第62回ニッポンクラウドワーキンググループ会合報告
『コロナでクラウドビジネスはどう変わるか!』をテーマに
ニッポンクラウドワーキンググループ第62回会合をオンラインにて開催いたしました。
テーマ:『コロナでクラウドビジネスはどう変わるか!』
日 時:2020年9月18日(金)17:00~18:00(オンライン会合)
18:00~19:30(オンライン懇親会)
場 所:オンライン(ZOOMミーティング利用)
【司会者のご紹介】
司会 副会長 野元 恒志
1.開催のご挨拶
NCWG副会長 藤田 浩之
本日はNTTコミュニケーションの林さんに”「With/Afterコロナ」でクラウドはどう変わるか”と題して講演いただきます。林さんの鋭い視点に注目ですね!林さん、どうぞ宜しくお願いします。
話は変わりますが、世の中はまだまだWithコロナということで前回の7月の会合よりは少し小康状態という感じですが収束にはまだまだという状況です。ただ現状が新しい日常ということなのかなと認識していています。そんな新しい日常の中でどう感染リスクを減らせるか、身近な人に感染させるないようにするためにITやビッグデータを活用したいと思っています。
身近なところで接触確認アプリのCocoaがありますが、みなさんインストールしてますか?
ビッグデータの利活用においても個人情報という観点を無視すれば生の確実なデータを利用できますが、悪用される可能性もあり、難しいところです。Cocoaがどのような仕組みなのか仕様を確認したところ、位置情報は利用されておらず日時でキーを生成し、10分間隔でそのキーが周りの端末に記録される仕組みであり、そのキーからは位置情報や個人の情報を特定することはできないということみたいです。
感染拡大防止の未来としては、スマートウォッチ等々でバイタルデータを記録/チェックして感染チェックするのはもちろん、手洗い・うがいを促したり顔をさわる癖などを警告してくれたりするような機能があると助かります。
個人情報を守りながらそれらの機能の進化には今後を期待したいところですが、そこではクラウドが重要な役割になってくると思っています。
最後になりますが、WithコロナでのNCWGの新しい試みとして、メンバー/協賛の紹介動画を制作配信しており、第一弾として株式会社ドヴァさんの紹介動画を公開しています。今期のスローガンが「Beyonnd the Clouds! 強みをシナジーにクラウドビジネスを昇華させる!」ということで各社には自社の強みを10分程度で紹介してもらいます。公開場所はフェイスブックのメンバー限定のグループになっていますので、周りをきにせず強みを存分に語って頂けたらと思っています。
製作は完全にオンラインで進めていまして、撮影や収録は自撮りでお願いしており、その後の編集作業は実行委員の有志によって行われています。すでに何社か自撮りをお願いしていて、その他のメンバー・協賛のみなさまにも順次依頼をさせていただきますが、是非わが社にという方がおられましたらお手を挙げていただければと思います。
Beyonnd the Clouds!Beyonnd the コロナ!ということで挨拶とさせていただきます。
よろしくお願いします!
