第61回ニッポンクラウドワーキンググループ会合報告
『ビジネスクライシスに対するクラウドサービスの有用性』をテーマに
ニッポンクラウドワーキンググループ第61回会合をオンラインにて開催いたしました。
テーマ:『ビジネスクライシスに対するクラウドサービスの有用性』
日 時:2020年7月16日(木)17:00~18:00(オンライン会合)
18:00~19:30(オンライン懇親会)
場 所:オンライン(ZOOMミーティング利用)
【オンライン会合開催にあたり】
会長 小堀 吉伸
ご無沙汰しております。オンラインではありますがご参加いただいている皆さんの元気なお顔を拝見できて本当に嬉しいです。
早速ですが、本日は、初めてのオンライン会合と言うことで、私が進行を務めさせていただきますので、よろしくお願いします。
本日の会合のテーマですが、『ビジネスクライシスに対するクラウドサービスの有用性』ということで、ビジネスでの危機に対してクラウドサービスは、当然ですが有用性があるということで、この時期だからこそ再確認をする意味合いもあり、このテーマで会合を行うこととしました。
本日の会合は、設立9年目で61回目の会合となりますが、この新型ウイルスの状況下では集まるということが現実的でないことは、皆さん痛感していると思います。今回の会合は、初めてのオンライン開催なので色々と試行錯誤しながらの開催となりますがよろしくお願いします。
本日のアジェンダですが、冒頭 副会長の藤田さんに挨拶いただき、次に新規メンバーのSOLAさんのご紹介になります。
新規メンバーの紹介の後、サムライクラウド部会・クラウドアプリケーション部会・宇宙クラウドサービス部会の4部会の活動及び今後の活動について報告をさせていただきます。
また、本日のメンバー発表は、ユニリタの真木さんに、今回のテーマである『ビジネスクライシスに対するクラウドサービスの有用性』について、自社での取り組み・事例を含めて発表いただきます。
クライシスとは危機的状態と捉えられますが、ニッポンクラウドワーキンググループに参加されている皆さんが、肌に感じ理解していただいている通り、クラウドサービスがこれらのビジネスクライシスに対して有用性・有効性があり、絶対に何かの役に立つと言うことは、当然ですが肌に感じられていると思われます。
この辺のことを真木さんのお話をお聞きした後で皆さんの現状を交えながらディスカッションを行い、こんな時期だからこそクラウドサービスが有効だというところを落としどころとしながら進めたいと考えております。
本日は、初めてのオンライン会合でなかなか通常会合とは違い、難しいところもありますが、短い時間ですがお付き合いください。よろしくお願いします。
1.開催のご挨拶
NCWG副会長 藤田 浩之
皆さま、本日は第61回会合にお集まりいただきありがとうございます。
前回の会合開催が2月ですから、ブランクもあり且つオンライン開催ということで進行が不慣れなところもありますが宜しくお願いします。
世の中は残念ながらポストコロナではなくウィズコロナという状況であり、今回の会合も本来ならリアルな場での開催を願ってましたが、今日も東京は280人程度の感染者がでているということで、夜の街で無くてもクラスター対策をしていたとしても、何か一つでも綻びがあれば感染してしまうリスクがある状態で、油断できないのが現状かと思います。
そんなウィズコロナといった状況で、新しい会合の在り方ということで理事・実行委員等で検討し試した結果、ZOOMでのオンライン開催ということになりました。
ちなみに、今回利用しているZOOMですが、最近オラクルクラウドをコアインフラとしたそうですが、オラクルの情報によると、今回のコロナによる需要増もあり1日の会議参加者数が3億人に急増し、さらに日々のデータ転送量が7PBという状態だそうです。
ネットワークトラフィック料金は大丈夫なのかと、気になるところでありますが、金額はともかくクラウドサービスがなかったら、ZOOMも急激な利用拡大に耐えられなかったのではと思っております。
さて、今回のテーマは『ビジネスクライシスに対するクラウドサービスの有用性』ということで、私たちのビジネスも新型コロナによって様々な影響を受けているかと思います。
一方、クラウドサービスがあって良かったと実感できたこともあると思います。
