第51回 ニッポンクラウドワーキンググループ会合[大阪開催]報告
『宇宙ビジネスの利活用でクラウドビジネスを昇華させる!』をテーマに、第51回ニッポンクラウドワーキンググループ会合を開催いたしました。今回の大阪での会合は、GMOクラウド株式会社さんに会場をご提供いただき、多くの方々にご参加いただき活気ある会合となりました。
【テーマ】『宇宙ビジネスの利活用でクラウドビジネスを昇華させる!』
【日 時】2018年6月8日(金)16:00~19:00
【会 場】GMOクラウド株式会社 大阪支社
【参加者】メンバー、協賛各社および関係者の方々を含めて60名程度
今回の大阪開催は、ゲスト講演として、一般財団法人 宇宙システム開発利用推進機構の高山さんに「宇宙ビジネス超入門~今、注目される宇宙ビジネス~」と題して、我々にとっても身近にある宇宙ビジネスについてご講演いただきました。
また、特別講演では「AI + 衛星観測画像 ~海洋水産イノベーション創発に向けた技術開発~」と題して衛星データの画像解析によるこれからのビジネスの可能性についてご講演いただきました。
今後の我々のクラウドビジネスにとっても有用な、大変興味深い内容でした。ありがとうございました。
会合にご参加いただいた大阪のみなさん、遠方よりお越しになったみなさん、ありがとうございました。
【司会者のご紹介】
実行委員 大澤 武史(株式会社クリエイトラボ)
1.開催のご挨拶
NCWG副会長 藤田 浩之
大阪開催にお集まりいただき、ありがとうございます。
一年ぶりに大阪に戻ってきました。
東京では会員限定でクローズドに開催していますが、大阪では一般開催ということで、本日は一般の方もご参加いただいております。
本日初めての方も、大いにNCWGの雰囲気を感じて頂けたらと思います。
本日会場を提供して頂いたGMOクラウドさんは、当会の発足時からご協賛いただいております。本日もありがとうございます。
当会は実行委員の協力のもと運営しております。本日も大阪に駆けつけてくれました。
実行委員の方々も、本日はよろしくお願いいたします。
今回の大阪開催は「宇宙ビジネスの利活用でクラウドビジネスを昇華させる!」というテーマで開催しております。
宇宙ビジネスと聞いて、縁遠いものだと思っていらっしゃるかもしれませんが、本日の宇宙システム開発利用推進機構 高山さんと京都大学 飯山さんの講演を聞いて、そんなことは無かったと思っていただけると思うので是非ご期待ください。講師のお二方、よろしくお願いいたします。
NCWGはクラウドビジネスの事業者がこの場で繋がっていただいて、ニッポンから世界に負けないクラウドビジネスモデルを生み出せたらという思いで行っています。それを「サムライクラウド」と呼んでいます。
また、今期スローガンとしまして「Beyond the Clouds!~結びで実を拡げる~」を掲げております。
ぜひ、「日本のクラウドビジネスを作るぞ!」という思いでご参加き、日本の中だけでなく、世界に、そして宇宙に、打ち上げて頂けたらと思います。
2.会の活動ご紹介および各種部会の活動ご紹介
会の活動ご紹介
会長 小堀 吉伸
皆さんお疲れ様です。
当会のご説明をさせてください。
大阪の方々に知ってい頂きたいという趣旨から、7年前から大阪でも開催しております。
今日初めてご参加の方もいらっしゃると思いますが、この10月で丸7年、11月で8年目に入ります。
NCWGという名前で呼んでいますが、元々はニフティさんの名前で始まってます。
現在、21社にご協賛いただいています。
サムライクラウドサポーターというのを設けてまして、そこでは学術系方々にもご参加いただいています。
普段は、東京でクローズで開催しており、50人程度で会を開催しております。
NCWGというのは分かりづらいという声もありますが、「クラウドビジネスを繋げるプラットフォームを作ろうよ、サムライクラウドとして」という思いでやっています。
日本で創出するクラウドビジネスをサムライクラウドと呼んでいます。
この二年間「Beyond the Clouds!」をテーマしています。
結びで実を拡げるというテーマのもの基、結果を作っていきたいと思っています。
現在四つの部会があります。
「クラウドビジネス推進部会」はアントレプレナなど学術的な内容、「クラウドアプリケーション部会」は技術的な内容で、本年度はAI、去年はLoRa、一昨年はビーコンをテーマとしていました。
「クラウドサービス部会」はクラウドをサービスから見ていこうという試みです。
「サムライクラウド部会」は各種クラウドサービスの連携についてです。
