第64回ニッポンクラウドワーキンググループ会合報告
『未来へ繋ぐ技術、宇宙エレベータとクラウドビジネス!』をテーマに
ニッポンクラウドワーキンググループ第64回会合をオンラインにて開催いたしました。
テーマ:『未来へ繋ぐ技術、宇宙エレベータとクラウドビジネス!』
日 時:2021年5月26日(水)17:00~18:00(オンライン会合)
18:00~19:30(オンライン懇親会)
場 所:オンライン(ZOOMミーティング利用)
【司会者のご紹介】
司会 理事 尾鷲 彰一
1.開会のご挨拶
NCWG理事 尾鷲 彰一
緊急事態宣言下ではあり、リアルでの開催が難し状況ですが、オンライン会合という形で開催し、みなさんにいろいろな情報を仕入れてもらい、ビジネスに役立てていただければと思います。
本日は、宇宙エレベータ―協会の大野会長より、クラウドとは少し系統の違う宇宙エレベータ―についてお話いただきます。今後、クラウドとも関係してくる部分もあると考えられるので、繋がりを持てればと考えています。
2.新規メンバー紹介
株式会社テッキーズポッド 戌亥 氏
以前はユニリタで参加していましたが、4月から会社を自ら作り、NCWGに参加させて頂く事になりました。
野元さんとはワーキンググループでご一緒しており、一年前からゼロトラストについて話をしてきました。
3.部会報告
サムライクラウド部会
部会長 野元 恒志
次回開催予定6/下旬 オンライン
SAMLやOauth、対要素認証などの認証技術、アプリケーションマッシュアップするための基盤技術、APIなど先進的な技術について議論・発表を行っている。
・話題の中心としてはゼロトラスト・アーキテクチャ
今年、提言としてユーザー企業へ提供するサービスを具体的に示すステップ
・2層(多層)フェデレーション シングルサインオン等技術としてビジネスで使用するケースも増えているので、興味のある方はご参加ください。
クラウドアプリケーション部会
部会長 尾鷲 彰一
テーマは「IoTを本気で使ってみる!パート2」
活動内容は実際にIoTをフィールドに設置し、雨量センサーと雷センサーでゲリラ豪富を発見するとなっております。
・コロナで作業が進んでいなかったので、5月14日に部会を開いて自社屋上に雨量センサーを設置しました。
センサーは15分に何回電流がON/OFFしたかをカウントし、結果をダッシュボードに表示しています。実際に、パラパラ雨が降った際にも記録できました。
課題として電池の減りが早いことが分かり、2日で交換が必要となっているので改善の余地があります。
構築が終わったので次回はオンラインで部会を開き、データを元に検証を行っていきます。
次回、6月29日開催予定です。
クラウドビジネス推進部会
小堀 吉伸(部会長代理報告) 部会長 藤田 浩之
今期はオンラインで「クラウドビジネスサロン」を開催しています。
趣旨としては、
1.今だからこそNCWGがメンバー相互交流の機会を積極的に提供する
2.NCWGメンバー誰もが気軽に参加できる場を提供し、クラウドビジネスについての知の共有により、各社のクラウドビジネスを活発化させる
です。
コロナ禍を鑑みて、その時々のクラウド関連の話題について集まり、議論よりは少し緩い雰囲気でサロンを開催しています。
第1回(3月31日開催)では、テーマを「私のおすすめクラウドサービス!」としてオラクルクラウドベースに話し合いました。
第2回(5月13日開催)では、テーマを「RPAでクラウドビジネスを効率化!?」として、クラウドビジネスの効率化をドヴァのアシロボを切り口に、意見や疑問や出し合いました。
次回は7月5日(月)18:30~、テーマを「サブスクリプションビジネスへの挑戦!」として開催します。
自社の強み紹介や足りないところは部会内で補完できるような関係を目指していきます。
4.サムライクラウド部会発表
テーマ:『宇宙エレベーター実現への道のり』
宇宙エレベーター協会
会長 大野 修一 氏
こんにちは大野です。
本来であれば3時間くらいやりたいのですが、30分ということで飛ばしていきます。
宇宙エレベーターの話を初めてお聞きになる方もいらっしゃるかと思うので、
最初はさらっと流してみたいと思います。
宇宙エレベーターですが、ロケットに代わる新しい宇宙と地球、地上との物流区間という位置づけで捉えています。
今、ロケットを使って荷物を宇宙に持ち上げてますが、大体燃料の効率でいうと燃料が95%、5%が荷物というような形で荷物を上げるので、非常にコストが高くなります。
