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第50回ニッポンクラウドワーキンググループ会合報告

今回の会合は「宇宙ビジネスから見るクラウドビジネスの有用性!」をテーマに、
ゲスト講演では宇宙ビジネスコーディネーターの阿部さんにご講演いただき、
ニッポンクラウドワーキンググループ第50回会合を開催いたしました。

今回の会合はスリーハンズ株式会社さんに会場をご提供いただき、活気ある会合と
なりました。ありがとうございました。
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【日 時】2018年4月13日(金)17:00~19:00
【会 場】山王パークタワー 26F セミナールーム(スリーハンズ株式会社提供)
【参加者】メンバー、協賛各社および関係者の方々を含めて50名以上

ゲスト講演では宇宙ビジネスコーディネーターの阿部さんより衛星データビジネスに
ついて構造や現在の世界の動向も含め、わかりやすくお話いただきました。

スリーハンズ株式会社からのご紹介では、自社商品「3botソリューション」について、
導入事例を交えてご紹介いただきました。

お二方から貴重なお話をしていただき、有意義な会となりました。
ありがとうございました。

【司会者のご紹介】
実行委員 鈴木 淳史(株式会社オープンウェーブ)
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1.開催のご挨拶

NCWG副会長  藤田  浩之
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皆様本日は第50回ニッポンクラウドワーキンググループにお集まりいただきありがとうございます。
おかげさまで今回の会合で50回を数えることができましたが、これも皆様に支えて頂いているからこそやってこれたのだと感じています。
また、今回会場をご提供頂きましたスリーハンズさんありがとうございます。

今回の会合テーマは『宇宙ビジネスから見るクラウドビジネスの有用性!』ということでゲスト講演では宇宙ビジネスコートの阿部さんにご講演いただきます。

宇宙ビジネスと聞いてみなさんどのようにイメージされてますか?
たぶんスペースX社のイーロン・マスクや日本でいうとホリエモンなど、ロケットを打ち上げるということをまず思い浮かべるのではないでしょうか。もしかして「我々には関係ないんじゃないかな?」と思っていらっしゃるかもしれませんが、今回はロケットを使って打ち上げた衛星から得たデータを使って新しい価値を創造する、新しいクラウドビジネスを作るという方向の内容となっています。
我々がロケットを打ち上げようとしてもとてもハードルが高いですが、データを活用するということであれば、もはや我々の土俵だと思っていますので、是非、今回の講演を聞いてみなさんのクラウドビジネスの何らかのきっかけを掴んで頂けたらと思います。

話は変わりますが、来月5月の会合はお休みになりまして、6/8に大阪で会合を開催します。
大阪会合でも『宇宙ビジネス』をテーマにしておりまして、本日ご講演いただく宇宙ビジネスコートの運営母体でもある宇宙システム開発利用推進機構さんにご登壇いただいて、さらに、宇宙ビジネス、衛星データの活用というところを深堀りしていきますので、みなさん6/8の大阪会合に是非ご参加いただければと思います。

「Beyond the Clouds! ~ ムスビ(結)で、実を拡げる! ~」
ということで本日もみなさまのビジネスを拡げるきっかけになればと思っておりますのでよろしくお願いいたします。

2.部会報告

サムライクラウド部会
部会長  野元  恒志
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本日いらっしゃる方はサムライクラウド部会についてすでにご存じの方も多いとは思いますが、SAMLのSSOというフレーズを2011年から何度も言い続けてきました。
今やSAMLでSSOを行うのは当たり前になっています。Google Apps、Salesforce、例えば国内ですと学術認証フェデレーション(学認)など様々な所で使われています。
いよいよアプリケーションがマッシュアップされる土俵が整ってきたという段階です。
ここでSAMLをコアに据えながらアプリケーションの横串の連携というのを進めている部会です。

CBAさんとの連携部会を中心に活動させていただいていますが、アプリケーションに紐づくものというのは色々みており、現状でもIoTひとつとってもセキュリティはどうなっているのか、AIに関するセキュリティとはどのようなものなのか、などアプリケーションと紐づくものとしては避けては通れないものになっています。
IoTに関して言えば個体がどのように認証されるのか、そこにSAMLが使われる可能性もあるかと思いますし、あるいは別のものが使われるかもしれません。
このようなことを普段議論する機会が少ないですが、そういった議論も行っている部会です。