私の実感としては、GMOインターネットさんはいち早くテレワークを実践しているということで当初は驚きましたが、現在テレワークを実践している自分がいて、まさかこのようになるとは想像してませんでした。
去年あたりから、2020年は東京オリンピックがあり、開催中は交通機関が混雑するためテレワークを実施する会社さんがあると聞いてましたが、その時もテレワークの準備などもできていなく自分には関係無い話だと思っていたのですが、現在はお客さんとの打ち合わせを含め自分もテレワークが当たり前になっている。凄い変化です。
このコロナが無ければこれほどテレワークは活用されなかった思います。
この様に世の中はウィズコロナということで急激に変化をしている流れがあり、一方でビジネスへの影響が計り知れない状況でもあり、今回はそんな状況下でのリアルな情報を共有して、クラウドサービスの有用性を改めて考える場にしたいと思います。
2.新規メンバー紹介
株式会社SOLA 新井 孝徳 氏
株式会社SOLAの新井と申します。弊社の紹介を簡単にさせていただきます。長野県飯田市に本社を置き、東京日本橋に支店を展開しております。
主なプロダクトはGISを活用したシステム開発になります。Geographic Information Systemは、地図を活用した業態であれば馴染みがありますが、一般的な認知としてはこれからかと思います。
昨今、地震災害や河川の氾濫等でハザードマップを通して、被害状況等をご覧になっていると思いますが、弊社も某自治体の運営するハザードマップに参加させていただいてます。
GISは、可視化の表現力がストレートで、その特性を活かしたマーケティングツールとしても活用が広がっています。
社名は伏せますが、大手の学習塾の事例では、国勢調査や経済センサスのデータを活用して、塾の出店シミュレーションにGISを利用してます。
新規事業構想の話を少しさせていただくと、東京支店ではHRテック・AIをテーマにイノベーションに取り組んでおります。
昭和・平成・令和と世界の働き方も大きく変わってきた現在はHRテックの好機であると考えてます。
人事システムに関心のある方は、是非お問合せください。宜しくお願いします。
3.部会報告
サムライクラウド部会
部会長 野元 恒志
サムライクラウド部会は、コロナのこういった状況ではありますが、オンラインにてこれまで通り月1回開催しております。
緊急事態宣言中の状況下もあったので、PC等の機器類の扱いやセキュリティに関係するテーマといったトレンドを反映した話題がでました。
また、判子の見直しということでオンライン契約に関してや、ZOOM利用時のURLだけでアクセスできるといったところで、セキュリティ的な面での問題・課題もでてますが、これからオンライン契約系のサービスもURLのみで完結するものが多く、今後同様のサービスが沢山生まれてくると予想され、安全なサービスなのかといったことまで、内容的には幅広く抽象的なところもあり、これから注視していく必要があると考えてます。
また、これまでも議論しているゼロトラストに関しても引き続き議論しており、セキュリティ構築に際しては、“基本的に全て信用できない。社内の人間であっても信用できない”というスタンスでセキュリティ構築をしていこうといったセキュアな面の話や、あとはDocker・コンテナの話を、2月・3月・4月・5月・6月と、これまでと変わらず部会を実施してます。
これからのサムライクラウド部会の運営ですが、当面はオンラインを中心に展開をしていきます。
クラウドアプリケーション部会
部会長 尾鷲 彰一
クラウドアプリケーション部会は、今期は実際にフィールドにてIoTの実地検証をするという計画でいましたが、今回のコロナの影響がありオンラインでの実施が難しく、活動計画をスライドさせました。
本来は2ヶ月間隔で実施する予定でしたが、8月・9月・10月で実施予定となっております。
実地検証は、雨量センサーを使ってゲリラ豪雨を発見するという検証をやろうとしてますが、今まで活動してきた中で課題が幾つかでてきまして、その辺の課題解決をすることで次回計画しております。
開催時期については、メールにて連絡させていただきます。
宇宙クラウドサービス部会
部会長 小堀 吉伸
