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NCWG設立九周年 年度報告会・特別講演会 開催報告

皆様のご支援、ご協力のもとにニッポンクラウドワーキンググループは、2020年11月1日より10年目の活動を開始しました。10年目の活動開始に伴い、9期の活動報告および10期の活動計画の報告会を2020年11月18日に開催しましたのでご報告いたします。

今回の「ニッポンクラウドワーキンググループ設立九周年報告会、特別講演会」開催にあたり、多方面の多くの方々の温かいご支援により盛況のうちに開催することが出来ました。さらに、みなさまから心のこもったお祝いの言葉をいただき、十年目の活動に向けて大変励みとなる周年イベントとなりました。重ねて深く御礼申し上げます。誠にありがとうございました。

また、今回も報告会開催に伴い特別講演会としてサムライクラウドサポーターで次世代宇宙システム技術研究組合代表理事の山口耕司氏に「ドローンとセンサー技術、その先に繋がるクラウドの有用性」のタイトルでご講演いただきましたので、ご講演内容の一部を本報告書に掲載させていただきまましたので、是非ご一読くださいますようお願いいたします。

今回の報告会は、リアルタイムでの動画配信は行いませんでしたが、ご参加いただけなかったニッポンクラウドワーキンググループの関係者の方々向けにFacebookのグループ内にて動画の公開を行っていますので、関係者の方は、是非ご視聴いただければ幸いです。

『ニッポンクラウドワーキンググループ設立九周年報告会及び特別講演会』
【テーマ】「ドローンとセンサー技術、その先に繋がるクラウドの有用性」
【日 時】2020年11月18日(水)17:00~19:00(受付:16:30~)
【会 場】市ケ谷健保会館 F会議室(2階)
【参加者】メンバーおよびご協賛各社
新型ウイルス感染拡大防止のため参加者を極端に絞り、会場内ではフェイスシールド着用、極端な消毒作業等のもとで開催したため、ご参加された方々には、かなりのご不便をおかけしました。ご協力ありがとうございました。

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【司会者のご紹介】
NCWG理事 尾鷲 彰一 

 

<設立九周年 年度報告会・特別講演会>

<第一部> NCWG活動報告及び本年度の活動計画
【NCWG 2020年度活動報告および2021年度活動計画】
会長 小堀 吉伸

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小堀会長から、2020年度の活動報告、および2021年度の活動計画の報告をいただきました。

2020年度の活動スローガンが、
『Beyond the Clouds!「強みをシナジーにクラウドビジネスを昇華させる!」』のテーマで、活動を行ってきました。
ニッポンクラウドワーキンググループがシナジーの場となり、参加者個々の強みを掛け合わせることによる相乗効果で、クラウドの利便性の向上と日本のクラウドビジネスのマーケットの拡大、そこから新たな価値を創出し、成果が出せるような活動を行ってきました。

今期、2021年度の活動スローガンとしては、
『Beyond the Clouds!「クラウドケイパビリティをスパイラルアップさせて、新たな価値を創る!」』のテーマで活動を行ってゆくことになりました。
新型ウイルス感染の負の影響が重くのしかかる今だからこそ、ニッポンクラウドワーキンググループが、新しい日常での新たな価値を生み出す気づき誘発のコミュニケーションHUB(ハブ)となり、参加者相互が、各社の強みをより深く知り合い、各社の強みを掛け合わせることで、各社それぞれが持つ「クラウドケイパビリティ」をスパイラルアップ(強相乗効果)させることを目的とする。結果としてクラウドサービスの利便性の向上と日本のクラウドビジネスのマーケット拡大に繋げ(結)、日本から発出するクラウドビジネスモデル=サムライクラウドの質(実)を高め、スパイラルアップさせることで新たな価値創出(結実)を目指す。と言うことで、10年目の活動を行ってゆきます。

また、サムライクラウド部会(部会長 野元 恒志)、クラウドアプリケーション部会(部会長 尾鷲 彰一)、クラウドビジネス部会(部会長 藤田 浩之)、宇宙クラウドサービス部会(部会長 小堀 吉伸)の4部会の2020年度の活動報告、2021年度の活動計画の報告をいただきました。

サムライクラウド部会 部会長 野元 恒志
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クラウドアプリケーション部会 部会長 尾鷲 彰一
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クラウドビジネス部会 部会長 藤田 浩之
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宇宙クラウドサービス部会 部会長 小堀 吉伸
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詳細は、こちらの資料をご覧ください。
2020年度NCWG報告会資料