2.部会報告
サムライクラウド部会
部会長 野元 恒志
サムライクラウド部会ではコロナ禍にあってもオンラインでの部会を継続して行っております。
オンライン部会の所感としては、事務所からのリモート参加あるいは自宅からのリモート参加など色んな方がいらっしゃるので環境によっては音声品質が保てなかったり、同じ事務所ではハウリングが発生するなど、オンラインWEB会議を行う問題はあるのかなと思っていますが一方で部会メーンバーには東京外にいらっしゃる方もいて、オンライン部会であることで参加しやすい環境ができているという側面もありました。
前回の会合では、オンライン部会をやってみての問題点やその中で考えたことなどをお話しさせていただきました。その後の7月~9月の議題としてオンラインの契約サービスの話が上がっていて、電子契約がどの程度セキュリティが担保されるのかといった議論とか、継続して議論しているところとしてはプログラマブルネットワークやリモートワーク関連としてオフィスに縛られずに仕事をするケースが増えてきていますので、ゼロトラスト、そもそもセキュリティとして完全には信頼しないという考え方から入ることなど、それに合わせた端末認証の話などを議論しています。
次回は10/2(金) 15:00からオンラインで実施いたします。
クラウドアプリケーション部会
部会長 尾鷲 彰一
今期は「IoTを本気(マジ)で使ってみる!パート2」というということで前年度から引き続き、現場でゲリラ豪雨を発見する雨量センサーを進めようと予定していましたが、コロナの影響で活動ができない状況ですが、今までやってきた中で出てきた課題は整理しておりまして、その課題を潰していけば完成できるのではないかと思っています。課題としましては、LoRaで通信する際にCPUがとられてしまい雨量計のカウンタが止まってしまう問題と、雨量計をどう設置すればよいか物理的な問題があります。
来期も引き続きこちらを進めていこうと考えています。
クラウドビジネス推進部会
部会長 藤田 浩之
新型コロナの影響もあり部会開催がままならない状況で、部会の活動指針の1番目として「クラウドを利活用してビジネスに繋げるための、リアルな情報で語り合う場を提供する」ということを掲げていますが、残念ながらほぼ実現できていません。
今期の部会のテーマとしては「クラウドビジネスに利活用できるクラウドサービス」というものを掲げていますが、なかなか開催できないという状況が続いています。
部会は毎年テーマを決めて勉強会を開催しています。過去には宮本武蔵の五輪書をアナロジーにクラウドビジネスを考えてみたり、データサイエンス入門ということで自らデータを分析して活用できる未来を想定してデータサイエンスとはどういうものかを学んみたりしてきました。
そんな中、2カ月後の11月からは会の新たな期が始まります。今後の部会は基本的にオンラインでの開催を想定していますが、来期部会の内容のアイデアの1つとして、「クラウドビジネスの本質」というものに改めて目を向けてみるということも良いのかなと思っています。
宇宙クラウドサービス部会
部会長 小堀 吉伸
今年度からクラウドサービス部会に”宇宙”が付け加えられて宇宙クラウドサービス部会ということで進めています。
”宇宙”というとロケットや衛星のイメージが強くて、なかなか一般としてのビジネス化はしにくいと思ってしまうと思いますが、去年から色々と宇宙関連に携わる方々と会う機会かでてきて、その中で宇宙ビジネスというのはハードル低いところで我々が参入できるところがあることがわかってきました。そこで宇宙ビジネスに関するクラウドサービスについて手の届く範囲でやっていきたいという思いでスタートしています。
2月くらいまでは和歌山大学の秋山先生が開催されている”黒熊亭”というイベントに参加させていただき、宇宙服や宇宙食などをビジネスにされている方と接しながら宇宙ビジネス感を肌に感じながら進めて行きたいなと思っていた矢先になかなか動けない状況になってしまっています。
11月でNCWGは十周年になりますので、来期には宇宙ビジネスにクラウドサービスを絡めて新たなビジネスを作りたいと考えている人たちに情報を提供できるように、現在はクラウドビジネスとの相性が良い宇宙ビジネスのネタを集めているところです。今後は、ウイルス感染状況を見ながら、なんとか集まれるようになった際には事前にご案内を差し上げますので、是非その際にはご参加いただければと思います。
3.サムライクラウドサポーター講演
『「With/Afterコロナ」でどう変わるか』
NTTコミュニケーションズ株式会社
サムライクラウドサポーター
林 雅之 氏
<自己紹介>
・NTTコミュニケーションズ株式会社 エバンジェリスト、Smart Data Platformマーケティング
・国際大学GLOCOM客員研究員
・株式会社シンカ マーケティング&広報アドバイザ
・総務省AIネットワーク社会推進会議 構成員(2016-2018)
・経済産業省 データ流通及びデータプラットフォームのグローバル化に関する研究会 招聘委員(2018)
・ニッポンクラウドWGサムライクラウドサポーター
・ITmediaオルタナブログ『ビジネス2.0』(毎日 4,700日/13年)
・ツイッター @masayukihanashi / @cloud_1topi
・書籍 クラウドビジネス入門/オープンクラウド入門/オープンデータ超入門/スマートマシン/クラウドの基本/Enterprise Cloudシステム構築ガイド
<最近の寄稿記事>
・大企業が続々と変革、日本の「ニューノーマル」な勤務スタイルとは (ビジネス+IT 2020.7)
・【コロナショック】業績下落へ対策は? 政府と経団連「デジタル、データ関連施策」まとめ (ビジネス+IT 2020.6)
・エバンジェリストが解説「5分でわかるITトレンド」 (Bizコンパス)
第6回 企業が「With/Afterコロナ」で検討すべきIT投資とは?