今後の予定ですが、アプリケーションのインフラに関しては参加している各社さんが興味がある部分ですので、DockerやHashiCorp社のConsul、前回の会合で新藤さんにお話を伺ったRancherなどの基盤を使いつつ、SSOの効果測定やアプリケーションをマッシュアップする方法などを議論していきます。

次回は4/25 15時から「KITTE」JPタワーのネットワンシステムズさんの会議室をお借りして行いますので、興味がある方はお声がけください。

クラウドアプリケーション部会
部会長  尾鷲  彰一
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今年度のクラウドアプリケーション部会ではAIについて活動しています。
第15回はスターティアさんの会議室をお借りして、今期のAIというテーマの進め方について認識合わせを行いました。
参加した9名の中でAIを触ったことがあるメンバーは1名だけでしたが、次回以降の部会でどういったことをしていくのかを決めました。
計画としてはIoTのデータをAIを利用して活用するというところで、IoTのデータとの連携、プラットフォームの調査、アプリケーションの開発を予定しています。

次回第16回(5/31)では、AIの数学的な部分、例えば画像をAIに認識させるにしても縦の画像を学習させるだけではなく、回転させた横の画像も学習させて認識率を上げるためには数学的な考え方が必要となるようでそういった内容について研究します。
もうひとつはSonyのNeural Network Consoleというものがあり、GUIで簡単にAIを使えるというソフトがありますので、それを動かしてみるということを行います。

第17回(7/31)は各自のPCにNeural Network Consoleなどの実行環境を準備してもらい花粉の飛ぶ量を予測するとか地震の予測や天気予報などが行えるかを試してみます。
第18回(9/30)にはこれらの内容をまとめて、活かしていきたいと考えています。

次回は5/31を予定していますので是非ご参加をお待ちしております。

クラウドビジネス推進部会
部会長  藤田  浩之
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今期は「Claud Fast! 日本のクラウドビジネスを加速させる!」といったスローガンのもと、部会の活動を通してビジネスモデルとしての「サムライクラウド」、つまり日本から発信するクラウドビジネスモデルというものが次々と生み出されるような状況を目指して活動しています。

具体的な活動としては、書籍を教材として勉強会を開催しております。
前期は「アントレプレナーの教科書」を教材として取り上げましたが、今期は宮本武蔵の「五輪書」を教材として勉強会を行っております。
ご存知のように五輪書は、地の巻・水の巻・火の巻・風の巻・空の巻という5巻から成りますが、五輪とは仏教でいうところの万物の構成要素です。
つまり五輪書には宮本武蔵のすべてが詰まっており、五輪書を読み解くことにより、無敗と謳われた宮本武蔵同様、その戦術論のクラウドビジネスアナロジーを意識することで、「負けないクラウドビジネス」を考えていこうという方針です。

次回の部会は、5/17(木)にアルティネットさんに会場をお借りして、火の巻を取り上げて勉強会を行います。
前回は剣の振り方や心構えのような基礎となる「技術」についての水の巻を取り上げましたが、次回扱う火の巻は敵に勝つための状況をどのように
作るかというような「戦術」についての書であり、そうした内容からクラウドビジネスにおける戦術のヒントを探っていこうという点が狙いです。
当日は会場をご提供いただくアルティネットの宮原さんにも、クラウドビジネスのアナロジーについて発表頂く予定ですので、ぜひ部会へのご参加をお待ちしております。

クラウドサービス部会
部会長  小堀  吉伸
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NCWGでは、4人の理事がそれぞれ部会長を務める4つの部会の活動を行っており、ほかの3部会については、比較的技術的な側面が強い部分がありますが、クラウドサービス部会は、技術ではなくサービスの側面からクラウドについて考えるという主旨で活動を行っています。

初めに、サービス視点でのクラウドコンピューティングとは一体何かということを考え、「インターネットを介して利用する経済的な価値提供機能」と本部会では定義しています。
その上で、部会を進めるにあたり、セオドア・レベットの「ホールプロダクト」という概念に当てはめて、クラウドサービスを検討していこうということが基本的な方針です。

「ホールプロダクト」とは、メインとなるコアプロダクトを補完するプロダクトが存在し、それによって如何に使いやすいサービスを提供するか、というプロセスに関するものです。