前期までクラウドサービス部会の名称で部会活動を行ってきましたが、今期から「宇宙ビジネス」を視野に入れたいと言うことで部会名を宇宙クラウドサービス部会とし、クラウドサービスを宇宙ビジネスへと手を伸ばすことで、宇宙クラウドサービスといった新たなクラウドビジネスのジャンルを創って行きたいと考えています。
まあ、名は体を表すではないのですが、部会名を変更し、我々が関わってきたクラウドサービスに宇宙ビジネスを重ねて、宇宙ビジネスに関する調査や研究、宇宙ビジネスに関わられている方々との交わりを通して、宇宙クラウドビジネスへの足掛かりとしたいと考えています。
宇宙関係のクラウドサービスとして、宇宙クラウドサービス部会という名称にし、宇宙ビジネス関連のクラウドサービスに関わっていくことで、部会の活動をはじめましたが、従来の部会のホールプロダクトやメタサービスの考え方や概念は踏襲し活動を行ってゆきます。
宇宙ビジネスと言うと一般的には、「ロケット」のイメージが強く、宇宙という言葉が先行して地に足がついてない・ハードルが高いといった印象や、実際に宇宙ビジネスというイメージを具体的に描けないといったイメージが先行し、参入障壁になっていると感じております。その参入障壁を払拭し、“宇宙ビジネス感”を掴むといった趣旨で活動を行ってゆきたいと考えています。
色んな宇宙ビジネスの中にクラウドサービスが関係していくので、そう言ったところを少しでも早く実感を掴んでいくようにしたいと動いています。
ただ、自分自身も宇宙ビジネスに関わっているわけでないので、実際にそういう宇宙ビジネスの活動をしている人たちと連携し、色々と宇宙ビジネスの実感を掴んでいきながら次のタイミングに備えようということで、この部会はスタートしました。
実際の活動としては、大坂会合の際にも講演いただいた和歌山大学の秋山先生も参加されていて、宇宙好きがあつまる黒熊亭にも参加しております。
そこに宇宙クラウドサービス部会のメンバーが参加し、実際にロケットを打上げている人や、宇宙食に関わっている人や、宇宙服の製造にかかっている人といった人たちに接し交流をもつことができるので、その中で宇宙クラウドサービスに関する情報を入れていこうと、今期は4回交流会に参加し活動しております。
ただ、今回のコロナの影響もありオンラインでの部会活動となっていますが、クラウドサービスの情報も被せていきながら、NCWG独自にNCWG発で宇宙クラウドサービスを創って行きたいと考えています。引き続き、本部会の案内を皆さまにさせていただきますので是非参加してください。
今回のテーマ『ビジネスクライシスに対するクラウドサービスの有用性』となりますが、10分という短い時間でのプレゼンテーションになりますので完結に話をするためにアジェンダを考え、アジェンダ自体を“起承転結”でお話しようと思います。
会社の紹介をさせていただきたいと思いますが、クラウドサービスのお話の前にコロナウィルスの影響が3ヶ月程度続きましたので、ユニリタとしてのコロナ禍における取り組みをお話したいと思います。
クラウドサービスにおいてお客様と接して、その中でどういったことが分かったかなっていうところを最後にして、ウィズコロナのニューノーマルに結び付けたいと思います。
起承転結の“起”になります。
弊社、ユニリタとは、簡単に説明をさせていただくと、グループ会社が8社あり社員数が連結で約550名、売上高が約100億といった企業になります。
主な事業はITシステム運用管理領域のパッケージソフトウェア開発・販売・サポートおよびソリューション提供、コンサルティングサービス、クラウドサービスの提供を行ってます。自社開発もやれば仕入れもやる、直接販売もやればパートナー販売もやるといった、何でもやれるといった組織体になります。
そんな中、私は、クラウドビジネスといった領域に注力しております。開発だけで無くセールスやプロモーションもおこなうフルスタックでやっております。
今回、技術者というよりも、ユニリタにおける働き方改革のリーダーといった立場で、1年ほどやってきましたので、その観点でお話したいと思います。
次に“承”になります。
コロナ禍における私たちの取り組みになります。何をやってきたかというと、皆さんも同様と思いますが、リモートワークをしなければならなかった中で、結果的に9割の社員が、在宅勤務ということになりました。私たちのクラウド部隊は、元々リモートワークを実践してましたが、全社員リモートワークという通達がでて、経営層やプロジェクト側が色々と働きやすさを向上させるために思案しないといけなくなり、その中の取り組みの一部をお話したいと思います。