これらは、月一回程度で開催されているので東京にいらっしゃるときには、是非ご参加いただけたらと思います。
昨年行った6周年では100人程度集まったりもしています。
その時はAI業界で著名の山田先生にご講演いただきました。
今年はイノベーションをテーマに、また講師をお招きしてご講演いただこうと考えております。
組織は、理事4名と幹事1名に実行委員15名程度で進めております。
会合毎に報告書を上げていますが、他団体の方からお褒め頂いている点です。
新規で加わっていただいた方で、実行委員にご参加いただけるならぜひ手を挙げて頂きたい。
参加メンバーは大きい会社から小さい会社までありますが、参加するときには選考がありまして、100社あれば100社活躍できる形を望んでいます。
学術系の方面からは、サムライクラウドサポーターとして大学等からもご参加いただいており、ご登壇頂いたりしています。
ご協賛の会社は基盤の会社が多いですが、その基盤の上にアプリケーションの部分を我々が組み上げてサムライクラウドにしたいと考えています。
サムライクラウド部会
部会長 野元 恒志
今年も大阪で開くことができました。
GMOクラウドさんありがとうございます。
当部会は、あまねくアプリケーション(SaaSのサービスなど)を繋いでグランドクラウドを実現することをテーマに開催しています。
SAMLをベースにアプリケーションを横串につないでいくということで実現しようとしています。
マイクロソフトのAzure ADやGoogle、SalesforceもSAMLでのシングルサインオンに対応しています。
SaaSの契約ごとにID管理をしていたり、IDの使い回しをしていたりとID管理にはセキュリティ的な運用の問題があります。また「パスワードを変えることは効果あるのか?」もじつはあまりよろしくないというのが総務省からもリリースがありました。
よりSAMLは当たり前になりこれからよりSAMLで各サービスを繋いでいこうという動きが活発になるかと思います。
これまでの活動としまして、CBAさんとNCWGで会を超えた連携部会を開催し、実証実験をしています。
また、アプリケーション運用基盤のこれからとしてDockerなどのコンテナ運用、APIマッシュアップでアプリケーション環境を作っていく流れが強くなっていくと思います。
今後はDocker、SAMLの検証など進めていく予定です。
クラウドアプリケーション部会
部会長 尾鷲 彰一
世の中ではクラウドサービスが一般的になってきまして、ハード(IoTなど)とも繋がって、これも一つのByond the Clouds!なのではないかと思っています。
こちらは、ハードやAIなどをクラウドと繋げることを実現する、最新の技術について学んでいこうという会です。
小堀会長からお話があったように、昨年はLoRaを扱いました。
今回は「IoTのデータをAIで分析する」という形でAIについて実施しています。
前回は、進め方を決める内容でした。
次回は数学的なAIの理論を学んでいこうしています。
題材として、ソニーのプラットフォームやTensorflowなど色々触ってみようと思っています。
最終的には花粉の予想などをやれたら良いな思っています。
クラウドビジネス推進部会
部会長 藤田 浩之
「Cloud fast!日本のクラウドビジネスを加速させる」をスローガンにしています。
クラウドの利活用を通して日本のクラウドビジネス創出を目指しています。
前期は「アントレプレナーの教科書」という本を参考にした勉強会を実施しました。
顧客発見、顧客検証、顧客開拓、組織構築というプロセスがありました。
クラウドビジネスは新規事業に等しいので、スタートアップ企業のためのアントレプレナーの教科書が役立つのではないかと考えています。
今期は「五輪書」をアナロジーに負けない無双のクラウドビジネスを思考しようとしています。
五輪書は兵法書です。
個での戦い、軍での戦い、五輪書では両方に通じる理を説いています。
兵法書なのでそのまま読んでも、直接結果に繋がるものではありません。
咀嚼して、ビジネスでの考え方に昇華するというアプローチをしていきます。
「宮本武蔵は人生で負けたことがない、我々も負けないビジネスをしよう」という考えです。
五輪書では、“鍛錬”が重要だということが度々説かれています。
これはクラウドサービスにとっても同様です。
なぜならば、クラウドサービスはいつでもすぐに辞められるもので、だからこそ、鍛錬を行っていないと陳腐化し顧客に訴求しなくなります。プロダクト/サービスを磨き鍛えることにより、結果、他との差別化が図れるようにできます。
ご興味あれば是非部会にご参加いただければと思います。
