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第57回ニッポンクラウドワーキンググループ会合[大阪開催]報告

『サムライクラウドと宇宙ビジネスで、日本のクラウドビジネスを活かす!』をテーマに、第57回ニッポンクラウドワーキンググループ会合を開催いたしました。
今回の大阪での会合は、GMOクラウド株式会社さんに会場をご提供いただき、多くの方々にご参加いただき活気ある会合となりました。

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【テーマ】『サムライクラウドと宇宙ビジネスで、日本のクラウドビジネスを活かす!』
【日 時】2019年6月7日(金)16:00~19:00
【会 場】GMOクラウド株式会社 大阪支社
【参加者】メンバー、協賛各社および関係者の方々を含めて50名程度

1.開催のご挨拶
NCWG副会長 藤田 浩之
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皆さん、本日は第57回NCWG会合大阪開催にお集まりいただきありがとうございます。
副会長の藤田です。

今年もここ大阪に戻ってきました。
我々普段は東京で会合を開催しているのですが、大阪では毎年6月に我々の会合を開催させていただいておりまして、2011年の設立以来、大阪では年1回ではありますが継続して開催しており回を重ねております。
普段の会合は会員限定で開催していますが、この大阪開催は会を広く知っていただくことを目的にオープン開催とし、一般の方々もご参加いただいております。
そんな中で今年も大阪での開催が実現でき1つ回を重ねるわけですが、これは例年のあたりまえということではなく、毎回毎回、みなさんをはじめ、会に関わっていただくいろいろな方の協力あってこそだと思います。

今回も色々な方にご協力いただいて開催できております。

まず初めに本日この会場をご提供いただきましたGMOクラウドさん、ありがとうございます。この会場は普段は社員さんの憩いのスペースとなっているとのことですが、今日は会合のためにまるまる空けていただいております。感謝いたします。さらにGMOさんからも新サービスのご紹介があるとのこと。ワクワクと期待でいっぱいです。よろしくお願いいたします。

今回の会合テーマですが「サムライクラウドと宇宙ビジネスで、日本のクラウドビジネスを活かす!」というテーマで、サムライクラウド部会から、プロキューブの中川路さんに二要素認証の標準仕様についてお話いただきます。そして、ゲスト講演として、和歌山大学 教授の秋山先生に「LoRaと衛星通信」についてお話いただきます。どちらも、興味深いテーマで、もうワクワクが止まりませんね。お引き受けいただき、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

続いて会の運営に協力いただいている実行委員の皆さん。今日も多くの実行委員がここ大阪に集まってくれました。ありがとう。最後までよろしく!

そして、最後に今日この場に集まっていただいたみなさん。今日はお集まりいただきありがとうございます。
我々ニッポンクラウドワーキンググループは、みなさんに場を提供するということを一つの使命としています。ある意味で、われわれは場を提供するまでで、この場をどのように活かすのかは皆さんの腕にかかっています。
ですので、是非この場を活かして、クラウドビジネスモデルを生み出し、日本から世界に発出していただきたいと思います。それが我々が“サムライクラウド”という言葉に込めた思いです。

『Beyond the clouds ~ムスビで、実を活かす!~』
今期の我々のスローガンでもありますので、是非われわれもふくめみなさんで今回の会合を盛り上げたいと思いますので、どうぞ最後までよろしくおねがいいたします。

2.会の活動紹介及び各種部会の活動紹介

<会の活動紹介>
会長 小堀 吉伸
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ニッポンクラウドワーキンググループは、日本国内のISV、クラウドサービス提供者が集まりニュートラルな立ち位置から「クラウド」上での各種の連携(サムライクラウド)のための技術的およびビジネス的な交流を積極的に行うために活動を開始し活動開始から8年が経ちます。

クラウドビジネスのマーケットを広げるためにも、ニュートラルな立ち位置だからこそできることがあり、さらに様々なクラウドサービスを繋げること(グランドクラウド)でクラウドの利便性の向上させることでクラウド利用のハードルを下げ、結果的にクラウドビジネスのマーケットが広がると考えています。

そのためには、日本から発信できるアプリケーションプラットフォーム(サムライクラウド)を作り上げ、それを推進力に日本のクラウドビジネスのマーケットを広げることを目的にしています。

現在、メンバー企業が90社、ご協賛が21社、アカデミアンの方々によるサムライクラウドサポーターが6名、総数としては、500名の方々に関わっていただき、基本的にはクローズドの形で会の活動を行っています。

会の活動としては、2ヶ月に1回のペースで定期的にこのような会合を開催しています。またこの後ご紹介する、4つの部会で技術的な活動からサービス的な視点に至るまで広く活動を行っています。