最近スペースX社がリサイクル、20回くらい使えるロケットを作り始めておりますが、そもそも1回につき100億円程度の打ち上げコストがかかっているので、それをどんどん安くするという話になっているのですが、kgあたりの単価でいうと何十万円というコストがかかって、元々人間が行くには3,000万円かかると言われております。
それをどんどん安くすると言っているのですが、地上との物流に比べると、とてもコストがかかっています。
今度前澤さんがISSへ行くと言っておりますが、これは50億円から70億円程のお金がかかります。
やはり人間をあげようとすると、食料や空気や水など、全部一緒に打ち上げないといけないので、人間というのは非常に効率が悪い荷物です。
地上で言えばコンテナ輸送になると、20~23tの荷物が入るコンテナ1つをアメリカに運んだとしても、1個運んで何十万円です。
また輸送量は本当に安いもので、kgあたり何十円という価格の話になっております。
そう考えると、ロケットを使った宇宙開発というのは、私たちの社会の経済に影響を与えるようなものになり得ないです。
一所懸命がんばってお金持ちの人が観光旅行に行ったりですね。
あとは実験をしたり、今人工衛星を宇宙開発で使っていますが、あれは重さの無い情報を扱うもの、通信衛星などという重さの無いものがあるからまだ成立しますが、何かものをあげようとすると非常にコストがかかります。
もっというとですね、今のロケットは宇宙から物を持って帰ることを考えてないですから、ドカンと打ち上げて人間が帰ってくると、そういうとスペースシャトルは30tの荷物をあげてそれを下すということで凄いシステムだったんですけど、物凄いお金がかかるので、アメリカはやめています。
そのような状態を変える決定打として考えられているのが宇宙エレベーターです。
想定されるコストは、おおよそ今の100分の1以下に出来るであろうと言われております。
もっとスケールメリットを考えると、1000分の1以下になっていくのが宇宙エレベーターのコストのメリットと考えられております。
本当の意味での宇宙開発、宇宙進出、誰でも宇宙に行けるように、例えば、海外旅行に行くコストの5倍10倍で宇宙に行けるような話を実現しようとする。それから地上の経済に影響を与えようとすると、やはりそれくらいのコストになっていかないと、現実的ではないと考えています。
宇宙へ行くと色々なものが作れます。例えば、無重力だと金属を混ぜた時に重さで分離しないため新しい合金が出来るとか、新しい薬が出来るとか、生物の実験などがあるのですが、企業が宇宙に研究所を作って、数限りなく絶え間なく実験が出来る状態にならないと成果は出ないと言われています。
そういう意味で、本当の意味での宇宙開発を実現するために宇宙エレベーターが必要だと私たちは考えております。
今話したことはこちらに出てますね。スペースX、こちらの資料には載っていないですが、次の資料でスターシップというですね、100tの荷物を軌道上にあげようというようなロケットが出てきたりはしますけど、それでも全然コストが高いです。
皆さんご存知かもしれませんが、スペースXというアメリカの元べンチャー企業が「毎週、毎日のようにロケットを打ち上げるんだ」と言っておりますが、毎週1回あげたとしても、今のロケットの仕組みで言えば2,650tとか、何千tですね。
私たちの生活、日本の場合は資源も物資もあまりないですから、コンテナ輸送ですね。
横浜市は非常にコンテナ輸送をがんばっておりますけど、それに比べると0.00000何%しか宇宙に持っていけないです。
このような状況を改善するために宇宙エレベーターを考えています。
実際に安くコストを抑えて安全に宇宙に行けるようになったとして、これを何に使うかという話になるのですが、1つ、今現在のですね、社会の問題を解決しようとすると、エネルギーの問題があります。
世界中の人たちの生活は段々良くなってきていて、1日1$、5$以下で暮らしている人たちは世界中の人たちの努力によって改善されていますが、それに伴って電力の不足ということが如実に出ています。
NHKなどのニュースでも、政府が今年の夏や冬は電気が足りなくなるという話をしていますが、今のまま人口が増えていくと国連のニュートラルな想定で、2100年、多分今の小学生の子たちは2100年であれば、寿命も伸びているので生きていると思います。
