第43回ニッポンクラウドワーキンググループ会合報告
「ディープラーニングを活用し、クラウドビジネスを創る!」をテーマに、ゲスト講演として株式会社アイズファクトリーの大場氏にご登壇いただき、ニッポンクラウドワーキンググループ第43回会合を開催いたしました。
今回の会合はスリーハンズ株式会社さんに会場をご提供いただき、活気ある会合となりました。
ご参加頂いた皆様、ありがとうございました。
【日 時】2017年4月21日(金)17:00~19:00
【会 場】山王パークタワー 26F セミナールーム(スリーハンズ株式会社提供)
【参加者】メンバー、協賛各社および関係者の方々を含めて50名以上
ディープラーニングを含むデータマイニング技術が、普段利用しているサービスの裏側で既に様々に活用されており、また、活用することでデータから新たな価値を生み出せる可能性があることが理解できました。
ありがとうございました。
今回の会合をきっかけに、是非皆さんもデータから新たな価値を生み出すための活用方法を検討してみてはいかがでしょうか。
1.開催のご挨拶
副会長/司会 藤田 浩之
みなさま、第43回NCWG会合にお集まりいただき、ありがとうございます。
本日は久しぶりに司会も務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
まず初めに、本日会場をご提供いただきましたスリーハンズさん、ありがとうございます。
本日のテーマは「ディープラーニングを活用し、クラウドビジネスを創る!」ということで、ゲスト講演として、この分野を専業としているアイズファクトリーの大場さんにご登壇いただき、データマイニング・ディープラーニングの概要から、その応用までお話いただきます。
昨今、「ディープラーニング」等、非常に話題になってきてますが、よく理解していないことも多くあるかと思います。
本日は直に聞ける機会ですので是非積極的に質問をしていただき、最終的には今回の会合がみなさんのクラウドビジネスに繋がって実を結ぶことができたらと思います。
今年度の会のスローガンは、「Beyond the Clouds! ムスビ(結)で、実を創る!」ということでもありますので、是非結果(結実)に繋げていきましょう。
今期も半年が経ったので、簡単に会の詳細についてお話しさせていただきます。
ニッポンクラウドワーキンググループは、活動開始から6年目となり、
会合や研究部会、各種セミナーでの活動など、ほぼ毎月何らかの形で活動を行っています。
関わっていただいている方々としては、メンバー企業88社、ご協賛企業20社で108社の集まりとなっており、現時点では400名以上の方々にニッポンクラウドワーキンググループの活動に関わっていただいています。
設立時から、お話ししている通り、会の規模拡大よりは、質の重視と言うことで、進めてきましたが、当初思い描いていた状態で組織を維持しています。
ニッポンクラウドワーキンググループは、今後も引き続き、日本から発信するクラウドビジネスモデル「サムライクラウド」の構築を意義として活動を行って行きます。
3.部会報告
前年はビーコンを使ったアプリケーションを展開しました。
今年はローラという通信規格で、無線で15km飛ぶものを使用する予定しています。
IoTプラットフォーム及びLPWの調査、検証、デモアプリケーションの開発を目標とし、年4回開催する予定です。
次回日程は5月29日にスターティアさん会議室で開催いたします。
今年のスローガンはCloud Fast。日本のビジネスを加速させることをテーマにしています。
部会では協業を含むクラウドビジネスを検討するにあたり、アントレプレナーの教科書を教材に勉強会を実施しています。
参加者には毎回各章を読んできてもらい、その内容に即した、各社視点の発表を行っていただいています。
他社の事例を知ることができ、とても為になっています。
次回の勉強会は最終章、『組織構築』です。5月25日 アルティネットさんにて実施予定です。
次回以降の部会は、宮本武蔵の五輪書(地の巻、水の巻、火の巻、風の巻、空の巻)をアナロジーに、無双の負けないクラウドビジネスについて思考する予定です。
4.ゲスト講演
株式会社アイズファクトリー
代表取締役 大場 智康(おおば ともやす) 氏
本日はお招きいただきありがとうございます。
私自身SI企業様の前で発表するのは初めてですのでお手柔らかにお願い致します。
本来ビッグデータを考える際に基礎的になるあたりから始めさせて頂こうと思います。
自己紹介をさせて頂きますと、大学に長くおり、解析をやっておりました。
会社の立ち上げも参加していたため、ビジネスにも参加しておりました。
その後、サーバの管理をしていたこともある為、IT経験もございます。
