然言語処理等の学習済みデータを使ってAIを活用していきたいと思います。
今年は年6回を予定していますので是非ご参加ください。
クラウドビジネス推進部会
部会長 藤田 浩之
各社のクラウドビジネスを活発化させる目的で「クラウドビジネスサロン」を開催しています。
11月に第11回のサロンを開催し、Open Searchを使ってリアルタイムにデータを解析し、データ投入するためにRPAを活用しました。感想としてはやはりプログラムの知識が必要と感じて、もっと簡単な方法を模索したいと思います。
第12回のサロンを1月に予定していましたが、諸事情によりキャンセルさせていただきました。
第12回クラウドビジネスサロンの開催時期については別途お知らせします。次回はAmazon OpenSearchの活用方法を、アルティネットさんがご提案の経験があるとのことですので発表してもらう予定です。
3.メンバー発表
①『こんな分野にも自動化の流れ:コンクリート吹付機の自動化』
株式会社ニッコム
代表取締役 小島 秀登 氏
簡単にニッコムの紹介をさせていただきます。ニッコムはソフトウェアの受託開発を行っており、もともとは組み込みを得意としていました。最近ではこんな分野でこんなものが使われているかという点でご参考になれば幸いです。
コンクリート吹付機とはトンネルを作成する際に使用されるもので、山岳工法は昔からのやり方なんですが、どうゆう手順でやるかというと、穴をあけて、爆発、削りだし、綺麗にして、支柱をいれてそれと一緒にコンクリートを吹付けてトンネルを作っていきます。
コンクリート吹付機の実物ですが非常に大きいものです。先端からコンクリートが吹き出し、瞬間的にコンクリート固めるために特殊な薬剤を混ぜて吹付をおこないます。複数の個所をコンクリートで固めていく必要があり、映像では自動化されいますが従来は職人が作業をしていました。
コンクリート吹付けを機械で実現するには、様々ななパラメータを指定する必要があります。
そのために必要なことはモデル化することです。吹付アームのモデル化をすることはロボット工学の分野になりますが、今回の件は従来人が行っていた作業をロボットが代わりに行っていく形になります。
座標がどのように変わっていくかを計算し、狙いを定めるためには吹付けをしたいポイントを指定し、逆算してアームの角度がどのようになっている必要があるかを計算する必要があります。
現在は神岡鉱山に現場を作成し本物のトンネルを掘って検証中です。
事前に予測しきれない、歪みやたわみもあり難題にっていますが、AIの画像解析で補修支援できると考えていますが、現場の環境が悪くて実現が難しいとの意見もあります。
■Q&A
Q:製造業の自動化と比べて、土木業界の自動化にギャップがあるのはなぜですか?
A:産業用ロボットの場合は、やることが決まっていてやることに合わせてロボットを作っていますが、この分野だと、もともと人がやっていたことをロボットにやらせているので、コスト面、技術面で難しい課題がある為です。
Q:土木の業界でも無人でおこなわれる未来はありますか?
A:5年から10年後には実装されると考えています。
Q:お客様とのゴール設定はどのように決めていくでしょうか?
A:現場にいる人たちとの意識の疎通は早くとれますが、上層部の方がが入ると話がこじれることもります。ワンチームになって課題に取り組むことが大事と考えています。
Q:実際に吹付けを行うまでにテストはできますか?
A:模擬トンネルでコンクリートを出さない状態でのテストした後に、実際にコンクリート飛ばしてテストします。テスト段階でも多くの時間がかかります。
Q:吹付を失敗したときにリカバリーすることができますか?
A:吹き付けたコンクリートを剥すことはできますが、職人さんがやる必要があり労力がかかります。
Q:機械化の目的はなんですか?コスト削減、安全面でしょうか?
A:全部です。吹付けは職人技なので、職人さんの減少とともに、コンクリートをどのようにすれば効率的に吹付できるか、人材面、効率化、安全性も担保する為です。
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②『「標的型メール攻撃」と「脱PPAP」に有効なソリューション』
株式会社クオリティア
佐々木泰氏
「標的型メール攻撃」の実例として、125万人の名簿が流出した日本年金機構は、職員がメールを開いて感染したことが流出の原因となった。
「標的型メール攻撃」は特定のターゲットに向けて送られるために、フィッシングと違いパターンマッチングが通用しない。
「標的型メール攻撃」の代表例であるエモテットは、Sandbox型アンチウィルスではすり抜けてしまい、トヨタの事例では感染した会社からメールアドレスなどを抜き取って、次のターゲットにされた。
これに対して有効なソリューションとしては、メール本文と添付ファイルを分離して画像化された添付ファイルを見る方法がある。
メールの通信経路の経由した国の国旗が表示されるので、3か国以上の場合は疑うなどの運用も可能。
「脱PPAP」は、2020年11月に霞が関や一部の企業が、暗号化したZIPファイルを今後は受け付けないと表明したことが起点になった。
暗号化した添付ファイルとパスワードを同じ経路で送るのではなく、ファイルはクラウドストレージを利用する、WEBダウンロードにするなど、パスワードを伝える経路と分離する。
Q:経営層にPPAPをやめることを進言するにはどうしたら良いか?