彼らが大人になるくらいの頃にはエネルギーの価格はもっと高くなっていて、そして、こういったエネルギー源の争奪戦が始まると言われています。
地球では、1日20万人ほどの人口が増えていると言われており、京都府で245万人の人がいるので、おおよそ1ヵ月ほどで大阪府と京都府の中間くらいの街が出来上がり、その人達が使うエネルギーが必要とされています。
勿論、核融合なども考えられておりますが、まだ実現にはほど遠いような状況の中で、宇宙エレベーターのようなものができると、日本とアメリカで進められている宇宙発電衛星が出来るのではないかと言われています。
メガソーラーを宇宙空間にあげると、地上での24倍の効率で電気を発電できると言われております。
しかし、ロケットを打ち上げてもとても出来るようなものではないため、宇宙エレベーターが出来ることにより、実現出来ると考えております。
太陽系の中で最も大きなエネルギー源は、太陽になります。
太陽が発生しているエネルギーのうち、地球に届いているのは33億分の1といわれておりますが、この巨大なエネルギー源からエネルギーを汲み取る仕組みを宇宙空間に展開すると、現在地上で一所懸命地面を掘って手に入れているものを燃やして作っている電気、これを太陽からのエネルギーに切り替えられるのではないか、同時に地球の温暖化、気候変動も解消できるのではないかと考えられております。
宇宙の莫大なエネルギーが存在しますので、その様なものを使って地球で使うことを考えられるのではないのでしょうか。
それから最近話題になっている鉱物資源ですね。地球の鉱物資源というのは、比較的簡単掘れるところから順番に掘っていますので、低コストで掘れるところが段々と減っていますが、まだ地球は非常に大きくて重いので、岩石の塊で鉱物資源も大量にあると言われておりますが、地上から掘っていき、5~10㎞で取れる量というのは余り多くないです。
宇宙空間にある全部の原子の量は水素が一番多く、ヘリウム、鉄や酸素や窒素などが比較的多いですが、割合が少ないところで言うところで金やウランなど、レアメタルと呼ばれている金属があります。
こういうものは地球には相当あるのですが、ほとんどは真ん中、地核より深いマントルの部分に沈んでいます。
そのため、地球の表面に残っている物はほとんどありません。
それに対して現在、盛んに宇宙機関、NASAやイーサが小惑星に探査に行ってますが、色々な小惑星を調べていくと、鉱物資源が大量に含まれている小惑星があります。
それではその小惑星へ行き獲得してはどうかと、いうことが考えられております。
勿論、今ロケットでこのようなことをすると、凄まじいコストになるため現実的ではないですが、宇宙エレベーターが出来ると、こういう鉱物資源を地球の外に求めることが可能になると言われております。
インフォグラフィックスというものですが、これはNASAが発表している、月に行って帰ってくることが出来るようなロケットで行ける、地球と一緒に太陽の周りを回っているような小惑星の数で、かなりの数があります。
宇宙が好きな方であればご存知かもしれませんが、火星と木星の間に小惑星帯というものがありますが、そこまで行くともっといっぱいあるのですが、そこではなく、もっと近いところにある小惑星ですね。
そこに、はやぶさや、はやぶさ2などがそこに何があるのかなどを調べに行ってますが、今のところですね、NASAや宇宙資源を調べる会社が発見している範囲では、相当な量の鉱物資源があると言われております。
こちらの図は、色々な小惑星の、1個当たりの鉱物資源の価格を現在の地球上の価格で当てはめると、どれくらいの金額になると表しているものなのですが、これをアステロイドマイニングといいます。
小惑星鉱業を拡大してみると、地球より内側にあるこのウルスラというもので、プラチナとニッケルとコバルトで、$1.4QTと、これは他の小惑星に比べるとかなり価値は低い方なのですが、その金額を日本円になおしてみると、145京$、1.45垓円ということで、こういうものの宇宙開発がコストが安くでき、手に入るようになることにより、鉱物資源の価格、例えばプラチナの価格が高い理由は少ないから、あと、どこにでもある訳ではなく、簡単に地面を掘ってプラチナがある訳ではないので、そういった偏在性や局在性が価値をあげているのですが、プラチナはこのようなところにいくと山ほどあります。
私たちの経済の根底をなしている鉱物資源の価格は宇宙エレベーターが実現することにより、根本的に変わっていくのではないかと言われております。