本部会では、更に補完プロダクト同士をつなげることで、サービスのためのサービス、すなわちサービスのメタ化ができると利用者にも使いやすい有効なサービスを作り上げれるのではないかという考え(Service as a Service)のもと、さまざまな事例を取り上げながら検討を行っています。

さらによりメタサービスの考え方を深める為に、生物学をアナロジーにサービス・プロダクト群としての「メタサービス」を検討してみました。
自然界には「超個体」と呼ばれる限定的な知能と情報しか持たない個体が多数集まって、個体の能力を超えた大きなものを成す(昆虫やサンゴのコロニーetc…)という考え方があり、異種個体の集団を「超個体」とみなすこともあります。
そこで我々の扱うプロダクトやサービスも複数の限定的なものが集まって、「超個体」化できるのではないか、それが即ちメタサービス的に見立てることができるのではないかと考えています。

ただし、捕食者から逃れるためだけに集まっている魚のゴンズイ玉的な形態は、メタサービスにはなり得ないと考えています。
ゴンズイ玉型ではないサービス・プロダクト群としての「メタサービス」としては、どのように組み上げあらるのかというようなことをいろいろと検討しながら、ゆくゆくは学界などのアカデミックな場での発表など、視野に入れて活動を行っています。

また、クラウドサービス部会では、毎回テーマごとに完結するように部会を開催しているので前回参加していないから分からない、ということは無い様にしています。
ちなみに次回の部会では、「はじめての暗渠散歩」「街角図鑑」などの著作をお持ちのスリーハンズの三土さんに「Beyond the Clauds !」の視点からお話しいただく予定ですが、内容的には、IoTビジネスへの発展ネタと考えているので、大変楽しみです。

クラウドビジネス推進部会とも共同開催で行っておりますので、ぜひ積極的にご参加いただければと思います。

3.ゲスト講演:
宇宙ビジネスコート 宇宙ビジネスコーディネーター 阿部  聖史 氏
テーマ:『衛星データビジネスへのお誘い』
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初めに自己紹介をさせていただきます。
私は宇宙ビジネスコートというプロジェクトと富士通の方でお仕事をさせて頂いております。
大学卒業後はニフティに入社し10年ほどWEBアプリケーションのエンジニアとしてオンラインストレージやレンタルサーバのような現在でいうクラウドの前の時代にあたるサービスを担当していました。その後は商品企画や営業企画を経て、現在は事業企画のようなことを中心に行っており、その中の人工衛星データを活用した事業開発を担当しています。

<IT業界の巨人たちも宇宙に夢中!>

今、宇宙ビジネスが熱い状況になっています。「IT業界の巨人達も宇宙に夢中!」ということで、例えばAmazonのジェフ・ベゾスさんが航空宇宙企業Blue Originを設立し、現在宇宙に行くためにロシアのソユーズでは20億円ほどかかるところを民間資本で大幅に旅行費用を下げようというプロジェクトを進めています。
また、PayPalやテスラのイーロン・マスクはスペースXを設立して、NASAから国際宇宙ステーションへの物資の補給サービスを落札し、打ち上げの効率化を進めていて、100億、200億円かかる打ち上げ費用を再利用などで、どんどん下げるプロジェクトを行っています。
日本では孫 正義さんがOneWebという衛星通信企業に10億円ほど出資されており離島や山奥に通信回線を引くのは非常にコストがかかるのですが、衛星で地球全体を覆ってしまえば、それよりはるかに低いコストで通信が実現できるようになり、2020年代以降、有線ではなく衛星での通信がスタンダートになっていくと言われています。

<今、宇宙業界で何が起きているか?>

今宇宙業界では大幅な技術革新が起きています。

・衛星の小型化(キューブサット)
もともとはバスくらいの大きさの衛星を飛ばすことが多かったのですが複雑な情報をとる場合を除き、今はCubeSatという箱型の数kg程度の衛星を簡単に作れるようになっています。

・打ち上げの効率化(再利用、ピギーバック)
イーロン・マスクが進めているロケットの再利用やピギーバックといった大型のロケットの隙間に小型の衛星を搭載して1回ので複数の衛星を打ち上げるような効率化も始まっています。