1.在宅勤務の援助金・補助
在宅ワークに関わるネットワーク料金を援助。
2.リモートワークに必要なPC購入の援助
リモートワークに使うPCを社員自身が購入したものについても援助。
3.リモート呑み会の援助
リアルな呑み会で懇親を深められないので、リモートで実施した場合の援助。
ここまでは、働きやすさといったところになります。
もう一つの取り組みは、このコロナ禍になってから導入したものではありませんが、ピュアボーナス領域で有名なユニポスというシステム・サービスを採用しました。
このサービスは、仕事に直結しない些細なことでも「ありがとう」と言えるようなメッセージを送れるサービスです。
気軽に「ありがとう」と言い合えるような文化を作りたいと考え、導入したサービスになりますが、結構、活性化されており このコロナの状況でオフィスに行けないリモートワークの環境下にあっても、いつも隣に誰かがいてくれるといった様な感覚が醸成されて、評価もされており、働きやすさと同様に重要な「働き甲斐」も醸成されております。
どちらかだけ上げても駄目で、両方がバランスよく運用されないと施策がうまくいくもので無いので、こういった取り組みをしてきました。
このユニポスの活用法は、自社内だけにとどまらず、コロナ対応をされている医療従事者に向けても感謝の意・エールを伝えたいといことで、ユニポスを使ってメッセージを集め、またポイントを与えることもできるので、例えばユニポス内で100点集まったら1000円にしましょうといった規定を設けて、寄付を募りました。経営側が金額を決めて寄付することでなく、社員全体でそういった意思をもって寄付が集まったというのが重要な点です。
こういう取り組みをして、実際に病院へ寄付をしたというのが社としての取り組みの一つです。
ここからは“転”になります。
次はクラウドサービスの話になりますが、実際、私たちがそうだったんですけど、お客様と接して何が理解できたのかといったところです。
お客様とお話をしているうちに、働き方改革・リモートワークといったワードが頻繁に出てくるようになり、何かこまっているかと尋ねると、お客様の誰もが「はい、困ってます」と言いました。そこで、もう少し内容を深掘りしていくと、お客様によって困っている内容が様々で、単にモバイルPCが無いといったことや、ネットワークやコミュニケーションといったところに課題があるといった内容や、そもそもITに関する課題でなく労務管理に困っているといった事象まで様々ありました。
ですので、「困ってます」といったお客様に「こういったサービスはどうですか?」とアプローチしても、単なるツール紹介にしかならなく、今、お客様が何に困っているのかといったステージを見極めることが物凄く重要で、この3ヶ月間はそのことを非常に痛感しました。
それを、私たちは4つのステージに分類し、ステージ事の問題と課題を可視化して、お客様が分かりやすく認識できるように提案をしたことで、お客様からの評価も得ることができました。
最後に“結”になります。
『withコロナ時代のNew Normal』ということでお話したいと思います。
今回の新型ウィルスだけでなく、自然災害等との共存もしていくことを想定すると“After”ではなく“with”といった定義付けになることを誰もが痛感したと思います。
こういうwithコロナによって、起こりうる大きな環境変化をNew Normalと世の中では呼んでますけど、この新しい価値観・新しい定義によって、何が起こるのかというと、おそらく3密の無い地方の価値が上がり、ローカル経済の向上が生まれてくると思われます。
東京にいなくても良いといった働き方になってくるでしょう。
この辺の変化がクラウド領域に関わってくると思われます。消費活動も大きく変わり、ものを消費するというよりも、ことを体験するといった価値観変化により、まさにここがクラウドの価値につながってきます。あとは私たちに関わってくる大きな点として、想像もしなかった大きなビジネス・新しいビジネスが、どんどん生まれてくると思います。