私たちが地球で地面を500、1000km掘れば別の話ですが、小惑星の鉱物資源の採取コストが下がることにより、地球で掘るより宇宙へ取りに行った方が安くなる時代が宇宙エレベーターを開発することにより来るため、社会や文化が変るだろうと考えられています。
先ほど、エネルギーの話、今は鉱物資源の話をしましたが、宇宙に出ることでこのようなものをたくさん手に入れる、これが本当の意味での宇宙開発と考えられます。
既に中国が火星に探査機を送りましたが、アメリカと中国の宇宙にある鉱物の奪い合いは実はもう始まっているようです。
キーポイントとなるのは、小惑星に所有権が発生していないことです、誰のものでもないです。
今のところアメリカが先行的に2015宇宙法という法律を決めております。
世界には、宇宙法といういかなる国家も地域も大気圏の外にあるものは専有してはならないという条約があります。
そのためアメリカが火星に行ったから火星のここはアメリカのものだよ、などということは出来ないのですが、アメリカ2015宇宙法では、国家や地域は専有できないが、アメリカの企業と個人が実際に人間が行ってここは自分のものだと、外部の干渉を解除すればその所有権をアメリカ政府は認めるという法律を通しています。
これに対して宇宙開発を行っている先進国はどこも異を唱えていない、つまりみんなやる気で宇宙へ行って、場所や物やエネルギーを取ろうと競争が始まっていて、これはどんどん激しくなっていきます。
あまり日本では報道されていないようですが、アメリカは国際宇宙ステーションはもう民営化してしまって、もう使わない、観光旅行とか研究に使ってくださいと言っています。
次は月を回る月ゲートウェイという大型の宇宙基地を2025年までに作ろうとしています。
これを含む、今は日本も参画しているアメリカの宇宙計画のアルテミス計画というものがあります。
まず月に行く、そして月の有人開発を始め、月を回る月ゲートウェイを作ってそれを足掛かりに火星に行くと、地球に行くと地球の重力が強すぎるので、もう少し離れた月まで行きそこを足掛かりにしようという計画ですが、アルテミス計画の第一号のロケットの打ち上げが今年の12月に計画されています。
そして月への着陸が2022年、そして月ゲートウェイが2025年と、ここ数年の間に月面の開発、そして有人開発というものがどんどん盛んになっていきます。
その立役者として、スペースXとか、スペースローンチシステムなど、どんどんロケットを開発して、ここ数年以内にそういう時代になってくると思われます。
更に言うと、宇宙エレベーターの真の可能性というところですが、宇宙エレベーターとは、砲丸投げのようなものを投げる能力があります。
この能力を使って、宇宙エレベーターがある地球から52,000km離れた位置からタイミングよく物を放すと、燃料無しで火星まで物を飛ばし、火星までいくことができます。
また火星に宇宙エレベーターをつくることにより、火星からも物を投げることが出来るということになります。
これは惑星の時点のエネルギーを直線のエネルギーに変えると、つまり室伏選手がオリンピックでやっている砲丸投げの仕組みで、玉を投げることができる、非常に強い、大きな能力を宇宙エレベーターは持っています。
これによって太陽系全体に物流網が出来ていって鉱物資源、エネルギーを宇宙から手に入れて、地球だけでなく色々なところに人が住むということが今世紀後半、10~20年以内に始まるであろう世界と考えています。
後ほどお話いたしますが、2045年までに中国が地球と月に宇宙エレベーターを作る計画があり、どんどんこういったスピードは加速していくのではないかと思われます。
かなり端折って宇宙エレベーターの話をしています。
今、宇宙エレベーターは素晴らしいですよという中二病集団たる宇宙エレベーター協会は、今135名会員がいて、宇宙エレベーターは素晴らしいですよという話をしてても仕方がないので、最近になって若い人を中心に、宇宙エレベーターは素晴らしいのだけど、それを実現するためにはもっと具体的な活動をしましょう、コンセプトの社会的な普及ばかりでなく、もう少し具体的なことをやりましょうということを考え始めております。
そしてここ2.3年の間にやっておかなければいけないこととしてお伝えしたいのが、宇宙テザーを使って何か出来ないかということで、現在の宇宙エレベーター以前のものとして考えているものが、テザー衛星というものです。