第7回 「With/Afterコロナ」で企業のクラウド利用は加速するか
<はじめに>
まず、クラウドの状況を振り返ってみたいと思います。ガートナーのパイプサイクルを見てみると10年前は過度な期待のピーク期でしたが、今は啓蒙活動期を超えて生産性の安定期に入っている状況です。
コロナ後の動向をみてみますと、クラウドの大前提となるインターネットトラフィックがコロナで非常に増えており、トラフィックを確認すると2月頃と比べると現在はかなり増加しています。このことからテレワークの利用、クラウドのサービスを利用者数が伸びてきているということがわかります。総務省の発表しているトラフィックのデータからも前年比で57%増となっています。
マーケットの動向としては、コロナの影響により減少傾向です。特にスマートフォーンなどのデバイス関連は20.8%減と大きく減少しています。国内のクラウド市場としては新型コロナの影響で長期的にみると追い風になっているようです。ガートナーは新型コロナウイルスの対策やさらに将来を見越した「ニュー・ノーマル」の議論によってこのギア・チェンジが加速する可能性があるとなっています。IDCも新型コロナウイルスの影響によって短期的には落ちても2021年以降はクラウド向けITサービス市場拡大の促進要因になるとみています。
このように一時的に落ちるかもしれませんが、コロナの影響によってクラウドの重要性が高まってきており、クラウドの成長を後押しするような動きになるという予測になっています。
IDCは、国内パブリッククラウド市場予測としては2020年でいったん成長が鈍化するも中長期的にみると2024年には2019年比で2.4倍になり、2022年以降は、人材/スキル不足を補うツールの発展やソリューション化が進んで、国内パブリッククラウド市場は成長を加速させると予測しています。
<新型コロナの影響によるクラウド動向(1)>
短期的には「テレワークの導入」「デジタルビジネスの強化」など喫緊の業務課題を解決するためのパブリッククラウドサービスを活用する企業が増加すると思います。従業員エンパワメントが優先され、コミュニケーション/コラボレーションの高速化、ワークスタイルの変革、デバイスの活用による情報伝達の高速化というような従業員の環境を変えていくとうところのマーケットが伸びていくと思われます。
<新型コロナの影響によるクラウド動向(2)>
業務を維持するための「事業継続」から、市場環境の変化に対応する「ビジネスレジリエンスの強化」へと、これまで以上にIT、特にクラウドの活用を検討する企業が増加するでしょう。Withコロナで企業戦略を見直す予定と回答した企業が71%となっていて、重視しているのは「持続可能性」が一番多く、ニュー・ノーマルに対応した商品の開発、事業ポートフォリオの見直し、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進と続きます。
市場の変化、今回のコロナのような変化に対して対応を身につけなければいけないということで、これから大きく変わっていくという概念として「ダイナミック・ケイパビリティ」というキーワードがあります。これまではオーディナリー・ケイパビリティとしてどちらかというとオペレーションや管理という形でルーティンを回してしっかり管理していくということが重要視されていましたが、ダイナミック・ケイパビリティは感知や補足、変容のようにコロナのような変化が起きた時に柔軟に対応するためにはこういった感覚が必要になりますし、それを活用するためにクラウドを含めたデジタルテクノロジーを展開していくダイナミック・ケイパビリティという考え方とそれを支えるクラウドというのが非常に重要になります。
<新型コロナの影響によるクラウド動向(3)>
多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)やデータ駆動型ビジネスに対する意識が拡大し、ビジネスレジリエンスの強化とDX/データ駆動型ビジネスを抱合した「クラウドジャーニー」を中核として、中長期でIT戦略を強化していく企業が増加しています。