先ほどリモート呑み会の話をしましたが、例えばリモート結婚式やリモートお葬式、ドライブスルーお焼香といった、一昔前だと倫理的にどうかといった議論になるような領域においても、そうせざるを得ないといった状況が発生し、それが当たり前の事として社会でうまれ、そしてビジネスとして考えられてくる世の中が迫っていると考えると、私たちクラウドに携わる人間としては、そういったところにもアンテナを張っていかなくてはいけないと思いました。
私たちのコロナ禍における取組みと、今環境下においてお客様と接し、クラウド領域にい携わる者として痛感したことをお話させていただきました。
■FAQ
Q1.プレゼンテーション内にあったユニポスについて、これを使って社員同士のコミュニケーションを活発化できたとあったが、SlackやTeamsにもチャット機能等があり、
似たようなコミュニケーションが取れると思うが、ユニポスの優位性をもう少し具体的に聞かせてもらえますか。
A1. ユニポスがSlackやTeamsといったツールと違う点としては、ポイント付与ができるといったところが大きな違いになると思います。このポイントが貯まると
ピュアボーナスといった形で、それがちょっとした給与やボーナスに還元されるようなサービスになっている。
また、これまでのツールでいうと感謝の気持ちの伝え方が当事者間でしかなかったものが、皆がみれる状態になるので、プロジェクトにかかわる他の人たちが
拍手をしたりできることで、事案に対する当事者でなくても関与できる仕組みとなっています。
それにより、これまで見えなかった努力や貢献度が表面化することができて、全社周知が可能となり関係者のモチベーションを向上することができたことが
良いポイントと思います。
先ほどのプレゼンテーションにて、ピュアボーナスが給与やボーナスに還元されるとお伝えしたが、現状当社では金額に充当される形には まだなってません。
感謝の意思表示に止めております。給与やボーナスに反映されるとなった場合に、意図しない違った方向に行ってしまう可能性があるので現状は給与還元はしてません。
5.参加者による『ビジネスクライシスに対するクラウドサービスの有用性』についてのディスカッション
《ディスカッションにあたり小堀会長よりビジネスクライシスの冒頭解説》
ビジネスクライシスに対するクラウドサービスの有用性・有効性ということで、インターネット領域の側面からみると危機的な状態になった場合には、確実に有用性・有効性があると考えられます。特にテレワークを20年前と現在で比較しても、言葉すらテレワークと言ってなかった可能性があり、20年前のテレワークの“テレ”の意味合いと現在の言葉の意味合いが、使えるツールを見ていくと違ってくると思われ、感覚的な見地からもクラウドサービスの有効性はあるものと考えられます。
クライシス・危機という言葉だけで考えてしまうと、医療や財政といった国家視点からの大きな問題・課題になってしまうので“ビジネスクライシス”の視点から
ディスカッションしたいと思います。
リスクとクライシスという表現は当然使われますが、本当の意味でクライシス状態になってしまったというのは殆ど無いと思います。
当然、話の中にリスクという状況は出てきて、危機・危険といったことは付き物で、どうしてもネガティブ感が強くなります。
しかし、危機・危険といった捉え方より、“不確実性”という意味合いのほうがしっくり来ており、不確実だから危機になり、実は不確実で分からない状態にあるから危機だと捉えた方が、リスクの解釈がしやすい。
クライシスについては、今まで直面したことのない重大局面にあり対応策など、ほぼない状態がクライシスでないかと考えます。
ビジネスにおけるクライシスマネジメントの分岐点について流れ・フローを説明します。まず危機の発生から時間軸がながれ、次に初期対応・緊急復旧となり、通常通り回復した場合には、定常復旧となり平常状態・最終形となります。
クライシスの状態においても最終形態・解決策というのは当然平常状態になるとうことになります。
不確実な例としてインフルエンザを例にすると、10数年前に創業間もない企業内でインフルエンザが蔓延したことで企業活動が停止し倒産するくらいの状況になった会社さんがありました。
インフルエンザに関しては、これまでに治療法等が確立されていたので定常復旧し平常状態に戻りましたが、その会社の社長さんからしたら、その状況がクライシスだったと仰ってました。