今地球を回っている小惑星は1個の塊ですが、これを複数個紐でつないで何が出来るかということを考え始め、まずそれからやっていって、宇宙空間で誰もやったことのない長い紐を伸ばすという技術をどんどんあげていこうと考えております。
1つは地球観測衛星、今人工衛星を大量に打ち上げております。例えば、スペースXは毎月60~120個の人工衛星をあげておりますが、日本でも大量に上げております。
皆さんが一番多くやっているビジネスは、地球の観測です。
今、地球の周りを回っている小惑星は、例えば横浜市の神奈川区を見たいとすれば、上を通り過ぎる瞬間に撮っています。
そのため1回10分くらいで1日おおよそ1時間くらいしか撮影できないという問題があります。
それでは人口衛星の数をもっと増やせばいいのではないか、24個同じ軌道に載せれば1日24時間撮影できるのではないか、という声を聞きますが、地球全域をカバーするとなると、相当な数が必要になります。
実際には人口衛星が地上を観測している様子はこんな動画になります。
赤いところを取りたいのですがクルクルまわり上に来た瞬間にとっているというような状況になります。
余り適当な例ではないのかもしれませんが、例えば北朝鮮のせどりということで日本海で船と船が荷物をやり取りしたりしておりますが、ああいうのを追跡しようとしても、1回10分で次撮ろうとしたら船は既にどこかに行ってしまいます。
これに対してもっと長くしたい場合どうすれば良いか、1つ私たちが考えているのが、テザー(ケーブル)衛星というものです。
地球の周りを回っている人口衛星は、地球の近くを回っているものは、解像度の高い良い写真がとれますが、速い速度で回っています。
どんどん離れていき、例えば36,000kmの高さになると、ゆっくり回っていますので、地球が24時間で回るのと同じように回っています。
そのため、お天気衛星のひまわりのように、24時間ずっと地球のことを撮影出来ます。
36,000kmとは、低高度の衛星の200~500kmに比べると遥かに遠いです。
そのため、時間分解能はたかいですが、空間分解能、撮影の解像度が高くできないという問題があります。
テザー衛星にすることにより、この両方のメリットを一挙に獲得できます。
静止衛星という24時間地球の周りを回っている衛星はこのように撮れます。
これに対して24時間回っている衛星は紐を下ろしてカメラを低いところまで下ろしたらどうなのか、低いところなので良い絵が撮れるうえに、24時間に1回地球の周りを回っていますので、時間分解能もあげることができる、つまり人工衛星は高さと地球を回る周期は連動していますが、それを崩すことが出来るのがこのテザー衛星ではないかと考えております。
こういったものを目標にして技術開発を目標にしていってはどうかと考えております。
これは現実的に実際に宇宙エレベーターの開発のための資金を獲得するビジネスモデルが何かないかと考えている中で出てきているアイデアです。
実際にこのアイデア自体は古くて、1980~1990年にかけて出されたものですが、技術的なものがあって今まで、実現できなかったのですが、そろそろ実現できるのではないかと。
こういうものを行い、宇宙空間で長い紐を伸ばすという技術をあげていって、宇宙エレベーターの基礎を確立していこうと、そのための2020年代、2030年代ではないかと私たちは考え始めております。
勿論、色々なアプリケーションが考えられますが、それをもっと考えてかないと、宇宙エレベーターは素晴らしいですよと話をしていても、そこまでで終わってしまって、実際に大きな技術開発は中国以外中々行われていない、日本でも大林組がやってはいるがスピードとお金は非常に小さいので、もうちょっと考えなければいけないと思っております
一つ皆さんに見ていただきたいのが、中国の宇宙エレベーター開発の動画が新華社通信が4月に公開し始めました。
おそらく宇宙エレベーターの研究開発、材料のカーボンナノチューブも含めて今一番進んでいるのが中国のようです。
こちらはYouTubeであがっているのですが、このような映像が流れてですね、如何にして宇宙エレベーターを使って、中国はどのような開発をしているかという動画になります。
こういうものが出てきたのは、世界で初めてのため、皆びっくりしています。
月に行く宇宙船を宇宙エレベーターで地球から上げて月に行ったら、次は月にある宇宙エレベーターがあって、月面に下ろす。
つまり、宇宙エレベーターを使って、地球から宇宙へ行く、宇宙から月に降りる、この過程で一切大型のロケットを使用せず、宇宙エレベーターのみで行う。