デジタルトランスフォーメーション(DX)のイメージとして私なりに整理すると、今まで多くの企業はオンプレのシステムを多く持っていますが、これを維持していくのは難しく(2025年の崖)、どんどん刷新(縮小)してクラウドに移行させて既存システムのコストをさげていき、余ったリソースをデジタルを使った業務効率化や付加価値創出イノベーションで新たな市場領域で収益を獲得していくということかな、と思っています。
これはユーザー企業も重要ですし、この一連の「クラウドジャーニー」の流れをうまくクラウドで支えていくという意味でクラウドを提供する事業者にとっても重要になってきます。今までのユーザー企業はデータを使いながら社内の効率化、データの保護をきちっとしていくというような「データガバナンス」が非常に重要視されてきましたが、データ駆動型ビジネスというのはデータを積極的に活用することで付加価値創出など収益に結びつけていく(データイネーブルメント)、場合によっては社会課題の解決に繋げていくこと、データを活用したビジネスの創造をするという発想が重要になると思います。
<コロナ禍で変わるビジネスとクラウド>
クラウドに限ったことではありませんが、これからは非対面経済として以下の7つが大きなトレンドになると思います。
トレンド1:分散型都市。トヨタが進めているようなスマートシティでそれを支えるクラウド基盤は非常に重要。
トレンド2:ヒューマントレーサビリティ。Cocoaアプリもその一つですがこれが監視社会になるのかあるいは救世主になるのか、プライマシー問題もはらんでいる。
トレンド3:ニューリアリティ。教育や医療などオンラインの在り方が重要。
トレンド4:職住融合。オフィスと住宅を再発明せよ。
トレンド5:コンタクトレステック。非接触、「密」を回避するためのキーテクノロジー。
トレンド6:デジタルレンディング。非対面でもお金を流通させられる仕組みを考えていく。
トレンド7:フルーガルイノベーション。色々な逆境によって色々なビジネスモデルが生まれる。
非接触回避嗜好の高まりによるコンタクトレステックの加速
リモート、在宅サービスの加速
・小売:実店舗からオンラインへの更なるシフト(EC化)
・ヘルスケア:検査、施術、手術、入院以外の診断、処方、投薬が遠隔または在宅へ
・教育:認知能力は遠隔教育とAI活用の個別学習進捗管理へ
・金融:窓口における対面サービスからオンラインへ(フィンテックの更なる隆盛)
・ホスタビリティ:自宅でAR/VRを活用したエンタメ、店舗来訪型から自宅訪問型へ
・動画配信サービス、オンラインフィットネス、オンラインコンサートなど
・飲食、食材宅配サービス
物流、交通機能の構造変化
小売オンライン化や在宅サービス拡大により物流の重要性増大
・食品や薬などをロボットやドローンによるラストワンマイルの物流無人配送へ
タッチポイント・インターフェース手段のシフト
タッチ機能を用いずにデジタル機器に指令を送ることが可能なタッチレスのインターフェースが進化し、オフィスや在宅等の施設において設備・装置が見直させる可能性
・スイッチ、キーボード→音声/顔での認証/ID交信、センサー/音声/電波など
先ほどフルーガルイノベーションということで紹介させてもらいましたが、コロナによる社会課題がでてきたので、例えばAI技術でこれを契機に伸びていくものがあり、コロナに対応するAI技術として検出や感染予防、感染者対応、経済回復などが考えられます。
With/Afterコロナで期待されるデジタルイノベーション
1つのデジタル技術でもWithコロナ(~2、3年)、短期的(5年)、長期的(10年)と進む中で進化していくと考えられます。
例えば、オンライン化という技術でいえば、直近では通信強化、オンライン診断、授業などですが、5年後にはVR・五感再現技術による場の共有、臨場感の再現、10年後には五感再現技術の進化によってモノを共有化できるようになるなどです。人の支援技術としては長期的にはロボットとの共存する社会が到来しそうですし、流通・インフラではドローンを積極的につかった社会に変わっていくでしょう。モノの製造生産としてサプライチェーンの付加価値をどう出していくかというところも重要になってきます。
<クラウド、これからの10年(データドリブンの視点で)>