・衛星の情報取得頻度増(コンステレーション)
衛星自体の数自体も増えていますが、それとは別にコンステレーションという衛星同士で連携して衛星からの撮影頻度を増やすという技術が出来上がっています。

衛星は静止軌道以外はその場に止まっていられないので、同じ地点を毎日決まった時間に撮影するといったことができません。同じ目的をもった複数の衛星を用意して、例えば今日は衛星1が日本の上空で写真を撮り、その後流れて行ってしまいますが、次の日は衛星2が日本の上空にくるので衛星2が写真を撮るといった技術が出来上がってきています。

・コストダウン
今まで紹介した技術革新に伴ってコストダウンが進みまして、宇宙産業といえばひと昔前までは三菱さん、NECさんとか富士通の宇宙部門などごく一部のITゼネコンのようなところしか参入できなかったのですが、だんだんその参入障壁が下がってきていてITベンチャーでも参入する人が徐々に出てきています。

<EOデータビジネス>

宇宙ビジネスのハードウェアはまだハードルが高いのですが、比較的参入しやすいビジネスとして、人工衛星が獲得したデータをつかってソリューションを提供するといったビジネスであればそれほどハードルは高くありません。

人工衛星は大きく分けて通信衛星(衛星放送など)、測位衛星(GPSなど)、地球観測衛星(ひまわりなど)の3つがあります。
EOデータビジネスのEOとは地球観測を指していますが、この衛星が光学センサー、レーダーなどで取得したデータを使って、ビジネスを加速させたり、まったく新しいビジネスを生み出すことができます。

例えば、畑の作物の生育状況ですとか、海域の不審船監視、建造物の老朽化状況のモニタリングなどを衛星からみることができます。
最近はドローンを使うこともあります。ただし、ドローンでは数時間ほどしか電池が持たないため、限られた範囲でしか見ることができませんが、衛星は一度打ち上ると太陽光で発電しながら長期間観測できます。
逆に、衛星軌道上から撮影していることもあり、ドローンなど比べると解像度が荒くなってしまいます。
地上と衛星からの観測の良いとこどりをして情報を撮っていく使い方が行われていますが衛星の解像度や観測頻度は年々向上していて2020年代には数時間に一度は同一地点を撮影できるようになると言われています。

<EOサービスの基本構造>

アプリケーション層:APIを使ってデータを引き出し、色々なソリューションに適用

プロセス層    :構造化されたデータをクラウドプラットフォームに乗せ、APIを提供

プラットフォーム層:RAWデータから一次加工して構造化され扱いやすくなったデータ

リソース層    :衛星が取得するRAWデータ

クラウド事業者とってビッグデータの提供元として(プロセス層)、アプリケーション事業者はビッグデータを使ったアプリケーションビジネス(アプリケーション層)に参入する機会がこれから広がっていくといった状況です。

<欧米の状況>

衛星データのクラウドへの搭載は日本より欧米の方が先行しています。
アメリカではNOAAという海洋大気庁が中心になり、AmazonやGoogle、Microsoft、IBMといったIT企業が衛星データをクラウドに載せたプラットフォームの開発を進めていてEUではCopernicusという衛星データのプラットフォーム開発のプロジェクトを進めています。

衛星データは数ペタ、数十ペタのデータ量になるため、一企業だけでプラットフォームを作ることは難しいので、政府と大手IT企業がプラットフォームを準備し、負担のかからない金額でITベンチャーに利用してもらい、新しいビジネスから経済効果をあげるという取り組みを進めている状況です。

昨年、イタリアで開催された欧州宇宙機関のカンファレンスを見てきましたが、EOデータの有効利用には HPCリソース、標準化されたEOデータを含むジオデータセットこれらを使う開発ツールのクラウド提供が必須であるという共通認識でした。
使いやすい環境をサクサク動かせる環境が必要ということですね。

第一セッションでは欧州宇宙機関の関係者が政府側としての課題提起、主にどういった衛星であれば使いたいのかや基本のデータプラットフォームの運用上の課題などを話を展開していました。

第二セッションではサイエンスクラウドユーザー(研究機関)からの課題提起、EU各国間の研究成果の共用の際の課題を中心に展開されていました。

第三セッションでクラウド事業者からの課題提起でした。主に投資と回収であり最初にコンピューティングリソースの準備が必要になるので、それを活用したビジネスが進行していくまでに、かなりの持ち出しが必要になりますが、政府に対してもう少し補助が必要だとか、もう少し産業振興を頑張ってほしいとかいう話がでていました。