通常会合は、ニッポンクラウドの関係者のみクローズドで開催していますが、毎年この時期に行う大阪会合は、オープン開催にして会の活動を関西の方々にも知っていただきたいとの趣旨から開催しております。

また、会合や部会の運営につきましては、メンバー、ご協賛の方々16名に参加していただき、実行委員会と言う枠組みで会の運営を行っており、現在、12社16名の方に参加していただいています。

詳細については、こちらの資料をご覧ください。

<各部会の活動報告>

サムライクラウド部会
部会長 野元 恒志
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サムライクラウド部会では、SAML、OpenSocialガジェットによるアプリケーションの連携という軸をベースにアプリケーション認証基盤、MicroService化に必要な検証事項などを議題に月に一度の定例部会を実施しています。

この後、部会からの発表として中川路さんから発表頂きます。認証技術に関しては、私はこの方にすべてを習ったとも言えるほど見識のある方です。二要素認証、WebAuthenticationが、今後私達に何をもたらすか、皆さんに確認していただきたいと思います。

部会参加は随時募集しています。懇親会ででも声をかけてください。

クラウドアプリケーション部会
部会長 尾鷲 彰一
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一昨年前は、IoTでデータ収集、昨年度は、AIでデータ解析についての内容で部会を開催してきましたが、机上での活動でした。
今期は、実際にフィールド(屋外)で、雨量計や、照度計などのセンサーデータの収集などを行い、できればAIにつなげるところまでを実際にフィールドでやっていきたいと考え活動しております。
次回部下開催は、7月末を予定しております。是非ご参加ください。

クラウドビジネス推進部会
部会長 藤田 浩之
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クラウドビジネス推進部会では、クラウドを利活用してビジネスに繋げるための、リアルな情報で 語り合う場を提供し、様々な方法で、実際のクラウドビジネス創出を促進し、結果として“ニッポン”発のクラウドビジネスモデル(サムライクラウド)の発展に繋げることを活動指針として掲げています。

実際の活動としては定期的に部会を開催しており、部会ではクラウドビジネスに繋がる勉強会を開催しており、今期は「シチズンデータサイエンス」がテーマです。

「シチズンデータサイエンス」はガートナーの日本の先進技術のハイプサイクルでこれからトレンドとなるキーワードの一つです。

そもそものデータサイエンスとは、「情報学」「数学および統計学」「専門領域の知識」を束ね、データ処理、データ分析を行い、価値創造につなげることと定義されますが、データサイエンスを実施するデータサイエンティストには、数学および統計学に長け、情報学に長け、専門領域のある程度の知識を有し、専門領域にいるビジネスパーソンとの円滑なコミュニケーションスキルが求められます。

つまり、データサイエンスをビジネスに活用しようとすると、上述のとおり高度なスキルを有する人材が必要になります。

一方、「シチズンデータサイエンス」はデータサイエンティストの役割を、進化する技術に代替させ、専門領域の知識を有するビジネスパーソン自らデータサイエンスを実施することを示します。

技術の進化により、我々がデータサイエンスを利活用し、価値を創造する時代がもうすぐ到来します。
クラウドビジネス推進部会では、そのような将来に備えるため、参加メンバーでディスカッションを通じて、データサイエンスへの理解を深める場を提供しています。

是非部会にご参加ください。

クラウドサービス部会
部会長 小堀 吉伸
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クラウドサービス部会長の小堀です。

クラウドサービス部会は、クラウドを「テクノロジィ」の視点からではなく、「サービス」の視点から捉え、色々なクラウドサービスを検討しながら、その有用性を検討し参加者自身の「サービスプロダクト」創りに役立ててもらえるような部会を行っています。

部会を進めるに当たり、活動のセンターコンセプトに、セオドア・レベットの「ホールプロダクト」と言うサービス概念を使いながら、ホールプロダクトの概念を基にサービスやプロダクトを垂直的につなげて行く「メタサービス」やサービスのためのサービス「Service as a Service」などの、部会から発信できる実ビジネスへはめ込めるようなサービスの概念を構築できるように議論しています。

3.GMOクラウド社からの各種ご紹介
テーマ「GMOクラウド新サービスのご紹介」
GMOクラウド株式会社 IoT事業部 末枡 仁史 氏
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本日はGMOクラウドの新しい3つのサービスについて紹介します。IoT事業の「hakaru.ai」「Diversity Insight for Retail」、クラウド・ホスティング事業の「CloudCREW byGMO」です。GMOクラウドの事業としては、IoT事業、クラウド・ホスティング事業、セキュリティ事業、ソリューション事業があります。IoT事業としては、最初に2017年5月にIoTビジネスを構想段階から開発支援、サービス化までひとつの窓口で対応する「IoTの窓口」をリリースしました。