クラウドサービス部会
部会長 小堀 吉伸
冒頭の三人は技術のアプローチですが、この部会は、サービスから考えます。
物事を進めるには定義が必要です。
この会ではクラウドはサービスであると定義づけて、セオドア・レベットの「ホールプロダクト」をテーマに当てはめて検討しています。
コアプロダクトをレンタルサーバした時に、周りのサービス(セキュリティ、メールなど)を補完していくことでコアプロダクトが強化される考え方です。
また、補完サービス同士を組み合わせ、サービスをメタ化を図ることを考えています。
補完サービスを垂直に繋げた時に面白いものができるのではないか、サービス群をサービスの超固体化としてとらえるなどを考えています。
藤田さんの部会と一緒に実施していますので是非ご参加ください。
3.GMOクラウド社からの各種ご紹介
営業部 プリセールスG
ソリューションアーキテクト
情報セキュリティマネジメント
中田 祐樹 氏
皆様、GMOの中田と申します。
今日はお時間を頂きまして、お話させて頂きます。
本日は最後に「イノベーション感じましたか?」と聞かせてもらいます。
私は元々エンジニアです。
ビッグデータの副業などもやっています。
GMOクラウドでは、マイニング用のボードを出して今注目を浴びていますが、これまではホスティングを行っています。
ところで最近イノベーション感じましたか?
まず過去を見てみましょう。
長篠の戦いなのですが、3000丁くらいの鉄砲を集めたという新しい下地があって2倍の差をつぶした戦いです。
信長は過去のイノベータです。
ARTUSはこれまでホスティングサービスを行ってきましたが、このほど最短1か月で使える定額のCDNサービス、SiteLockCDNを始めました。
GoogleのLighthouseを使っていますか?
ウェブアプリの監査ツールです。
SEOを他社と比べてみたところ、ここから差をつけるのが大変です。
三月のとある日の結果が突然伸びあがったスコアが上がりました。
コンテンツは変えていないのに、SEOが突然上がったのは、CDNを使ったのではないか?
Lighthouseでは各種スコアが出ますが、低いスコアの改善にはコストが上がります。
SiteLockCDNはサービサーとしても使いたいと思えるものです。
かけたコストに合った固定性能を重視しています。(ある程度機能を絞ったりもしています)
ケーススタディとして、性能を上げるのにAWSの設定などでは難しかったところが、SiteLockCDNではやりやすかったというものがありました。
月額5000円からお使いになれます。
ただ、CDNを頑張っても仕方ない場合もあります。
もしCDNでサイトの向上が見込めるか試そうというときに、お安くに始められるので是非ご検討ください。
今日は次のことを覚えていってください。
信長はイノベータ―だったこと
マーケ担当にLighthouseというものを知っているか聞いてみること
低いスコアの改善はROI的にも効果が出ること
[質疑応答]
Q1:
CDNで5000円は価格設定が驚異的です。
どう実現しているのですか。また、いつから使えるのですか。
A1:
連絡もらったら直ぐお使いいただけます。
利益はちゃんと出ています。
求めるものがはっきり得られるCDNというものでもないので、コストに見合った効果が出ているかを見て頂きたいです。
Q2:
サポートが気になります。
どういうお問い合わせが多かったりしますか。
A2:
初めの導入の部分についてのお問い合わせがほとんどです。
動き出したらサポートは減ります。
最初の「動かない」について対応する形です。
導入時の「動かない」ところをいかに簡単にするかがポイントだと思っています。
4.ゲスト講演:
テーマ:『宇宙ビジネスの潮流~今、注目される宇宙ビジネスと衛星データ利用~』
一般財団法人 宇宙システム開発利用推進機構
戦略企画室長 兼 宇宙産業副本部長
宇宙ビジネスコーディネーター
高山 久信 氏
宇宙ビジネスコーディネーターを名付けて、ビジネスと宇宙を繋げる活動をしています。
本日は宇宙ビジネスと衛星データということで、クラウド事業者の前では初めてとなります。
今宇宙ビジネスは新聞などでは目にしない日はありません。
何が起こっているのかをご説明します。
また、宇宙のデータはビッグデータなのでクラウドとの関係をお話します。
宇宙ビジネスコートは最初はニフティさんでした。
NCWGもニフティさんから始まったということで縁を感じます。
私は64歳で、最初は三菱電機に入社して尼崎で勤務していました。
機構は東京タワーの目の前にあり、もともと経済産業省で宇宙産業政策の窓口として活動していました。