<日欧比較>

欧州はすでに組織的に取り組んでいて、予算も投入して産学官の連携を進めることで欧州全体で利用促進をしていますが、日本の省庁は縦割りになっていることもあり、利活用は一部に留まっています。
文科省、総務省、経産省など衛星に関わる省が分かれてしまっていて、それぞれが利用促進を進めており、意思決定や運用が集約されないといった問題があります。

例えば、衛星データとしても日本は継続的なプロダクトが少ないですが、欧州では10年、20年といった期間で統一のプラットフォームで提供し続ける保証をしています。
人口衛星の寿命は数年~十数年で終わってしまいますが、その後に新しい衛星が飛ばされないとその衛星のデータを基盤にしたビジネスが継続できないので、なかなか
投資できないということになりますが、その点を欧州は政府が保証し、安心して事業展開できるようにするといったことをしてくれています。

政府調達の部分も欧州が進んでいます。例えば航空業界でいえば土地の確保や自立するまでの郵送に対して政府が優先的に発注するなどの参入しやすいように取り組みがありましたが、そのような動きが宇宙ビジネスにも必要だと言われています。

ここ数年日本も「宇宙産業ビジョン2030」というのが去年策定されましたが、宇宙データの活用が重要と認識されており、1000億円のリスクマネーをベンチャー育成の為に投入されることが宣言されています。

<EOデータ活用事例>

事例1 農業:

・お米の食味向上(日本)
お米の食味を向上させた成功例です。青森の青天の霹靂というお米がありますがそれまで青森ではブランド米がなかったのですが、お米はたんぱく量が増えると硬くなって食味が落ちてしまいますが、たんぱく量は稲穂の色づき具合で分かるので、衛星の光学センサー刈入れ時期を判断し、品質の良いお米が安定してとれるようになりました。

・コーヒー農園「さび病」の早期発見(イギリス)
農園は広く、どの樹木が病気にかかっているかをリアルタイムで把握するのは難しいのですが衛星からの観察した情報を写専門家に診断・アドバイスを受けることで通常終息までに10年など長期間かかるものを2、3年などの短い期間で終息させることができるようになっています。

事例2 投資:

・駐車場の混雑情報を小売業績予測に活用(アメリカ)
ウォルマートの駐車場を衛星で監視することで、車の出入りがわかり売上データを発表する前に売り上げの予想がついてしまいます。その情報を投資筋に売るというビジネスがあります。

・世界の石油備蓄量データを投資に活用
石油タンクの内蓋は石油が減ってくると下がってきます。内蓋が下がることでできる影のでき方で、そのエリアの石油備蓄量を衛星データから観察できます。このデータから特定経済圏の石油備蓄量を計算することができます。

事例3 環境:

・砕氷船の航路選択に活用(フィンランド)
北欧は冬になると海が凍ってしまうのですが、貨物船が海を通るために砕氷活動をしなければならなくなりますが、衛星から氷の状況を観察とどの部分の氷が厚く、どの部分が薄いかを判断することができるので、目的地にまっすぐ進むよりも氷が薄いところを通った方が燃費がよくなりこれで年間数十億円というレベルで費用が違うそうです。

・水質モニタリングサービス(ドイツ)
衛星画像を解析すると海水の濁度、クロロフィル濃度が分析できるそうでこのように衛星上から行うことでコストが低くなったり、実際に人が行ってモニタリングする場合の健康被害を軽減できる効果があります。

このように社会課題など多岐にわたりますので、まだ誰も思いついていないような使い方があると思っていますし、使用する技術もそれほど難しくありません。
オープンソースのMapServerやPostgreSQLのプラグインのPostGISを使えば位置情報サービスが作れますし、各種ライブラリもありますのでプログラミングもPHPなどのスクリプト言語で、あくまで入門するには、ということですが簡単に利用することができます。
その先の社会課題と結び付けてどうやってソリューションにしていくかというところが大変だと思います。

ただ、今まで資本や技術がないと話にならなかったというところが、これからはまず発想が試される時代になってきていて、これまで見ることができなかった情報が衛星を使うことで見ることができる、これまでは見るためにコストが大きすぎてビジネスで使えなかったものが安価に高頻度で観測できるようになってきています。
ここからどのようなサービスが生み出せるかが今後クラウド上展開されていくと言われており、すでに提供している会社さんも一部ですがいます。