「hakaru.ai」
スマートフォンでメーターを撮影するだけで、AIが数値を読み取り、集計・台帳記録ができるサービスです。2019年5月8日からスタンダードプランをスタートしました。スマホで撮るだけで、AIでメーター点検業務を速く、ラクにします。「大量のメーター点検まで手が回らない…」「計測ミス、記載漏れ、データ改ざん、を無くしたい…」「エクセル等の入力業務を減らしたい…」「メーター数値の管理ができていない…」「異常値があった際は、管理者や作業者にすぐ知らせたい…」「スマートメーター交換等の大規模な設備投資は難しい…」「老朽化した設備機器の維持、機器刷新の時期は数年先…」などのお悩みを解決します。生産・製造工場、ビルメンテナンス会社、店舗などの目視と手書きで点検業務を行っている方に適したサービスです。

「Diversity Insifht for Retail」
小売・流通向け店舗分析AIサービスです。実店舗のカメラに映った来店客の年齢・性別、ファッションや店内の行動をAIが分析し、販促活動・収益アップを支援します。EC拡大で、リアル店舗にも変革が必要になってきており、国内の上場企業 3,558社のWebサイトのうち、Google Analyticsの利用率は83%以上になっています。来店人数計測、滞在時間計測、来客属性分析、共起ネットワーク解析、来訪元分析、ファッション属性分析、天気連携、クーポン連携、ウインドウショッピング数計測などが可能です。また、その関連性を可視化することができ、消費傾向などのライフスタイル分析も可能です。関西のスーパー「マツゲン」2店舗で導入いただいており、お花見シーズンの販促効果をAI分析で見える化などし、活用いただいています。また、SCビジネスフェア2019
(1/23-25@パシフィコ横浜)のパルコグループのイベントブースにも導入いただき、来場者分析にご利用いただきました。

「CloudCREW byGMO」
様々なクラウドのメリットを最大限に享受するには、最適化を繰り返すなど、効率的に利用し続ける取り組みが大切です、CloudCREWでは、クラウド活用を成功に導くことを目指して様々な支援を行います。会社、サービスの特性によってクラウドの使い方を分けているお客様が多いですが、20年以上クラウドの運用をしてきたGMOクラウドの技術やノウハウを活かし、ご提案をします。「マネージドクラウド」では、自動運用プラットフォームとプロフェッショナルSEによる次世代のマネージドサービスを提供します。カスタマーサポート、適正なクラウド利用のアドバイス、運用の効率化、コスト削減、業務スリム化などお客様により良いものを提供できればと思いリリースしたサービスです。

NCWGメンバー各位には今後いろいろな連携をお願いしたり、アライアンスにつながるケースもあると思いますので、引き続きお願いできればと思います。

[質疑応答]
Q1. クラウド、ホスティングとAIでは全くアプローチの仕方が違うと思いますが、苦労した点やアプローチのギャップなどあれば教えていただきたい。もうひとつは、社内の開発でやりたいことと、市場との違いを営業はどのようにキャッチアップしているのか教えていただきたい。
A1. いままで月額のクラウド、ホスティングサービスをしてきたので、まずお客様層が違います。AIビジネスのお客様は製造業、それもトップクラスの製造業のお客様とのお付き合いが多いです。展示会に多く出て、製造業のお客様やビル管理会社のお客様とそこからビジネスのつながるケースが多いです。悩みとしては、テスト期間を含め案件の検討期間が非常に長いことです。まだ市場がない、新しいサービスなのでお客様も判断基準がないということが原因でしょうか。もうひとつの質問については、お客様のご意見をいただいて開発に廻すというSI的な考え方ではなく、営業としてはなるべく標準的なニーズがあるということを確認していきます。その上で市場があるので、この機能を追加して欲しいなどの話を開発にしています。今後、お客様が増えてくると個別対応をどうするのかなどの問題は出てくるかもしれません。

Q2. クラウド事業者として新たなコンサルティングサービスを販売されたと思うが、コンサルティングができるような技術者をどう育てているのか、コツがあれば教えていただきたい。
A2. 現状は全員がコンサルティングができるわけではない。新しい教育体制を作って、そこで学んでいってもらうことを推進しています。国内の他社のクラウドを使ってみたり、市場を知るために海外のサービスを使ってみたりして学習しています。また、新しい人材登用を外部からだけではなく、内部から登用できるような人事制度を持っています。オープンポジションの仕組みを取り入れたり、募集自体を社内にしたり、また採用がない場合でも「あの部署のあの事業をやりたい」と言えるような仕組みを持っています。そのような人たちが新しいところに新しいことを覚えたいという気持ちで集まってきてくれるので、これからますます教育は進んでいくと考えています。