次に危機発生から、初期対応・緊急復旧、(異)定常復旧、(異)平常状態と(異)とつけていますが、初期対応・緊急復旧において、コロナ問題においては、感染者の検査や罹患者の入院等々、これまでと同様に対応をしても定常復旧ができない状態になり、従来と違った(異)異なった定常復旧状態となり、更に(異)異なった状態で平常化していき従来のビジネスの活動に戻っても実はこれまでと違った平常状態になりました。
コロナ以前と変わったこととして、ソーシャルディスタンスといった新しいスタイルが生まれたのも一つです。マスクをする・2メール以上間隔をとる・不要不急の外出は控える、業務もテレワーク作業でといった、従来の定常復旧でないケース(異)定常復旧で物事が進んでいき、平常状態となっていくが これまでと違った戻りかたとなり、営業的な活動にして直接会う・対面的なエンカウンターな状態は避けられてしまっている。
こうなってしまうと、従来の平常状態でなく(異)異なった平常状態となっていて、過去に遡って考えてみると、あるタイミングでトリガーとなる事象が起こり、そこが岐路となり変わっていくような状態となり、次元が違うくらいの状態となってしまったと捉えています。
こうなってしまうと、従来のパラダイム・枠組みが使えなくなってしまうので、新たな取り組み・発想の方向にベクトルを向けていかなくてはならないと考えています。
ビジネスクライシスマネジメントの分岐点として、今だからこそクラウドサービスが有用・有効なのだといった原点に立ち返って、ディスカッションしたいと思います。
リスクヘッジをしていたから助かったという話も重要ですが、バットプラクティスについても是非お話してください。
クラウドとオンプレのビジネスを展開している中で、今回のコロナ禍では直近においてはクラウドに関するビジネスは殆ど影響がないのに対して、オンプレのビジネスについては影響が出ており、教育機関等の顧客にメールシステムの提供・サービスを導入する案件では進行がディレイしている。
参加者の方の状況は如何でしょうか?
・IT領域においては、今回の様な事態があっても直ぐに影響がでるというより、半年後から徐々に影響がでてくるといった感じと思います。
同業他社の方とお話をしても、現状は特に影響はないですといった意見が大半です。
私たちの会社でも、クラウドサービスの問合せが増えている状況にあって、役務提供型・SIビジネス領域について、特に製造業や飲食業といったお客様にあっては、プロジェクト中止・ペンディングや予算の凍結、といった状況になってきております。
クラウドビジネスは、お客様の内部で「出社制限をするために、テレワーク・リモートワークを進めろ」といったニーズが高まり、困っている状態にあります。
システム・サービスの導入にあたり、検索エンジンを使って“テレワーク ツール”“リモートワーク ツール”といった具合に検索しているそうです。
検索する際に“ツール”というワードを入れるのがこれまでとの違いで、何を表現しているかというと 明日から使えるツールを探していることが
これまでなかった行動みたいです。ただ「テレワーク」、「リモートワーク」といった言葉だけが先行している感も否めなく、お客様とお話をすると単にモバイルPCが必要といったニーズにマッチしない現状が出てきていることも現実として起こってます。
現実として、新たなパラダイム・変化が起こっていくことは確かなので、それに備えて対応をしていかないといけないと考えてます。
・プロダクトのテクニカルサポートを生業としている会社で、コロナ以前は一か所にメンバーが集まって対応していたのもが、今回の件でテレワークでサポートすることになり、前段で解説のあったクライシス状態による分岐点にあり、当初は本当にテレワークでサポートを出来るのかと心配であったが、現状は対応ができています。
ただ、対応はできていると言っても新たな課題・問題も表出してきています。実際に会っていれば協力しあって対応できていたものができなかったり、新しいメンバーの教育についても難しさがあり、テレワークによる新たな課題をどう解決していくかという事が起こっています。
この事による影響が、どのタイミングで仕事に影響してくるかが分からなく不安でもあります。
検証マシーンをクラウド上に作って対応したり、教育用の資材をクラウドに上げてやり始めているが、どういった効果が今後見込めるかといったところも含めてこれまでの定常復旧から平常状態になるのが(異)異なった状態であることは確かで心配もあります。