なぜかこの後中国で考えているローバーの話がおまけで付いていて、非常にきれいなCGですね。アメリカのようなCGですが、100%中国のものです。
更にこのような月での物資の輸送、行動能力を中国は作るといっており、今中国の宇宙開発の予算はNASAに匹敵するか若しくはNASAより多いと言われてます。
日本の10倍は軽く超えるような予算と言われております。
宇宙シルクロード計画という、宇宙空間に大物流網を中国が構築すると。
ローバーにはしっかりと中国の旗がたっていますが、これが中国の宇宙開発の実情のようです。
詳しいことは表に出てきていないですが、宇宙空間での実験、カーボンナノチューブの開発、全てのアイテムは中国に揃っていますし、ISSではない中国の独自の宇宙開発ステーションの建築が始まっています。
この間そのためのロケットがインド洋に落ちましたが実際に宇宙基地を作っています。
彼らは技術もお金もやる気も全てあって、今のアメリカのロケットによる宇宙開発を一気に超えるために、宇宙エレベーターを作ろうとしているようです。
国家プロジェクトとして動いているようなので、相当大きな予算と人材が投入されているのではないかと考えられております。
そんな話の後、これまで宇宙エレベーターの話をさせていただきましたが、Amazonで見るとこういった宇宙エレベーターの本が出ています。
是非ご興味をお持ちの方はこういった本を読んでいただくと宇宙エレベーターの可能性について見聞きできるのではないかと思います。
もう一つ最後になりますが、NCWGの皆さんにお伝えしたい話としてあるのが、ネットワークとクラウドコンピューティングの話です。
中国は不明ですが、今ここに画面に出してますのが、SCaNということでスペックコミュニケーションのナビゲーション、宇宙空間における通信とナビゲーションのためのコミュニケーションのネットワークになります。
NASAが主体となって展開している太陽系における通信網です。
それぞれの衛星や惑星の相対距離、位置は常にずれておりますが、その間にこれだけのネットワーク、光通信とマイクロ波によるものですね。青い線と赤い線、こういうものでですね、IP通信であるとか、他のプロトコルによる通信網というものを作っています。
非常に距離が離れていますね。例えば火星と地球の一番通りところの間で二十数分、光の速度でかかるので、発信してから届くまでそれだけ時間がかかります。
TCPの通信は成立するのか分からないのですが、こういったネットワークの世界が構築されています。
これがどんどんスペースXのスターリング衛星で拡張されていますので、今まで地球上で通信していたものに比べて、太陽系を横断する通信網ができてきます。
これだけの通信スピードがかかってくる、通信スピードが常に可変になっていく状態で信頼性のある通信を確立するということ、実現しなければいけないですし、例えば月や火星の探査をしようとした時に、生データを流すのは適当ではないのではないかと考えられております。
少しでも情報を量をあげなければならないというか、情報量あたりの価値をあげなければならない、つまり処理した後でデータを流すというのが本筋になってくると思います。
そうなると一極集中でどこかでデータ処理、例えば昔の惑星探査ボイジャーなど、ああいった時代は、生データを地球に投げて、そのデータ処理は地球でやってましたが、スピードを上げていこうとすると、各地域、ステーションですべてのデータ処理を行い、価値あるものに生成した情報を流さなければいけない。
これは太陽系全体で分散して実施しなければいけないので、非常に規模が大きい分散ネットワーキングというか、分散コンピューティングになっていくのではないかと思っております。
そのためまだまだないですが、大規模な計算資源を宇宙空間に打ち上げる、こういう広域で信頼性のあるものをやろうとすると、様々な技術がインテグレートされないと実現しないのではないかと、恐らくビットキャッシュのようなもの、そういった技術を使ったお金のやり取り、火星から地球に送金できるのかは不明ですが。
現在、地球上での株式市場があると思いますが、そういった経済的な情報のやり取りにすさまじく時間がかかってくると、全く別のお金のやり取り、貨幣の仕組みや経済の仕組みと、基本になる通信と情報処理の技術が実現しないと、いけない。
逆に言うと、アメリカでは先行してやっているのではないか、こういった世界での情報の確実性をあげていくために、様々な技術の実装が必要になってくるのだと思います。