4. サムライクラウド部会発表

テーマ「二要素認証のベストプラクティスFIDO WebAuthn」
株式会社プロキューブ 代表取締役 中川路 充 氏
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弊社は認証基盤製品(ユーザーID管理、パスワード管理、プロキシサーバーなど)を取り扱っている会社です。その都合でいろいろと認証周りのことを研究しています。本日は、二要素認証とそれの標準化であるWeb Authenticationについて紹介します。クラウドサービスが一般的になってきていますが、サービスすべてのパスワードを覚えている人はいないと思います。もし覚えている人がいるとすれば、それは使い回しをしているということであり、パスワードが盗まれるとひとつのサイトに入れれば、他のサイトにも入られてしまうという危険性があります。サイトによってはパスワードを定期的変更させられたり、どんどんパスワードが覚えにくい時代になってきています。このような状況もあり、Googleなどの先進的な企業が二要素認証を進めています。

二要素認証とは、以下の要素のうちの複数、2つの要素を組み合わせて認証するもので、実質的にはSYHを主体としてSYAやSYKと組み合わせて使います。

利用者が知っていること(Something You Know:SYK):パスワードなど
利用者が持っているもの(Something You Have:SYH):ハードウェアトークン、ソフトウェアトークン、スマートカードなど
利用者の身体的特徴(Something You Are:SYA):指紋、虹彩、静脈、音声など

SYHには、ゴルフ場カードスキャン、プリペイドカード詐欺、キャッシングATM(日本固有の弱点)などの事件があり、磁気ストライプは簡単にコピーできるため、例えセコムの鍵(磁気)であっても持っていることが本人であることの証明にはなりません。ですので磁気はSYHには使えないということになります。SYH機器を利用するには、利用者1名で専有し他人への貸し借りを禁止する、機器は利用者が常に携帯することとし、携帯しない場合は他人が容易にアクセスできない場所に保管するなどのルールを定めた運用をしなければ意味がありません。スマートフォンはSYHになりえますが、ノートパソコンも常に持ち歩いており家に帰るときは鍵のかかるロッカーに入れておけばSYHになります。ノートパソコンをしまう癖をつけるのは1つの良い方法だと思います。

ここから、OTP(One Time Password)がどのような仕組みでSYHを実現するか解説します。一番メジャーなものだとGoogle認証システムがあります。これは私のスマートフォン(人には盗られていないという前提)に6桁の数字を表示させ、それを使用してログインします。スマートフォンの中にSeedと呼ばれる鍵が1つ入っており、これと同じものがサーバー側に入っています。このSeedが、特定の数式(ハッシュ関数)で6桁の数字を生成し、サーバー側の同じSeedが生成した6桁の数字と同期・認証をします(共有鍵方式)。

ICカード(磁気ストライプとは違うと言いましたが)はその中に秘密鍵と言われる鍵が入っています。サーバー側には公開鍵と言われる秘密鍵とペアになる鍵を持っています。サーバーからチャレンジと言われる大きな乱数を送り、ICカード側で乱数に対して電子署名をし、帰ってきた電子署名が正しいかどうかで認証をします(非対称鍵方式)。

OTPとICカードの共通点は流れている情報が鍵から生成された情報で、鍵そのものではないということです。ですので、仮に鍵が盗まれたとしても安全性が保たれます。何故ICカードが磁気ストライプより良いかというと、CPUが入っていて計算してレスポンスを作っており、鍵を出さずに鍵を持っていることを証明できるところです(ゼロ知識証明)。ICカードにチップは剥がそうとするとデータが飛ぶようになっているので、絶対にコピーすることができません。共有鍵の一番の欠点はサーバー側に秘密情報が漏れてしまうことです。非対称鍵のICカードであれば、ICカードの中に秘密情報があるのでサーバー側には漏れる心配がありません。非対称鍵を使うということが1つのキーになります。

サーバーから秘密情報が漏えいする問題については、パスワードが1つのサイトから漏えいすると、そのパスワードで他のサイトにログインされてしまうというものがあります。サイト側の対策としてはパスワードのハッシュ値を保存したり、公開鍵を保存したりして秘密情報の保存を避けるというものがあります(LDAO、SSL相互認証、FIDOではこの方式を採用。OTPなど認証時にパスワードを送らずにハッシュ値を生成する系では採用できません)。ユーザー側の対策としてはサイト毎に私用する鍵を変えるというものがあります(FIDO、OTPではこの方式を採用)。本日のFIDOの話からは少しずれますが、ブラウザーにパスワード(サイト毎に別々の)を覚えさせるというのはいい方法です。