A:PPAPを受け付けない企業のリストを見せたり、取引先が受け付けないのであれば、それを経営層に伝える
Q:御社のサービスのメリットは?
A:メールの送信者と受信者に負担をかけない
Q:Microsoft365やGoogleの場合のSPFレコードの参照数への対策は?
A:確認のうえ後日回答します
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③『見えてきたB2Bサブスク成功への道』
AXLBIT株式会社
長谷川章博氏
サブスクリプションには、B2BかB2Cか、無形物か有形物かの違いがある。
■無形物&B2Bのサブスクについて
サブスクの課題:LifeTimeValue(LTV)をどう上げるか。
サブスクは価値が低下するリースとは異なる。
LTVとは:分母がChurn Rate・分子がARPU
■ユーザ獲得の3つのポイント
・1物多価が成功の秘訣
・商品の多品目化とアップセル・クロスセル
・バンドル戦略で解約率低下
■ウォーターフォール型からメッシュ型の流通
サブスクは「将棋」ではなく「囲碁」である
Q:最適な契約期間は?
A:B2Bは企業の年度を意識した契約期間の設定が好まれる
Q:日本企業向けのB2Bサブスクの提供のポイントは?
A:ディストリビューターとユーザーだけでなくメーカーと販売店も大事
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4.会長からの総括
会長 小堀吉伸
皆さん、お疲れ様でした。
久しぶりにリアルでの会合開催なので、
直接お会いできて本当に感無量です。
本日お話しいただいた三人の方々には、
お忙しいところお時間を取っていただき
本当にありがとうございました。
三社のお話は、
それぞれ1社ごとにも十分に有効性が高いのですが、
三社のお話を綜合して続けて聞かせていただいたことで、
クラウドビジネスへの有効性がより高まったと実感しています。
今回お話しいただいたメンバーの方々のお話を
お聞きするのが久しぶりなので、
お話しいただいた方々の会社が、
現在どのようなことをされているのかが良く分かり、
自社のクラウドビジネスとの融合に役立てることが出来ると感じています。
クラウドケイパビリティ向上に役立つので大変ありがたかったです。
本当にありがとうございました。
今回は、会場の機材を使用せず、
自前で用意したマイクやスピーカーなどを持ち込んでの、
初めてのハイブリッド(対面とオンライン)開催だったので、
オンライン参加者への対応がちゃんとできているのか
心配だったのですが問題無く対応できていたので、
今後もこの構成でのハイブリット会合を開催して行きたいと考えています。
この12年間定期的に開催してきた会合ですが、
懇親会までを一つの「会合」と捉えているので、
この3年間オンライン中心での開催となり
中々歯がゆいことも多かったのですが、
久しぶりにリアル懇親会が行えて嬉しいです。
オンラインで集まるのとは違う意味で、
クラウドケイパビリティを高める効果があると考えています。
また、このような活動を続けて行くことも
会の存在意義の一つだと考えています。
今後の開催については、状況を鑑みながら、
コロナ以前のようなリアル開催に軸足を置いて
活動を行ってゆきますので、
是非クラウドビジネスに役立てていただければありがたいです。
今年度の活動としては、
4月12日に68回会合をサムライクラウド部会主催で、
「ゼロトラスト関連」の内容でハイブリッド開催します。
6月8日は、69回会合をハイブリットにて開催いたします。
内容につきましては、クラウドビジネス推進部会が行っている
クラウドビジネスサロンの活動アウトプットを予定しています。
さらには、7月にはリンクさんのご厚意で、
岩手県の中洞牧場の視察を予定しているので、
ご都合よろしければ、是非、ご参加ください。
また、今年の10月には、4年ぶりに大阪での会合開催も予定しています。
ニッポンクラウドワーキンググループの活動自体は、
活動開始から12年間クローズドに行ってきました。
メンバー・ご協賛、さらに過去にニッポンクラウドワーキンググループに
関わっていただいた方々にもOBメンバーとしてご参加いただきながら、
引き続き活動を行ってゆきますので、会合や部会活動へ積極的に参加ください。
本日は、お疲れ様でした。
ご参加された皆さん、お疲れ様でした。
【NCWG実行委員 報告書作成者】
後藤 匡貴(アクロニス・ジャパン株式会社)
宮原 哲也(株式会社アルティネット)