現実問題としてこのようなネットワークは既に成立しています。
シングルサインオンの話がありましたけど、ユーザ登録とかどうしているのか、火星のローバーにログインするときに、どの様にしているかは分かりませんが、そういった太陽規模の巨大なシステムというのを、もっと日本でも意識して作っていく必要があるのかと。またそれが月面で実装されて実際に使われるようになるのが、2.3年、5年の間に実現する、必要になってくるということで、プロコトルや技術やネットワーキングとか、クラウドというか。
クラウドは地球上の雲という意味ですが、太陽系になるとクラウドとは何になるのか、クラウドではないですが、太陽系を跨いだ分散処理の仕組み、情報の信頼性の確保、こういうものが必要になってくる。
逆にいうとそういうものを掴んだものが太陽系の覇権を握るようになっていくのかと思っております。
例えば光通信による量子暗号化通信などベースにあるとは思いますが、そのうえでどういうネットワークコンピューティングを実現していくかというのを考えなければいけないのですが、日本ではどれくらい考えられているのか、その点は余り詳しくはないのですが、こういうのが猛烈に必要になってくる。
更に宇宙エレベーターを実現することによってそれはどんどん加速するため、そういったものを是非一緒に考えて行きませんか、非常に楽しい話なのではないかなと思います。
昔は太陽系の情報はディープスペースネットワークといって、実際に地球は自転していますので、地球上のあちこちに配置した大型のパラボラアンテナと、例えばボイジャーとか。
外惑星を監視するディープスペースを飛んでいくような探索機の間は地球をぐるぐるまわっているため、パラボラアンテナを順番に繋いでいってやってたのが、ディープスペースネットワークだったのですが、今ではこういう風になっていって、あちこちで中継をしながらネットワークを構築していると。
全体は誰がどう管理しているか不明ですがアメリカではNASAが主動してこのようなことをやっていると思われます。
日本ではまだまだないと思いますが、こういうものが標準になっていくと思います。
■Q&A
Q. ブライエ内田:宇宙エレベーターに中国が力を入れているように見受けられますが、アメリカ・EUなど諸外国ではロケット打ち上げの話が多く、宇宙エレベーターはあまり話題に上ってきませんが、実際には構想や規格はどう扱われているのですか?
A. アメリカやEUの宇宙エレベータ―コミュニティとは、宇宙エレベータ―協会ができた10年前から連携しているが、アメリカはNASAが開発を民間企業に任せ、政府がそれを買うという方針に切り替わってからは、宇宙開発・ロケット開発が活発に行われています。
宇宙エレベーターについては、その先の次世代のものになるという事で、まずは目の前にある宇宙開発ロケットをやっていくという流れになっています。
短期的な投資と回収のストーリーメインで動いています。
一方、中国は国としてやっているので、先を見た研究に資金が出ます。
ロケットにはアメリカには勝てないので、その次であれば勝てるのではないかという観点で取り組んでいると考えられます。
先週、韓国の宇宙開発庁は、先進的な新しいものやる部署を立ち上げて、お題目としては宇宙エレベーター開発とし、ロケットについては安いものをアメリカから買うという姿勢も出ています。
これら一番大きい要因としては、経済原理的に短期での資金投資と回収ストーリーだとロケットでの宇宙開発、その次にという事なら、爆発的にコストと安全性を上げることができる宇宙エレベータ―がターゲットに上がってくるので、ロケット開発が進めば進むほど、その後ろに控えている宇宙エレベーターもメインストリームになってくると考えています。
勿論、アメリカにも宇宙エレベーターのアイデアを考えてる人は結構いるが、イーロンマスクなどは当分先までビジネスにならないので今はやらないと言っています。
ブライエ内田:アメリカでは民間主導で動いているところが大きいことや、ロケットで勝てないなら次を狙うという中国の話もあったが、最終的には宇宙規模でネットワークコンピューティングをする、そこに載せるマシーン・プログラムなどはもう少し先になる長期スパンの話ではあるが、確かに夢のある話だと感じました。
Q. ドヴァ井口:宇宙エレベーターが出来て物資を大量に宇宙に輸送できるようになると、エネルギー効率も良いので宇宙にデータセンターを作る計画などがAWSであったりするのか?
個人的に好きなSF作品は?