NASAとは衛星データのセンサーの運用をおこなっています。
本日は宇宙データの加工の仕方なども説明します。
我々の財団は、3つの財団が統合されたものです。
(センサーによる取得、データの編集、データの提供の財団)
現在は無料でデータを提供して事業を起こしてもらう活動をしています。
また人材の受け入れなども行っています。
現在3つの目標を持っています。
・宇宙技術の進化と推進
・社会に実装
・技術の事業家と国際競争力の強化
宇宙ビジネスに何が起こっているのか、政策面でご説明します。
今、パラダイムシフトが起こっていると思っています。
・政府資金から、民間資金へ
・日宇宙系から宇宙ビジネスへ参入
・ビッグデータとしての衛星データ利用へ(再認識された)
当財団でも400TBを保持しています。
これからPBの世界になってくるでしょう。
これらのことから宇宙データ、衛星データが注目されています。
小型化した衛星にセンサーを搭載して常時観測できる状況ができています。
こういったものを新興国でも作れます。
また民間で作るロケットが4000万程度で作られています。
北海道で堀江貴文さんがロケットを飛ばしているものです。
「フェラーリからスーパーカブへ」という表現もされます。
日本の法制度の略歴を説明します。
2007年 地理空間情報活用推進基本法 GPSの法律ができています。
2008年 初めて宇宙に関する宇宙基本法ができます。
2009年 宇宙基本計画が作成されます。
2015年 色々な人に使ってもらう取り組みが始まります。(S-NET)
当活動に400名から500名のご参加いただきました。
今年は5月使い方の話をしています。
2016年 宇宙活用法で民間もロケットを打ち上げて良くなります。
官民データ活用法は、まだ紙をPDFにした程度で、これからの状態です。
2017年 衛星モリセン法
宇宙産業ビジョン2030が方向付けされ
未来投資戦略2017でデータの利活用として挙がっています。
2018年 宇宙産業政策パッケージでより推し進めています。
宇宙産業ビジョンのポイントは、第4次産業革命を推進させる駆動力として、ビッグデータ、AI、IoTのイノベーション結合の対象として挙げられています。
宇宙産業政策パッケージでは事業者への投資マッチングが様々立ち上がっています。
宇宙ビジネスコートは啓蒙活動しています。
今年はアイデアのコンペを行い、ANAの管制官のかたが賞を受賞し400万円賞金を得ています。
こちらは、ANAが事業化しようとしています。
宇宙ビジネスを構成するものは、輸送システムロケット、宇宙システム探査機、地上システムデータの管制・処理の3つの要素しかありません。
宇宙輸送システムでは民間(非商用ではなく商用として)が権利を取得した事例があります。
今回は3つの要素のうち、衛星データの話をします。
TERRAは資源探査のデータ(石油などの埋蔵など)です。
今は、調べ終えたので公開されています。
こういったものが世界にはたくさんあるのでPBレベルになってきます。
現在、世界を含めいくつかの組織がどのくらい市場規模が大きくなるか調査していますが、何れも今後大きくなるという結果です。
MM総研に調べてもらったところでは2015年は3500億円 2020年は6500億円 2030年には2兆円規模になりました。
宇宙利用のイメージをIT業界にヒアリングした結果は半分以上が未知・未来、漫画や映画のようなSFのイメージです。
実際に利用している気象衛星は2%程度です。
しかし、実際にはGPSや衛星放送など結構使われています。
現在の課題は次のようなものがあるといえます。
・どこに行ったら使えるのか
・データを解析(整理)できる人がいない
・衛星データが使えるものだと啓蒙する人がいない
特に、データはPDFになってるのが日本の大きな問題です。
データが綺麗にされれば、ビューなどのアプリ部分は活性化すると思っています。
上記のものについて、全部ができる企業がやっているのが日本の問題と言えます。
欧米ではそれぞれの分野にそれぞれのプラットフォーム、企業が実施しています。
それぞれの得意分野をこなすことで進められると思っています。
データの利用としては、例えば地球を観測するASTERです。
ASTERは赤外線から可視光まで14個のバンドを持っています。
一つの画像から、複数の見方ができます。(風の方向や、埋蔵しているものなど)
→山火事の避難経路など対策に使えます。
他にも、田んぼでの収穫の時期を見たり、漁業探査システムの「エビスくん」など、農林水産系で事例が出てきています。