<宇宙ビジネスコートについて>

宇宙システム開発利用推進機構さんが運営しており、宇宙ビジネスの事業化をサポートするプロジェクトです。

産業振興活動の一環で行っていますので、一部有料のものもありますが無償で情報提供できる部分も多くあります。
例えば、共同研修プログラム、宇宙事業関係者の紹介など色々サポートさせて頂いています。特に今回お話させていただいた衛星データビジネスへの参入の相談などをお待ちしていますので、ご興味をお持ちいただいた方は是非お問い合わせ頂ければと思います。

直近ですと、5/7 に衛星データの基本的な加工に仕方、その為のソフトウェアの扱い方、それを使ったワークショップを開催します。

宇宙ビジネスコードのサイトの問い合わせフォームから無料でご案内できますのでご都合がつく方は是非実際に衛星データを触って、ビジネスに使えそうかどうかを試していただければと思います。

[質疑応答]
Q1:
エージェント自体がハングなどの障害に陥った場合を想定した対策は講じられていますか。
A1:
一定時間エージェントからの通信が無い場合、サーバがユーザに通知を行うようになっています。

Q2:
AIのエンジンの選定にに関してお話いただける事があれば教えてください。
A2:
あまりAIに関する知見がなく、これから勉強するところも多いのですがパートナー企業のアイズ・ファクトリーさんにご協力をいただいて、今後進めていく予定でおります。

Q3:
IoTにおけるエージェントのインストール先となる端末は、Raspberry PiやArduinoのようなものを想定されていますか。
また、それに対するエージェントのインストールは何か特別な作業が必要になるでしょうか。
A3:
おっしゃる通りRaspberry PiやArduinoを使うことになるとは思いますが、そのままは入らないので現状はそれらに Cent OS を入れて、その上にインストールする形で検証しています。

Q4:
Docker のようなコンテナ環境の監視についてはどのように行われることを想定しているのでしょうか。
A4:
Docker のような環境で実際に動くのはアプリケーションだと思いますので、それらがサービスとして稼働していることを監視する仕組みを想定しています。
そのため、必ずしもコンテナの中にエージェントが存在する必要はないかと考えています。

4.スリーハンズ株式会社からの各種ご紹介

スリーハンズ株式会社 取締役 最高開発責任者 三土  辰郎 氏
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『運用自動化サービス「3botソリューション」のご紹介』

本日はソリューションのご紹介に入る前に私共について簡単にご紹介させていただきます。
スリーハンズ株式会社は2000年に設立致しまして、所在地は本日の会場であります山王パークタワーの3階にございます。
普段は地上に近いところにおりますので、たまに本日の会場の様に高層階に参りますと首相官邸がよく見えるなぁ、などと思っております。
事業内容としては、マネージドクラウドの提供が主たるものですがその他お客様に合わせたソリューションの提供や、近頃はデザインや企画といったクリエイティブ事業も行っております。

続いて、私自身のご紹介も少しさせていただきます。
プログラムを行う傍ら、週末は物書きなんかもやっておりまして、街角にあるもの(三角コーンや信号機etc…)を集めて紹介する本を出したりしています。
また、最近のトピックとしては、プログラミング言語対抗綱引きというものにPHP代表として参加しまして、Javaと戦ったんですが残念ながら1回戦で負けてしまいました。

さて、それでは本日のメインテーマに移りたいと思います。
昨年、私共の代表の手塚がここで少しお話させていただきましたが、弊社の主たる事業であるフルマネージドサービスは非常にやることが多く、それをなるべく自動化したいというところから始まっております。

例えばやることとしては、まず最初にヒアリングをしてコンサルティングする事をはじめ、データセンターの選定やインフラを含めた構築、運用が始まってからは監視を行ったり、障害発生時には切り分けや復旧対応を行うなど多くの作業があります。
それらを見直してみると、現状自動化できている部分もありますが、それを増やしてできる限り自動化していきたいというコンセプトです。