A. スペースXが上げているスターリンク衛星にはコンピューターを積んでいるらしく、スペースXが米政府に申請している衛星打ち上げ数は4万機を超えています。
これは私も気になるところでスターリンク衛星によるインターネット接続が、世界の地政学的なものに与える影響、例えばモンゴル、中国、上海、台湾でも好きな時に回線に繋げれられ、ユニットが500$で10Mのスピードも出せる。それを通信衛星に積んで何をするのかという事に非常に興味があります。4万機のブロックチェーンの仕組みを実装すると何が起きるのか、量子暗号通信などで金融取引を制覇するところまで行くのか。唯一無二の価値を生む仕組みは、IP接続ができたときよりも大きな衝撃波が、情報通信の世界でも来るのではないかと考えています。
光通信で衛星相互通信もできるようになると言われており、地上を介さずに全地球規模というところは、真面目に考えなければなりません。
好きなSFはジェームス・P・ホーガンのハードSFで、今でもたまに読んだりします。
4.会長からの総括
会長 小堀 吉伸
皆さん、お疲れ様でした。
大野さん、お忙しいところご講演していただき誠にありあとうございます。
今週土曜に宇宙エレベーター協会の総会がおこなわれるとのことで、大変お忙しいところ大野さんのお話がお聴きできて大変感謝しております。
宇宙エレベーター協会さんには、前回、理事の久保田さんにもご講演いただき、その際には、宇宙エレベーター構想のお話をお聞きしましたが、今回の大野さんお話で、宇宙エレベーターの実現性や現時点での「宇宙エレベーター」の世界での取り組み状況など、さらに深いお話がお聴きできて本当にありがたかったです。
これから始まって行く様々な宇宙ビジネスについては、そのすそ野が広すぎて未知数でイメージが取りづらいところが多いいのですが、さまざまなビジネスの、その裏側には、必ず「クラウドビジネス」が関わってくると言うことは、この10年会の活動を行ってきて強く確信しています。
今後は、様々な新たな宇宙ビジネスがこれから始まる際には、何らかの形でも関わって行けるようにニッポンクラウドワーキンググループとしても、いろいろと宇宙ビジネスのネタを入れておきたいと思っています。なので、今回の大野さんのお話は、大変ありがたかったです。ありがとうございました。
それと、前回の久保田さんのご講演後に、ニッポンクラウドワーキンググループ関係者から3名が、宇宙エレベーター協会に入会しているので、是非ご興味のある方は、宇宙エレベーター協会へご入会下さい。
今回の会合も新型ウイルス感染拡大を抑えるためにもオンラインにて開催しましたが、リアルに集まれるようになったら、リアル会合を、安全対策を施しながら開催したいと考えています。
また、今年度は、会の活動開始から10年目を迎え、本来なら11月には10周年のイベントで10周年記念講演会やパーティなど開催したいと考えていますが、今年は年末まで大勢で集まることは、このコロナ禍では自粛すべきだと痛感しているので、10周年のイベントについては、2022年の4月頃を目安にリアルな集まりで予定しています。
安全に開催できるようになった際には、皆さんのお力添えが必要なので、その際には、是非ともよろしくお願いします。当面、オンラインにて活動を続けて行きますので、引き続きご参加ください。よろしくお願いします。
本日は、お疲れ様でした。
5.懇親会
オンライン会合終了後に今回もオンライン懇親会を開催し、大いに盛り上がり、メンバー・ご協賛の方々との積極的な交流を図ることができました。
皆さん、お疲れ様でした。
【NCWG実行委員 報告書作成者】
実行委員 井口 和彦(株式会社ドヴァ)