生体認証は流行っていますが、生体情報をサーバーに集約せず、SYHのデバイスでローカルに生体認証を用いるのでない限り、以下のような問題点がありお勧めはできません。
・本人が秘密にするという意識がないので、鍵となる生体認証が簡単に盗まれる
・生体認証が使えなくなったときのバックアップ手段が必要
・一生変更できない→サーバーから漏えいすると…

以下のような「なんちゃって」にご注意
・なんちゃって二要素:SMBCや楽天カードの第2パスワードはSYK+SYK、つまり二要素ではない
・なんちゃってSYH:CPUの入っていないUSBキー →コピー可能なので、SYHとならない
・なんちゃってOTP:マトリックス認証はOTPであると宣伝しているが、通信上OTPを流すだけで認証要素としてはSYK、さらにパスワードより
エントロピーは極端に少ない

「FIDO2 WebAuthn」は以前の「FIDO UAF(ログインする端末自身がSYH)」と「FIDO U2F(PCでSYHを用いた二要素認証)」が統合して、Webブラウザ上のAPIとして共通化されたものです。ブラウザからJavascriptさえ組めればがWeb Authentication利用できる状態になっているのがFIDO WebAuthnです。

FIDO2 WebAuthnの認証は、SYHが基本でSYHのアクティベートにSYAやSYKを利用します。SYAやSYKはRP(Relying Party)が認証するのではなく、SYHのデバイスが認証します。ただし、二要素は必須ではありません。具体的にはパソコンの場合はUSBトークンがSYHになります。スマートフォンの場合は、それ自身がSYHなので別のデバイスは必要なくなります。これに指紋などの生体認証を入れることでスマートフォンの場合は認証が可能になります。非対称鍵で電子署名をして認証するというICカードと同じ仕組みです。初回はユーザーは公開鍵ペアを作り、秘密鍵を安全なところに保管、公開鍵をサーバー側に置くという登録の作業が必要になります。

FIDO2 WebAuthnの情報は「パスワードレス認証WebAuthnの勘所と対応状況」というサイトが詳しいです。
https://gihyo.jp/dev/column/newyear/2019/webauthn?page=2

デモサイトはMicrosoftのサイトが優秀です。
https://webauthntest.azurewebsites.net/

FIDOのAuthenticatorにRPを多数登録すると、紛失・盗難時に公開鍵を失効するのが大変になります。PRを減らすためにSAMLによる認証の
間接化は必要です(紛失・盗難時はSAML認証サーバーにだけ失効を申請すればよい)。

[質疑応答]
Q1. 生体認証は実はセキュアではない面があるというお話がありましたが、指紋などはコピーできるのは理解できますが静脈などもコピーできてしまうものなのでしょうか?
A1. 静脈は秘密にはしていませんが撮るには機械が必要なので指紋や顔よりは安全だとは思います。が、よくある“手”なのでこっそり盗られる可能性はあると思います。実際に静脈認証を開発した人は彫刻刀などで彫って自分の静脈を作って認証させることなどができるそうですので、盗られてしまったら終わりだと思います。他の要素と組み合わせることが大切だと思います。

Q2. 世の中にいわゆる「なんちゃって二要素認証」が多いのはなぜでしょうか?
A2. 素人を騙す商材的に捉えられている感じがします。例えば「OTPが流行っている」「OTPは安全」という言葉尻だけを捉えている。「USBキー」も中身の認証方式を考えずにすべて「USBキー」であれば安全というような、言葉尻だけを捉えた素人を騙す商売のような感じがします。モバイルバンキングの乱数カードはまだ安全なほうです(数字を見られたり、盗まれたりしたらだめですが)。10回くらい検証したら、ほとんど同じ数字ということはありましたが。

5.ゲスト講演
「LoRaと衛星通信」
   和歌山大学 協働教育センター 教授
千葉工業大学 惑星探査研究センター 主席研究員
内閣府宇宙開発戦略推進事務局 宇宙政策委員会専門委員
秋山 演亮(あきやま ひろあき) 先生