そういったことをロボットに任せてしまおう、ということで生まれたのが「3bot」です。4月にリリース致しました。
形態としては、SaaSではなく個別の案件ベースでソリューションとしてのご提供を想定しております。
なお、私共の名付け方は非常に安直で、スリーハンズなのでスリーボット、という名称になりました。
ちなみに社名も、私三土の「三」と手塚の「手」からきております。

では、「3bot」は一体どんなことをしてくれるのか、という点ですが、大まかな内容としては、運用対象の自動調査、通知とアクション、ダッシュボード機能の提供です。

まず仕組みとしては、ノード(監視する対象)にエージェントをインストールし、様々な監視情報をエージェントがサーバに定期的に送信するプッシュ型になっています。
エージェントの設定はリポジトリ上にあり、エージェント自身のアップデートやプラグインのデプロイなどは、リポジトリから自動で行われる仕組みになっています。
なお、監視対象をノードと呼ぶのは、サーバ以外にも様々な対象を監視することを想定して、広い意味を持たせるためにこのように呼称しています。
お客様は、サーバから各種通知を受け取ったり、サーバのダッシュボードからノードの稼働状況や負荷などを確認することができます。

現状できることととしては、まず複数のサーバ群を一括で監視・管理できます。
また、エージェントが自動アクションとしてサービスの再起動などを行うこともできるという点は、他の類似サービスとは一線を画するのではないかと思います。
ここはマネージドサービスを提供する弊社ならではの発想かと思っております。

また、監視の設定として一風変わっている点があり、カスケード風の設定が可能であるというところがあります。
例えば、下記のように階層的に条件付けを行うことが出来ます。

1)全ホストについては、CPU使用率が90%だったら○○に通知。
2) “1)”のうち、Aグループについては80%以上なら△△に通知。
3) “1)”のうち特定のBというノードについては、70%以上なら□□に通知。

続いては、今後やっていきたいと考えていることについてお話します。

まずはエージェントの収集情報の追加です。
エージェントをインストールすると、自動でノードの情報を収集しますが、現状は、OSレベルの情報やハードウェアの情報、稼働しているサービスはどのようなものがあるか、などの情報を収集し、定期的にそれらの情報をサーバに送信します。
ここに現在手動で調べていることも自動でエージェントに情報を収集させたいと考えています。例えば以下のような情報です。

・どんなWEBサイトを提供しているか
・どんなSSL証明書がインストールされているか
・WordPress のセキュリティパッチが適用されているか
・セキュリティ上問題のあるディレクトリが存在しないか

また、自動での異常検知の仕組みも検討しています。
過去のパターンから異常になっている可能性がある、ということをエージェントが自動で判断して、通知やアクションを行うことが出来るということです。
例えば、温度センサーの管理などをしている場合、これまでの温度の推移から今日の温度は異常と考えられるので、管理者へメールで通知する、といったような具合です。
更に予兆検知、これは障害を事前に予測するということですが、例えばメモリーリークの様に単調に微増するメモリ消費などからメモリ枯渇の予兆を検知して通知するといったことです。

そのほか、既存のダッシュボードや通知以外にもエージェントが収集した情報を連携できるようにAPIの対応を進めたり、/etc のようにログや設定ファイル群が置かれているであろうディレクトリを自動保存して、履歴管理できるようにすることで問題発生時の追跡を容易にするといった機能も追加したいと考えています。

また、これからやりたいと考えている構想として、害獣用のワナに対して監視を行い、獲物がかかっているワナを農家や猟師の方に通知する、といったことが出来れば便利で面白いのではないかと思っています。
エージェントをどうやってワナにインストールするのか、電源はどうするのかなどはこれから考える部分もありますが、そのようなことも視野に入れております。

こうした内容についていつまでやるのか、というお話ですが、まず狩猟ワナにエージェントを入れるというような構想について実は着々と進めており、今年6月からはそういったものを想定したIoTの実証実験を行います。
また、夏までにこれまでお話ししたような新機能を続々とリリースする予定です。
異常検知と予兆検知を行う「AI監視サービス」を今年中にはリリースしたいと考えております。

以上、ご紹介させていただきました「3bot」ですが、ソリューションとしての提供となりますので、まずはお気軽にお問い合わせ・ご相談いただければと思いますので、よろしくお願い致します。
本日はありがとうございました。

[質疑応答]
Q1:
エージェント自体がハングなどの障害に陥った場合を想定した対策は講じられていますか。
A1:
一定時間エージェントからの通信が無い場合、サーバがユーザに通知を行うようになっています。