今までは、適材適所で色んなクラウド(Hybrid Cloud、Multi Cloud)を選んでいきましょうという動きがありましたが、今後は分散と相互連携としてDistributed Cloud、Omni Cloudなどを経て、クラウドも自律化(AI Defined Cloud、Intelligent Cloud等)など機械学習を活用し、スマートシティなど大きな視点でクラウドを利用される社会が生まれるのではないかと思います。
<キーパーソンが語るアフターコロナの世界>
・ビフォーコロナの世界には戻らず
アフターコロナを見据え人間中心のテクノロジーを考える起点にすべき
日立製作所 社長兼CEO 東原 敏明
・20世紀型の「大箱都市」の終焉
都市の在り方を再編成するきっかけになり、自由であることが重視されるようになる
建築家 隅 研吾
・タクシーは「動くオフィス」になる
タクシードライバーが世の中に提供できる新しい価値を探る機会 新たな業態への挑戦
日本交通 代表取締役会長 川鍋 一朗
・「デジタル田園都市国家」で成長を
「逆都市化」の中でも経済を成長させるカギをデジタルが握る
衆議院議員 平井 卓也
・「人間の一人勝ち」はあり得ない
「感染症は環境問題」と考える
人類は、ウイルスといかに対峙すべきか
『感染症の世界史』著者 石 弘之
・危機回避へ国際協調の枠組みを
レジリエンスの確保が加速する
経団連会長 中西 宏明
・研究開発の常識が変わる
新型コロナウイルスで生まれたサイエンスの新しい作法が開発の時間軸を変える
理化学研究所 計算科学研究センター センター長 松岡 聡
・固定費構造の見直しが急務
柔軟性にかける事業領域をどう見直すか
今後は新しいプラットフォーム上での課題解決型ビジネスが盛り上がる
ボストンコンサルティンググループ 日本共同代表 杉田 浩章
・「場所」と「サービス」が遊離する
都市は多機能空間の集合へ
元「WIRED」日本版編集長 若林 恵
・分散化でレジリエンスな構造に
「コロナ・ニューディール」ともいうべき政策が必要
感染症対策にも有効な「国土構造の分散化」を
京都大学院 教授 藤井 聡
・「不確実性の時代」が新常態の姿
ダイナミックケイパビリティを身に付けるためにもデジタルツールの活用方法の見直しを
経済産業省 中野 剛志
・企業経営の本質は全く変わらない
ビジョンとその腑に落ちによるイノベーションこそが企業の生き残りを分ける
早稲田大学ビジネススクール教授 入山 章栄
・バイオが全ての産業と関わる時代に
次の革新はバイオ。デジタル時代にはない不確実性がカギ
ベンチャーキャピタリスト 伊藤 穰一
・パンデミックが人類史を前に進める
今、大切なのは、歴史から学び、本質を理解すること
立命館アジア太平洋大学学長 出口 治明
・自分の意志で行動できる時代
昔は自分が働く場所を自分で選択することは絶対になかった
自分の人生をコントロールし始めた人が増えている
さくらインターネット社長 田中 邦裕
・私たちはどのような未来に生きたいのか
個人の自由と集団としての公共の利益はしばしばコンフリクトを起こす
このジレンマについて「私たちはどのような未来に生きたいのか」という視点に立った国民的コンセンサスの構築が必要である
独立行政法人 地域医療機能推進機構 理事長 尾身 茂
■FAQ
Q1.今回コロナ禍になって、社会全体でみると二極化されていて、クラウド化/テレワーク化にスムーズに移行できる業者とそうではないレガシーな業者もいらっしゃると思います。今後、社会がクラウド基盤が当たり前になってくる中で、どうすればみんながクラウドの恩恵を受けられるようになるのか、どのような課題があると考えておられるのか。
A1.レイトマジョリティの方々もクラウドに興味を持っており認知もされてきているので、そういったところを地道に教育・啓蒙活動をしながらクラウド事業者の役割としてテレワークパックとか会社に置いたらそのまま使えるインターフェースを用意するなど、良いサービスを用意していくことが必要だと思います。
Q2.「大箱都市」の終焉という言葉がありました。コロナウイルスのワクチンや治療薬が行きわたるのが今年の終わりか来年の初めという報道があったりするのですが、感染の恐れがなくなってからも果たして本当に分散型都市などが実現され、働き方が変わっていくのでしょうか。
A2.それを実現するためには企業がしっかりと制度改革をできるのかが重要で、ジョブ型雇用にしたり交通費の支給方法を見直すなど利益になるという前提で制度設計をすることで地方に住もうと考える人たちも増えてくると思います。