そうした、「解析、IT,ビジネス」に背景のある人物とご理解頂ければと思います。
簡単に解析の歴史を申し上げると、ほんの10年程前までは、解析を行うにも各社様にデータが無い状態でした。
2010年頃からデータがたまり始めて、データ解析をしたいといった企業様と一緒に約40種類のデータと300を超える解析事例がございます。
今までやってきたものといたしましては、リコメンドエンジン、解析エンジン、サービスの構築をやってまりいました。
結果として、解析のノウハウ、モジュールを社内で蓄積してまいりました。
ご訪問させて頂くお客様は、多くが経営企画やマーケティングに類する部隊に所属している方達です。
今まで自社の活動とその改善を人力で直しておりましたが、データが大量にたまってきたため、データを分析し、それを使うサイクルを早く出来る様に心がけております。
ビッグデータに関わる際に、結果として儲かるのか、とよく聞かれます。
実際に紹介する際には効果アップ、売り上げアップ等、効率をうたわねばならないケースがございます。
事例として、ある会社様と一緒に行った分析では、テレビ広告、WEB店内ポップ、値段下げ行為など、売り上げを上げるための様々な項目があるなかでどの行為がどれだけの効果が出ているのか、それを見える化するためのサービスを展開しております。
他にも、テキストマイニングというテキスト解析を行っております。
あるグルメサイトの裏側を協力させて頂いており、キーワードを入れると変換候補が出ますが、その仕組みを作っております。
機械学習を使用しており、「yak」と入れた際に、「夜景」「屋形船」といったキーワードが食べ物として、リストになるか、表示させるか等の内容を決めております。
そのあとは順番を決める必要があったりといった仕組みです。裏側では1秒間で200回程度のキューが出来ています。
もう一つがダイレクトメール送付の最適化分析です。
利用者全員に連絡をするとコストが高いので、出来る限り効率的に送る必要があり、その最適化を行っています。
ある会社に携わらせて頂いた際には従来比130%に増やしたりと、確率を上げるスコアリングと呼ばれる行為をしております。
IoT、WEBサービス、CRM,MAツールの普及は全てデータを取る入り口となっています。
取得できるデータはセンサ情報、会員活動履歴、クリック数など様々です。
それ以外のデータも最近では企業から購入することも可能となっています。実際に様々な企業がデータを販売しています。
例えば、気象情報、小売店販売データ、企業データ。
それらを使ったビジネス例としては、飛行機があります。
飛行機を飛ばす際の参考としてデータ分析が行われています。飛行機は1回飛ばすためにおおよそ1億円程かかります。天候情報で最適なフライトプランを提案すればその分無駄が無くせ、航空会社の利益となります。1億円の費用に対して、燃費の良い飛び方をデータから導き出すのに百万円程かかるといった形です。
他にも船、船舶です。船も早く港に到着すると停泊料金が発生してしまいます。かといって遅れてしまえばその分追加費用が掛かります。
そのため途中までは全力で飛ばし、途中からはゆっくりと運転して調整をしているケースがあるのですが、全力運転するとその分燃料を消費します。
データ分析によって、巡行運転で遅れない事を教えて差し上げて数十万、等々。
営業活動にも、帝国データバンクから情報を買い、自社の今までの成約率をもとに、どこに行くのが最も効率が良いかを当てる活動もできます。
データマイニングは結果を出すまでのプロセスが大変です。
最近はバズワード化してきており、意味が混在しているケースもあります。
ビッグデータはそもそもは情報の事を指しているはずです。今は技術と思われる方もいらっしゃいます。
データマイニングは技術。それを行う人はデータサイエンティスト。
BIはデータの見える化、過去のデータをもとにグラフ化する。現状の把握や過去の振り返りはしやすいが、次のアクションを人が決めなければなりません。
BAは多変量解析。過去のデータをもとに、目的に合った未来の予想モデルを作る。次のアクションが決まるが、どの要因が関わってくるかはわかり辛いですが、意思決定としてはわかりやすいです。
ディープラーニングはコンピュータが自ら学ぶこと。
ルールが決まっていて再現可能な囲碁などのゲームであれば作り、プログラム通しで戦わせることも可能であるが、例えば、現実のある地域にミサイルを落とす、などの行為は際限が困難な為難しいのです。
これからは実世界からデータを大量に貯める仕組みと、クライアントの要望に応じて素早くレスポンスする仕組み(分析)が必要と考えています。
<質問>
Q1 分析できるデータの種類に制限はありますか?