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1.ロケット開発について
現在世界の中で宇宙に自分の力で行ける国、ロケットをもっている国は10数カ国ですが、これらの国のロケットには、一つ共通点があります。
ロケットは、ドイツのフォン・ブラウンにより1945年頃の第二次大戦時にナチスドイツで作られたV2ロケットが最初です。このⅤ2ロケットが現在のロケット技術のベースになっています。音速で飛んでくるⅤ2ロケットは、第二次世界大戦の際に現在のポーランドからロンドンへ何万発も打ち込まれました。当時のドイツでは、核開発が進んでいなかったため核爆弾としてのロケット利用はされませんでしたが、何万発ものⅤ2ロケットによる爆撃でロンドンは焼け野原になりました。
その後フォン・ブラウンは、大戦が終了する前にアメリカに亡命しアメリカでロケット開発に携わることになりました。さらに同じ時期に当時のポーランドを抑えたソ連が、ロケット開発を始めたことで、その二国が世界のロケット開発の基となりました。

2.日本のロケット開発
ところが独自にロケットを作った国があります。それが日本です。糸川英夫先生によってニュー5型ロケットが開発されました。
このニュー5型ロケットの開発には、1955年4月12日に調布の飛行場から予行発射され、1955年8月6日には、秋田県の石川海岸から戦後初のリモートロケットを発射し、その後1962年までに石川海岸から70発のロケットの打ち上げが行われ、高度200Kmまでの飛行を可能としました。
さらに1970年には、日本は世界で4番目に人工衛星の打ち上げに成功し、世界有数の宇宙技術保有国となりました。独自でオリジナルロケットを作ったのは日本人とドイツ人だけです。その後、日本の宇宙技術は、小惑星探査機「はやぶさ」や地球から物資を運び軌道間遷移として宇宙ステーションに物資を届ける「こうのとり」など高度な宇宙技術を保有することになりました。
1980年代には、アメリカ・ソ連・ヨーロッパ・日本が、宇宙4強と呼ばれていましたが、現在ではそれらの国々に中国・インドを含めた6カ国が宇宙6強と呼ばれています。その中でも、特に中国は、既に有人ロケットの打上にも成功し、衛星総数でも日本を抜いて世界第三位となりました。

3.宇宙ビジネスについて
宇宙ビジネスって儲からないのですか?と聞かれることが有ります。日本での宇宙ビジネスは、正直なところほとんど伸びていないのが実状です。しかし世界的にみれば、宇宙ビジネス全体で、年14%で伸びているのが現実です。問題なのは、宇宙ビジネスのマーケットが科学や技術の進歩により伸びるマーケットなのに、日本では、なぜ宇宙ビジネスが伸びないのか?と言うことが大きな問題だと思います。
それは、日本人の「宇宙」のイメージがどうしても「ロケット」を連想しがちだからです。
一般的には、ロケットを開発から打ち上げまで自力で行うことは、かなりハードルが高く難しいことなので、宇宙ビジネスが与えるイメージをロケットと捉えられてしまうことが、日本で宇宙ビジネスが伸びない理由だと思っています。
ただ、今の宇宙ビジネス自体、正直なところ一種のバブルになっているように思われます。いま日本では、宇宙関係ベンチャーとしてお金を集めている会社は数社ありますが、それらの会社は、宇宙ビジネスと言いながらも宇宙で物を動かしたことはない、宇宙での実ビジネスをしていないのが実状なのです。正直なところ宇宙というものは、我々からすると特殊なところなのですが、「宇宙ビジネス」イコール「ロケット開発」のイメージを払拭することが重要なことだと考えています。それには、宇宙ビジネスについて色々と知ってもらえるような様々な活動を行なって行かないと駄目だと思います。

4.日本の宇宙ビジネスの現状
宇宙ビジネスの一例として、和歌山でロケットを打ち上げようとしている会社があります。私は役所の人間以外で、一番日本でロケットの射場を作っている人間なのですが、現実問題、和歌山のその場所は、上空を飛行機が一日100機以上飛んでいて、さらに海には船舶もあるので、私としては射場を作ってもロケット発射には、様々な問題を抱えていると思います。
既にビジネス的なプロジェクトとしてスタートしているので、来年の12月には、射場からロケットを発射しないとならないのでしょうが、なかなか難しい問題を抱えていると思います。
恐らく射場の許可が下りた後の周辺の状況調整だけでも大変です。具体的には、ロケットを打ち上げようとする際には、上空使用許可申請を交通局に出さなければならないのですが、交通局に申請を出す際には、「上空を飛ぶ飛行機とは個別に交渉してください。それぞれの交渉がまとまったらOKだします」と返答されると思われます。
しかし1日100機以上の飛行機、それも諸外国の飛行機も含めて上空を飛んでいるので、それぞれの航空会社と交渉することは、実際には不可能だと思います。
ただし彼らも後には引けないでしょうから、おそらく最初の一機目は、航空機が飛ばない夜中に発射すると思います。夜中だと飛行機もあまり飛んでいませんからね。それでも交渉は大変だと思いますが。
ただし、重要なことは、衛星を太陽と同期しようとするには、昼間に地球周回軌道に衛星を打ち上げないと衛星の利用意味がないので、採算に乗るビジネス化は、大変な諸問題を抱えていると思います。