Q3.平井さんがデジタル改革担当大臣になられてデジタル庁を今後作るというお話もありますが、林さんのお考えはありますか。
A3.デジタル庁には個人的には色々期待しています。マイナンバーなども含めレイトマジョリティ層に普及することによって色々と繋がってきますので今回を機に一気に改革してもらいたいです。
4.NTTコミュニケーションズ社からのご紹介
『「Smart Data Platform」のご紹介』
NTTコミュニケーションズ株式会社
データプラットフォームサービス部
主査 梶山 慎平 氏
NTT Comの目指す姿 ~パートナさまと共によりより社会を創りたい~
NTTコミュニケーションズ株式会社 データプラットフォームサービス部 梶山 慎平
<自己紹介>
ネットワーク、クラウド、AI等々を生かしてお客様のDXをサポートしています。
その他、社内副業という形ですがCSR活動としてフィリピンの教育における課題をオンライン教育を使って解決する為のプロジェクトを企画させていただいたり、プライベートですがICT for Development LabということでICTを使って途上国の発展に寄与したいということで活動を行っています。
皆さんもどこかで見たことがあるともいますが、SDGs(エスディージーズ)の17の目標があります。
NTTグループはその17個の目標をビジネスを通して実現していくということが弊社の中期的な目標になっておりまして、それを実現するために企業のDXが欠かせません。そのためにはデータというものをいかに生かしていくかが重要と考えております。
社会課題の解決とはどういうものかについて弊社が考えているものとして、それを実現するとSmart Worldと呼ばれるものが実現できるだろうと考えており、それぞれ以下の7つの領域に対して取り組んでいます。
・Smart Factory
・Smart Workstyle
・Smart Education
・Smart Customer Experience
・Smart City
・Smart Mobility
・Smart Healthcare
よく聞く話としては「Smart Factory」「Smart City」ですが、先ほど林さんからのお話にも合ったように東京一極集中を解決していくかとか、それ以外にも非接触な社会を創っていく為に、いかにITを使うかが大事になってきますが、これを支えるプラットフォームとしてSmart Data Platformを掲げてスマートな社会を創っていきたいと考えています。Smart Data Platformをうまく使ってお客様のDXに貢献して、ともにSmart Worldを創るパートナーとしてという意味を込めて、DX Enablerという言葉を掲げさせていただいて、お客様の課題に正面から向き合っているところでございます。
Smart Data Platformを一言でいうと「シームレスなデータ利活用を可能とするプラットフォーム」ということでございます。抽象的な概念になりますが、そのような利活用をどのように促進していくか、それに資するサービス群を指します。
Smart Data Platformラインナップのコンポーネントを増やしているところではございますが、弊社だけでは十分ではありません。このようなものはやはり共創、パートナリングというのがなにより大事だと考えておりまして、今回色々なクラウドサービスをお持ちのみなさまの中で先ほどありましたような社会課題の解決ですとかスマートな世界(Smart World)を共に取り組んでみたいという想いをもった方がおられましたら情報交換出来たらと思います。
弊社の取り組みが結実したというところをいくつかご紹介させていただきますと、今回三井不動産様と一緒に行っているもので、「安心安全な公園事業」の取り組みとして、防犯カメラ映像をNTT ComのAIを用いて解析して、不審者を探したり、事故防止に活用したり、匿名化されたスマートフォンの位置情報データを用いて来園者の行動を解析して施設運営やマーケティングに活用しています。
次に、シフトプラス様との協業で、ふるさと納税をワンストップ化する「motiONE(モーション)」というソリューションを提供させていただきました。自治体の業務負担を軽減し、高齢化社会による人手不足を解消するとともにオンライン化することで「密」を回避することができます。