例えば画像データは難しいなど。
A1 画像データの場合は、特徴点、例えば口、目、鼻、などを抽出し、数値化する必要があります。
実際にそうしたサービスを販売している企業もあり、そうした過程を経れば分析は可能です。
Q2 テキストを1万冊ほど入れた場合、解析に時間はどれくらいかかりますか?
A2 端的に申し上げれば、クラウドの性能にもよりますが、、、テキスト処理する場合はインデックス化する必要があります。
その後ほんのメインを抜き出すのですが、本の中にある特定のワードの抜き出しでよろしければ、検索機能と同じなのですぐできます。
学習という意味では、文字では1万程度であれば数秒。要素分解、係り受けという文章構成とポジティブ、ネガティブの要素わけが入るともっと時間がかかります。
Q3 お客様のご予算に関して、差支えのない範囲で下から上まで教えて頂けないでしょうか。
Q3 日本の会社はデータ分析の価値を認めてくれる場合が少ない。ビッグデータ市場は1200億ともいわれております。世界では12.5兆程。
ビジネスのお話をすると、1度入り込むのがとにかくタイ異変。結果が出る前にお金を頂く必要がありそこがネックと思われる。
1度入れば費用対効果がわかる。例ですが、テスト解析で数千万取れる場合もあります。
Q4 マイニングのやり方、データの分岐点、データ量の分岐点はどの様に分けていらっしゃいますか?
A4 分析と結果はデータの質によります。ダメなデータを入れても効果が出ません。
実際はやってみないとわからないところがございますが、過去の事例を述べることは可能です。
Q5 エンジン公開しておりますが、触ることは可能ですか?
A5 トライアルを申し込んでいただければ1か月間は無償で使えます。
5.スリーハンズ社からのご紹介
スリーハンズ株式会社
代表取締役 手塚 誠人 氏
自社紹介から、ロボットを使ったシステム運用の自動化サービス「3BOT」の紹介をしていただきました。
3BOTは、システム運用を自動化するシステムで、例えば、運用担当者が行う、システム構築、監視、通知などをロボットが行うことにより、運用担当者の負荷を下げ、作業効率を良くします。
MOST株式会社
代表取締役 春藤 匡央
自社紹介から、マイナンバー管理サービス「SP2マイナンバーツール」の紹介をしていただきました。
MOST株式会社は、スリーハンズ株式会社の取締役の春藤さんが代表を務める会社です。
「SP2マイナンバーツール」では、個人情報保護関連の事故(情報漏えい等)があった場合に対応の手助けをしてくれるサービスとのことで、詳細をお話いただきました。
アイズファクトリーの大場さん、お忙しいところ大変有意義なお話しをいただき、誠にありがとうございました。
また、今年も会場をご提供いただきましたスリーハンズさん、誠にありがとうございました。スリーハンズさんには、会の設立から、毎年この時期にこちらの会場をご提供いただき、本当に感謝しています。ありがとうございました。
再来月の6月には、今年も大阪会合を行います。
さらに11月には、活動開始から7年目に入ります。
より一層、関係者の皆さまには、積極に会の活動にご参加いただければと思います。引き続き、よろしくお願いします。
7.懇親会
懇親会も大いに盛り上がり、メンバー・ご協賛の方々との積極的な交流を図ることができました。
非常に有意義な懇親会となりました。ご参加された皆さん、ありがとうございました。
今期スローガンは、「Beyond the Clouds! ムスビ(結)で、実を創る!」です。
今回の会合がご参加いただいたみなさんのクラウドビジネスに繋がり、
実を結ぶ切っ掛けとなれば幸いです。
【NCWG実行委員 報告書作成者】
坂本 勝也(JIG-SAW株式会社)
渡邉 健太(JIG-SAW株式会社)