海外では、石油の備蓄状況、水質モニタなどがありますが、日本ではデータの利活用に課題があり、まだ広がりが足りません。
宇宙ビジネスコートでは各参加企業サポートをしています。
無料のデータ、無料のアプリをご紹介
データのプラットフォーム、APIを作成
出向いて行ってのアドバイスなど
月2回のセミナーなど
ビジネス展示のご紹介など
今は宇宙事業を行っている企業がどんどん参加してきています。
クラウドの企業のご協力いただきたいので、ぜひよろしくお願いします。
[質疑応答]
Q1:
色々法整備されていて、色々できると思いました。
商用ベースは費用がかかると思いますが、どのくらいかかるのでしょうか。
またどんな問い合わせが多いでしょうか。
A1:
宇宙データによる収穫時期を管理しているお米「青天の霹靂」は有料の宇宙データを購入しています。
データは県が買っています。
こちらは商業化とはいえないと思っています。
日本の研究開発衛星は継続性が担保されていません。
それ故、日本で自由にできるデータはまだないといえます。
まずは0円で試して、事業化してペイできるか検証して頂きたいです。
問い合わせについては個人から自治体までたくさんあります。
外れないネジから、こういうことをやりたいという事業者までお話はあります。
業界も介護、教育、旅行会社などからもお話は来ているので、どんな事業でも宇宙ビジネスにつながる部分はあると思います。
5.特別講演
テーマ:『衛星画像についてパターン認識を用いた解析技術の紹介』
京都大学 学術情報メディアセンター
准教授 飯山 将晃 氏
AI+衛生画像観測の組み合わせで新しいイノベーションをおこせるのかのお話です。
もともとは宇宙とは関係なく画像処理の研究を行っていましたのでバックグランドは画像処理の研究をずっとおこなっていました。
AIと衛生観測を組み合わせた宇宙ビジネスとはなんぞやと何を取り組んでいるのかと言うと漁業、海です。
日本のひまわり8号が海水の温度を計測していて基本的には誰でも手に入ります。
どこにいったら魚が取れるのかや、そもそものきっかけは魚取りすぎで問題からきています。
また昨今各国の漁獲量が決まってるので魚取りすぎ問題にも対応できます。
グローバル・フィンシング・ウォッチというサイトで世界の漁業活動を追跡できるサービスありリアルタイムで漁船の位置がわかったりします。データを集めることはかなりできています。
その先にそのデータをいかに産業に活かすかがポイントで海の産業にはまだまだいろいろとやることが多いです。
メルカトル図法的にはまっすぐ行くのは効率悪いので、海流や地球を意識して航路を選択することで燃費効率が上がったりと画像の利用が行えます。
遠回りせずに良い漁場を効率よく周れれば燃費にも良いですし、ナビゲーションと衛生データの組み合わせでわかります。
こうゆうのをなんとかしていこうと、サスティナブル漁業が世界の流れで、漁獲量を国ごとに決めて量を安く取っていくことが世界の流れになっています。
海の情報をセンシングしていきたく、漁船ナビとしてGPS、通信衛星、ソナーとの組み合わせでデータとして提供します。
より良い情報でナビゲーションできるようになるのです。
問題は陸ほど通信環境が良くないのですが、それらをデータかしていくことがわれわれの進めていることです。
いろいろな業界の中でも、AIから最も離れた産業でAIを行う。海洋産業や農業はブルーオーシャンな状態です。
わかりやすく画像処理の話をすると、衛星観測を何とかしたいと。
雲の下の海水の温度がわからないのでそれをデータとして取りたいのですが、AI漁業がはならない理由はデータが取りずらく、太平洋に3300のセンサーしかなく、近畿に1台しかない温度計で天気予報しなさい。というような状態です。
300Km四方に1個のセンサーしかなくまた水深まで測れるセンサーがないので、300km四方をその数のセンサーで天気予報をするのは難しく、衛星データを利用して海運業や養殖業に利用していきたい。
現状、海水の温度は等高線のような温度図が日々提供されますが、土日は提供していません。
また等高線は手書きな状態なのでそれを自動化したいです。
フェリーで温度をはかっているのですが限界なので、AIと画像処理でなんとかならないかと、雲の下の画像を予測して欠損補完を行い海水温度に応用し、それを利用してどこに魚がいます等を、AIと画像処理で、今までの渦の先で取れるだろうなといった、漁業者の勘でみつけていた場所を見つけることに応用しています。
現在医療業界では読影医の勘と経験で見つけていた技術を、AIで腫瘍を見つける等おこなっていますがそれを水産業に応用できないか?