現在の宇宙ビジネスは、ある種のバブル期にあるように思えます。そのため過去の歴史が物語っているようにバブルは、いつか弾けると想像することができますが、バブル状態での宇宙ビジネスが崩壊してもそれまでに培われた技術やノウハウなどで、生き残る人たちはいるわけです。これから宇宙ビジネスに携わろうと考えている方々には、そう言うことも想定しながら参入していただけると良いのではと思います。

5.日本のロケット事業
日本のロケット事業の政府予算として年間3000億円の研究開発予算をとっていますが、実運用が、全くされていない、さらにロケットの産業利用すら支えていないのが現実です。
これをどうするかと言うことで、政治的な動きとして2008年に自由・公明・民主3党で宇宙機構法人を作ったわけですが、2009年に自民党が崩壊し、良い方向に進まなかったのは現実です。その後、他の大学の先生方と声を挙げて、2012年に宇宙関連法案として法律を改正しました。その時の会合に参加して、私達が報告したのは、3つだけです。
1.日本は宇宙開発をやめない
2.そのために産官学が一体となった宇宙システムの社会インフラを作る
3.宇宙政策の透明化及び意思決定と予算執行の一元化の促進、仕組みを変える
と言うことです。それ以前は、ロケット産業は、文科省の管轄でしたが、内閣府(総理大臣)のミッションへと変わりました。重要なことは、政府のお金を使わないで民間主導で宇宙開発が出来るかと言うことでした。

そのきっかけとなったのが、17年前に和歌山での台風による集中豪雨で、当時の那智勝浦町長の奥さんと娘さんが亡くなるといういたましい事故がありました。国交省は、河川の水量を測定する測定装置の設置に1か所5000万円かけていたので、河川に必要な個所数の測定装置の設置が出来なかったのです。
あの時も那須勝浦の水流は大丈夫だったのですが、ある特定の地域でのみ集中して降った結果、一気に那智勝浦に流れ込み、痛ましい事故が起きてしまいました。このような事故が起きないように、宇宙技術を使って、なんらかの対応をしなければならないとの意見が持ち上がりました。

6.LPWAのIoT通信
宇宙利用といえば、衛星データ利用のリモートセンシングと考えられがちですが、私が提言したいのは、通信の重要性だと思いますと。どうしても通信といえば、電子基板という話になりがちですが、もっと簡単で低価格に電波を飛ばせる通信の時代が来るはずだと考えていました。それがLPWAのIoT通信だと思うのです。
日本では、大量のデータ画像を配信するのが、遠隔情報通信と考えがちですが、例えば、水量のデータなんて一送信あたり数Bitのデータで十分なので、低価格の測定装置を数万か所に設置しデータを取り込むことで、高精度な状況把握が可能となります。そのためのツールとしてLoRaを使うことが最適だと言えます。
さらに日本では、多方面で利活用が期待されていたドローンですが、一部の利用者が悪さしてくれたおかげで上空の規制が厳しくなり、利活用のハードルが上がっているのが現実です。また気球についても、日本では、成層圏まで気球を上げようとするとなかなか出来ないのですが、広大な土地のモンゴルでは、気球の打ち上げの障壁が少ないので、現在モンゴルで気球によるLPWA通信の実験をしています。成層圏は、地上から30~40キロなのですが、LPWA通信では、直線距離にすると100キロから200キロ離れたところとの通信が可能なことが実験から分かりました。
この双方向通信の実験から、地上だと10キロしか届かないものでも上空は電波の障害がないので100キロから110キロまで通信が可能なことが確認できました。

さらに2年前に世界最小のロケットで、3Uの人工衛星を打ち上げました。その人工衛星にLoRaの受信機を搭載し高度600キロで通信することが出来ました。
この衛星を使って何が出来るかと言うと、たとえば、紀伊半島の見通しの悪い発電所や地震とか台風で影響を受けそうな場所全てと通信することが出来るのです。
こうしたIoTデータを取得することにより、人の命を救うことができ、しかも世界的に見てもこのような災害対策を求められている場所はたくさんあります。
それには、携帯電話での通信を利用すればいいのではとの意見もありますが、基本的には、携帯電話は、人の住んでいない場所では、電波が届かないことが多いのです。それを補うためにもLoRaを使い電波の届く範囲を広げ、さらに通信のできないエリアのカバーには衛星を使えばいいと考えています。