三井物産流通ホールディングス様とは、食品ロスをなくすというお互いの考えが一致し、ブロックチェーンとIoT技術を活用し、DXをお手伝いさせていただいています。
これらのご紹介は弊社のお客様との取り組みとなっていますが、ソリューションパートナーについてもご紹介させていただきますが
Smart Data Platformでは、現在InformaticaさんやDataRobotさん、TIBCOさんらと共創しておりますが、これらのパートナーさんと組むことでお客様に提供できる価値というものを増やしていきたいと考えています。
ここで共創の形のひとつとして弊社が提供させていただいているFlexible InterConnectというサービスをご紹介させていただきます。
クラウド接続に特化したようなネットワークであり、Google Cloud、AWSなどのパブリッククラウドの大手のところと繋ぐというのももちろんですが、SaaS事業者さんなどサービスを提供している方も是非乗ってきていただきたいと考えています。
メリットとしましては、弊社のネットワーク基盤を利用いただいている顧客層にパートナー様のサービスを使っていただける可能性が高くなります。具体的には弊社のポータルサイト内の購入できるメニューのひとつとしてラインナップされることになりますので、ボタン一つで購入できるようになりますので、いろいろな企業様に使っていただける機会を得られます。
<まとめ>
1.NTTComは社会課題の経穴に本気!!
2.Smart Data Platformは社会課題を解決する為にある
3.実現のカギはみなさまとの共創
本日はありがとうございました。
■FAQ
Q1.Smart World推進の中で7つの領域というのがありましたが、これから共創していくにあたって今どの領域でお問い合わせが多いのか。もしくは今後どういう領域が注目されていくとお考えでしょうか。
A1.Smart FactoryですとかSmart Cityというところが非常に多いのかなと思っています。ただ、今コロナ禍ということでSmart WorkstyleところやSmart Educationもオンライン需要というところでお話を頂いていると聞いています。
5.会長からの総括
会長 小堀 吉伸
皆さんお疲れ様でした。林さん、梶山さんご講演頂きどうも有難うございました。
本来であればリアルにお会いして色々と伺うというのが、ニッポンクラウドワーキンググループの活動の主としてやってきたことですが、こういうオンラインという形でお話を伺うことになりました。
おそらく前回の会合では造語で「異なった平常化(異平常化)」という言い方をしましたが、これが平常化していくんだろうなというのを今まさに実感していて、今後は非対面で経済活動するというのが主流になるのだろうと思います。今回オンライン会合は2回目なのですが、正直こういったやり方に慣れていければいいなとも思ってもいますが、辛辣な言い方をすると反面オンラインも飽きてきたというものありますが、この辺りはみんなで我慢、というよりは普通にやっていくしかないかなと思ってます。
実は来月の会合を予定していないので今回の会合がニッポンクラウドワーキンググループ9年目の最後の会合になる可能性が高いと思います。11月から活動を開始すれば10年目ということになりますが、ニッポンクラウドワーキンググループとしてはクローズドでやっていくという在り方はかわりません。
ニッポンクラウドワーキンググループはスタート時から”利益を得るようなクラウドビジネスの生簀にしたい”と言っているので、どんどん活用していただきたい。生簀として活用していただく為には水も綺麗じゃなければいけないし、酸素も十分行き届かないといけないというように会自体の活性化が必要なので、引き続き皆さんのお力添えを頂きながら会を推進させて頂きたいなと思っています。
本日はありがとうございました。
6.懇親会
オンライン会合終了後に今回もオンライン懇親会を開催し、大いに盛り上がり、メンバー・ご協賛の方々との積極的な交流を図ることができました。
皆さん、お疲れ様でした。
【NCWG実行委員 報告書作成者】
実行委員 横手 広樹(株式会社クリエイトラボ)