また、ニッポンクラウド関係者のみ視聴可能な報告会の動画を配信しています。
是非ご覧ください。
第一部動画はこちら

<第二部> 設立九周年 特別講演会
『ドローンとセンサー技術とクラウドの有用性』
サムライクラウドサポーター
次世代宇宙システム技術研究組合
代表理事 山口 耕司氏

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ドローンに関する市場は、今や約4.65兆円規模になっており、2018年ころでは1.6兆円程度だったので世界規模で相当な市場の成長がうかがえます。
ドローンのイメージといえば、プロペラが4つほどついた姿がメディアなどでも取り上げられますのでご想像されると思います。最近では空飛ぶ自動車なんていうものもかなり実用段階に入ったようで、あれも実はドローンの技術が発展したものなんです。
本日は、登場から数年たってドローンとその周辺の展開や今後についてお話ししようと思います。

私個人の活動としては、初めはラジコン飛行機の延長のような感覚で趣味半分で始めたようなものですが、ドローンの他にも無人航空機(UAV)や、係留バルーンを作ったりなんてこともしております。
こういうものは例えば米国の国防企業が作っていたりしますが、防災無線(5GHZ帯)の中継器として利用が見込まれています。
そのほか、モンゴルへ行って気球を飛ばすなんてこともやっていたりするんですが、そこでもドローンの活躍できるシーンがありました。
モンゴルでは広大な土地の中で山火事が発生すると、発見・対応が困難です。
旧ソ連時代に比べ航空機などの設備も少なく、対応に苦慮されているという点がありましたが、ドローン技術の発展によってそれに廉価な設備で素早く対応ができる可能性があり、現地の協力を得て実証実験などを行っております。

さて今後、具体的な市場としてドローンの活躍が大きく見込まれるのはやはりまずは輸送分野でしょう。法制上、国内では25キロ以上積載したドローンを飛ばすのが難しいのですが、Amazonがドローンでの配達に手を付けたニュースを聞いてから久しいですね。
欧州ではすでに500キロも積載できるドローンが市場に登場してきています。
サービスとしての輸送以外にも、100キロ程度運べるだけでこれは大抵の人間が持ち上がるという事になりますので、実は災害救助にも役立つことが見込まれます。
その他、個人的に挑戦したいと考えているのは成層圏ドローンというものです。
高度20~30キロ程度の成層圏にドローンを飛ばして利用するということなのですが、この高度まで上がると数百キロ範囲の見通しがきくため、理論上は3,4台程度のドローンで国内の通信網をカバーできる可能性があり、通信中継やリモートセンシング等の様々な用途が見込めると考えています。

ドローンに関する現在の技術的課題として、通信のボトルネックというものがあります。
ドローンで画像取ったりデータを集めるのはいいのですが、これを送信するというのが問題になっています。使用する電波帯域によって法制上のハードルもあって問題が多い点です。
最近はこれについて、取得したデータそのもの常に送付する必要はなく、ドローンの機上で解析や判定を行い結果のみ送信すればいいじゃないか、という発想での開発が進んでいます。
やはり近年のマイクロ化されたボードコンピュータ等の技術や、そこで動作するAI、機械学習の技術が進歩したことが大きく寄与していると思います。

ドローンの生産に関してはやはり現状、中国が圧倒的なシェアを誇っており、国産の部品がなかなかないという状況です。
国内で有力なメーカと言えるものはでてきていません。
しかし、現状まだまだホビー用途で流通しているドローンが多いことから考えると、国内生産の部品に対する一定の需要はあるものと考えています。
加えて、特に国防方面の公官庁などではやはり国内生産のものが好まれる傾向があるため、そういったところも大きな需要があるでしょう。
現在、中国を主要な生産地としているドローン用モータのコイルは手巻きで作られていることが多いのですが、国内のモーターメーカでコイルを機械生産していないところはありません。
国産品はやはり信頼性は高く、特に趣味で購入するような層からするとその点は大きな魅力になるでしょうし、生産体制という意味でも優位な点はありますのでそこへ国内メーカが参入する余地は大いにあるのではないでしょうか。
その他、ドローンのような移動体が光通信で通信できるようになると、現在の法制度など電波方式のしがらみから解放されることになります。
その為、これに寄与するドローンに乗せられる高性能なジンバルなどのパーツが開発されるとマーケットとして非常に期待できることから、そういった技術の面でもアプローチの余地があると思います。