現在の衛星の状況から既にLoRaを使った衛星が商業的に認められてきました。3Uタイプの衛星だと1機300万円程度で作ることができます。さらに打ち上げにかかる費用の700万円程度を加えてもトータル費用として一機1000万円程度で衛星を打ち上げることが可能となっています。
地球は、自転しているので衛星を複数上げる必要はありますが、1機1000万円程度で衛星が打ち上げられるなら、100機打ち上げても10億円です。今、通常の人口衛星は、打ち上げ費込で1機打ち上げるのに何百億もかかることを考えれば衛星のビジネス利用が、手の届くところに来ているのは事実です。そんな時代がもう来ているのです。

7.災害対策への利用
たとえば津波で大被害を受けたことのあるジャワ島で低価格な津波センサーと受信機を設置すれば、費用を押さえた津波監視網が出来ます。我々は、今後の活動で、そう言うことを仕掛けていきたいのです。こういうことを始めるきっかけになったのは、日本の311の震災の時からです。311の震災の際には、自衛隊や海外の救援隊は24時間以内に東北に到着していたのでが、被災者情報が入ってこないためどこに行っていいのかわからない状態でした。
みなさんご存知かと思いますが、埋まってしまった人や流された人の24時間以内の生存率は90%です。48時間以内では、50%しか生存出来ない、さらに72時間以内では、20%しか生き残れないのです。24時間以内に被災地に自衛隊が到着していれば、どれだけの被災者を救出できたかと言うことなのですが、311の震災の時には、ほとんど救出されなかったのです。なぜなら救出活動が出来たのは、72時間後だったのです。なぜ活動が出来なかったのかというと、地震、津波により通信網が壊滅され、情報が入らなかったため救助に行けなかったのです。

我々がLoRaを使ってやりたいのは、LoRaのような省電力で長距離届く通信、しかも衛星に送れる通信を利用しての災害対策なのです。
ただしLoRaでは、小さなデータしか送れませんが、小さなデータで出来ることはたくさんあります。たとえば、避難所に来た人たちの人数情報を把握することで、救出活動に役立てれたはずです。

ニッポンクラウドワーキンググループには、LoRaに精通された方もいるし、クラウドは、宇宙ビジネスの裏では、欠かせない存在なので、最終的には、こういった災害対策により人命救助につなげるところの活動を一緒にやっていけたら良いことではないかと考えております。

6.会長からの総括
会長 小堀 吉伸

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皆さん、お疲れ様でした。

秋山先生、ご講演、誠にありがとうございました。
さらにサムライクラウド部会からは、中川路さんに認証について大変濃いお話しをいただけてありがたかったです。ご苦労様でした。
また、今年も大阪会合の会場をご提供いただいた、GMOクラウドさんには大変感謝しています。本当にありがとうございました。

クラウドの先にあるモノを掴めば、自然にクラウドは使われると言った意味合いのBeyond the clouds!の視点から、今年は、衛星データの利活用から実際に既に行われている宇宙ビジネスなどの宇宙ビジネスに関わる方々にご講演いただいていますが、今回の秋山先生のご講演では、宇宙関連のビジネスについての足場となるお話しをいただけて大変有意義な会合を開催させていただきました。クラウド事業者が、宇宙ビジネスに関わることについてのハードルが低くなっているのだと実感することが来出ました。

ニッポンクラウドワーキンググループは、活動開始からほぼ毎年大阪会合を開催しています。会合は、本来クローズドなかたちで行っていますが、大阪での会合および11月の周年イベントにつきましては、オープンで開催し、会の活動を少しでも知っていただこうと考えています。

引き続き会の活動としては、会合開催及び各種部会の活動が中心となりますが、他団体さんへの後援や出展など、いろいろと行って行きますので、活動に共感される方は、是非一緒に活動していただければ、少しでもクラウドビジネスのマーケットを拡げられれば、活動自体の意味も出てきますし、私としても嬉しい限りです。

今回の会合も盛況に開催できました。皆さん、ありがとうございました。

 

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※NCWG実行委員およびお手伝いいただいた皆さん

懇親会についても大いに盛り上がり、メンバー・ご協賛の方々との積極的な交流を図ることができました。
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【NCWG実行委員 報告書作成者】
佐々木 泰(株式会社クオリティア)
木村 翠(株式会社DTS)


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