10年分の漁獲データをつかってここは取れる、取れないを入力してパターン化してそれを漁師へ提供したら今までよりも取れるようになります。提供したデータで漁をした場合に平均より4割も上がりました。
衛生データをパターン認識させて提供し効率上げてイノベーションへつなげたい。
ですが海や自然を相手にした取り組みは難しく、特に水産業が難しいのはデータがばらばらなのと、県や漁協が持っているデータをなかなか出したがらず、必要なデータだけを提供してもらいそのデータを加工して提供者へ戻したい。
海洋情報プラットフォームで様々な情報を集まりさえすれば、それが海の産業の効率化につながります。
最後になりますが、このような取り組みは農業はさかんで残念ながら海外では進んでいます。
トウモロコシの生産量を予測するようなことがアメリカのスタートアップではサービス提供で行われています。
陸でのサービスが進んでいるのでそれを海に活かしたい。
なぜかと言うと日本は海だらけでデータもかなりたくさんあるので、それを活かして日本の企業がビジネスに活かしてもらいたく、海運支援や海洋モニタリングして今後サービス提供していきたいと考えております。
[質疑応答]
Q1.
海の温度を予測する仕組みは他にも使えるのかなと思いました。
陸地で雲があったりとかしていますが、陸での応用事例はありますか?
A1.
陸は海とちがって温度の変化がないので、雲で計測できないときは晴れるまで待てばよいです。
日々変るような車を数えたい等は、周りから予測することはできません。
6.会長からの総括
会長 小堀 吉伸
今期のスローガン、「Beyond the Clouds! ~ ムスビ(結)で、実を拡げる! ~」で活動していますが、衛星データの利活用はクラウド業界の皆様からしたら宝の山ではないでしょうか?
NCWGは場をつくる会なので今回の講演も、前回の会合でお話いただいた阿部さんからのご縁で講演いただくことになりました。
阿部さんへの講演依頼も、実行委員のNTTスマートコネクトの宮崎さんが、以前、阿部さんの講演を聞いたことから、NCWG会合への講師としてどうですか?とのお話から始まっています。
高山さんの宇宙ビジネスコートさんではセミナーも行っており、そのセミナーにはNCWGメンバーも参加させていただきました。
このように他団体との交流からいろいろと相乗効果も上げていきたいです。
昨年に続いて今年も大阪の会場をご提供いただいたGMOクラウドの
皆様ありがとうございました。
大変感謝しています。
この後は懇親会の第2部がございますので交流を深めていただければと思います。
これからも日本のクラウドビジネスのパイを少しでも広げられるような
活動を行って行きますので是非とも活動に参加してください。
よろしくお願いいたします。
7.懇親会
懇親会についても大いに盛り上がり、メンバー・ご協賛の方々との積極的な交流を図ることができました。
ご参加された皆さん、お疲れ様でした。
【NCWG実行委員 報告書作成者】
井口 和彦(株式会社ドヴァ)
鈴木 淳史(株式会社オープンウェーブ)