・ウェブ経由のサービスの問合せはこの数か月間増えたものの、営業でお客様訪問ができなかったりインサイドセールスができなかったりなど、今後のリードに繋がる活動が完全に出来ない状態にあるので、今後の営業活動・リード獲得活動をどうしていこうと思案しております。
Web広告の運用で数十や数百といったリードは獲得できるものの、展示会等の様な数千件のリード獲得ができてないので、1・2年後に、この影響がでてくるのでは無いかと懸念をしております。
・営業活動・リード獲得の為のツールや、サポート業務をクラウド上でしたりといったことも、全てクラウドサービス上で“出来ます”というのが回答になりますが、コロナ以前の様に、人と人のふれあい・コミュニケーションを全て補完できるものかというと、それは現状難しく今後の課題になると思われます。
教育的な側面から見ても、クラウドを利用して教育することを実践しているが、クラウド上だけで完結するものかというと疑問が残ります。
自分たちが新入社員の時代は、席の隣に上司・先輩がいて、良い面と悪い面両方をみて勉強したり、トラブルがあった際には先輩や同僚たちのフォローを肌で感じれる環境にあったが、クラウド上で完結するような状況となると、クラウドはニーズをほぼ全て網羅できて素晴らしいものではあるが、今後を考えると良い面・悪い面の両方共に課題はあると思われる。
《ディスカッション総括》
今回、はじめてオンラインでの会合開催、またディスカッション形式の取り組みをして、全員の方からご意見・ご発言をいただきたかったのですが時間も限られているので、是非、次回お聞かせください。
皆さんの現状を踏まえてリアルなお話を伺いながら、自分のところに重ねていくということが一番良いと思っています。
そういったところもNCWGなので、今後も注視していきたいと思っております。
本日の皆さんのお話を伺っていて、様々な用途のクラウドサービスが既に色々とある中で、今だからこそクラウドサービスという中で、サービス自体が汎用化していて、色々なものに使えるようなサービスの場合は裾野を広く対応しているだろうし、クラウドサービス自体をコンテンツとしてコンテクストを色々と変化させていけるようなサービスはニーズがあると思われるが、サービスを導入する側のお客様がクラウドサービスに対するリテラシーが低く、そもそもリテラシーが低いことを理解してない可能性がある事象が出てくることを考えると、ニュートラルにミドルマン的に立ち回れる第三者的なポジションで動ける人が有効であろうと思います。ただ、このミドルマン的なポジションでの動きに有効性があることは何十年も前から言われていることあり、改めて再認識してみても良いと思います。
クラウドサービスというものが世にでてから時間も経過して、さまざまなシーンで使われるようになってきて有効性があることは分かっています。
こういった場のディスカッション・議論からも有効性が出てくると思うので、今日の様な形で、ディスカッションを継続的に行っていきたいと考えております。
6. 会長からの総括
会長 小堀 吉伸
本日は、オンライン会合でしたが、皆さん、お疲れ様でした。
真木さん、ご講演ありがとうございました。ビジネスクライシスに対するクラウドサービスの有用性のリアルな話をいただき大変ありがたかったです。
本年度は「Beyond the Clouds 強みをシナジーにクラウドビジネスを昇華させる!」と言いつつも、コロナ禍においてお会いすることもできないですが、クラウドサービスを利用しながら関係値を高めて、クラウドビジネスを昇華させていってほしいと思いますので、引き続き宜しくお願いします。
まずは、この厄介な新型ウイルスに感染せず、皆さんの健康に問題が無いことが一番なので、慎重に慎重を重ねて会を運営していきたいと思います。
次回以降の会合についてもリアルに集まっての開催が現実的ではないので、次回の会合もオンラインにて実施していきますので、是非ご参加ください。
本日は、お疲れ様でした。
7.懇親会
懇親会についてもオンラインではございましたが、大いに盛り上がり、メンバー・ご協賛の方々との積極的な交流を図ることができました。
さらに懇親会中盤からは、小グループに分かれての親睦会も従来のリアル懇親会とは違う盛り上がりを見せていました。
皆さん、お疲れ様でした。
【NCWG実行委員 報告書作成者】
実行委員 長久保 純也(NOS株式会社)