ソフト面に目を向けると、ドローン制御ソフトは、実はもともとOSSに端を発するもので、ありとあらゆるセンサー向けのライブラリを含め、いつどのセンサーからの信号が来ても適切な処理を行えるように開発が進められてきました。
現在主流なものにスイスで作られた制御プログラムがありますが、様々なセンサー類のライブラリとそれらをどのように適切に処理するか、一見すると辞典のようにも見えるそうで、教科書のようなプログラムなどと呼ばれたりしているそうです。
ただ、個人的にはソフト面にはあまり詳しくないのですが、このあたりもやはり海外でのビルドがメインになっているようで、それらがすでにデファクトスタンダードになっている状況のため、国内の発展は難しい分野かもしれません。

サービス面では、クラウドと連携したサービスというものがいろいろ出てきているようです。
先日、某公官庁の案件で自動飛行ドローンのログデータをとって、それをクラウドサーバで解析、可視化して利用について検討するというようなことをやりました。
姿勢や位置データ、速度、機体内部のCPU温度やクロック状況なども、送信したデータを基にグラフィカルに可視化することが出来るクラウドサービスが最近では公開されています。
実際に飛行した経路などを3Dモデリングして映像化することもできました。
近年では、このようにクラウドサービスとして、ノードとなるドローンのデータを加工したり分析するサービスが提供されています。
今後、通信方式の改善によるリアルタイム性や搭載機器の進歩によって、扱うことのできるデータやノード上での処理性能が上がれば、より幅広い展開が期待できるのではないでしょうか。

今回はドローンをテーマにいろいろとお話しさせていただきましたが、関連市場は今まさに大きな成長をしているところに間違いありません。
まだまだコロナ禍も先が見えない状況の中、人の代わりにいろんなところに出向いたりそこで何かができる、情報収集する、中継する、というような役割が考えられるドローンにはクラウドやその他の技術、サービスとのシナジーを含めて無数の可能性があると思っています。

ニッポンクラウド関係者のみ視聴可能な特別講演会の動画を配信しています。
是非ご覧ください。
第二部動画はこちら

[質疑応答]
Q.国内で海外に比べて先行している分野と呼べるようなものはあるのでしょうか。

A.思いつかないです。既に世界が土俵に上がっている状況なので、ベンチャー支援などが比較的薄い日本では伸びにくい部分があるのでしょう。
国内ではサービス観点などでは優位性がある部分があると思うのでそういう視点で新しいものがあると、今後デファクトスタンダードになれるような部分が出てくるかもしれないですね。

Q.国内ではやはり規制がハードルになっているという部分があるのでしょうか。

A.アメリカの方が実は規制が厳しいです。
日本は重量制限の部分は結構厳しいですが、そういう点よりもやはり様々な企業がいろいろ考えて挑戦していくような風土や促進を行うという方が大事ではないかと思います。

設立九周年特別講演会 締めのご挨拶
副会長 野元 恒志

山口さん、ありがとうございました。みなさんお疲れ様でした。
みなさんにこのように集まっていただいたのは、2月以来、9カ月ぶりということで、非常に去年の8周年のタイミングでも一部前半部分締めのご挨拶をさせていただきましたが、こういう状況になるとはまったく思っておりませんでした。
2012年には、NCWGで震災後の石巻市に伺わさせてもらい、いろいろ拝見させてもらいましたが、震災の場合は、瞬時にいろいろと失ってしまいますが、コロナ、ウィルスというものは真綿で首を絞めるように、じわじわと影響していくものだと感じました。
アフターコロナということですが、きれいにコロナが無くなることはないですし、さらっと終わることもなく、テレワークやオンライン会議など、今後は、クラウドとネットワークを切り離して生きていくことは難しいのかと思います。
本日、山口さんにドローンのお話しをいただきましたが、リモートの文化の中では、自動操縦であったり、クラウドの先のビジネスも今後発展していくのかと思いました。
新たにみなさんと、クラウドの上でのビジネスをしていかないといけないと切に感じました。
また、みなさんと次いつこういった形で集まれるかわかりませんが、顔を合わせてというのと、オンラインというのはやはり違うので、なるべく会えるようにしていきたいと思いますし、顔を合わせて、新たなクラウドビジネスの話をみなさんと議論させていただきたいと思います。
本日はありがとうございました。

【報告書作成者】
実行委員 内田 龍(株式会社クリエイトラボ)


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