Q2:
AIのエンジンの選定にに関してお話いただける事があれば教えてください。
A2:
あまりAIに関する知見がなく、これから勉強するところも多いのですがパートナー企業のアイズ・ファクトリーさんにご協力をいただいて、
今後進めていく予定でおります。

Q3:
IoTにおけるエージェントのインストール先となる端末は、Raspberry PiやArduinoのようなものを想定されていますか。
また、それに対するエージェントのインストールは何か特別な作業が必要になるでしょうか。
A3:
おっしゃる通りRaspberry PiやArduinoを使うことになるとは思いますが、そのままは入らないので現状はそれらに Cent OS を入れて、その上にインストールする形で検証しています。

Q4:
Docker のようなコンテナ環境の監視についてはどのように行われることを想定しているのでしょうか。
A4:
Docker のような環境で実際に動くのはアプリケーションだと思いますので、それらがサービスとして稼働していることを監視する仕組みを想定しています。
そのため、必ずしもコンテナの中にエージェントが存在する必要はないかと考えています。

5.会長からの総括
会長  小堀  吉伸
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皆さん、お疲れさまでした。

まずは、阿部さん本日はありがとうございました。
本日は宇宙ビジネスコートの阿部さんということでご講演いただきましたが、阿部さんは、富士通クラウドテクノロジーズの社員でいらっしゃいます。
そして、富士通クラウドテクノロジーズさんには、ニッポンクラウドの前身の会が8年前にスタートした時からご支援をいただいているので、今回、NTTスマートコネクトの宮崎さんから、クラウドと宇宙ビジネスについてお話しいただきたい方がいるということでご紹介いただき、阿部さんにご講演いただきましたが、いろいろな「人のご縁」が会の推進力になっているんだと強く感じています。

また、スリーハンズさんには毎年この時期に会場をご提供いただき大変感謝しています。
お陰様で、この7年間で会合も50回目となりました。
ありがとうございました。

本日は、EOデータやそれを活用した宇宙ビジネスに関するお話でしたが、実は6月の大阪会合でも一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構さんに衛星データについてのお話をいただけることになっています。
コペルニクスのデータの提供など、ビジネス推進にいろいろと取り組まれているようで、無償のデータ提供なども行われているそうです。
個人的には、これまで衛星データの利活用は、ハードルが高い分野と感じていましたが、本日の阿部さんのお話や次回ご講演いただく関係者の方々とお話するにつれ、どうもそうではないなと思っています。衛星データの利用について、知らないと言うことがハードルを上げていたということだと思います。
むしろ、データ利用のハードルが下がれば、今後大手事業者が参入を始める前に、自社に既に持っているアプリケーションやビジネスの仕組を衛星データ用に利用用途のコンテクスト転換することで、新たな仕組みのビジネスモデルが、低コストに短期間で実現できるのではと考えています。そのためにも衛星データの無償利用は、かなり有効な要素だと言えます。
まだまだ、これから6月の大阪会合や秋以降の活動でも宇宙ビジネスについて深堀していきたいと考えていますので、是非とも引き続きご参加下さい。

最後に、Beyond the Cloudsの会のスローガンをお経のように唱えていますが、趣旨としては、クラウド自体は、道具なので道具を最終的な目的とはせず、道具を使ったその先のものを掴むようにすれば、自然にクラウドは使われちゃうのではないかとの意味合いから今年度も「Beyond the Clouds」 というスローガンを掲げています。
なので、こうした会合などの場を利用してどんどんクラウドビジネスの実例を会の皆さんのつながりから作り出していただき、日本から発出するクラウドビジネスモデル(サムライクラウド)が、どんどん生まれてくることを大変期待しています。

今後ともよろしくお願致します。

本日はどうもありがとうございました。

6.懇親会
懇親会も大いに盛り上がり、メンバー・ご協賛の方々との積極的な交流を図ることが
できました。
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非常に有意義な懇親会となりました。ご参加された皆さん、ありがとうございました。

【NCWG実行委員 報告書作成者】
横手 広樹(株式会社クリエイトラボ)
内田 龍(株式会社クリエイトラボ)
大澤 武史(株式会社クリエイトラボ)


7月 2022
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